ゼロの使い魔保管庫
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
開始行:
495 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
才人がもし、スレイプニィルの舞踏会の全容を知っていたら。
そこれはそういう「もしも」のお話です。
舞踏会の会場は、沢山の人でごったがえしていた。
「これ、全部誰かが化けてんのか…」
はー、と感心しながら、才人は会場の中に入ろうとする。
「これこれ」
すると、見知らぬ美女に呼び止められた。
「使い魔だとて例外はないぞ?君も鏡で変装したまえ」
…なんかずいぶんとじじむさい喋り方をする人だな?
「ほら、わしじゃよ。オスマンじゃ」
言って美女はうっふんと右手を頭の後ろに、左手を腰に、セク...
…中身知ってると激しくキモいんですけど…。
呆れた瞳で見つめる才人を、オスマンはぐいぐいと天幕の中に...
その中には、『真実の鏡』があった。
「さあ、思い浮かべるがよい。己の理想の姿を…」
理想の姿…。
俺の、理想…。
色々思い浮かべてみるが、どうにも考えがまとまらない。
考えがまとまる間もなく、才人の体が光に包まれる。
「ん?どういうことじゃ?」
恐る恐る目を開けると…そこには自分がいた。
「あれ?どゆことっすか?」
「つまりアレじゃな、キミもギーシュと同じナルシストという...
オスマンの突っ込みに思わず反論する才人。
「んなわけないでしょ!ガンダールヴの力かなんかですよきっと」
「ふむ、ではそういうことにしておこうかの」
才人は結局才人のまま、舞踏会に参加することになった。
その背中を見守りながら、オールド・オスマンは呟く。
「最強の力、か。なるほどそう言うわけか。なかなか面白いも...
ジジイ言葉の美女は余り様になっていなかったが。
496 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
才人が会場を見渡すと…探している相手は、すぐに見つかった。
桃色の髪の、長身の貴婦人が、壁の花となって手持ち無沙汰に...
才人はその目の前まで行くと、その貴婦人に語りかけた。
「お前なあ、分かりやすすぎ」
才人が語りかけたのは、カトレア。
ルイズの敬愛する、ヴァリエール家の次女。
当のカトレア…ルイズは、目の前の才人に現れた才人に、一瞬、...
「あら、どちらかと勘違いされていらっしゃるのでは?残念です...
「その待ち人だよ」
言って才人は、カトレアに化けたルイズを抱きしめる。
「え…?サイト、なの…?」
抱きしめられながら、半信半疑でルイズは問う。
「そうだよ。なんでか知らねえけど、鏡の魔法が効かなくてさ」
そう言ってルイズをいったん離し、その瞳をじっと見つめる。
「見つけたぞ、約束どおり」
その言葉に、ルイズの頬が赤く染まる。
そして…彼女の頬を、一筋の涙が伝った。
「え、なんでっ?」
泣くようなことしてないぞ俺、とか思いながら、慌てて才人は...
「ちょ、ちょっと外の空気吸ってこよう。な?」
そして、二人はバルコニーに出る。
497 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
バルコニーに出ると、才人は今一度ルイズに問うた。
「な、なんで泣くんだよ…」
ルイズは、未だ泣いていた。
声もあげず、ただただ涙を流す。
「う、嬉しくっ、って…」
サイトが私を見つけてくれた。私の姿じゃないのに、見つけて...
それが嬉しくて、ただルイズは泣いた。
「…だって、カトレアさん知ってるの、俺とお前くらいじゃない...
才人の空気読んでない突っ込みが、ルイズのキモチを一気に冷...
たしかにちいねえさま知ってるの私とサイトぐらいだけど!
「アンタわー…」
でも、見つけてくれたことには変わりない。
ってことは、あの夜の続きをするってことで…。
「で、さ…」
才人が口を開く。
「あ、あの約束の事なんだけど…」
才人は照れたようにそっぽを向き、もじもじしている。
あ、なんかカワイイ。
「…うん、わかってる」
不思議と心は落ち着いていた。
…なんでだろう?あのウエストウッドの夜みたいな、不安と期待...
