ゼロの使い魔保管庫
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開始行:
※鬱ものです。
※アニエスの年齢が設定より2〜5歳ほど高くなっています
それでは
『Wither』
---------------------------------------------------------...
「行ってきま〜す」
金髪の快活そうな少女、アニエスは元気よく家を飛び出した。
「気をつけてね」
少女の飛び出した家から出てきた母親らしき女性がいつものよ...
「は〜い」
聞こえているのか、いないのか、少女もいつものように返事を...
「もう」
女性は困ったような、それでいて明らかに喜びを含んだ表情で...
青々と緑が生い茂る夏の盛り、湿度のそれほど高くないこの地...
#br
「おそいぞ〜アニエス」
「もう、そんなに待ってないでしょ」
先に広場で待っていた友人で、太っちょの男の子が文句を言う...
「ごめんごめん」
手を振りながら仲間の元へと走ってきたアニエスは、手を膝に...
「そんな、謝るほどじゃないよ」
「おまえ、アニエスにばっかり優しくねぇ? もしかしてあれ...
「そそそ、そうわけじゃ……」
気弱そうな男の子がフォローをいれるのに、太っちょが茶化す...
このとき彼女たちは間違いなく変わらない毎日の中にいた。
「それで、今日は何するんだっけ?」
未だ周りの空気を少々読めていないアニエスが次の話題を持ち...
「かくれんぼでしょ」
「そうそう」
「アニエスちゃんってば、忘れっぽいんだから」
「え〜〜かくれんぼかよ」
太っちょが一人文句を言う。彼の体格ではかくれんぼは不利だ...
「いいじゃないの、次はあんたがやりたいやつにするからさ」
「しゃあねぇな」
ショートカットの少女がなだめすかすことで事なきを得る。基...
「じゃあ、じゃんけんしましょうか」
ロングヘアーの女の子がこの場をひきとる。
「ちょ、ちょっと待って!」
気弱そうな少年はそういうと、目をつぶり天に祈りを奉げるか...
「よし、やろう!」
「へっ!そんなことしたってオレには勝てねぇぞ」
「私も負けないかんね」
各人準備ができたようである。
「「「「「じゃんけん、ぽん!!」」」」」
全員の視線が五本の手へと注がれる。
「あ……」
アニエスが自分の手を見て声を洩らす。
「アニエスちゃんの負けね」
ショートカットの少女が結果を伝える。気弱そうな男の子は安...
「へっ、遅刻した罰だぜ」
「う〜〜〜〜〜〜〜」
「いや、だから遅れてないって……」
「おまえ、やっぱり」
「ちがうって!」
何か納得のいかない様子で自分の手の平を睨んでいたアニエス...
「30……29……28……27……26……」
計画といっても、最初は太っちょの少年を見つけるのが簡単そ...
「15……14……13……12……」
彼女には仲間の隠れる場所におおよその見当をつける。いつも...
「9……8……7……」
そして見つからなくても、アニエスは『かわいそうだから、手...
「1……0!」
アニエスは勢いよく立ちあがり、目を開けた。
#br
―――世界が変わっていた。
#br
「……え?」
アニエスはただ茫然と立ち尽くす。立ち尽くすことしかできな...
少女が自らの視界を遮っていたほんの三十秒の間に、辺りは火...
「み、みんな……みんなは」
どれほどの時がたっただろうか、少女にとっては永遠とも思え...
一人目は間もなく見つかった。見つかったのが果たして彼女に...
「うぅ……いやあ」
見つかったのはロングヘアーの少女であった。隠れていた木か...
「いたい、あづいよ……助けて……」
「いっ、いや」
助けを請う友人をアニエスは拒絶してしまう。友人のあまりの...
「アニエス……ちゃん?」
「ひっ……ごめんなさい」
アニエスはその場から逃げた。火に全身をあぶられた少女は二...
アニエスは走りながら、泣いた。恐ろしさ、悲しみ、怒り、す...
二人目は壊れかけの家の中にいた。長年放置されたままの家に...
「だいじょうぶ!?」
「あ……アニエス、ちゃん」
幸いというべきか、少年は足をとられているだけで今のところ...
「ど、どうしよ」
「ぼくは大丈夫だから、家に帰って、家の人を……よんできて。...
「でも……」
「は、やく……」
少年の声になにか鬼気迫るものを感じたアニエスは、一瞬ため...
「ちょっとかっこつけちゃったかな。もう体がうごかないや」
我慢していたのだろう、少年は急に顔をしかめると少女の走っ...
#br
またアニエスは走っていた。どこまでいっても燃える家と焦げ...
「はぁ……はぁ」
アニエスは家へとたどり着いた。家が存在していた場所に、た...
「……」
少女はきゅっと胸を押さえる。残念ながら夢ではないことは明...
支えるものを失った少女はそのままゆっくりと倒れこんだ。
#br
〜〜〜〜〜〜〜&...
#br
結果として彼女は助かった。村人百三十人、胎児を含めると百...
彼女の復讐は終わりを告げた。しかし今でも友人たちのことを...
