ゼロの使い魔保管庫
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487 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
その日、トリステイン魔法学院の正門に、一騎の騎馬が現れた。
戦装束に飾られた、装甲を施された栗毛の牝馬。
その上には、同じく戦装束の、年の頃なら五十過ぎ、白髪交じ...
正門を守る二人の門衛は、堂々と正門を通ろうとするその男を...
警備用の槍を交差させ、馬を止めさせる。
「失礼。貴族の方とお見受けするが、姓名と用件を名乗られよ」
馬上の男性は口元で笑みを形作ると、門衛に名を告げた。
門衛は慌てて槍を引き、馬を通す。
「さて。通してもらって言うのもなんだが、用件は尋ねなくて...
門の内側に入り、その男性は門衛に問う。
しかし、彼ほどの貴族に、名以外に用件など、と門衛が躊躇し...
「私の用件はな。
娘を力づくで取り戻しにきたのだよ」
そう言って馬の腹をけり、学院の本棟めがけて馬を走らせた。
走り去った騎影を思わず見送りかけた門衛は、慌てて風の魔法...
ちょうどその時、ルイズは授業の合間の休み時間で、才人とと...
今度の休みの予定とか、明日の昼はなんにしようとか、いつも...
「ミス・ヴァリエール!大変です!」
水精霊騎士団の遠駆けの予定を無理矢理自分との王都での観劇...
「どうしたんですか?コルベール先生」
コルベールは二人の傍らまで来ると、ぜいぜいと息を整えた。...
「あ、あなたのお父様が、あなたを迎えに来たらしいです!」
え、お父様がなんで、とルイズは呟く。
今まで父がそんな強硬手段に出る事はなかった。
まさか、サイトとのカンケイに気づいたとかっ!?
だとしたら恐ろしい事になる、かも。
一方才人はといえば、そういやルイズの親父さん結構怖い人だ...
しかし、コルベールの伝令はどうやら手遅れだったらしい。
三人の前に、一騎の騎馬がやってきて、嘶きと共に、足を止め...
「やあルイズ。迎えに来たぞ」
その馬上にいるのは、ラ・ヴァリエール公爵、その人だった。
「ど、どうして…?」
ルイズは思わず後じさり、そう尋ねる。
ラ・ヴァリエール公爵は、そんなルイズに応える。
「そろそろお前にも身を固めてもらおうと思ってな」
身を固める。つまりは結婚する。
しかし、今のルイズには才人という相手がいるわけで。
488 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
「そ、そんな…だって、私…」
思わず言いよどむルイズの前に、才人が立った。
…サイト?
「勝手すぎやしませんか、あんた」
そして、鋭い視線で公爵を睨む。
公爵はほう、と才人を一瞥すると、馬からひらり、と降り立っ...
そしてなんと、才人に向かって礼をしてみせた。
「いつぞやは無礼をしたな。
貴君の噂、私の耳にも届いておる。
シュヴァリエ・サイト。あのアルビオンの戦で、単騎よく七...
てっきり『無礼者!』とか罵られると覚悟していた才人だったが...
「い、いや、そんな」
などと思わず恐縮してしまう。
だが公爵のそんな態度は、そこまでだった。
公爵は腰に下げた杖を引き抜くと、才人めがけて突き出した。...
「抜け、シュヴァリエ」
「…え?でも」
それでもさすがに戦闘経験を積んでいるだけあり、目の前の相...
そんな公爵と才人の間に、コルベールが割って入る。
「…公爵、おやめください」
乱入してきたコルベールの顔を見て、公爵は懐かしそうな顔を...
「ほう、炎蛇か。久しいな。教練所以来か?」
「…はい。今はここの教師をしております」
「なるほどな。生徒に手は出させん、というわけか。
なに、心配するな。手加減はする」
「…いざとなったら、私が加勢しますよ?」
「好きにしろ。お前如きに後れを取るほどなまってはおらん」
言葉を交わす二人の様子から、二人が旧知の間柄であることが...
コルベールは公爵の説得が無理だと悟ると、後ろに控えるルイ...
才人は目の前の公爵が本気だと悟ると、デルフリンガーを抜き...
「ど、どうして父さまが…。
それより、止めないと!ねえ、先生、サイトを止めて!父さま...
ルイズは、父の身を案じ、コルベールにそう懇願する。
しかし、コルベールの回答は、ルイズの予想したものと違って...
489 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
「心配するべきはサイト君の方ですよ、ミス・ヴァリエール」
「…え?」
「あなたのお父上の経歴を、たぶん貴方はご存知ないのでしょ...
彼は、トリステインの全ての特殊部隊の、教練所の長だった...
「……え…?」
「…私も、彼の『生徒』の一人です。貴方の元婚約者の『閃光の...
「…な…」
「あなたのおじいさまは、軍部でのしあがることで、ヴァリエ...
実際、貴方のおじいさまの代より前は…失礼ですが、ラ・ヴァ...
そして、軍部の上に立つには、一代では遠すぎた。
その野望を叶えるために、貴方のおじいさまの作り上げた最...
驚愕に見開かれたルイズの瞳が、父を捉える。
公爵は、右手に杖を、左手に大きめの短剣を逆手に構えている。
その短剣は峰の部分が櫛状になっている。俗に言う、「ソード...
その父を、不意に風の衣が覆った。
…え?いつの間にルーンを…?
戦闘に関わるメイジの基本中の基本。見えないように詠唱を行...
直接先頭に関わる事のない、ルイズにはまるで無詠唱で魔法を...
「厄介だなありゃあ。相当密度の濃い『風の衣』だぜ」
才人にしか聞こえない声で、デルフリンガーは才人に忠告する。
「どう厄介なんだ?」
才人もまた、構えを崩さず、デルフリンガーにだけ聞こえるよ...
「あの親父の輪郭が軽く歪んでるだろ?ありゃ、周囲に渦巻いて...
あの状態じゃ、どんだけ勢いの乗った攻撃も逸らされる。そ...
なるほど確かに厄介だ。どうしたものかと才人が思案している...
「でもテはあるぜ。あの親父、短剣にまで風の衣をまとわせて...
それが弱点だ。あの短剣を狙え。そしたらおれっちが『風の...
そして、風の衣が剥げた瞬間に攻撃しろ、ということか。
才人は、その作戦実行のチャンスをうかがう。
それは、すぐにやってきた。
「こないのかね?ならばこちらから…。
いかせて貰うっ!」
五十代とは思えない勢いで、公爵は踏み込んでくる。
魔法の持続中は他の魔法を操れないので、大方の予想通り、風...
待ってましたとばかりに、才人はその短剣をデルフリンガーで...
一瞬にして、公爵を覆っていた風の衣は剥ぎ取られた。
「なんだとっ!?まさか、吸魔の剣かっ!」
ただの一合で相手の武器を悟った公爵は、慌てて飛び退る。
しかしそれを見逃す才人ではない。
一気に間合いをつめ、詠唱する隙を与えない。
アニエス曰く。『メイジに対する際、大事なのは隙を与えない...
一気に下段から、デルフリンガーを振りぬく。
490 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
しかしデルフリンガーは、公爵の短剣の峰で受け止められた。
その瞬間、才人の腕に違和感が走る。石の様にデルフリンガー...
ソードブレイカー。それは、相手の剣の動きを止め、動きを封...
剣に対抗するべく作られた、防御装置であった。
公爵はそのまま、詠唱を開始する。
しかし、才人のとった行動は、公爵の予想を超えていた。
才人はデルフリンガーから手を離すと、履いていたブーツから...
アニエス曰く。『常に武器は2つ以上携帯しておけ。不意はう...
「…勝負、ありましたね」
才人は、そう言って、勝負の決着を宣言する。
公爵はまいった、と言わんばかりに、手に持った杖と短剣を放...
「…懐の、予備の杖も捨ててください」
才人の言葉に、驚いたように公爵の目が見開かれ、そして笑顔...
「なるほど、七万を止めたのは伊達ではない、というわけか!」
言われたとおりに、懐から予備の杖を取り出し、放り出す。
「すごい…公爵に勝っちゃいましたよ、サイト君…」
コルベールは感心したようにそう言うが、ルイズには何がすご...
そして、完全に無力化された公爵は、いきなりぐるん!と才人の...
突き出された短剣が、公爵の喉下に当たる。
「ちょ、危ない!」
「気に入った!気に入ったぞ!」
そして、再びぐるん!と振り返ると、今度はルイズに向かって、...
「ルイズ!お前の結婚相手がたった今、決まったぞ!
このシュヴァリエ・サイトと結婚しなさい!」
その言葉に。
「「えええええええええええ!?」」
度肝を抜かれたのは、当事者二人であった。
518 :せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2006/12/24(日) 12:38:23 ...
じゃあせんたいサンタからみんなにクリスマスプレゼントだ!
*ちなみにこのSSはせんたいさんの続きもののパラレルにあ...
タバサとかアンさまとかアニエスは一切出てきません(ぁ
投下いくじぇー
520 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
あれよあれよという間に、ラ・ヴァリエール公爵は休学届けを...
二人は公爵のあとからやってきた四頭立ての馬車に、お付の一...
「お前たち二人は、この馬車で追って来なさい。
では、領地で待っておるぞ、婿殿!」
すでに馬車に積み込まれた才人に向かって笑いかけ、馬の腹を...
才人はまだ呆気にとられたようにぽかんとしている。
あまりに矢継ぎ早に繰り出される異常事態に、頭の処理速度が...
一方ルイズはといえば、真っ赤な顔で才人の対面の椅子に座り...
…どどどどどどどどうしよう。
正式に結婚相手に決まっちゃった…!!
貴族の子女のルイズにとって家長である父の決定は絶対である...
目の前でアホ面を晒している犬をちらりと盗み見る。
呆然としているその表情は歓喜なのか絶望なのか、さっぱり掴...
才人は、どう思ってるんだろ。
元の世界に帰らなきゃいけないのに、いいんだろうか?
もう一度才人の顔を見る。
「あ」
「え」
モロに視線がぶつかった。
二人でほぼ同時に真っ赤になり、慌てて視線を逸らす。
「な、なんか用?」
思わずルイズはそう口走ってしまう。
言いたい事は他にあるのに。
「い、いや別に」
才人は窓の外の景色を眺めるように目を逸らす。
才人も、ルイズに言いたい事があった。
「あ、あのさ」
「あのね、そのね?」
言葉が重なり、二人はまた同時に口をつぐむ。
「る、ルイズから」
「い、犬から先に」
またしても言葉が重なる。
要らない所で以心伝心な二人である。
またしても重なった言葉に、なかなか言いたい事がいえない。
ああもう、とルイズが先に口火を切った。
才人のほうは見ずに、頬杖を突いて、窓の外を見ながら言う。
「サイト、なんで断らなかったのよ」
思わず口走ったその言葉は、言いたい事と微妙に違った。
『元の世界に帰りたいのに、迷惑じゃない?』そう言いたかった。
ああもう、なんで私ってこうなの!
軽く自己嫌悪に陥るルイズ。
そして、才人から返ってきた言葉が、そんなルイズを打ちのめ...
521 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「う、嬉しかったから、かな」
ぼきゅん!
ルイズの頭の中の演算装置が、火を噴いて壊れた。
「うううううううう嬉しいってどういうことよ!」
思いっきり不自然に真横を向いてルイズは聞き返す。
窓ガラスに映るその顔は、熟したトマトより赤かった。
わーわーわーわーわーわーわー!マズイマズイマズイマズイマズ...
落ち着け私!深呼吸しろ私!水どこ!鎮静剤!えいせいへーーーーい!
浮き足立っている頭の中のルイズ頭脳内防衛軍を無理矢理まと...
「ああああああああんた元の世界に帰るんじゃなかったの!」
才人の回答は、ルイズ頭脳内防衛軍を一撃で壊滅させた。
「…そんなのより、ルイズと一緒に居られる方がずっと嬉しい」
どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
ルイズの顔面が火を噴いた。
頭の中は大惨事だ。
ええい援軍はこないのか!しっかりしろ私!衛生兵!えいせいへー...
真っ赤な顔でルイズはピヨってしまった。
座っているのに、椅子の感覚がない。
ういてるうー。わたしー、おそらにういてるぅー。
そんなルイズの隣に、才人が腰掛けた。
今度は逆に、ルイズの身体が石のように固まる。
「あああああああああによあっちいきなさいよ」
真っ赤な顔を見られないように俯き、心にもないことを口走る。
そんなルイズに、才人は尋ねた。
「ルイズは、嫌なのか?」
はっとして才人の方を向くと。
…そんな顔しないでよ…。
不安そうな、まるで泣きそうな顔をしていた。
ルイズはそんな才人の肩に、自分の頭を預けた。否定の意味と...
「…ばか。分かり切ってる事聞かないでよ」
今度は、才人が硬直する番であった。
御者は馬を飛ばし、目的地のラ・ヴァリエール邸まで一気に突...
そのお陰もあって、夕刻には目的地に着いた。
その目的地は。
ヴァリエール邸内の湖のほとりに建てられた、ヴァリエール本...
先に到着していたラ・ヴァリエール公爵が自慢げに二人に話す。
「婿殿の噂を聞いてからこれを建てはじめてな!
なんだその、ここは二人の思い出の場所だろう?」
二人が暮らすための、別邸ということらしい。
522 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「さしずめ二人の愛の巣といったところかな!」
わはは、と笑う公爵の前で、二人は目を点にしていた。
「疲れただろう?今日はゆっくり休みなさい。ではまたな」
そう言って、馬に飛び乗り、公爵は本邸のほうへ走り去ってし...
二人は玄関先で呆れていたが、扉を開けて待っている二人の執...
扉を抜けるとそこはエントランスホール…ではなく、廊下が両側...
執事の案内で左側の廊下を進み、すぐに見えた大きな扉を潜る...
「わぁ!」
ルイズが歓喜の声を上げた。
そこは、湖に面した部分がガラス張りになった、大広間になっ...
夕日が湖面に反射し、橙色の光が大広間の調度を優しく染めて...
エントランスとここを一続きにしなかったのは、来客にこの景...
「すごい…綺麗…」
見とれるルイズの横で、才人はぽかん、と口を開けている。
思いつきだけでこんなすごいもの作っちまうなんて、やっぱ、...
そう思ってルイズの方を向くと、なんか言う事あるでしょ、と...
「すごいな、コレ」
しかし才人の言った言葉は、ルイズの期待していたものとは違...
…「お前のほうが綺麗だよ」とか言いなさいよこのニブチン…。
ルイズは軽く不機嫌になって、案内役の執事に先を促した。
「疲れたから休みたいわ。寝室はどこ?」
才人は無視して、そう言った。
馬車ではあんなに上機嫌だったルイズが、急に不機嫌になった...
アレ?俺なんか怒らせるような事したか?
どうにも空気の読めていない才人は、自分を無視して案内役の...
「おい、どうしたんだよ」
しかしルイズはそんな才人を無視している。
大広間中央の階段から2階へ上がり、ちょうど大広間に入った...
執事がそこを開けると、ルイズがまた驚きの声をあげる。
そこには、中央に天蓋のついた大きなベッドがあり、扉の反対...
ガラス張りではなく蛇腹のしきりによって外界との隔たりを作...
ルイズは執事に礼を言って下がらせる。
その際も、才人は無視したままだ。
執事が頭を下げて扉を閉じると、才人はルイズに詰め寄った。
「どうしたんだよ、何怒ってんの?」
執事の前では笑顔を崩さなかったルイズだったが、才人と二人...
523 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「…言ってくれなかった」
才人はルイズが何を言っているのか理解できない。
疑問符で顔を一杯にしていると。
「あのね、綺麗なもの見たら、一緒にいる婚約者に向かって言...
わかるでしょ?」
くるん、と半回転してベッドに腰掛けるルイズ。
才人は気づいていないが、ルイズは自分を才人の『婚約者』と...
ルイズはもう、心を決めていた。
一緒にいる。もう、離さない。
だから、ちゃんとそれらしい態度は取って欲しいわけで。
しかし鈍感においても頂点に立つ男の才人は、そんな程度でわ...
「…よくわからん」
目の前でそう言い放つ才人の股間を、ルイズは思いっきり蹴り...
ぎゃん!と犬のような声を上げて、才人はのたうつ。
「あのねー!
一から説明しないとわかんないワケこの鈍感!
綺麗なものみたら『キミの方が綺麗だよ』が基本でしょう!
こここここ、婚約者になったんだからそんくらい抑えときな...
のたうつ才人の前で仁王立ちになり、ルイズは赤い顔でそう言...
今までのルイズなら、罵倒の台詞に『犬』が入っていただろう...
そこまで聞いてやっと、才人はルイズが自分を婚約者だと認め...
立ち上がり、ルイズをじっと見つめる。
すこし股間が痛むが、ここでそんな態度を見せるわけにはいか...
才人の眼差しに、ルイズの顔が一気に赤くなる。
「わかった。次から気をつけるよ。
じゃあ、次はどうすればいい?」
ルイズは少し考えて、つつつ、と才人に近寄って、上目遣いで...
「二人きりになったんだもん。
…わかってるでしょ?」
言われるまでもない。
才人は、ルイズを抱きしめた。
ルイズも才人に抱きつき、顔をつい、と上げる。
どちらからともなく目を閉じ、二人は唇を重ねた。
唇を離すと、ルイズが次の要求をつきつけてきた。
「…ここは寝室よね…。
この先は、言わせないでよ…?」
返事の代わりに、才人はもう一度ルイズの唇を奪った。
524 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
もう、歯止めは効かなかった。
二人はお互いに服を脱がしあい、ベッドの上で見詰め合ってい...
沈む夕焼けを背負ったルイズの裸体は、まるで茜の光を放つ女...
「綺麗だ、ルイズ。
世界で一番…」
言って才人は、遠慮なくルイズを抱きしめる。
「遅いわよ…ばか」
言ってルイズは顔を上げ、才人の唇を塞ぐ。
接したまま唇が開き、互いの舌がまるで抱き合うように絡み合...
才人の手がルイズの背中を撫で、ルイズは必死に才人にしがみ...
才人の手がルイズのこぶりなヒップを愛撫しはじめると、ルイ...
「あっ…ぁはっ…」
臀部を撫で回される刺激に、俯くルイズ。
その視線の先に、張り詰めた才人の怒張があった。
ルイズは才人を抱きとめていた手を解くと、両手でその怒張を...
「くぅっ…」
優しくグラインドされるルイズの手が、才人に快感を送り込む。
才人は負けじと、ルイズの双丘の下から手を回し、すでに濡れ...
「あ、だめっ…」
ルイズの声が上ずり、才人を握る手に力が篭る。
それがまた刺激になって、才人を高める。
「うっ…」
才人は今度は、両手の指で、ルイズの前と後ろの門を同時に刺...
同時に襲い来る快感に、ルイズは必死に耐える。
「やっ…あっ…」
必死に自分を繋ぎとめ、負けじと才人を刺激する。
竿だけでなく陰嚢を片手で優しく握り、ふわふわと優しく刺激...
「うぁっ、ダメだ、ルイズっ」
先に限界を迎えたのは才人だった。
思わず両手でルイズの双丘を開ききるほどに握り締め、射精の...
「ふぁっ!」
その反動でルイズが強く握った才人が一瞬膨らみ、弾けた。
びゅびゅっ!
白い迸りが、ルイズの顔を、胸を、汚す。
「もう…先に逝っちゃうなんてズルい…」
自分にかけられた才人の欲望を拭き取るように手ですくい、ル...
525 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「ゴメン…」
しかし、逝ったあとにもかかわらず、すぐに才人は元気を取り...
そんな才人を見てルイズは淫靡に微笑むと、その剛直の上に自...
「今度は、ちゃんと私も逝かせて…」
そして、そのまま才人を飲み込んだ。
ずぶずぶと剛直がルイズの中に埋まり、ルイズの背筋が快感で...
「うあぁっ!奥までぇっ…!」
最奥まで届いたそれを引き抜くため、ルイズは腰を上げようと...
しかし、才人がその腰を掴み、それをさせない。
「…え…?」
「今日はちょっと、やり方を変えてみよう」
才人はいたずらっぽく笑い、ルイズを突き刺したまま腰をゆっ...
腰に回した手で、ルイズの身体を同時に揺さ振る。
ルイズの中が才人でかき回される。
「うぁっ…なにこれぇ…」
内臓をかき回される感覚に、ルイズの意識が朦朧となる。
才人はルイズを貫いたまま、一切引き抜かずに回転運動だけで...
「どう?ルイズ」
「なかっ…かきまわされてっ…ヘンに…なるぅっ…!」
最奥を刺激されたまま、ぐちゃぐちゃと中身をかき回される感...
掴まれているせいで動きの取れない不自由さが、背徳的な快感...
「あ、だめ、だめ、いくの、いっちゃうのぉっ!」
一足先にルイズが限界を迎える。
かき回されるそこが、絶頂と共に強く引き絞られる。
「く、出る、ルイズっ!」
その刺激に遅れて絶頂を迎える才人。
ルイズの中に、熱く滾った才人の欲望が、注ぎ込まれる。
「あ、は、でてる、でてるぅ…」
才人に抱きしめられながら、ルイズは下腹部に感じる温もりに...
526 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
交わった後、全裸のまま二人は横になった。
外はもう日が沈み、双つの月が寄り添うように昇っていた。
まるで、今の二人を象徴するかのように。
「綺麗…」
月の光を弾く湖を見て、ルイズがそう漏らす。
「ルイズの方が…綺麗だよ」
すかさず、才人がルイズの背中からそう応える。
ルイズは驚いたように振り向き、朱に染まった頬で才人を見つ...
「なんだよ、そんなジロジロ見るなよ。
…コレでいいんだろ?」
赤い顔で照れたように頬をかく才人。
結構恥ずかしいらしい。
そんな才人に、ルイズは微笑み、キスのご褒美をあげた。
「よくできました」
そして唇を離して、才人の胸を枕に決め込むと、その胸に手を...
「幸せにしてね…旦那様」
「…ああ」
二人の約束を、双つの月が優しく照らしていた。〜fin
かと思いきや。
二人の波乱万丈が、ここから始まるとは、その時の二人には思...
*とぅ・び・こんてぃにゅぅど*
終了行:
487 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
その日、トリステイン魔法学院の正門に、一騎の騎馬が現れた。
戦装束に飾られた、装甲を施された栗毛の牝馬。
その上には、同じく戦装束の、年の頃なら五十過ぎ、白髪交じ...
正門を守る二人の門衛は、堂々と正門を通ろうとするその男を...
警備用の槍を交差させ、馬を止めさせる。
「失礼。貴族の方とお見受けするが、姓名と用件を名乗られよ」
馬上の男性は口元で笑みを形作ると、門衛に名を告げた。
門衛は慌てて槍を引き、馬を通す。
「さて。通してもらって言うのもなんだが、用件は尋ねなくて...
門の内側に入り、その男性は門衛に問う。
しかし、彼ほどの貴族に、名以外に用件など、と門衛が躊躇し...
「私の用件はな。
娘を力づくで取り戻しにきたのだよ」
そう言って馬の腹をけり、学院の本棟めがけて馬を走らせた。
走り去った騎影を思わず見送りかけた門衛は、慌てて風の魔法...
ちょうどその時、ルイズは授業の合間の休み時間で、才人とと...
今度の休みの予定とか、明日の昼はなんにしようとか、いつも...
「ミス・ヴァリエール!大変です!」
水精霊騎士団の遠駆けの予定を無理矢理自分との王都での観劇...
「どうしたんですか?コルベール先生」
コルベールは二人の傍らまで来ると、ぜいぜいと息を整えた。...
「あ、あなたのお父様が、あなたを迎えに来たらしいです!」
え、お父様がなんで、とルイズは呟く。
今まで父がそんな強硬手段に出る事はなかった。
まさか、サイトとのカンケイに気づいたとかっ!?
だとしたら恐ろしい事になる、かも。
一方才人はといえば、そういやルイズの親父さん結構怖い人だ...
しかし、コルベールの伝令はどうやら手遅れだったらしい。
三人の前に、一騎の騎馬がやってきて、嘶きと共に、足を止め...
「やあルイズ。迎えに来たぞ」
その馬上にいるのは、ラ・ヴァリエール公爵、その人だった。
「ど、どうして…?」
ルイズは思わず後じさり、そう尋ねる。
ラ・ヴァリエール公爵は、そんなルイズに応える。
「そろそろお前にも身を固めてもらおうと思ってな」
身を固める。つまりは結婚する。
しかし、今のルイズには才人という相手がいるわけで。
488 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
「そ、そんな…だって、私…」
思わず言いよどむルイズの前に、才人が立った。
…サイト?
「勝手すぎやしませんか、あんた」
そして、鋭い視線で公爵を睨む。
公爵はほう、と才人を一瞥すると、馬からひらり、と降り立っ...
そしてなんと、才人に向かって礼をしてみせた。
「いつぞやは無礼をしたな。
貴君の噂、私の耳にも届いておる。
シュヴァリエ・サイト。あのアルビオンの戦で、単騎よく七...
てっきり『無礼者!』とか罵られると覚悟していた才人だったが...
「い、いや、そんな」
などと思わず恐縮してしまう。
だが公爵のそんな態度は、そこまでだった。
公爵は腰に下げた杖を引き抜くと、才人めがけて突き出した。...
「抜け、シュヴァリエ」
「…え?でも」
それでもさすがに戦闘経験を積んでいるだけあり、目の前の相...
そんな公爵と才人の間に、コルベールが割って入る。
「…公爵、おやめください」
乱入してきたコルベールの顔を見て、公爵は懐かしそうな顔を...
「ほう、炎蛇か。久しいな。教練所以来か?」
「…はい。今はここの教師をしております」
「なるほどな。生徒に手は出させん、というわけか。
なに、心配するな。手加減はする」
「…いざとなったら、私が加勢しますよ?」
「好きにしろ。お前如きに後れを取るほどなまってはおらん」
言葉を交わす二人の様子から、二人が旧知の間柄であることが...
コルベールは公爵の説得が無理だと悟ると、後ろに控えるルイ...
才人は目の前の公爵が本気だと悟ると、デルフリンガーを抜き...
「ど、どうして父さまが…。
それより、止めないと!ねえ、先生、サイトを止めて!父さま...
ルイズは、父の身を案じ、コルベールにそう懇願する。
しかし、コルベールの回答は、ルイズの予想したものと違って...
489 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
「心配するべきはサイト君の方ですよ、ミス・ヴァリエール」
「…え?」
「あなたのお父上の経歴を、たぶん貴方はご存知ないのでしょ...
彼は、トリステインの全ての特殊部隊の、教練所の長だった...
「……え…?」
「…私も、彼の『生徒』の一人です。貴方の元婚約者の『閃光の...
「…な…」
「あなたのおじいさまは、軍部でのしあがることで、ヴァリエ...
実際、貴方のおじいさまの代より前は…失礼ですが、ラ・ヴァ...
そして、軍部の上に立つには、一代では遠すぎた。
その野望を叶えるために、貴方のおじいさまの作り上げた最...
驚愕に見開かれたルイズの瞳が、父を捉える。
公爵は、右手に杖を、左手に大きめの短剣を逆手に構えている。
その短剣は峰の部分が櫛状になっている。俗に言う、「ソード...
その父を、不意に風の衣が覆った。
…え?いつの間にルーンを…?
戦闘に関わるメイジの基本中の基本。見えないように詠唱を行...
直接先頭に関わる事のない、ルイズにはまるで無詠唱で魔法を...
「厄介だなありゃあ。相当密度の濃い『風の衣』だぜ」
才人にしか聞こえない声で、デルフリンガーは才人に忠告する。
「どう厄介なんだ?」
才人もまた、構えを崩さず、デルフリンガーにだけ聞こえるよ...
「あの親父の輪郭が軽く歪んでるだろ?ありゃ、周囲に渦巻いて...
あの状態じゃ、どんだけ勢いの乗った攻撃も逸らされる。そ...
なるほど確かに厄介だ。どうしたものかと才人が思案している...
「でもテはあるぜ。あの親父、短剣にまで風の衣をまとわせて...
それが弱点だ。あの短剣を狙え。そしたらおれっちが『風の...
そして、風の衣が剥げた瞬間に攻撃しろ、ということか。
才人は、その作戦実行のチャンスをうかがう。
それは、すぐにやってきた。
「こないのかね?ならばこちらから…。
いかせて貰うっ!」
五十代とは思えない勢いで、公爵は踏み込んでくる。
魔法の持続中は他の魔法を操れないので、大方の予想通り、風...
待ってましたとばかりに、才人はその短剣をデルフリンガーで...
一瞬にして、公爵を覆っていた風の衣は剥ぎ取られた。
「なんだとっ!?まさか、吸魔の剣かっ!」
ただの一合で相手の武器を悟った公爵は、慌てて飛び退る。
しかしそれを見逃す才人ではない。
一気に間合いをつめ、詠唱する隙を与えない。
アニエス曰く。『メイジに対する際、大事なのは隙を与えない...
一気に下段から、デルフリンガーを振りぬく。
490 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/23(...
しかしデルフリンガーは、公爵の短剣の峰で受け止められた。
その瞬間、才人の腕に違和感が走る。石の様にデルフリンガー...
ソードブレイカー。それは、相手の剣の動きを止め、動きを封...
剣に対抗するべく作られた、防御装置であった。
公爵はそのまま、詠唱を開始する。
しかし、才人のとった行動は、公爵の予想を超えていた。
才人はデルフリンガーから手を離すと、履いていたブーツから...
アニエス曰く。『常に武器は2つ以上携帯しておけ。不意はう...
「…勝負、ありましたね」
才人は、そう言って、勝負の決着を宣言する。
公爵はまいった、と言わんばかりに、手に持った杖と短剣を放...
「…懐の、予備の杖も捨ててください」
才人の言葉に、驚いたように公爵の目が見開かれ、そして笑顔...
「なるほど、七万を止めたのは伊達ではない、というわけか!」
言われたとおりに、懐から予備の杖を取り出し、放り出す。
「すごい…公爵に勝っちゃいましたよ、サイト君…」
コルベールは感心したようにそう言うが、ルイズには何がすご...
そして、完全に無力化された公爵は、いきなりぐるん!と才人の...
突き出された短剣が、公爵の喉下に当たる。
「ちょ、危ない!」
「気に入った!気に入ったぞ!」
そして、再びぐるん!と振り返ると、今度はルイズに向かって、...
「ルイズ!お前の結婚相手がたった今、決まったぞ!
このシュヴァリエ・サイトと結婚しなさい!」
その言葉に。
「「えええええええええええ!?」」
度肝を抜かれたのは、当事者二人であった。
518 :せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2006/12/24(日) 12:38:23 ...
じゃあせんたいサンタからみんなにクリスマスプレゼントだ!
*ちなみにこのSSはせんたいさんの続きもののパラレルにあ...
タバサとかアンさまとかアニエスは一切出てきません(ぁ
投下いくじぇー
520 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
あれよあれよという間に、ラ・ヴァリエール公爵は休学届けを...
二人は公爵のあとからやってきた四頭立ての馬車に、お付の一...
「お前たち二人は、この馬車で追って来なさい。
では、領地で待っておるぞ、婿殿!」
すでに馬車に積み込まれた才人に向かって笑いかけ、馬の腹を...
才人はまだ呆気にとられたようにぽかんとしている。
あまりに矢継ぎ早に繰り出される異常事態に、頭の処理速度が...
一方ルイズはといえば、真っ赤な顔で才人の対面の椅子に座り...
…どどどどどどどどうしよう。
正式に結婚相手に決まっちゃった…!!
貴族の子女のルイズにとって家長である父の決定は絶対である...
目の前でアホ面を晒している犬をちらりと盗み見る。
呆然としているその表情は歓喜なのか絶望なのか、さっぱり掴...
才人は、どう思ってるんだろ。
元の世界に帰らなきゃいけないのに、いいんだろうか?
もう一度才人の顔を見る。
「あ」
「え」
モロに視線がぶつかった。
二人でほぼ同時に真っ赤になり、慌てて視線を逸らす。
「な、なんか用?」
思わずルイズはそう口走ってしまう。
言いたい事は他にあるのに。
「い、いや別に」
才人は窓の外の景色を眺めるように目を逸らす。
才人も、ルイズに言いたい事があった。
「あ、あのさ」
「あのね、そのね?」
言葉が重なり、二人はまた同時に口をつぐむ。
「る、ルイズから」
「い、犬から先に」
またしても言葉が重なる。
要らない所で以心伝心な二人である。
またしても重なった言葉に、なかなか言いたい事がいえない。
ああもう、とルイズが先に口火を切った。
才人のほうは見ずに、頬杖を突いて、窓の外を見ながら言う。
「サイト、なんで断らなかったのよ」
思わず口走ったその言葉は、言いたい事と微妙に違った。
『元の世界に帰りたいのに、迷惑じゃない?』そう言いたかった。
ああもう、なんで私ってこうなの!
軽く自己嫌悪に陥るルイズ。
そして、才人から返ってきた言葉が、そんなルイズを打ちのめ...
521 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「う、嬉しかったから、かな」
ぼきゅん!
ルイズの頭の中の演算装置が、火を噴いて壊れた。
「うううううううう嬉しいってどういうことよ!」
思いっきり不自然に真横を向いてルイズは聞き返す。
窓ガラスに映るその顔は、熟したトマトより赤かった。
わーわーわーわーわーわーわー!マズイマズイマズイマズイマズ...
落ち着け私!深呼吸しろ私!水どこ!鎮静剤!えいせいへーーーーい!
浮き足立っている頭の中のルイズ頭脳内防衛軍を無理矢理まと...
「ああああああああんた元の世界に帰るんじゃなかったの!」
才人の回答は、ルイズ頭脳内防衛軍を一撃で壊滅させた。
「…そんなのより、ルイズと一緒に居られる方がずっと嬉しい」
どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
ルイズの顔面が火を噴いた。
頭の中は大惨事だ。
ええい援軍はこないのか!しっかりしろ私!衛生兵!えいせいへー...
真っ赤な顔でルイズはピヨってしまった。
座っているのに、椅子の感覚がない。
ういてるうー。わたしー、おそらにういてるぅー。
そんなルイズの隣に、才人が腰掛けた。
今度は逆に、ルイズの身体が石のように固まる。
「あああああああああによあっちいきなさいよ」
真っ赤な顔を見られないように俯き、心にもないことを口走る。
そんなルイズに、才人は尋ねた。
「ルイズは、嫌なのか?」
はっとして才人の方を向くと。
…そんな顔しないでよ…。
不安そうな、まるで泣きそうな顔をしていた。
ルイズはそんな才人の肩に、自分の頭を預けた。否定の意味と...
「…ばか。分かり切ってる事聞かないでよ」
今度は、才人が硬直する番であった。
御者は馬を飛ばし、目的地のラ・ヴァリエール邸まで一気に突...
そのお陰もあって、夕刻には目的地に着いた。
その目的地は。
ヴァリエール邸内の湖のほとりに建てられた、ヴァリエール本...
先に到着していたラ・ヴァリエール公爵が自慢げに二人に話す。
「婿殿の噂を聞いてからこれを建てはじめてな!
なんだその、ここは二人の思い出の場所だろう?」
二人が暮らすための、別邸ということらしい。
522 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「さしずめ二人の愛の巣といったところかな!」
わはは、と笑う公爵の前で、二人は目を点にしていた。
「疲れただろう?今日はゆっくり休みなさい。ではまたな」
そう言って、馬に飛び乗り、公爵は本邸のほうへ走り去ってし...
二人は玄関先で呆れていたが、扉を開けて待っている二人の執...
扉を抜けるとそこはエントランスホール…ではなく、廊下が両側...
執事の案内で左側の廊下を進み、すぐに見えた大きな扉を潜る...
「わぁ!」
ルイズが歓喜の声を上げた。
そこは、湖に面した部分がガラス張りになった、大広間になっ...
夕日が湖面に反射し、橙色の光が大広間の調度を優しく染めて...
エントランスとここを一続きにしなかったのは、来客にこの景...
「すごい…綺麗…」
見とれるルイズの横で、才人はぽかん、と口を開けている。
思いつきだけでこんなすごいもの作っちまうなんて、やっぱ、...
そう思ってルイズの方を向くと、なんか言う事あるでしょ、と...
「すごいな、コレ」
しかし才人の言った言葉は、ルイズの期待していたものとは違...
…「お前のほうが綺麗だよ」とか言いなさいよこのニブチン…。
ルイズは軽く不機嫌になって、案内役の執事に先を促した。
「疲れたから休みたいわ。寝室はどこ?」
才人は無視して、そう言った。
馬車ではあんなに上機嫌だったルイズが、急に不機嫌になった...
アレ?俺なんか怒らせるような事したか?
どうにも空気の読めていない才人は、自分を無視して案内役の...
「おい、どうしたんだよ」
しかしルイズはそんな才人を無視している。
大広間中央の階段から2階へ上がり、ちょうど大広間に入った...
執事がそこを開けると、ルイズがまた驚きの声をあげる。
そこには、中央に天蓋のついた大きなベッドがあり、扉の反対...
ガラス張りではなく蛇腹のしきりによって外界との隔たりを作...
ルイズは執事に礼を言って下がらせる。
その際も、才人は無視したままだ。
執事が頭を下げて扉を閉じると、才人はルイズに詰め寄った。
「どうしたんだよ、何怒ってんの?」
執事の前では笑顔を崩さなかったルイズだったが、才人と二人...
523 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「…言ってくれなかった」
才人はルイズが何を言っているのか理解できない。
疑問符で顔を一杯にしていると。
「あのね、綺麗なもの見たら、一緒にいる婚約者に向かって言...
わかるでしょ?」
くるん、と半回転してベッドに腰掛けるルイズ。
才人は気づいていないが、ルイズは自分を才人の『婚約者』と...
ルイズはもう、心を決めていた。
一緒にいる。もう、離さない。
だから、ちゃんとそれらしい態度は取って欲しいわけで。
しかし鈍感においても頂点に立つ男の才人は、そんな程度でわ...
「…よくわからん」
目の前でそう言い放つ才人の股間を、ルイズは思いっきり蹴り...
ぎゃん!と犬のような声を上げて、才人はのたうつ。
「あのねー!
一から説明しないとわかんないワケこの鈍感!
綺麗なものみたら『キミの方が綺麗だよ』が基本でしょう!
こここここ、婚約者になったんだからそんくらい抑えときな...
のたうつ才人の前で仁王立ちになり、ルイズは赤い顔でそう言...
今までのルイズなら、罵倒の台詞に『犬』が入っていただろう...
そこまで聞いてやっと、才人はルイズが自分を婚約者だと認め...
立ち上がり、ルイズをじっと見つめる。
すこし股間が痛むが、ここでそんな態度を見せるわけにはいか...
才人の眼差しに、ルイズの顔が一気に赤くなる。
「わかった。次から気をつけるよ。
じゃあ、次はどうすればいい?」
ルイズは少し考えて、つつつ、と才人に近寄って、上目遣いで...
「二人きりになったんだもん。
…わかってるでしょ?」
言われるまでもない。
才人は、ルイズを抱きしめた。
ルイズも才人に抱きつき、顔をつい、と上げる。
どちらからともなく目を閉じ、二人は唇を重ねた。
唇を離すと、ルイズが次の要求をつきつけてきた。
「…ここは寝室よね…。
この先は、言わせないでよ…?」
返事の代わりに、才人はもう一度ルイズの唇を奪った。
524 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
もう、歯止めは効かなかった。
二人はお互いに服を脱がしあい、ベッドの上で見詰め合ってい...
沈む夕焼けを背負ったルイズの裸体は、まるで茜の光を放つ女...
「綺麗だ、ルイズ。
世界で一番…」
言って才人は、遠慮なくルイズを抱きしめる。
「遅いわよ…ばか」
言ってルイズは顔を上げ、才人の唇を塞ぐ。
接したまま唇が開き、互いの舌がまるで抱き合うように絡み合...
才人の手がルイズの背中を撫で、ルイズは必死に才人にしがみ...
才人の手がルイズのこぶりなヒップを愛撫しはじめると、ルイ...
「あっ…ぁはっ…」
臀部を撫で回される刺激に、俯くルイズ。
その視線の先に、張り詰めた才人の怒張があった。
ルイズは才人を抱きとめていた手を解くと、両手でその怒張を...
「くぅっ…」
優しくグラインドされるルイズの手が、才人に快感を送り込む。
才人は負けじと、ルイズの双丘の下から手を回し、すでに濡れ...
「あ、だめっ…」
ルイズの声が上ずり、才人を握る手に力が篭る。
それがまた刺激になって、才人を高める。
「うっ…」
才人は今度は、両手の指で、ルイズの前と後ろの門を同時に刺...
同時に襲い来る快感に、ルイズは必死に耐える。
「やっ…あっ…」
必死に自分を繋ぎとめ、負けじと才人を刺激する。
竿だけでなく陰嚢を片手で優しく握り、ふわふわと優しく刺激...
「うぁっ、ダメだ、ルイズっ」
先に限界を迎えたのは才人だった。
思わず両手でルイズの双丘を開ききるほどに握り締め、射精の...
「ふぁっ!」
その反動でルイズが強く握った才人が一瞬膨らみ、弾けた。
びゅびゅっ!
白い迸りが、ルイズの顔を、胸を、汚す。
「もう…先に逝っちゃうなんてズルい…」
自分にかけられた才人の欲望を拭き取るように手ですくい、ル...
525 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
「ゴメン…」
しかし、逝ったあとにもかかわらず、すぐに才人は元気を取り...
そんな才人を見てルイズは淫靡に微笑むと、その剛直の上に自...
「今度は、ちゃんと私も逝かせて…」
そして、そのまま才人を飲み込んだ。
ずぶずぶと剛直がルイズの中に埋まり、ルイズの背筋が快感で...
「うあぁっ!奥までぇっ…!」
最奥まで届いたそれを引き抜くため、ルイズは腰を上げようと...
しかし、才人がその腰を掴み、それをさせない。
「…え…?」
「今日はちょっと、やり方を変えてみよう」
才人はいたずらっぽく笑い、ルイズを突き刺したまま腰をゆっ...
腰に回した手で、ルイズの身体を同時に揺さ振る。
ルイズの中が才人でかき回される。
「うぁっ…なにこれぇ…」
内臓をかき回される感覚に、ルイズの意識が朦朧となる。
才人はルイズを貫いたまま、一切引き抜かずに回転運動だけで...
「どう?ルイズ」
「なかっ…かきまわされてっ…ヘンに…なるぅっ…!」
最奥を刺激されたまま、ぐちゃぐちゃと中身をかき回される感...
掴まれているせいで動きの取れない不自由さが、背徳的な快感...
「あ、だめ、だめ、いくの、いっちゃうのぉっ!」
一足先にルイズが限界を迎える。
かき回されるそこが、絶頂と共に強く引き絞られる。
「く、出る、ルイズっ!」
その刺激に遅れて絶頂を迎える才人。
ルイズの中に、熱く滾った才人の欲望が、注ぎ込まれる。
「あ、は、でてる、でてるぅ…」
才人に抱きしめられながら、ルイズは下腹部に感じる温もりに...
526 名前:父来る ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日:2006/12/24(...
交わった後、全裸のまま二人は横になった。
外はもう日が沈み、双つの月が寄り添うように昇っていた。
まるで、今の二人を象徴するかのように。
「綺麗…」
月の光を弾く湖を見て、ルイズがそう漏らす。
「ルイズの方が…綺麗だよ」
すかさず、才人がルイズの背中からそう応える。
ルイズは驚いたように振り向き、朱に染まった頬で才人を見つ...
「なんだよ、そんなジロジロ見るなよ。
…コレでいいんだろ?」
赤い顔で照れたように頬をかく才人。
結構恥ずかしいらしい。
そんな才人に、ルイズは微笑み、キスのご褒美をあげた。
「よくできました」
そして唇を離して、才人の胸を枕に決め込むと、その胸に手を...
「幸せにしてね…旦那様」
「…ああ」
二人の約束を、双つの月が優しく照らしていた。〜fin
かと思いきや。
二人の波乱万丈が、ここから始まるとは、その時の二人には思...
*とぅ・び・こんてぃにゅぅど*
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