今、ルイズの心の中は、ただただ温かいもので一杯だった。
「部屋で、待ってる。ずっと、待ってるからね」
そう言って、ルイズは、カトレアの姿のまま、才人とキスをし...
498 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
いそいそと部屋に向かう途中、突然ルイズは元の姿に戻った。
なんで?舞踏会はまだ…。
不思議に思っていると、ルイズの目の前に、巨大な影が舞い降...
ガーゴイルだ。
「ちょうどいいわ。アナタ一人ね」
そのガーゴイルの肩に、かつてウエストウッドの村で見た、も...
「どうしてアンタがこんなとこにっ!?」
ルイズの問いかけに、ミョズニトニルンは酷薄な笑みを浮かべ...
「私はね。私の主の望む場所にはどこでも赴くわ。それが例え...
そして私の主はアナタの力を欲している…そういうこと」
ミョズニトニルンの言葉に反応するように、ガーゴイルが大き...
才人は、突然の奇襲に驚いていた。
襲撃者は目深にフードをかぶっており、その正体は分からない。
しかし、その目的だけははっきりしていた。
才人の抹殺。
容赦ない魔法の攻撃が、才人を否応なく戦闘態勢にさせる。
「一体、なんなんだよ!」
理不尽な攻撃に、才人は怒気とともにデルフリンガーを抜き放...
そして、ガンダールヴの印が…金色の光を放ち、その光が才人の...
「な、なんだこれ!?いつもと違うぞっ!?」
驚きの声を上げる才人に、デルフリンガーが嬉しそうに語り掛...
「ついに、繋がったか!いよいよ『虚無の使い魔』のお目覚め...
499 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
二人の視界に、変化が訪れていた。
ルイズの左目には、才人に襲い掛かるフードの襲撃者の姿が。
才人の左目には、ルイズに襲い掛かるガーゴイルと、ミョズニ...
そして。
サイトっ!大丈夫!?
ルイズ!?なんで襲われてんだっ!?
心の声が、お互いの心に響いた。
「ついに『使い魔』として覚醒したってこったよ!お前らは今...
見せてやれ、本当の絆の力ってやつを!」
デルフリンガーの声が、お互いの心に響く。
そうか。これが。
本当の、使い魔と主の絆…。
二人はお互いの位置を即座に理解し、そして伝え合う。
ルイズ、そいつをひきつけながらこっちに来れるか?俺は目の...
できるだけやってみる!サイトこそ、気をつけてね?
誰に向かって言ってやがる、俺は最強の盾、ガンダールヴだぜ?
…うん。信じてる。
心の中で語り合い、二人は目の前の敵に対峙する。
「さて、さっさと決着つけさせてもらうぜ。
…ルイズが待ってんだ!」
才人はそう叫んで、大地を蹴った。
人間業とは思えない加速で大地を駆け、呪文を詠唱していた襲...
襲撃者はそのスピードに驚愕していた。
…速すぎる!詠唱が間に合わない…!
今までのガンダールヴの速度よりも、ずば抜けて速いスピード...
「…悪ぃ、急ぎなんでね!」
そして、デルフリンガーではなく、空いた左の拳で、襲撃者の...
襲撃者の身体はその一撃に軽く浮き上がり、その身体に不釣合...
そして、そのフードがばさりとはだけ、その顔を露にする。
「タバサ!?」
気を失っているその襲撃者の正体は、タバサだった。
500 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
どうしてタバサが!?
気にしてる場合じゃねえ!前見ろ前っ!
「きゃぁっ!」
才人の助言に、自分を捕まえようと振り下ろされたガーゴイル...
「おのれ、ちょこまかと…!」
シェフィールドは違和感を覚えていた。
今目の前にいる虚無の担い手の動きが、先ほどまでとあからさ...
先ほどまでのルイズの動きは、どう見ても普通のメイジ以下の...
それが、ガーゴイルの最初の一撃を避けた辺りから、動きが変...
それは、才人の戦闘経験を吸収し、単純なガーゴイルの動き程...
