ゼロの使い魔保管庫
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トリステインの近くにある大山の真下に存在する巨大な地底...
地面に横たわった身体には薄手の毛布が掛けられており、ル...
しかし身体には大量の包帯が巻かれ、地下水の所為で気温が...
「これはこれは騎士様……お目覚めはどうですか?」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
寝起きのサイトに後ろから真っ黒なフードを被った人物から...
フードの男の顔は見えず、左手には蒼い灯りを放つランタン...
おまけに肩には鋭い眼光を発している真っ黒な鳥が居座り、...
サイトの顔は彼の姿と自分の世界でよく聞く存在と一致した...
「俺もとうとう死んだのか!? ここは血の池地獄か! しか...
「おい相棒、何言ってんだ? ここは唯の地底湖だぜ? それ...
変な喋り方をした喋る剣デルフの声が暴走しているサイトを...
フードの男も何を言っているのかさっぱりで、首を傾げる。
「デッデルフ! そうか俺は生きてんだな? 死んでないんだ...
「まぁそこに居るフードの傭兵の兄ちゃんの看護がなかったら...
「寝起きでそれだけ喋れれば大丈夫だな、これ食ってもっと元...
フードの男はランタンを地面に置き、背負っていた袋を地面...
それらを手早く捌き、火を点け、鉄の鍋を用意し、傍の湖か...
鍋から立ち上る煙が寝起きのサイトの胃袋を刺激し、腹の虫...
「騎士様には貧相だろうが、これでも立派な飯だ……しかし何で...
サイトは器に注がれているスープを恐る恐る食べるが、それ...
男もゆっくりと料理を食べ始め、空になったサイトの器にス...
食う事に夢中のサイトに代わって、デルフが淡々と理由を述...
「なぁに、ちょっと他の譲ちゃん達とイチャイチャしてた所を...
しかし相棒も良く粘ったよなぁ! ”エクスプロージョン”に...
「……ルイズ、シエスタ、姫様、タバサ……皆心配してるだろうけ...
サイトが一気に残ったスープを食べ、両手を合わせてから器...
「そりゃあ大変だったな……どうりでここら一帯が清貧女王直下...
まぁ……変な木偶人形どもや石人形達もうろついてたが、それ...
「ギーシュやアニエスさんも来てるのか! あぁそういえば名...
本当に助けてくれてありがとうございました!」
フードの男が首を傾げ、ゆっくりと答えを出す。
「はっ? 何を言ってるんだい? シュバリエ・サイトはトリ...
だから女王直属の部隊が動いてるんだろ? 君も類を見ない...
「ちょっと待ってください! 俺が城に居る!? 姫様が行方...
サイトが男に掴みかかるが、その腕は容易く外され、頬に一...
サイトは眼を白黒させながらも男からデルフを受け取り、ゆ...
「まぁどっかの誰かがやっかいな事をしてるのは確かだな……ど...
「決まってる! 今すぐ城に戻って偽者をぶっ飛ばしてやる!...
急に元気になったサイトは血気盛んとなり、視界に入ってい...
「おいサイトくん! 走るのは良いが! そっちは出口じゃな...
男の声を聞いたサイトは急いで戻ってくる。
男は一足先に出口へと歩き始め、サイトは見失わないように...
しばらくして、サイトと男は洞窟から抜け出し、森へと出た。
大空はまだ青く、太陽もまだに夕日に近い頃であり、まだ夜...
「名乗ってなかったな、俺の名前はゾラって言うしがない傭兵...
それと城に行っても間に合わない、今日ここら辺で密輸の取...
それにデルフブリンガーに頼まれてね、王都や学園にそれら...
「何でそんな事を……」
ゾラの顔はフードで見えないが、その口が微笑み、子供なら...
またその声はサイトと話していた際の穏やかさはなく、殺気...
「傭兵は生きる為なら幾等でも裏切るさ……デルフ、あの約束を...
「わぁぁぁぁってるよ! 後でブリミルについて思い出した限...
「記憶は忘れたくなくても薄れていくからな……判ってるならそ...
ゾラの命令に従い、サイトはあの洞窟の入り口へと隠れ、そ...
ゾラはただそこに立ち尽くし、密輸相手の到着を待つ事にし...
(さて……奴らが何時来るかで、殺す数が大きく変わるな……)
蒼かった空も暗くなり、夜空には二つの大きな月が浮かび上...
ゾラは明り代わりにあの蒼い光を灯すランタンを取り出し、...
そして暗闇の先からフードを被った女が十体を超えるガーゴ...
「今回も護衛なんだろうが、しかし今日は石人形どもを十体以...
それらに関する事を教えてくれんなら今回の依頼は降りさせ...
ゾラはランタンを腰のベルトへと下げ、両手でその長く大き...
フードの女はガーゴイル達に攻撃の命令を与えようとしたが...
その声はサイトには少し馴染みのある声であった。
「……何故ならトリステインの女王陛下を誘拐しているのだ、警...
たったこれだけの警備で充分なのだ……しかし貴様は奇怪なエ...
「そうか……護衛はこれだけなのか…………女、書物は良い物だ、知...
特に、シャイターンの門に関する書物はエルフの一族にもな...
それからもう一つ言っておきたい事がある……」
女がゾラの横をゆっくりと横切り、ガーゴイルやそれらに守...
それを合図としてサイトが洞窟から抜け出し、先頭のガーゴ...
「ゾラ……貴様裏切ったな!?」
「傭兵は生きる事に忠実なのさ、特に自分の欲望と呼ばれる部...
エルフが用いる”先住魔法”による無詠唱の空気の槍が女を掠...
あらわになった顔の額には微かにルーン文字が見え隠れして...
「だが、貴様の裏切りも予想済みなのだ! だからこそ”あれ”...
空に一騎の竜騎が現れ、それから一人の人が飛び降り、馬車...
黒髪に黒眼というこの世界では珍しい存在である身体をし、...
その背には一振りの長物を背負い、ゆっくりとその剣を抜き...
「あれが俺の偽者か!」
「偉そうに語るから何かと思えば……何だ、所詮は似せて作った...
「唯の偽者ではない事を思い知るが良い!」
偽サイトが本物のサイトに切りかかるが、その斬撃は防がれ...
偽サイトは何度も何度も偽デルフを振り回すが、それは本物...
何度も何度も火花が咲き、どちらが本物かはその腕が示した...
「ふふっ、人形や偽者と遊んでいろ!」
シェフィールドが馬車に飛び乗り、馬車を森の中へと走らせ...
「あの女、女王を攫って人質にするつもりか!? これ以上”無...
ゾラは腰から左腕用の短剣マインゴーシュでガーゴイルの鋭...
四方から更にガーゴイルの追撃が襲い掛かるが、マインゴー...
四つの石人形の首が地面に転げ落ち、地面に落としたマイン...
その際にフードがズレ落ちてしまい、銀色の髪と眼が綺麗な...
「おい相棒やばいぞ! 闇夜の森で逃げ切られたらどうにもな...
「でもこの偽者! 結構強いし……石から作ったのか固いぞ!」
デルフブリンガーの切れ味を持ってしても切れない人形は手...
ゾラもガーゴイルを切り伏せるが、時間が掛かり過ぎてしま...
「退けよ! 姫様をたすけなきぁいけないんだ!」
「本物の俺……お前を殺せば、俺は俺になれるんだ! 死ねぇぇ...
焦る気持ちが剣を乱れを生み、執念が強さを際立たせる。
それらの要素が折り重なり、偽者が本物を追い詰め、互い崩...
「相棒!」
「サイト君!」
どうやっても防ぐ事の出来ない凶刃が喉下に突き刺さろうと...
偽者が閃光が放たれたと思われる方向に眼を逸らしたのを本...
「何で…何で俺は”英雄”に生まれたんだ? 何でお前は……俺なら...
渾身の斬撃は偽者を一刀両断し、唯の土くれへと変えてしま...
「……決まってんだろう、俺は俺だからだ」
「相棒は相棒、スケベな犬だからな、お前さんみたいにあっさ...
サイトは仮にも自分を演じていた土くれを悲しい瞳でほんの...
「さて、本物のシュバリエ・サイトを助けたのは銃士隊の諸君...
ゾラの視線の先には幾つモノ影が見え隠れしていたが、その...
一人は言ったら悪いが頭が薄い大きな杖を持った男のメイジ。
もう一人は女で騎士のマントと鎧を着込み、片手には銃を構...
「サイト君……そのエルフから離れなさい」
「まさかあのサイトが偽者とは……貴様は本物だな!」
二人の敵意はゾラに向けられており、口では偽者と言いつつ...
唯の人から見ればエルフは畏怖にして長い歴史の中で大敗と...
「コルベール先生! アニエスさんも待った待った!! この...
「……サイト君、歴史に刻まれた概念や記憶は消えない敵意を作...
まぁ昔に人間を虐殺した事もあったから、判る人には判るん...
不敵な笑みを浮かべながらゾラはマインゴーシュを鞘へと納...
アニエスも銃を構えゾラの頭部に照準を定めるが、コルベー...
ゾラとコルベールが互いを震えながらも指差し、ゆっくりと...
「…………”そよ風は吹き荒れて”」
「…………”カガリ火は業炎へと化す”」
コルベールとゾラは互いの武器を下げ、互いに力強く握手す...
サイトとアニエスは何が何だか理解できず、首を傾げている。
「まさか”そよ風”君とはな……顔の火傷はあえて消してないのか...
「友の傷は消さんさ……さて急ごうぜ”炎蛇”女王を助ける騎士様...
「そうだな、サイト君はゾラの背中に! シュバリエ・アニエ...
サイトは素直にゾラに背負われるが、アニエスの方はなにや...
いや、お姫様抱っこと呼ばれる体勢になっている為、抱える...
二人が静かに詠唱を始め、二人の身体が地面からほんの少し...
そしてコルベールの詠唱が完了した時、二人の身体は暴風に...
その速度は風竜顔負けの速度に到達しており、先行していた...
その先頭は青い韻竜シルフィードであり、そのすぐ後ろには...
その少し前にはシェフィールドが駆る、アンリエッタを乗せ...
「サイト! 何でここに居んのよ!? あんた空から追ってた...
「あれは偽者だったんだよ! 本物の俺はここ数日間死に掛け...
シルフィードの背に居るルイズとサイトの口喧嘩が始まるが...
ゾラの事など何も止めず普通に話し、ただ追撃している。
「サイト君……君は良い主を持っているようだね? ……飛んでみ...
「冗談じゃない! 毎度毎度鞭打たれる俺の身にもなってくだ...
その言葉の意味を聞く間もなくサイトはゾラに馬車まで思い...
サイトは言葉にもならない悲鳴をあげながらも馬車にデルフ...
「銃士隊! 誰でも良い! 銃を一丁寄越せ! ”炎蛇”!」
ゾラは投げ渡される銃を受け取り、狙いを定め、弾丸に空気...
それにコルベールが火を与える事でそれは強力な炎の槍と化...
そして馬車の中へサイトが突入し、中からアンリエッタを見...
「姫様! 無事ですか!?」
「サイトさん! 助けに来てくださったのですか!?」
サイトがアンリエッタを抱えて馬車から飛び降りると同時に...
シェフィールドは舌打ちすると、そのまま逃げ去っていった。
「隊長! 追撃しますか!」
「いや追うな! 我々の任務は女王陛下の救出だ! 皆ごくろ...
コルベールに抱っこされた状態で言われても、どこか間抜け...
「隊長……なんか説得力ありませんよ?」
アニエスは顔を真っ赤にしてコルベールから降り、再度指示...
サイトは涙を必死に堪えているアンリエッタに抱きつかれて...
タバサもその傍にいるが、あくまでサイトの味方である為彼...
「……良い生徒達だな、今は何と名乗ってるんだ?」
「コルベールと名乗っている……あれから多くの戦いや殺しをし...
それに君もその傷を残している、勘違いであったとは言えど...
そして王国の杖としての最後であるダングテールの虐殺……私...
コルベールの瞳は何処か遠くを見ており、ゾラは”英雄”であ...
どれもまだ戦争などに”飲まれた”眼をしておらず、虐殺者で...
「平和か……サイト君は切り捨てられないと良いな、少なくとも...
覚えてるか? 俺とお前の出会いは一つの村を滅ぼした時だ...
お偉いに反発して、シャイターンの門についた調べて、エル...
平和とかお偉いさんは真っ先に俺やお前……そして”英雄”を切...
「そうだろうな……内心私もサイト君を恐れている部分がある、...
”英雄”の闘争心の矛先や”虚無”の行く末などに怯えてしまう...
君はどうする気だ? その物言いだと里には戻れない、そし...
コルベールの問いにゾラは真剣に考え込んでしまう。
一方サイト達は帰還の支度を整えつつある……サイトはまるで...
サイトがルイズとタバサにシルフィードに乗せられると、ア...
ゾラは何か思いついたかのようにアンリエッタに近づくが、...
しかしコルベールが傍に立った事でアニエスは剣を下げ、メ...
「エルフの民よ、私に何用でしょうか?」
「……アンリエッタ女王、貴女様に折入って頼みがございます、...
私は”虚無”についての知識やエルフとしての実力を持ってい...
貴女様が望むなら”裏”の仕事も何なりとこなしましょう……願...
アンリエッタは考え込むが、周りのメイジ達は猛反発を始め...
「冗談じゃない! エルフなんて信じれるか! そう言って学...
「サイトを隠し偽者を送り込んだのもお前の仕事じゃないのか...
「女王陛下に直に頼み込むなんてうらやま……とにかく信じれな...
メイジ達は反発しているが、実戦になればこの場に居る全員...
だがやはり、植えつけられた歴史の事実は簡単には拭い去れ...
「陛下、一教員の身でありますが彼の実力や忠義は信頼に値す...
「おい周りの兄ちゃん達よ、相棒の命を三日三晩不眠で救った...
確かにあの野郎と組んでたのは真実だけどよ……頼むからよ、”...
コルベールが頭を下げ、デルフが真剣に語るだけで信じれる...
ゾラも鎌を地面に突き刺し、マインゴーシュを地に置き、頭...
「姫様……その人が命の恩人なのは本当です……だから…お願いしま...
ボロ雑巾のようになっていたサイトも微かだがアンリエッタ...
流石に当の本人がこう言っているのでは周りは信じるほかな...
それが女王であり、アンリエッタなのだから……無論サイトの...
「……判りました、後日学院への編入の手続きを行いましょう
しかし忘れないで下さい、これはシュバリエ・サイトやその...
その事を決して忘れぬように……」
「陛下、その広きお心ありがとうございます……このご恩、決し...
周りの者も女王陛下の決定を覆すほどの権力も証拠も持ち合...
それにあのコルベールが信頼するエルフに興味を持つ者も少...
「では皆様、帰りましょう」
アンリエッタの号令で一同は一斉に城を目指して走り始める。
「……これで当面の生活は何とかなる、傷の礼も出来る、”虚無”...
その場に残ったゾラはポツリとそう愚痴をこぼし、あの隠れ...
その数日後、学院に着任したゾラはコルベールの補助教員と...
「おいコルベール! その薬をそれに混ぜたら!?」
それから学院ではその実験室からの爆発がルイズの爆発の様...
終了行:
トリステインの近くにある大山の真下に存在する巨大な地底...
地面に横たわった身体には薄手の毛布が掛けられており、ル...
しかし身体には大量の包帯が巻かれ、地下水の所為で気温が...
「これはこれは騎士様……お目覚めはどうですか?」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
寝起きのサイトに後ろから真っ黒なフードを被った人物から...
フードの男の顔は見えず、左手には蒼い灯りを放つランタン...
おまけに肩には鋭い眼光を発している真っ黒な鳥が居座り、...
サイトの顔は彼の姿と自分の世界でよく聞く存在と一致した...
「俺もとうとう死んだのか!? ここは血の池地獄か! しか...
「おい相棒、何言ってんだ? ここは唯の地底湖だぜ? それ...
変な喋り方をした喋る剣デルフの声が暴走しているサイトを...
フードの男も何を言っているのかさっぱりで、首を傾げる。
「デッデルフ! そうか俺は生きてんだな? 死んでないんだ...
「まぁそこに居るフードの傭兵の兄ちゃんの看護がなかったら...
「寝起きでそれだけ喋れれば大丈夫だな、これ食ってもっと元...
フードの男はランタンを地面に置き、背負っていた袋を地面...
それらを手早く捌き、火を点け、鉄の鍋を用意し、傍の湖か...
鍋から立ち上る煙が寝起きのサイトの胃袋を刺激し、腹の虫...
「騎士様には貧相だろうが、これでも立派な飯だ……しかし何で...
サイトは器に注がれているスープを恐る恐る食べるが、それ...
男もゆっくりと料理を食べ始め、空になったサイトの器にス...
食う事に夢中のサイトに代わって、デルフが淡々と理由を述...
「なぁに、ちょっと他の譲ちゃん達とイチャイチャしてた所を...
しかし相棒も良く粘ったよなぁ! ”エクスプロージョン”に...
「……ルイズ、シエスタ、姫様、タバサ……皆心配してるだろうけ...
サイトが一気に残ったスープを食べ、両手を合わせてから器...
「そりゃあ大変だったな……どうりでここら一帯が清貧女王直下...
まぁ……変な木偶人形どもや石人形達もうろついてたが、それ...
「ギーシュやアニエスさんも来てるのか! あぁそういえば名...
本当に助けてくれてありがとうございました!」
フードの男が首を傾げ、ゆっくりと答えを出す。
「はっ? 何を言ってるんだい? シュバリエ・サイトはトリ...
だから女王直属の部隊が動いてるんだろ? 君も類を見ない...
「ちょっと待ってください! 俺が城に居る!? 姫様が行方...
サイトが男に掴みかかるが、その腕は容易く外され、頬に一...
サイトは眼を白黒させながらも男からデルフを受け取り、ゆ...
「まぁどっかの誰かがやっかいな事をしてるのは確かだな……ど...
「決まってる! 今すぐ城に戻って偽者をぶっ飛ばしてやる!...
急に元気になったサイトは血気盛んとなり、視界に入ってい...
「おいサイトくん! 走るのは良いが! そっちは出口じゃな...
男の声を聞いたサイトは急いで戻ってくる。
男は一足先に出口へと歩き始め、サイトは見失わないように...
しばらくして、サイトと男は洞窟から抜け出し、森へと出た。
大空はまだ青く、太陽もまだに夕日に近い頃であり、まだ夜...
「名乗ってなかったな、俺の名前はゾラって言うしがない傭兵...
それと城に行っても間に合わない、今日ここら辺で密輸の取...
それにデルフブリンガーに頼まれてね、王都や学園にそれら...
「何でそんな事を……」
ゾラの顔はフードで見えないが、その口が微笑み、子供なら...
またその声はサイトと話していた際の穏やかさはなく、殺気...
「傭兵は生きる為なら幾等でも裏切るさ……デルフ、あの約束を...
「わぁぁぁぁってるよ! 後でブリミルについて思い出した限...
「記憶は忘れたくなくても薄れていくからな……判ってるならそ...
ゾラの命令に従い、サイトはあの洞窟の入り口へと隠れ、そ...
ゾラはただそこに立ち尽くし、密輸相手の到着を待つ事にし...
(さて……奴らが何時来るかで、殺す数が大きく変わるな……)
蒼かった空も暗くなり、夜空には二つの大きな月が浮かび上...
ゾラは明り代わりにあの蒼い光を灯すランタンを取り出し、...
そして暗闇の先からフードを被った女が十体を超えるガーゴ...
「今回も護衛なんだろうが、しかし今日は石人形どもを十体以...
それらに関する事を教えてくれんなら今回の依頼は降りさせ...
ゾラはランタンを腰のベルトへと下げ、両手でその長く大き...
フードの女はガーゴイル達に攻撃の命令を与えようとしたが...
その声はサイトには少し馴染みのある声であった。
「……何故ならトリステインの女王陛下を誘拐しているのだ、警...
たったこれだけの警備で充分なのだ……しかし貴様は奇怪なエ...
「そうか……護衛はこれだけなのか…………女、書物は良い物だ、知...
特に、シャイターンの門に関する書物はエルフの一族にもな...
それからもう一つ言っておきたい事がある……」
女がゾラの横をゆっくりと横切り、ガーゴイルやそれらに守...
それを合図としてサイトが洞窟から抜け出し、先頭のガーゴ...
「ゾラ……貴様裏切ったな!?」
「傭兵は生きる事に忠実なのさ、特に自分の欲望と呼ばれる部...
エルフが用いる”先住魔法”による無詠唱の空気の槍が女を掠...
あらわになった顔の額には微かにルーン文字が見え隠れして...
「だが、貴様の裏切りも予想済みなのだ! だからこそ”あれ”...
空に一騎の竜騎が現れ、それから一人の人が飛び降り、馬車...
黒髪に黒眼というこの世界では珍しい存在である身体をし、...
その背には一振りの長物を背負い、ゆっくりとその剣を抜き...
「あれが俺の偽者か!」
「偉そうに語るから何かと思えば……何だ、所詮は似せて作った...
「唯の偽者ではない事を思い知るが良い!」
偽サイトが本物のサイトに切りかかるが、その斬撃は防がれ...
偽サイトは何度も何度も偽デルフを振り回すが、それは本物...
何度も何度も火花が咲き、どちらが本物かはその腕が示した...
「ふふっ、人形や偽者と遊んでいろ!」
シェフィールドが馬車に飛び乗り、馬車を森の中へと走らせ...
「あの女、女王を攫って人質にするつもりか!? これ以上”無...
ゾラは腰から左腕用の短剣マインゴーシュでガーゴイルの鋭...
四方から更にガーゴイルの追撃が襲い掛かるが、マインゴー...
四つの石人形の首が地面に転げ落ち、地面に落としたマイン...
その際にフードがズレ落ちてしまい、銀色の髪と眼が綺麗な...
「おい相棒やばいぞ! 闇夜の森で逃げ切られたらどうにもな...
「でもこの偽者! 結構強いし……石から作ったのか固いぞ!」
デルフブリンガーの切れ味を持ってしても切れない人形は手...
ゾラもガーゴイルを切り伏せるが、時間が掛かり過ぎてしま...
「退けよ! 姫様をたすけなきぁいけないんだ!」
「本物の俺……お前を殺せば、俺は俺になれるんだ! 死ねぇぇ...
焦る気持ちが剣を乱れを生み、執念が強さを際立たせる。
それらの要素が折り重なり、偽者が本物を追い詰め、互い崩...
「相棒!」
「サイト君!」
どうやっても防ぐ事の出来ない凶刃が喉下に突き刺さろうと...
偽者が閃光が放たれたと思われる方向に眼を逸らしたのを本...
「何で…何で俺は”英雄”に生まれたんだ? 何でお前は……俺なら...
渾身の斬撃は偽者を一刀両断し、唯の土くれへと変えてしま...
「……決まってんだろう、俺は俺だからだ」
「相棒は相棒、スケベな犬だからな、お前さんみたいにあっさ...
サイトは仮にも自分を演じていた土くれを悲しい瞳でほんの...
「さて、本物のシュバリエ・サイトを助けたのは銃士隊の諸君...
ゾラの視線の先には幾つモノ影が見え隠れしていたが、その...
一人は言ったら悪いが頭が薄い大きな杖を持った男のメイジ。
もう一人は女で騎士のマントと鎧を着込み、片手には銃を構...
「サイト君……そのエルフから離れなさい」
「まさかあのサイトが偽者とは……貴様は本物だな!」
二人の敵意はゾラに向けられており、口では偽者と言いつつ...
唯の人から見ればエルフは畏怖にして長い歴史の中で大敗と...
「コルベール先生! アニエスさんも待った待った!! この...
「……サイト君、歴史に刻まれた概念や記憶は消えない敵意を作...
まぁ昔に人間を虐殺した事もあったから、判る人には判るん...
不敵な笑みを浮かべながらゾラはマインゴーシュを鞘へと納...
アニエスも銃を構えゾラの頭部に照準を定めるが、コルベー...
ゾラとコルベールが互いを震えながらも指差し、ゆっくりと...
「…………”そよ風は吹き荒れて”」
「…………”カガリ火は業炎へと化す”」
コルベールとゾラは互いの武器を下げ、互いに力強く握手す...
サイトとアニエスは何が何だか理解できず、首を傾げている。
「まさか”そよ風”君とはな……顔の火傷はあえて消してないのか...
「友の傷は消さんさ……さて急ごうぜ”炎蛇”女王を助ける騎士様...
「そうだな、サイト君はゾラの背中に! シュバリエ・アニエ...
サイトは素直にゾラに背負われるが、アニエスの方はなにや...
いや、お姫様抱っこと呼ばれる体勢になっている為、抱える...
二人が静かに詠唱を始め、二人の身体が地面からほんの少し...
そしてコルベールの詠唱が完了した時、二人の身体は暴風に...
その速度は風竜顔負けの速度に到達しており、先行していた...
その先頭は青い韻竜シルフィードであり、そのすぐ後ろには...
その少し前にはシェフィールドが駆る、アンリエッタを乗せ...
「サイト! 何でここに居んのよ!? あんた空から追ってた...
「あれは偽者だったんだよ! 本物の俺はここ数日間死に掛け...
シルフィードの背に居るルイズとサイトの口喧嘩が始まるが...
ゾラの事など何も止めず普通に話し、ただ追撃している。
「サイト君……君は良い主を持っているようだね? ……飛んでみ...
「冗談じゃない! 毎度毎度鞭打たれる俺の身にもなってくだ...
その言葉の意味を聞く間もなくサイトはゾラに馬車まで思い...
サイトは言葉にもならない悲鳴をあげながらも馬車にデルフ...
「銃士隊! 誰でも良い! 銃を一丁寄越せ! ”炎蛇”!」
ゾラは投げ渡される銃を受け取り、狙いを定め、弾丸に空気...
それにコルベールが火を与える事でそれは強力な炎の槍と化...
そして馬車の中へサイトが突入し、中からアンリエッタを見...
「姫様! 無事ですか!?」
「サイトさん! 助けに来てくださったのですか!?」
サイトがアンリエッタを抱えて馬車から飛び降りると同時に...
シェフィールドは舌打ちすると、そのまま逃げ去っていった。
「隊長! 追撃しますか!」
「いや追うな! 我々の任務は女王陛下の救出だ! 皆ごくろ...
コルベールに抱っこされた状態で言われても、どこか間抜け...
「隊長……なんか説得力ありませんよ?」
アニエスは顔を真っ赤にしてコルベールから降り、再度指示...
サイトは涙を必死に堪えているアンリエッタに抱きつかれて...
タバサもその傍にいるが、あくまでサイトの味方である為彼...
「……良い生徒達だな、今は何と名乗ってるんだ?」
「コルベールと名乗っている……あれから多くの戦いや殺しをし...
それに君もその傷を残している、勘違いであったとは言えど...
そして王国の杖としての最後であるダングテールの虐殺……私...
コルベールの瞳は何処か遠くを見ており、ゾラは”英雄”であ...
どれもまだ戦争などに”飲まれた”眼をしておらず、虐殺者で...
「平和か……サイト君は切り捨てられないと良いな、少なくとも...
覚えてるか? 俺とお前の出会いは一つの村を滅ぼした時だ...
お偉いに反発して、シャイターンの門についた調べて、エル...
平和とかお偉いさんは真っ先に俺やお前……そして”英雄”を切...
「そうだろうな……内心私もサイト君を恐れている部分がある、...
”英雄”の闘争心の矛先や”虚無”の行く末などに怯えてしまう...
君はどうする気だ? その物言いだと里には戻れない、そし...
コルベールの問いにゾラは真剣に考え込んでしまう。
一方サイト達は帰還の支度を整えつつある……サイトはまるで...
サイトがルイズとタバサにシルフィードに乗せられると、ア...
ゾラは何か思いついたかのようにアンリエッタに近づくが、...
しかしコルベールが傍に立った事でアニエスは剣を下げ、メ...
「エルフの民よ、私に何用でしょうか?」
「……アンリエッタ女王、貴女様に折入って頼みがございます、...
私は”虚無”についての知識やエルフとしての実力を持ってい...
貴女様が望むなら”裏”の仕事も何なりとこなしましょう……願...
アンリエッタは考え込むが、周りのメイジ達は猛反発を始め...
「冗談じゃない! エルフなんて信じれるか! そう言って学...
「サイトを隠し偽者を送り込んだのもお前の仕事じゃないのか...
「女王陛下に直に頼み込むなんてうらやま……とにかく信じれな...
メイジ達は反発しているが、実戦になればこの場に居る全員...
だがやはり、植えつけられた歴史の事実は簡単には拭い去れ...
「陛下、一教員の身でありますが彼の実力や忠義は信頼に値す...
「おい周りの兄ちゃん達よ、相棒の命を三日三晩不眠で救った...
確かにあの野郎と組んでたのは真実だけどよ……頼むからよ、”...
コルベールが頭を下げ、デルフが真剣に語るだけで信じれる...
ゾラも鎌を地面に突き刺し、マインゴーシュを地に置き、頭...
「姫様……その人が命の恩人なのは本当です……だから…お願いしま...
ボロ雑巾のようになっていたサイトも微かだがアンリエッタ...
流石に当の本人がこう言っているのでは周りは信じるほかな...
それが女王であり、アンリエッタなのだから……無論サイトの...
「……判りました、後日学院への編入の手続きを行いましょう
しかし忘れないで下さい、これはシュバリエ・サイトやその...
その事を決して忘れぬように……」
「陛下、その広きお心ありがとうございます……このご恩、決し...
周りの者も女王陛下の決定を覆すほどの権力も証拠も持ち合...
それにあのコルベールが信頼するエルフに興味を持つ者も少...
「では皆様、帰りましょう」
アンリエッタの号令で一同は一斉に城を目指して走り始める。
「……これで当面の生活は何とかなる、傷の礼も出来る、”虚無”...
その場に残ったゾラはポツリとそう愚痴をこぼし、あの隠れ...
その数日後、学院に着任したゾラはコルベールの補助教員と...
「おいコルベール! その薬をそれに混ぜたら!?」
それから学院ではその実験室からの爆発がルイズの爆発の様...
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