「もっと、もっとつよくならなければ」
彼女が自分を許せる日が来るのは、まだ先のようだ。
‹Fin›
終了行:
※鬱ものです。
※アニエスの年齢が設定より2〜5歳ほど高くなっています
それでは
『Wither』
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「行ってきま〜す」
金髪の快活そうな少女、アニエスは元気よく家を飛び出した。
「気をつけてね」
少女の飛び出した家から出てきた母親らしき女性がいつものよ...
「は〜い」
聞こえているのか、いないのか、少女もいつものように返事を...
「もう」
女性は困ったような、それでいて明らかに喜びを含んだ表情で...
青々と緑が生い茂る夏の盛り、湿度のそれほど高くないこの地...
#br
「おそいぞ〜アニエス」
「もう、そんなに待ってないでしょ」
先に広場で待っていた友人で、太っちょの男の子が文句を言う...
「ごめんごめん」
手を振りながら仲間の元へと走ってきたアニエスは、手を膝に...
「そんな、謝るほどじゃないよ」
「おまえ、アニエスにばっかり優しくねぇ? もしかしてあれ...
「そそそ、そうわけじゃ……」
気弱そうな男の子がフォローをいれるのに、太っちょが茶化す...
このとき彼女たちは間違いなく変わらない毎日の中にいた。
「それで、今日は何するんだっけ?」
未だ周りの空気を少々読めていないアニエスが次の話題を持ち...
「かくれんぼでしょ」
「そうそう」
「アニエスちゃんってば、忘れっぽいんだから」
「え〜〜かくれんぼかよ」
太っちょが一人文句を言う。彼の体格ではかくれんぼは不利だ...
「いいじゃないの、次はあんたがやりたいやつにするからさ」
「しゃあねぇな」
ショートカットの少女がなだめすかすことで事なきを得る。基...
「じゃあ、じゃんけんしましょうか」
ロングヘアーの女の子がこの場をひきとる。
「ちょ、ちょっと待って!」
気弱そうな少年はそういうと、目をつぶり天に祈りを奉げるか...
「よし、やろう!」
「へっ!そんなことしたってオレには勝てねぇぞ」
「私も負けないかんね」
各人準備ができたようである。
「「「「「じゃんけん、ぽん!!」」」」」
全員の視線が五本の手へと注がれる。
「あ……」
アニエスが自分の手を見て声を洩らす。
「アニエスちゃんの負けね」
ショートカットの少女が結果を伝える。気弱そうな男の子は安...
「へっ、遅刻した罰だぜ」
「う〜〜〜〜〜〜〜」
「いや、だから遅れてないって……」
「おまえ、やっぱり」
「ちがうって!」
何か納得のいかない様子で自分の手の平を睨んでいたアニエス...
「30……29……28……27……26……」
計画といっても、最初は太っちょの少年を見つけるのが簡単そ...
「15……14……13……12……」
彼女には仲間の隠れる場所におおよその見当をつける。いつも...
「9……8……7……」
そして見つからなくても、アニエスは『かわいそうだから、手...
「1……0!」
アニエスは勢いよく立ちあがり、目を開けた。
#br
―――世界が変わっていた。
#br
「……え?」
アニエスはただ茫然と立ち尽くす。立ち尽くすことしかできな...
少女が自らの視界を遮っていたほんの三十秒の間に、辺りは火...
「み、みんな……みんなは」
どれほどの時がたっただろうか、少女にとっては永遠とも思え...
一人目は間もなく見つかった。見つかったのが果たして彼女に...
「うぅ……いやあ」
見つかったのはロングヘアーの少女であった。隠れていた木か...
「いたい、あづいよ……助けて……」
「いっ、いや」
助けを請う友人をアニエスは拒絶してしまう。友人のあまりの...
「アニエス……ちゃん?」
「ひっ……ごめんなさい」
アニエスはその場から逃げた。火に全身をあぶられた少女は二...
アニエスは走りながら、泣いた。恐ろしさ、悲しみ、怒り、す...
二人目は壊れかけの家の中にいた。長年放置されたままの家に...
「だいじょうぶ!?」
「あ……アニエス、ちゃん」
幸いというべきか、少年は足をとられているだけで今のところ...
「ど、どうしよ」
「ぼくは大丈夫だから、家に帰って、家の人を……よんできて。...
「でも……」
「は、やく……」
少年の声になにか鬼気迫るものを感じたアニエスは、一瞬ため...
「ちょっとかっこつけちゃったかな。もう体がうごかないや」
我慢していたのだろう、少年は急に顔をしかめると少女の走っ...
#br
またアニエスは走っていた。どこまでいっても燃える家と焦げ...
「はぁ……はぁ」
アニエスは家へとたどり着いた。家が存在していた場所に、た...
「……」
少女はきゅっと胸を押さえる。残念ながら夢ではないことは明...
支えるものを失った少女はそのままゆっくりと倒れこんだ。
#br
〜〜〜〜〜〜〜&...
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結果として彼女は助かった。村人百三十人、胎児を含めると百...
彼女の復讐は終わりを告げた。しかし今でも友人たちのことを...
「もっと、もっとつよくならなければ」
彼女が自分を許せる日が来るのは、まだ先のようだ。
‹Fin›
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