お互いの知覚・思考を共有できる使い魔と主ならではの、戦闘...
そして、ルイズは巧みに、シェフィールドを才人の方へ誘導し...
「くっ、何故だ、なぜ捉えられん!」
焦りを見せるシェフィールドに、ルイズは余裕を見せる。
「アンタが下手糞なんでしょう!ほら、私を捕まえるんじゃな...
その言葉はシェフィールドの逆鱗に触れた。
「おのれ!愚弄するかぁっ!」
ガーゴイルの拳が、先ほどに倍する速度で振り下ろされる。
生かしておくつもりでなければ、こんな小娘など!
確かにその速度の拳は、ルイズに避けられるものではない。
しかしルイズは、その拳を避ける動きすら見せない。
ドスっ!
鈍い打撃音をたて、ガーゴイルの拳が止まる。
ルイズの目の前の、才人の構えたデルフリンガーに受け止めら...
にっこり笑ってルイズは才人に語りかける。
「遅刻よサイト」
その言葉に、才人も笑顔で応えた。
「悪ぃ、遅くなった」
501 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
シェフィールドはガーゴイルの拳にさらに力を込めさせるが、...
それどころか、才人がデルフリンガーを振り払うと、巨大な拳...
「くっ…ガンダールヴ!刺客はやられたか!」
拳を引き抜き、シェフィールドはガーゴイルの体勢を整えさせ...
その隙に二人は心の中で作戦を練っていた。
サイト。ディスペル・マジックを使うわ。
了解。範囲はどんなもんだ?
そうね。この辺を飛び回ってるガーゴイルをまとめて落とせる...
広いな。大仕事だ…。
守ってね?
分かってる。
シェフィールドの目に、詠唱に入った虚無の担い手の姿が映る。
「させるかぁっ!」
シェフィールドの指示に、上空を舞っていた小型のガーゴイル...
「やらせねえよ!」
才人はなんと、詠唱中のルイズを抱え、ガーゴイルの群れから...
そして、駆け抜けた方向には…シェフィールドの載る、ガーゴイ...
才人はルイズを左腕に抱えたまま、思い切り地面を蹴ると、シ...
あっという間に、シェフィールドの乗る肩の上へ、才人は並ぶ。
「なっ…!?」
予想外の才人のスピードに、シェフィールドは全く着いていけ...
ここまで接近してしまえば、近接戦闘能力のないミョズニトニ...
「悪いな。伊達に最強の使い魔じゃないんでね」
言って才人は、デルフリンガーの柄で、シェフィールドの鳩尾...
シェフィールドは気を失い、ガーゴイルのコントロールが外れ...
そして、次の瞬間…ルイズの詠唱が、完成した。
ディスペル・マジックによって力を失ったガーゴイルは次々と...
502 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
「甘ぇなあ相棒は」
気絶させただけのシェフィールドを見下ろす才人の右腕の中で...
「言っただろ?俺はもう、誰も戦争の道具になんかさせやしな...
…こいつも、主に使われてるだけだ。なら、殺す意味なんかね...
言ってデルフリンガーを鞘に戻す。
すぐ隣では、ルイズが自分を見上げていた。
ルイズの心の声が聞こえる。
…アンタの言葉、嘘じゃなかったんだ。
二人の心は今や、完全に繋がっていた。
お互いの考えが分かる。何を感じ、何を考えているかが、まる...
それが使い魔と主の、絆だった。
…そっか。ルイズは俺の幸せのことなんて、気にしてたんだな。
そして今、ルイズには才人の幸せが何なのか、はっきりと分か...
そして今、才人にはルイズの幸せが何なのか、完全に理解でき...
それは、結論として全く同じものだった。
…ずっと。
…一緒に、いよう。
二人を、死が別つまで。
二人の視線が絡み合い…二人は唇を重ねた。
それは、契約の証。二人が永遠に共にあることへの、誓いの証。
何よりも堅く、何よりも確かな、永遠の絆。
「…愛してる」
静かに輝く二つの月が、祝福するように二人の誓いの言葉を照...
終了行:
495 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
才人がもし、スレイプニィルの舞踏会の全容を知っていたら。
そこれはそういう「もしも」のお話です。
舞踏会の会場は、沢山の人でごったがえしていた。
「これ、全部誰かが化けてんのか…」
はー、と感心しながら、才人は会場の中に入ろうとする。
「これこれ」
すると、見知らぬ美女に呼び止められた。
「使い魔だとて例外はないぞ?君も鏡で変装したまえ」
…なんかずいぶんとじじむさい喋り方をする人だな?
「ほら、わしじゃよ。オスマンじゃ」
言って美女はうっふんと右手を頭の後ろに、左手を腰に、セク...
…中身知ってると激しくキモいんですけど…。
呆れた瞳で見つめる才人を、オスマンはぐいぐいと天幕の中に...
その中には、『真実の鏡』があった。
「さあ、思い浮かべるがよい。己の理想の姿を…」
理想の姿…。
俺の、理想…。
色々思い浮かべてみるが、どうにも考えがまとまらない。
考えがまとまる間もなく、才人の体が光に包まれる。
「ん?どういうことじゃ?」
恐る恐る目を開けると…そこには自分がいた。
「あれ?どゆことっすか?」
「つまりアレじゃな、キミもギーシュと同じナルシストという...
オスマンの突っ込みに思わず反論する才人。
「んなわけないでしょ!ガンダールヴの力かなんかですよきっと」
「ふむ、ではそういうことにしておこうかの」
才人は結局才人のまま、舞踏会に参加することになった。
その背中を見守りながら、オールド・オスマンは呟く。
「最強の力、か。なるほどそう言うわけか。なかなか面白いも...
ジジイ言葉の美女は余り様になっていなかったが。
496 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
才人が会場を見渡すと…探している相手は、すぐに見つかった。
桃色の髪の、長身の貴婦人が、壁の花となって手持ち無沙汰に...
才人はその目の前まで行くと、その貴婦人に語りかけた。
「お前なあ、分かりやすすぎ」
才人が語りかけたのは、カトレア。
ルイズの敬愛する、ヴァリエール家の次女。
当のカトレア…ルイズは、目の前の才人に現れた才人に、一瞬、...
「あら、どちらかと勘違いされていらっしゃるのでは?残念です...
「その待ち人だよ」
言って才人は、カトレアに化けたルイズを抱きしめる。
「え…?サイト、なの…?」
抱きしめられながら、半信半疑でルイズは問う。
「そうだよ。なんでか知らねえけど、鏡の魔法が効かなくてさ」
そう言ってルイズをいったん離し、その瞳をじっと見つめる。
「見つけたぞ、約束どおり」
その言葉に、ルイズの頬が赤く染まる。
そして…彼女の頬を、一筋の涙が伝った。
「え、なんでっ?」
泣くようなことしてないぞ俺、とか思いながら、慌てて才人は...
「ちょ、ちょっと外の空気吸ってこよう。な?」
そして、二人はバルコニーに出る。
497 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
バルコニーに出ると、才人は今一度ルイズに問うた。
「な、なんで泣くんだよ…」
ルイズは、未だ泣いていた。
声もあげず、ただただ涙を流す。
「う、嬉しくっ、って…」
サイトが私を見つけてくれた。私の姿じゃないのに、見つけて...
それが嬉しくて、ただルイズは泣いた。
「…だって、カトレアさん知ってるの、俺とお前くらいじゃない...
才人の空気読んでない突っ込みが、ルイズのキモチを一気に冷...
たしかにちいねえさま知ってるの私とサイトぐらいだけど!
「アンタわー…」
でも、見つけてくれたことには変わりない。
ってことは、あの夜の続きをするってことで…。
「で、さ…」
才人が口を開く。
「あ、あの約束の事なんだけど…」
才人は照れたようにそっぽを向き、もじもじしている。
あ、なんかカワイイ。
「…うん、わかってる」
不思議と心は落ち着いていた。
…なんでだろう?あのウエストウッドの夜みたいな、不安と期待...
今、ルイズの心の中は、ただただ温かいもので一杯だった。
「部屋で、待ってる。ずっと、待ってるからね」
そう言って、ルイズは、カトレアの姿のまま、才人とキスをし...
498 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
いそいそと部屋に向かう途中、突然ルイズは元の姿に戻った。
なんで?舞踏会はまだ…。
不思議に思っていると、ルイズの目の前に、巨大な影が舞い降...
ガーゴイルだ。
「ちょうどいいわ。アナタ一人ね」
そのガーゴイルの肩に、かつてウエストウッドの村で見た、も...
「どうしてアンタがこんなとこにっ!?」
ルイズの問いかけに、ミョズニトニルンは酷薄な笑みを浮かべ...
「私はね。私の主の望む場所にはどこでも赴くわ。それが例え...
そして私の主はアナタの力を欲している…そういうこと」
ミョズニトニルンの言葉に反応するように、ガーゴイルが大き...
才人は、突然の奇襲に驚いていた。
襲撃者は目深にフードをかぶっており、その正体は分からない。
しかし、その目的だけははっきりしていた。
才人の抹殺。
容赦ない魔法の攻撃が、才人を否応なく戦闘態勢にさせる。
「一体、なんなんだよ!」
理不尽な攻撃に、才人は怒気とともにデルフリンガーを抜き放...
そして、ガンダールヴの印が…金色の光を放ち、その光が才人の...
「な、なんだこれ!?いつもと違うぞっ!?」
驚きの声を上げる才人に、デルフリンガーが嬉しそうに語り掛...
「ついに、繋がったか!いよいよ『虚無の使い魔』のお目覚め...
499 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
二人の視界に、変化が訪れていた。
ルイズの左目には、才人に襲い掛かるフードの襲撃者の姿が。
才人の左目には、ルイズに襲い掛かるガーゴイルと、ミョズニ...
そして。
サイトっ!大丈夫!?
ルイズ!?なんで襲われてんだっ!?
心の声が、お互いの心に響いた。
「ついに『使い魔』として覚醒したってこったよ!お前らは今...
見せてやれ、本当の絆の力ってやつを!」
デルフリンガーの声が、お互いの心に響く。
そうか。これが。
本当の、使い魔と主の絆…。
二人はお互いの位置を即座に理解し、そして伝え合う。
ルイズ、そいつをひきつけながらこっちに来れるか?俺は目の...
できるだけやってみる!サイトこそ、気をつけてね?
誰に向かって言ってやがる、俺は最強の盾、ガンダールヴだぜ?
…うん。信じてる。
心の中で語り合い、二人は目の前の敵に対峙する。
「さて、さっさと決着つけさせてもらうぜ。
…ルイズが待ってんだ!」
才人はそう叫んで、大地を蹴った。
人間業とは思えない加速で大地を駆け、呪文を詠唱していた襲...
襲撃者はそのスピードに驚愕していた。
…速すぎる!詠唱が間に合わない…!
今までのガンダールヴの速度よりも、ずば抜けて速いスピード...
「…悪ぃ、急ぎなんでね!」
そして、デルフリンガーではなく、空いた左の拳で、襲撃者の...
襲撃者の身体はその一撃に軽く浮き上がり、その身体に不釣合...
そして、そのフードがばさりとはだけ、その顔を露にする。
「タバサ!?」
気を失っているその襲撃者の正体は、タバサだった。
500 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
どうしてタバサが!?
気にしてる場合じゃねえ!前見ろ前っ!
「きゃぁっ!」
才人の助言に、自分を捕まえようと振り下ろされたガーゴイル...
「おのれ、ちょこまかと…!」
シェフィールドは違和感を覚えていた。
今目の前にいる虚無の担い手の動きが、先ほどまでとあからさ...
先ほどまでのルイズの動きは、どう見ても普通のメイジ以下の...
それが、ガーゴイルの最初の一撃を避けた辺りから、動きが変...
それは、才人の戦闘経験を吸収し、単純なガーゴイルの動き程...
お互いの知覚・思考を共有できる使い魔と主ならではの、戦闘...
そして、ルイズは巧みに、シェフィールドを才人の方へ誘導し...
「くっ、何故だ、なぜ捉えられん!」
焦りを見せるシェフィールドに、ルイズは余裕を見せる。
「アンタが下手糞なんでしょう!ほら、私を捕まえるんじゃな...
その言葉はシェフィールドの逆鱗に触れた。
「おのれ!愚弄するかぁっ!」
ガーゴイルの拳が、先ほどに倍する速度で振り下ろされる。
生かしておくつもりでなければ、こんな小娘など!
確かにその速度の拳は、ルイズに避けられるものではない。
しかしルイズは、その拳を避ける動きすら見せない。
ドスっ!
鈍い打撃音をたて、ガーゴイルの拳が止まる。
ルイズの目の前の、才人の構えたデルフリンガーに受け止めら...
にっこり笑ってルイズは才人に語りかける。
「遅刻よサイト」
その言葉に、才人も笑顔で応えた。
「悪ぃ、遅くなった」
501 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
シェフィールドはガーゴイルの拳にさらに力を込めさせるが、...
それどころか、才人がデルフリンガーを振り払うと、巨大な拳...
「くっ…ガンダールヴ!刺客はやられたか!」
拳を引き抜き、シェフィールドはガーゴイルの体勢を整えさせ...
その隙に二人は心の中で作戦を練っていた。
サイト。ディスペル・マジックを使うわ。
了解。範囲はどんなもんだ?
そうね。この辺を飛び回ってるガーゴイルをまとめて落とせる...
広いな。大仕事だ…。
守ってね?
分かってる。
シェフィールドの目に、詠唱に入った虚無の担い手の姿が映る。
「させるかぁっ!」
シェフィールドの指示に、上空を舞っていた小型のガーゴイル...
「やらせねえよ!」
才人はなんと、詠唱中のルイズを抱え、ガーゴイルの群れから...
そして、駆け抜けた方向には…シェフィールドの載る、ガーゴイ...
才人はルイズを左腕に抱えたまま、思い切り地面を蹴ると、シ...
あっという間に、シェフィールドの乗る肩の上へ、才人は並ぶ。
「なっ…!?」
予想外の才人のスピードに、シェフィールドは全く着いていけ...
ここまで接近してしまえば、近接戦闘能力のないミョズニトニ...
「悪いな。伊達に最強の使い魔じゃないんでね」
言って才人は、デルフリンガーの柄で、シェフィールドの鳩尾...
シェフィールドは気を失い、ガーゴイルのコントロールが外れ...
そして、次の瞬間…ルイズの詠唱が、完成した。
ディスペル・マジックによって力を失ったガーゴイルは次々と...
502 名前:双月の舞踏会〜if[sage ] 投稿日:2006/11/17(金) ...
「甘ぇなあ相棒は」
気絶させただけのシェフィールドを見下ろす才人の右腕の中で...
「言っただろ?俺はもう、誰も戦争の道具になんかさせやしな...
…こいつも、主に使われてるだけだ。なら、殺す意味なんかね...
言ってデルフリンガーを鞘に戻す。
すぐ隣では、ルイズが自分を見上げていた。
ルイズの心の声が聞こえる。
…アンタの言葉、嘘じゃなかったんだ。
二人の心は今や、完全に繋がっていた。
お互いの考えが分かる。何を感じ、何を考えているかが、まる...
それが使い魔と主の、絆だった。
…そっか。ルイズは俺の幸せのことなんて、気にしてたんだな。
そして今、ルイズには才人の幸せが何なのか、はっきりと分か...
そして今、才人にはルイズの幸せが何なのか、完全に理解でき...
それは、結論として全く同じものだった。
…ずっと。
…一緒に、いよう。
二人を、死が別つまで。
二人の視線が絡み合い…二人は唇を重ねた。
それは、契約の証。二人が永遠に共にあることへの、誓いの証。
何よりも堅く、何よりも確かな、永遠の絆。
「…愛してる」
静かに輝く二つの月が、祝福するように二人の誓いの言葉を照...
ページ名: