ゼロの使い魔保管庫
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
開始行:
ガンガンガンガン!!
「ったく、貴様の飲み込みは異常だ、才人」
「師匠が上手いからでしょうが!!」
才人が右剣で払い、左剣で突く。其をアニエスは左剣で絡め右...
「今、死んだぞ」
「そうそう上手くは行かないか」
「相手全体と足先を見ろ。そうすりゃ、間合いを計れる。ふむ...
「そしたら、ルーンが発動しちゃうんだけど?」
「何を言ってる?私だけに決まっておろうが」
「…そうですよね」
木剣を握ったアニエスが、稽古を再開する
「ほらほらどうした?マンゴーシュとレイピアの使い方は、教...
「糞ったれ〜〜〜!!」ガンガン、パシャッ
「技有り!!」
「見事だ。だがな」
ゴンッ
「痛ぇっ」
「敵が必ずしも一撃で倒れるとは限らん。しっかり、最後迄警...
「はい」
才人とアニエスの稽古は所構わず苛烈を極め、時には組み打ち...
「良し、二人共避けろよ。攻撃開始!!」
タバサとキュルケのコンビで威力を調整された、連発の魔法回...
タバサが威力を下げたウィンディアイシクルを大量に形成し、...
カカカッ
「く、中々キツイ」
「よっしゃ、全弾回避!!」
「あら、まだまだよ、ダーリン」
炎弾が降り注ぐ
「でぇっ!?」
「次は僕だ、おいでワルキューレ達」
「どわ〜!?」
「私は真剣使うぞ!!」才人とアニエスのコンビで、槍を持った...
「多数対多数の場合は、味方の背に気を配れ。味方の背を守る...
「イエッサ」
キイン、ガッ
「アニエスさん後ろ!!」
ガン
「中々のフォローだ、才人」
「其じゃ、オマケ行くぞ〜」
ここぞとばかりにマリコルヌ、ギムリ、レイナールが魔法を才...
「どわぁ〜〜〜!?」
才人は突っ伏す
「ふっ、ズタボロだな才人」
「…嬉しそうに言わないでくれ」
「二人共、此飲んで」
「モンモン助かるわ」
「有難うモンモランシー。さてと、仕上げの舞姫行くぞ」
「あいさ」
ルイズはラグドリアン湖から帰って来た後、才人を露骨に避け...
のは建前で、才人にしたあれやこれが恥ずかし過ぎて、顔を合...
「どどどどうしよ?ああああたし、サイトにあんな事しちゃっ...
「サイトに凄くえっちな格好で誘っちゃった。あたし、今迫ら...
「ででででも、今御許しを請えば良いんじゃないかしら?そそ...
「ななな何言ってるのよ、ルイズ。サイトは使い魔なの!平民...
「それに、あれは惚れ薬のせいであって、私の本心じゃないの...
「ううう、ちい姉さまは嘘ついちゃ駄目とか言って来るし、ど...
「其も此も皆サイトがイケナイんだ。サイトがあたしだけ見て...
「ううう、気分転換に始祖の祈祷書でも見よう。何これ?白紙...
ルイズは祈祷書と水のルビーを抱えて寮を出、学院長室に向かう
コンコン
「誰かな?」
「ラ=ヴァリエールです。オールドオスマン」
「入りたまえ」
ガチャ
「失礼します」
「おや、今日は才人君が一緒じゃないのかね?」
「サイトは稽古に励んでます」
「あぁ、学生迄巻き込んで、派手に稽古してる様だのぅ」
「あの、注意しないんですか?」
「何、メイジが暴れるより、余程地味じゃよ」
「其はそうですけど」
「メイジが暴れた時より楽じゃからな。止める理由が無いのじ...
「そうでした。あの、この始祖の祈祷書なんですが、白紙なん...
「さて、儂も詳しくは解らぬ。只、必要な時になると、読める...
「じゃあ、今白紙なのは?」
「まだ、その時では無いと言う事じゃろう」
「じゃあ、この水のルビーは?」
「其は巫女に必要な物じゃからな。身に付けておきなさい」
「解りました」
ルイズは左手の中指にルビーを填めると、ピタリと収まる
「で、祝詞の進行具合はどうかね?」
「実は、全くなんです」
「ふむ、確か詩作の成績は悪かったの」
「う、ご存知なんですか?」
「一応学院長なのでな。学生の成績は全員把握しておるよ」
「…失礼致しました(学院長って、伊達じゃないんだ)」
「では、疑問は此で全部かね?」
「はい」
「では、殿下の結婚式迄に、素晴らしい祝詞を出来る事を祈っ...
「プレッシャーかけないで下さい」
「何、そなたの使い魔に協力して貰えば、すぐではないかね?」
「サイトに詩作の才があるなんて、聞いて無いです」
「別に作って貰う必要は無いじゃろう。そなたの重荷を支えて...
「でも、今はサイトは稽古で」
「何、そなたの詩作も重要じゃろ?銃士隊隊長殿も、其処まで...
ルイズは顔を紅くする
「ふむふむ、何かあった様じゃの。若い内は、体当たりで悩み...
「あの、サイトの事、何かご存知なんですか?」
「まぁ、学院で起きた出来事は、報告が入るからの」
「サイトが何をしているか。ご存知なのですか?」
「平民においたをした連中に、お仕置きしたりしてる様じゃな」
「私に内緒で?」
「そなたに、迷惑をかけぬ為じゃろう。事実、親元から苦情と...
「何で、そんな事になってるのに、私に相談しないんですか?...
「決闘した上で、あっさり退けてしまったからの。しかも、理...
「…知らなかった」
「そなたに、余計な心労をかけぬ為じゃろう。実に出来た男で...
「…はい」
「そうそう、此は儂が言ったと言わないでくれるかね?儂も、...
オスマンは悪戯っぽく、ウィンクをする
「解りました。失礼します」
パタン
「ほっほっほ。面白いのぉ」
ルイズはシエスタを探して厨房に向かう
「失礼します」
「ミスヴァリエール。どうしたんですか、こんな所に?」
「シエスタ知らない?」
「今は洗濯物をしまいに行ってると思いますが」
「ありがと」
洗濯物が干してある場所に移動し、シエスタを探す
「あ、居た。シエスタ、ちょっと良い?」
「どうしたんですか?ミスヴァリエール」
「ちょっと、聞きたい事が有るのよ」
「シエスタ、行って良いわよ」
「ごめん、宜しくね」
二人揃ってベンチに座る
「あの、どんなお話でしょうか?」
「サイトが平民においたした生徒に、お仕置きしたって聞いた...
「誰から聞いたんですか?才人さんも私達も、誰にも言ってな...
「……本当なのね。いつの話?」
「ミスヴァリエール達が暫く外出した時より前ですね。その後...
「何でそんな事になったのよ?」
「私達メイドの服を、ズタズタにした貴族が居たんですけど、...
「何で、親迄出てきたのよ?」
「仕立て用の生地代を請求したからですね。学生じゃ、払える...
「何で私に言わないのよ?」
「才人さんの怒った顔、見た事有りますか?」
「…無いわ」
「あれ見たら、話す気無くなりますよ。絶対に、才人さんは怒...
「そんなに怖いの?」
「学生の親が決闘した際、余りの恐怖に失神してました。ミス...
「そんなに?」
「私に向けられたら、失神所か死んじゃうかも」
ルイズは青くなる
『そういえば、キュルケもタバサも怖がってた様な?』
「何か怒らせる様な事、したんですか?」
「してないわよ、多分」
「どうせ、惚れ薬の時のデレデレ度合いを恥ずかしがって、ボ...
「うぐっ」
「そんな事ばかりしてるなら、才人さん貰いますからね」
「な、何言ってるのよ?才人はあたしの使い魔で、あたしのモ...
「才人さんの隣に立てるなら、関係ないです。私は才人さん以...
シエスタは立ち上がり、洗濯物をしまいに戻って行く
「ううぅ、モンモランシーに続いてシエスタ迄。サイト、あた...
ルイズは肩を落とし、部屋に戻って行った
* * *
「ちょっと、発動時間を下げて見るぞ」
「あら、どうしたの?」
「使える時間を試す。一応準備してくれ」
「解ったわ」
「了解した」
「デルフ、時間の目安を覚えててくれ」
「あいよ」
「行くぞ」
才人が発動レベルを下げ、発動させる
才人の姿が消え、霧が舞う
ガガ、ザッ
村雨とデルフを構えた状態で、静止する才人
「相棒、ガンダールヴの状態を解け」
「ああ」
チン
村雨を収め、デルフを地面に刺す
「どうでぃ?」
「ふぅ。全力疾走を、暫く続けた程度の消耗だな。発動と距離...
「せいぜい5メイル、1/10秒って所だろ?」
「本当に使えねぇスペルだな、これ」
才人は苦笑する
「才人、此方向け」
「何?アニエスさん、むぐ」
コクンコクン
「ぷあっ。今回は大丈夫みたいだけど?」
「駄目だ。お前の場合、自身の消耗を無視して行動するのが、...
「私もアニエスさんに同意見ね、サイト」
そう言い、モンモランシーは治癒をかける
「あんた、本当は倒れるの、我慢してたでしょ?」
「えっと、バレバレ?」
「私は水メイジよ。あんたの状態なら、もう見ただけで解るわ...
「降参だ」
才人は両手を上げる
「でもよ、やっと目処ついたじゃねぇか、相棒」
「あぁ、漸くか。アニエスさんから見て、どう思う?」
「本当に瞬間しか動けないが、決定機に使われたら、メイジは...
「デルフは?」
「おぅ、エルフでも相手に出来るかもな」
「エルフって強いのか?」
「大体、人間対エルフでの戦場での交換比率は10対1だな」
「…メイジ含めて?」
「メイジだけでそうだし、どの兵科でも一般兵相手なら、更に...
「恐ろしいな、それ」
「貴様は、そのエルフに勝てると、デルフは言ってるんだよ」
「えっと、俺って凄いの?」
「ハハハ。気付いて無かったのか?才人は、自身に付いては本...
「全くよ」
「さいですか」
「ねぇ、才人」
「何だ?」
「スペルの名前、どうするの?」
「そういや、考えて無かったな」
「名前付けて良い?」
「何かアイデア出たのか?」
「えぇ。瞬間で動くから、瞬動って、どうかしら?」
「良いね、瞬動で決まりだ」
「…ようやく、魔法を使える小人だぁね」
デルフは誰にも気付かれない様、独り呟いた
* * *
才人が部屋に戻ると、ルイズが机に突っ伏している
「どうした、ルイズ?」
ルイズからの返事は無い
「寝てるのか、よっと」
才人はルイズを抱き上げベッドに運ぼうとした時、ルイズが眼...
「……サイト?」
「済まん、起こしちまったか?」
かぁぁぁと、ルイズは真っ赤にになる
「は、離して」
「どうした、ルイズ?最近変だぞ?」
「そそそ其も此も、全部あんたが悪いんだもん。ご主人様が悩...
ふぅと才人は溜め息を付き、ルイズをベッドに座らせる
「悪かった。悩みは何だ?惚れ薬の件か?」
コクリ
「他にも有るか?」
コクリ
「じゃあ、一個ずつやるか。惚れ薬の件は事故だ。あの時の言...
「何で、そんなにあっさりしてるの?」
「普通に接しないと、ルイズが困るだろ?」
才人は優しく撫でる
「う〜、ごごごご主人様にされて、ううう嬉しくないの?」
「薬でされても嬉しくないね。ルイズならどうだ?」
ルイズは才人が自分だけを向いて、常に自分に愛を囁く様を想...
「わわわ悪くないわね」
「はぁ、薬切れた時点の苦しみは、俺よりルイズのが知ってる...
「つつつ使い魔なら、ご主人様だけ見るのが当然よ」
「……そうか。他の悩みは何だ?」
「祝詞が思い浮かばないの」
「祝詞って姫様の結婚式のか?」
コクリ
「どんな事しないと駄目なんだ?」
「あたし、詩作苦手で、さっぱり解んない」
「参ったな。俺も詩はさっぱりだ。ギーシュ辺りが得意じゃな...
「サイトが良いの」
「って言ってもな、せいぜい川柳位だぞ、俺は」
「勉強会で言ってた、俳句や短歌とは違うの?」
「俳句の五七五と変わらないんだが、俳句に入れる為の季語が...
「例えば?」
「ふむ。ちっぱいの、今日の主人も、胸は無し」
ドゲシッ!!
「ぐはっ」
「むむむ胸か?胸が良いんか?ちょっと、死後の世界行ってみ...
「あたたた……即興で詠むの、大変なんだけどなぁ」
「いいい今、絶対に馬鹿にした。ご主人様に喧嘩売ったでしょ...
「お、落ち着け。川柳ってのはな、日々感じた事を五七五に乗...
「絶対に馬鹿にしてる〜!この馬鹿犬〜!!」
「わ、解った解った。其では、コホン。桃髪の、主人の笑顔、...
「……本当?」
「本当だよ。にしても、やっぱり下手糞だな」
「そんな事ない」
「誉められたから、そう思っただけだって。やっぱり詩は苦手...
「でも、即興で出来てる」
「感じた事を表すだけだからな」
「感じた事をどうやって表現するの?」
「川柳の場合は、五七五にまとめる為に、余計なモノを一切排...
「んっと、始祖と神と土水火風に定型文で感謝を捧げた後に、...
「あぁ、自由は難しいなぁ。なら、自身で制限してみたらどう...
「例えば?」
「俺の国の隣の国には漢詩って、昔作らた詩が有るんだが、5...
「そんな事出来るの?」
「文字の形態が違うからね、単語に複数の意味が入るから、出...
「そんなの、ハルケギニア文字じゃ、無理じゃない」
「でも、似た発音とか、同音意義語は有るんだろ?其を組むと...
「聞き様によって変わるって事?」
「そゆこと」
「…更に難しくしてどうすんのよ」
「あ、そうだな」
才人は笑う
「先ずは、姫様の事を思い出してごらん。小さい頃からの友達...
「ん〜姫様ったら、小さい頃はあたしの人形を取り上げて、一...
「クックックッ、良い思い出じゃないか」
「何よ?其で、毎回の様に喧嘩してたんだから」
「なら、その思いをぶつければ良い」
「せっかくの結婚式で、そんな事出来る訳無いでしょ?」
「完全無欠なんざ、人間として面白くないだろ?だから、ユー...
「…其で良いの?」
「自由なんだろ?」
「そっか、そうよね」
『あぁ、やっぱり、サイトは頼りになるなぁ。サイトを使い魔...
「これで大丈夫か?」
「ヒントにはなったかな」
「そっか」
くしゃりと撫で、ルイズは気持ち良さそうにする
「他には有るか?」
「サイトは伝説の使い魔、ガンダールヴだよね?」
「何でか知らんが、そうなっちまったな」
「何で、あたしはゼロなのかな?」
才人の顔から、笑顔が消える
「誰がゼロだって?言った奴誰だ?」
ビクッ
ルイズは怯える
「だ、大丈夫、誰かから言われた訳じゃないから、そんな顔し...
『あれがサイトの怒りの片鱗。私に向けた訳じゃないのに、こ...
「そっか」
才人の顔に笑顔が戻り、ふぅとルイズは溜め息をつく
「あたしの使い魔は伝説の使い魔なのに、あたしは何時まで経...
「今迄の練習した魔法は何の系統だ?」
「四系統とコモンマジック」
「コモンマジックは最高の成功しただろ?」
「嘘」
「ルイズの目の前に、ガンダールヴが居るじゃないか」
はっと、才人を見上げる
「あ」
「ほら、伝説なんか呼び出せたルイズは、誰より凄い。自信持...
かあぁと紅くなる
才人はルイズを軽く抱き締め、撫でる
「4系統なんざ、使えなくたって良いだろ?」
「だって」
「俺が全部、蹴散らせば良いだけだ」
「うん」
「魔法が使えるだけの貴族なんざ屑だ。ルイズは誰より努力し...
「うん」
「その勉強は、きっと無駄にならない。俺が保証する。社会に...
「うん」
「ルイズはヴァリエールなんだろ?」
「そうよ、私は公爵家三女、ルイズ=フランソワーズ=ル=ブ...
「なら大丈夫。今は下を向かずに前を向け。自分の足で誇りを...
「サイトも一緒だよね?」
「あぁ」
「私の隣に立って良いのは、サイトだけだよ?」
「そりゃ、光栄だ。旦那が見つかる迄、立たせて貰うよ」
ズキン
「私の隣はサイトだけだよ?」
「あぁ、未来の旦那が来る迄な」
「違うの!!サイトだけなの!!何で解ってくれないの?この、馬...
「…ルイズが一人前になる迄は居るよ」
「やっぱり、出て行くんだ?あたしが大丈夫と思ったら、出て...
「サイトが出て行くなら、あたしは一人前になんかならない。...
「…ルイズ」
「あたしをこんな気持ちにさせといて、出て行くなんて許さな...
こつん
抱擁を解かれ、ルイズのおでこに触れるだけの拳が入る
「ルイズは、家族から引き離されても、平気なんだな?」
「あたしより、家族を取るの?」
「そういう事じゃない」
ルイズは涙を一杯に溜め
「出てくの?出て行っちゃうの?なら、今直ぐ出てけ〜〜〜〜...
「…イエス。ミスヴァリエール」
才人は必要最低限の着替えだけ持ち、ジャケットを着、村雨と...
パタン
ルイズは放心した状態で、扉を見つめる
「…………やっちゃった。あたし、やっちゃった。ミスヴァリエー...
「終わりだもん。ミスヴァリエールって呼ばれたら、もう終わ...
「あたし、本当にゼロになっちゃった。もう、戻れない?謝れ...
「……サイトサイトサイト、うぅぅぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ルイズの苦鳴が、寮に木霊した
「び、びっくりした。な、何よ?ルイズの絶叫?」
隣の部屋のキュルケがびくつく
「ダーリンが無理矢理したのかしら?ちょっと確かめにっと」
キュルケは部屋を出、ルイズの部屋を覗く
「あれ?独りじゃない。でも、只事じゃ無いわね。ルイズ、入...
キィ
「うわぁぁぁぁ!!」
「ちょっと、どうしたのよ?」
「あぁぁぁぁ!!」
「泣いてばっかりいちゃ、解んないじゃない」
「ああぁぁぁぁ!!」
「もう、本当にどうしたのよ?ダーリンは?」
ビクン
「ザイドザイドザイド」
「喧嘩でもしたの?」
「ザイドが、出で行っぢゃっだ。あだじが悪いの〜」
「ああ、もう。先ずは落ち着きなさい」
キュルケが抱き締めようとするが、ルイズに払われる
「ザイドじゃないど嫌」
「全く。なら、そのまま落ち着きなさい。周りに迷惑だから、...
「ヒッグヒッグ、ザイドザイド〜」
結局、ルイズは一晩中泣き続け、キュルケは待ってる途中で、...
* * *
「ふぁ、いつの間にか寝てたわ」
「サイトヒック、サイトサイト〜ヒックヒック」
「おはようルイズ。もしかして、一晩中泣いてたの?」
こくり
「凄い体力ね」
キュルケは呆れる
「そんなになる位なら、謝れば良いじゃない」
「言われたの」
「何を?」
「ミスヴァリエールって、言われたの」
「あちゃあ。ダーリンに言われた中じゃ、最悪ね」
こくり
「ダーリンがそんな事言うなんて余っ程よ。何言ったのよ?」
「ヒック、奥さんや子供が居ても家族なんかに渡さない、サイ...
「……あんた、最低ね」
「あたしが悪いの」
「本当にあんたが全面的に悪いわね。見付けて謝りなさい」
「サイトが何処に行ったか解らない」
「ダーリン生活力有るからなぁ、学院出てたら、お手上げだわ...
「本当?」
「本当よ。あんたの使い魔は、ハルケギニアで最高の使い魔な...
「…とっても優しい」
「良く出来ました。あ、でも、学院に居てもヤバいかな?」
「…何で?」
「ほら、ダーリン欲しがってるの、あんただけじゃ無いじゃな...
「さぁ、泥棒猫に取られる前に、反省しきれるかしら、ヴァリ...
キュルケは手を振り部屋を出る
パタン
「………あたしの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿」
ルイズは一晩中泣き続けた、疲労と睡魔に負け、眠りについた
机の上の祈祷書が窓からの風でぱらりと捲れ、文字が浮き立っ...
* * *
終了行:
ガンガンガンガン!!
「ったく、貴様の飲み込みは異常だ、才人」
「師匠が上手いからでしょうが!!」
才人が右剣で払い、左剣で突く。其をアニエスは左剣で絡め右...
「今、死んだぞ」
「そうそう上手くは行かないか」
「相手全体と足先を見ろ。そうすりゃ、間合いを計れる。ふむ...
「そしたら、ルーンが発動しちゃうんだけど?」
「何を言ってる?私だけに決まっておろうが」
「…そうですよね」
木剣を握ったアニエスが、稽古を再開する
「ほらほらどうした?マンゴーシュとレイピアの使い方は、教...
「糞ったれ〜〜〜!!」ガンガン、パシャッ
「技有り!!」
「見事だ。だがな」
ゴンッ
「痛ぇっ」
「敵が必ずしも一撃で倒れるとは限らん。しっかり、最後迄警...
「はい」
才人とアニエスの稽古は所構わず苛烈を極め、時には組み打ち...
「良し、二人共避けろよ。攻撃開始!!」
タバサとキュルケのコンビで威力を調整された、連発の魔法回...
タバサが威力を下げたウィンディアイシクルを大量に形成し、...
カカカッ
「く、中々キツイ」
「よっしゃ、全弾回避!!」
「あら、まだまだよ、ダーリン」
炎弾が降り注ぐ
「でぇっ!?」
「次は僕だ、おいでワルキューレ達」
「どわ〜!?」
「私は真剣使うぞ!!」才人とアニエスのコンビで、槍を持った...
「多数対多数の場合は、味方の背に気を配れ。味方の背を守る...
「イエッサ」
キイン、ガッ
「アニエスさん後ろ!!」
ガン
「中々のフォローだ、才人」
「其じゃ、オマケ行くぞ〜」
ここぞとばかりにマリコルヌ、ギムリ、レイナールが魔法を才...
「どわぁ〜〜〜!?」
才人は突っ伏す
「ふっ、ズタボロだな才人」
「…嬉しそうに言わないでくれ」
「二人共、此飲んで」
「モンモン助かるわ」
「有難うモンモランシー。さてと、仕上げの舞姫行くぞ」
「あいさ」
ルイズはラグドリアン湖から帰って来た後、才人を露骨に避け...
のは建前で、才人にしたあれやこれが恥ずかし過ぎて、顔を合...
「どどどどうしよ?ああああたし、サイトにあんな事しちゃっ...
「サイトに凄くえっちな格好で誘っちゃった。あたし、今迫ら...
「ででででも、今御許しを請えば良いんじゃないかしら?そそ...
「ななな何言ってるのよ、ルイズ。サイトは使い魔なの!平民...
「それに、あれは惚れ薬のせいであって、私の本心じゃないの...
「ううう、ちい姉さまは嘘ついちゃ駄目とか言って来るし、ど...
「其も此も皆サイトがイケナイんだ。サイトがあたしだけ見て...
「ううう、気分転換に始祖の祈祷書でも見よう。何これ?白紙...
ルイズは祈祷書と水のルビーを抱えて寮を出、学院長室に向かう
コンコン
「誰かな?」
「ラ=ヴァリエールです。オールドオスマン」
「入りたまえ」
ガチャ
「失礼します」
「おや、今日は才人君が一緒じゃないのかね?」
「サイトは稽古に励んでます」
「あぁ、学生迄巻き込んで、派手に稽古してる様だのぅ」
「あの、注意しないんですか?」
「何、メイジが暴れるより、余程地味じゃよ」
「其はそうですけど」
「メイジが暴れた時より楽じゃからな。止める理由が無いのじ...
「そうでした。あの、この始祖の祈祷書なんですが、白紙なん...
「さて、儂も詳しくは解らぬ。只、必要な時になると、読める...
「じゃあ、今白紙なのは?」
「まだ、その時では無いと言う事じゃろう」
「じゃあ、この水のルビーは?」
「其は巫女に必要な物じゃからな。身に付けておきなさい」
「解りました」
ルイズは左手の中指にルビーを填めると、ピタリと収まる
「で、祝詞の進行具合はどうかね?」
「実は、全くなんです」
「ふむ、確か詩作の成績は悪かったの」
「う、ご存知なんですか?」
「一応学院長なのでな。学生の成績は全員把握しておるよ」
「…失礼致しました(学院長って、伊達じゃないんだ)」
「では、疑問は此で全部かね?」
「はい」
「では、殿下の結婚式迄に、素晴らしい祝詞を出来る事を祈っ...
「プレッシャーかけないで下さい」
「何、そなたの使い魔に協力して貰えば、すぐではないかね?」
「サイトに詩作の才があるなんて、聞いて無いです」
「別に作って貰う必要は無いじゃろう。そなたの重荷を支えて...
「でも、今はサイトは稽古で」
「何、そなたの詩作も重要じゃろ?銃士隊隊長殿も、其処まで...
ルイズは顔を紅くする
「ふむふむ、何かあった様じゃの。若い内は、体当たりで悩み...
「あの、サイトの事、何かご存知なんですか?」
「まぁ、学院で起きた出来事は、報告が入るからの」
「サイトが何をしているか。ご存知なのですか?」
「平民においたをした連中に、お仕置きしたりしてる様じゃな」
「私に内緒で?」
「そなたに、迷惑をかけぬ為じゃろう。事実、親元から苦情と...
「何で、そんな事になってるのに、私に相談しないんですか?...
「決闘した上で、あっさり退けてしまったからの。しかも、理...
「…知らなかった」
「そなたに、余計な心労をかけぬ為じゃろう。実に出来た男で...
「…はい」
「そうそう、此は儂が言ったと言わないでくれるかね?儂も、...
オスマンは悪戯っぽく、ウィンクをする
「解りました。失礼します」
パタン
「ほっほっほ。面白いのぉ」
ルイズはシエスタを探して厨房に向かう
「失礼します」
「ミスヴァリエール。どうしたんですか、こんな所に?」
「シエスタ知らない?」
「今は洗濯物をしまいに行ってると思いますが」
「ありがと」
洗濯物が干してある場所に移動し、シエスタを探す
「あ、居た。シエスタ、ちょっと良い?」
「どうしたんですか?ミスヴァリエール」
「ちょっと、聞きたい事が有るのよ」
「シエスタ、行って良いわよ」
「ごめん、宜しくね」
二人揃ってベンチに座る
「あの、どんなお話でしょうか?」
「サイトが平民においたした生徒に、お仕置きしたって聞いた...
「誰から聞いたんですか?才人さんも私達も、誰にも言ってな...
「……本当なのね。いつの話?」
「ミスヴァリエール達が暫く外出した時より前ですね。その後...
「何でそんな事になったのよ?」
「私達メイドの服を、ズタズタにした貴族が居たんですけど、...
「何で、親迄出てきたのよ?」
「仕立て用の生地代を請求したからですね。学生じゃ、払える...
「何で私に言わないのよ?」
「才人さんの怒った顔、見た事有りますか?」
「…無いわ」
「あれ見たら、話す気無くなりますよ。絶対に、才人さんは怒...
「そんなに怖いの?」
「学生の親が決闘した際、余りの恐怖に失神してました。ミス...
「そんなに?」
「私に向けられたら、失神所か死んじゃうかも」
ルイズは青くなる
『そういえば、キュルケもタバサも怖がってた様な?』
「何か怒らせる様な事、したんですか?」
「してないわよ、多分」
「どうせ、惚れ薬の時のデレデレ度合いを恥ずかしがって、ボ...
「うぐっ」
「そんな事ばかりしてるなら、才人さん貰いますからね」
「な、何言ってるのよ?才人はあたしの使い魔で、あたしのモ...
「才人さんの隣に立てるなら、関係ないです。私は才人さん以...
シエスタは立ち上がり、洗濯物をしまいに戻って行く
「ううぅ、モンモランシーに続いてシエスタ迄。サイト、あた...
ルイズは肩を落とし、部屋に戻って行った
* * *
「ちょっと、発動時間を下げて見るぞ」
「あら、どうしたの?」
「使える時間を試す。一応準備してくれ」
「解ったわ」
「了解した」
「デルフ、時間の目安を覚えててくれ」
「あいよ」
「行くぞ」
才人が発動レベルを下げ、発動させる
才人の姿が消え、霧が舞う
ガガ、ザッ
村雨とデルフを構えた状態で、静止する才人
「相棒、ガンダールヴの状態を解け」
「ああ」
チン
村雨を収め、デルフを地面に刺す
「どうでぃ?」
「ふぅ。全力疾走を、暫く続けた程度の消耗だな。発動と距離...
「せいぜい5メイル、1/10秒って所だろ?」
「本当に使えねぇスペルだな、これ」
才人は苦笑する
「才人、此方向け」
「何?アニエスさん、むぐ」
コクンコクン
「ぷあっ。今回は大丈夫みたいだけど?」
「駄目だ。お前の場合、自身の消耗を無視して行動するのが、...
「私もアニエスさんに同意見ね、サイト」
そう言い、モンモランシーは治癒をかける
「あんた、本当は倒れるの、我慢してたでしょ?」
「えっと、バレバレ?」
「私は水メイジよ。あんたの状態なら、もう見ただけで解るわ...
「降参だ」
才人は両手を上げる
「でもよ、やっと目処ついたじゃねぇか、相棒」
「あぁ、漸くか。アニエスさんから見て、どう思う?」
「本当に瞬間しか動けないが、決定機に使われたら、メイジは...
「デルフは?」
「おぅ、エルフでも相手に出来るかもな」
「エルフって強いのか?」
「大体、人間対エルフでの戦場での交換比率は10対1だな」
「…メイジ含めて?」
「メイジだけでそうだし、どの兵科でも一般兵相手なら、更に...
「恐ろしいな、それ」
「貴様は、そのエルフに勝てると、デルフは言ってるんだよ」
「えっと、俺って凄いの?」
「ハハハ。気付いて無かったのか?才人は、自身に付いては本...
「全くよ」
「さいですか」
「ねぇ、才人」
「何だ?」
「スペルの名前、どうするの?」
「そういや、考えて無かったな」
「名前付けて良い?」
「何かアイデア出たのか?」
「えぇ。瞬間で動くから、瞬動って、どうかしら?」
「良いね、瞬動で決まりだ」
「…ようやく、魔法を使える小人だぁね」
デルフは誰にも気付かれない様、独り呟いた
* * *
才人が部屋に戻ると、ルイズが机に突っ伏している
「どうした、ルイズ?」
ルイズからの返事は無い
「寝てるのか、よっと」
才人はルイズを抱き上げベッドに運ぼうとした時、ルイズが眼...
「……サイト?」
「済まん、起こしちまったか?」
かぁぁぁと、ルイズは真っ赤にになる
「は、離して」
「どうした、ルイズ?最近変だぞ?」
「そそそ其も此も、全部あんたが悪いんだもん。ご主人様が悩...
ふぅと才人は溜め息を付き、ルイズをベッドに座らせる
「悪かった。悩みは何だ?惚れ薬の件か?」
コクリ
「他にも有るか?」
コクリ
「じゃあ、一個ずつやるか。惚れ薬の件は事故だ。あの時の言...
「何で、そんなにあっさりしてるの?」
「普通に接しないと、ルイズが困るだろ?」
才人は優しく撫でる
「う〜、ごごごご主人様にされて、ううう嬉しくないの?」
「薬でされても嬉しくないね。ルイズならどうだ?」
ルイズは才人が自分だけを向いて、常に自分に愛を囁く様を想...
「わわわ悪くないわね」
「はぁ、薬切れた時点の苦しみは、俺よりルイズのが知ってる...
「つつつ使い魔なら、ご主人様だけ見るのが当然よ」
「……そうか。他の悩みは何だ?」
「祝詞が思い浮かばないの」
「祝詞って姫様の結婚式のか?」
コクリ
「どんな事しないと駄目なんだ?」
「あたし、詩作苦手で、さっぱり解んない」
「参ったな。俺も詩はさっぱりだ。ギーシュ辺りが得意じゃな...
「サイトが良いの」
「って言ってもな、せいぜい川柳位だぞ、俺は」
「勉強会で言ってた、俳句や短歌とは違うの?」
「俳句の五七五と変わらないんだが、俳句に入れる為の季語が...
「例えば?」
「ふむ。ちっぱいの、今日の主人も、胸は無し」
ドゲシッ!!
「ぐはっ」
「むむむ胸か?胸が良いんか?ちょっと、死後の世界行ってみ...
「あたたた……即興で詠むの、大変なんだけどなぁ」
「いいい今、絶対に馬鹿にした。ご主人様に喧嘩売ったでしょ...
「お、落ち着け。川柳ってのはな、日々感じた事を五七五に乗...
「絶対に馬鹿にしてる〜!この馬鹿犬〜!!」
「わ、解った解った。其では、コホン。桃髪の、主人の笑顔、...
「……本当?」
「本当だよ。にしても、やっぱり下手糞だな」
「そんな事ない」
「誉められたから、そう思っただけだって。やっぱり詩は苦手...
「でも、即興で出来てる」
「感じた事を表すだけだからな」
「感じた事をどうやって表現するの?」
「川柳の場合は、五七五にまとめる為に、余計なモノを一切排...
「んっと、始祖と神と土水火風に定型文で感謝を捧げた後に、...
「あぁ、自由は難しいなぁ。なら、自身で制限してみたらどう...
「例えば?」
「俺の国の隣の国には漢詩って、昔作らた詩が有るんだが、5...
「そんな事出来るの?」
「文字の形態が違うからね、単語に複数の意味が入るから、出...
「そんなの、ハルケギニア文字じゃ、無理じゃない」
「でも、似た発音とか、同音意義語は有るんだろ?其を組むと...
「聞き様によって変わるって事?」
「そゆこと」
「…更に難しくしてどうすんのよ」
「あ、そうだな」
才人は笑う
「先ずは、姫様の事を思い出してごらん。小さい頃からの友達...
「ん〜姫様ったら、小さい頃はあたしの人形を取り上げて、一...
「クックックッ、良い思い出じゃないか」
「何よ?其で、毎回の様に喧嘩してたんだから」
「なら、その思いをぶつければ良い」
「せっかくの結婚式で、そんな事出来る訳無いでしょ?」
「完全無欠なんざ、人間として面白くないだろ?だから、ユー...
「…其で良いの?」
「自由なんだろ?」
「そっか、そうよね」
『あぁ、やっぱり、サイトは頼りになるなぁ。サイトを使い魔...
「これで大丈夫か?」
「ヒントにはなったかな」
「そっか」
くしゃりと撫で、ルイズは気持ち良さそうにする
「他には有るか?」
「サイトは伝説の使い魔、ガンダールヴだよね?」
「何でか知らんが、そうなっちまったな」
「何で、あたしはゼロなのかな?」
才人の顔から、笑顔が消える
「誰がゼロだって?言った奴誰だ?」
ビクッ
ルイズは怯える
「だ、大丈夫、誰かから言われた訳じゃないから、そんな顔し...
『あれがサイトの怒りの片鱗。私に向けた訳じゃないのに、こ...
「そっか」
才人の顔に笑顔が戻り、ふぅとルイズは溜め息をつく
「あたしの使い魔は伝説の使い魔なのに、あたしは何時まで経...
「今迄の練習した魔法は何の系統だ?」
「四系統とコモンマジック」
「コモンマジックは最高の成功しただろ?」
「嘘」
「ルイズの目の前に、ガンダールヴが居るじゃないか」
はっと、才人を見上げる
「あ」
「ほら、伝説なんか呼び出せたルイズは、誰より凄い。自信持...
かあぁと紅くなる
才人はルイズを軽く抱き締め、撫でる
「4系統なんざ、使えなくたって良いだろ?」
「だって」
「俺が全部、蹴散らせば良いだけだ」
「うん」
「魔法が使えるだけの貴族なんざ屑だ。ルイズは誰より努力し...
「うん」
「その勉強は、きっと無駄にならない。俺が保証する。社会に...
「うん」
「ルイズはヴァリエールなんだろ?」
「そうよ、私は公爵家三女、ルイズ=フランソワーズ=ル=ブ...
「なら大丈夫。今は下を向かずに前を向け。自分の足で誇りを...
「サイトも一緒だよね?」
「あぁ」
「私の隣に立って良いのは、サイトだけだよ?」
「そりゃ、光栄だ。旦那が見つかる迄、立たせて貰うよ」
ズキン
「私の隣はサイトだけだよ?」
「あぁ、未来の旦那が来る迄な」
「違うの!!サイトだけなの!!何で解ってくれないの?この、馬...
「…ルイズが一人前になる迄は居るよ」
「やっぱり、出て行くんだ?あたしが大丈夫と思ったら、出て...
「サイトが出て行くなら、あたしは一人前になんかならない。...
「…ルイズ」
「あたしをこんな気持ちにさせといて、出て行くなんて許さな...
こつん
抱擁を解かれ、ルイズのおでこに触れるだけの拳が入る
「ルイズは、家族から引き離されても、平気なんだな?」
「あたしより、家族を取るの?」
「そういう事じゃない」
ルイズは涙を一杯に溜め
「出てくの?出て行っちゃうの?なら、今直ぐ出てけ〜〜〜〜...
「…イエス。ミスヴァリエール」
才人は必要最低限の着替えだけ持ち、ジャケットを着、村雨と...
パタン
ルイズは放心した状態で、扉を見つめる
「…………やっちゃった。あたし、やっちゃった。ミスヴァリエー...
「終わりだもん。ミスヴァリエールって呼ばれたら、もう終わ...
「あたし、本当にゼロになっちゃった。もう、戻れない?謝れ...
「……サイトサイトサイト、うぅぅぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ルイズの苦鳴が、寮に木霊した
「び、びっくりした。な、何よ?ルイズの絶叫?」
隣の部屋のキュルケがびくつく
「ダーリンが無理矢理したのかしら?ちょっと確かめにっと」
キュルケは部屋を出、ルイズの部屋を覗く
「あれ?独りじゃない。でも、只事じゃ無いわね。ルイズ、入...
キィ
「うわぁぁぁぁ!!」
「ちょっと、どうしたのよ?」
「あぁぁぁぁ!!」
「泣いてばっかりいちゃ、解んないじゃない」
「ああぁぁぁぁ!!」
「もう、本当にどうしたのよ?ダーリンは?」
ビクン
「ザイドザイドザイド」
「喧嘩でもしたの?」
「ザイドが、出で行っぢゃっだ。あだじが悪いの〜」
「ああ、もう。先ずは落ち着きなさい」
キュルケが抱き締めようとするが、ルイズに払われる
「ザイドじゃないど嫌」
「全く。なら、そのまま落ち着きなさい。周りに迷惑だから、...
「ヒッグヒッグ、ザイドザイド〜」
結局、ルイズは一晩中泣き続け、キュルケは待ってる途中で、...
* * *
「ふぁ、いつの間にか寝てたわ」
「サイトヒック、サイトサイト〜ヒックヒック」
「おはようルイズ。もしかして、一晩中泣いてたの?」
こくり
「凄い体力ね」
キュルケは呆れる
「そんなになる位なら、謝れば良いじゃない」
「言われたの」
「何を?」
「ミスヴァリエールって、言われたの」
「あちゃあ。ダーリンに言われた中じゃ、最悪ね」
こくり
「ダーリンがそんな事言うなんて余っ程よ。何言ったのよ?」
「ヒック、奥さんや子供が居ても家族なんかに渡さない、サイ...
「……あんた、最低ね」
「あたしが悪いの」
「本当にあんたが全面的に悪いわね。見付けて謝りなさい」
「サイトが何処に行ったか解らない」
「ダーリン生活力有るからなぁ、学院出てたら、お手上げだわ...
「本当?」
「本当よ。あんたの使い魔は、ハルケギニアで最高の使い魔な...
「…とっても優しい」
「良く出来ました。あ、でも、学院に居てもヤバいかな?」
「…何で?」
「ほら、ダーリン欲しがってるの、あんただけじゃ無いじゃな...
「さぁ、泥棒猫に取られる前に、反省しきれるかしら、ヴァリ...
キュルケは手を振り部屋を出る
パタン
「………あたしの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿」
ルイズは一晩中泣き続けた、疲労と睡魔に負け、眠りについた
机の上の祈祷書が窓からの風でぱらりと捲れ、文字が浮き立っ...
* * *
ページ名: