ゼロの使い魔保管庫
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※注意※
・本作は18禁です。
・パラレルものであり、設定なども原作と大分(というよりほ...
・一部キャラ崩壊等もあります。
上記要素を多分に含んでも問題ないという方は、このまま読...
拙いできですが、読んでいただければ幸いです。
プロローグ:捕虜
ハルケギニア大陸にある王政国家、トリステイン王国。
トリステイン王家に統治される小国は今、戦乱の渦中にあっ...
それは当初、これまで起きた暴動や反乱と同じく、すぐに鎮...
内戦の拡大と長期化は、すなわち国力や統治力の低下、ひい...
草原で激突する2つの軍勢。
方や王家の紋章が描かれた旗を翻し、立派な武具で身を固め...
方や寄せ集めの武具で身を固めた統一感の欠片もない、いか...
戦場で衝突していたのは、トリステイン王国の正規軍と反乱...
戦いは、数と質で勝る正規軍による圧倒的な勝利で終わると...
それもこれも、すべてはその少年1人のせいだった。
この大陸にあっては珍しい黒い色の髪を少年。
王国の支配層たちからは「メイジ殺し」「王家最大の敵」と...
名を、サイト・ヒラガという。
「よし、敵は陣形を崩し始めた! 一気に蹴散らすぞ!」
身の丈ほどある大剣を両手で握り、先陣を駆け抜けるサイト...
そうだ、メイジがなんだ。魔法がなんだ。王国軍がなんだ――
俺たちには彼がいる。解放者が。人民の英雄が――
恐れる必要なんかない! 俺たちは勝てる! 勝てるんだ!――
大気を振るわせんとするほどの怒声と共に反乱の戦士たちは...
戦場からやや離れた場所に布かれた王国軍の野営地。
司令部として使われているテントに伝令の兵士が駆け込む。
「失礼いたします!」
兵士はテントの中に入ると、ソファ――まるで宮殿にあったも...
――もっとも、将軍といっても伝令の兵士よりははるかに若い...
ウェーブのかかったピンク色の長い髪。
王国の支配者や兵士たちからは「軍神」「戦乙女」という名...
名を、ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエールとい...
「あら、何事かしら? もう、あの生意気な犬どもを皆殺しに...
兵士は答えた。
「前線より報告! 敵軍の先鋒にあのメイジ殺し――サイト・ヒ...
サイト・ヒラガ――その言葉にテント内にいたルイズ将軍の参...
「サイト・ヒラガ――あのメイジ殺しの…!」
「まずいな、これは…」
「最悪、一時後退という事態も…」
動揺する参謀たちに対し、ルイズはまったく動じず、ただた...
「もう、何よ。トリステイン王国の誉れ高き将兵が、群のボス...
自分たちよりはるかに若い将軍の言葉に参謀たちは口ごもる。
「し、しかし、将軍…相手は、あのメイジ殺しの…」
「ええ、知ってるわよ。何しろ、王家最大の敵なんていう身分...
「なら、ご存知でしょう。今まであの男と戦い、敗れ去った将...
そう言いかけた矢先、ルイズはおもむろに席を立つとテント...
「将軍、どちらへ?」
「ちょっと教育してくるわ」
言って懐から愛用の杖を取り出す。
それを見て参謀たちは、将軍が何をしようとしているのか悟...
「将軍、危険です! 何も戦場の真っ只中に赴かずとも――」
「司令部で報告を待ったり、地図を睨むのにも飽きてたところ...
そういうなり、ルイズは杖を振るい、空へと舞い上がった。
戦いは、反乱軍が優勢になっていた。王国軍は、敵の思わぬ...
「よし、行けるぞ! このまま勢いに任せて敵陣を食い荒らす...
勢いづく戦士たち。なおも前進を続けようとしたその時、後...
「なんだ!?」
サイトは何事かと振り返る。視界に映ったのは、巨大な爆発...
虚を突かれた攻撃に先ほどまでの勢いは削がれる。そして爆...
「爆発の魔法…あいつしかいない!」
ハルケギニア広しと言えど、爆発する魔法を使うメイジは1...
殺戮姫。最凶のメイジ。
「――ルイズ・フランソワーズ!」
その名を口にすると共にサイトは空を見上げた。
その視線の先に殺戮姫――ルイズは佇んでいた。
ルイズは杖を振るい、サイトの前に着地する。
「大将が自ら前線で戦うなんて、まるで野党ね――まあ、おかげ...
不敵な笑みを浮かべるルイズ。対するサイトは剣を構え、そ...
「手間が省けただぁ? それはこっちのセリフだ! 大将の――...
それを聞き、ルイズは盛大に笑った。
「あっはっはっはっは!」
「何がおかしい!」
激昂するサイト。ルイズは続ける。
「やっぱり駄犬の考える事は浅はかね! 私を討てば王室が弱...
「このくそ女ッ――ほざけ!」
地面を蹴り、前に踏み出すサイト。
直後、ルイズは杖を振るった。
「身の程知らずの駄犬が! 躾けてあげるわ!」
杖の先端が激しく光る。
瞬間、サイトの意識は途切れた。
目が覚めた時、サイトは床に突っ伏していた。
(ここは…?)
ぼんやりとした意識の中、顔を上げて辺りを見回す。
硬い木の床に木の壁。そして採光用の小さな窓――否、正確に...
一瞬、牢屋の中だと思ったが、床が激しく揺れており、外か...
どうやらここは、罪人護送用の馬車の中らしい。
(くそ、捕まったのか、俺は…)
起き上がろうと両手両足を動かした時、サイトは異変に気づ...
両腕は後ろに回され、手錠で繋がれている。足も同様に鎖で...
だが、問題はそこではなかった。手錠や足枷など虜囚の身で...
サイトの身に起きている最大の異常――それは、全裸という事...
(なッ…裸…全裸じゃねぇか! くそ、何のつもりだ!)
羞恥心が一気にこみ上げ、顔が紅潮する。幸い、囚人護送用...
(くそ、なに考えてやがるんだ…)
サイトはとりあえず上体を起こし、ついで立ち上がると鉄格...
どうやら馬車は街道を走っているようだが、それ以上の事は...
(どこへ連れて行くんだ…?)
腰を下ろし、背中を壁に預けるとサイトは思考を巡らせた。
自分は反乱軍の指導者。当然、身柄を拘束されれば、待って...
(ほんと、俺をどうするつもりなんだ…くそッ!)
苛立つサイトは、思わず後頭部を壁に打ち付ける。
今すぐにでも知りたいことは他にもあった。あの戦いからど...
不安ばかりが募っていく。
やがて馬車は、目的地に着いたのか停車した。間もなくして...
「出ろ」
甲冑を身にまとう兵士がサイトに命じる。
首輪と枷以外は何も身につけていないという全裸以上に羞恥...
「お、おい、せめて上着ぐらいは…」
「いいから降りろ、ヴァリエール将軍がお待ちだ!」
言って兵士はサイトの身体を掴み、馬車から乱暴に引きずり...
外にいる他の兵士たちの視線を気にしつつ、サイトは歩いて...
自分が連れてこられたのは、城だった。それも城砦といった...
「ちょっと待て、どこだよここ! それにこの格好のまま、中...
わめくサイト。だが、兵士たちは沈黙を保ったままだ。
これだけの城だ。中には当然、使用人が大勢いるはずだ。こ...
しかし、兵士たちは問答無用でサイトを歩かせ、城内に入っ...
王宮を思わせる立派な外観と同様、中も豪華な作りになって...
そして案の定、使用人――メイドたちもいた。
事前にこの事を伝えられていたのか、全裸で歩かされている...
「ねえ、あれが例の、反乱軍の?」
「やだ、本当に全裸よ。信じられないわ」
「英雄もああなったらお終いねぇ」
「姫様は何をお考えなのかしらね」
あちこちから聞こえてくる、せせら笑いも含んだメイドたち...
(くそッ…最悪だ! いっその事、殺してくれ!)
心の中で絶叫する。
間もなくしてサイトは、その部屋の前に到着する。兵士の1...
「ヴァリエール将軍、お連れしました」
「ご苦労、入りなさい」
扉の向こうから聞こえてくる、聞き覚えのある声にサイトは...
扉が開き、一行は室内に入る。
広々とした部屋の中で声の主――ルイズは、天蓋のついたキン...
「やっと着いたわね」
言ってルイズは読んでいた本を閉じ、ベッドから起き上がっ...
将軍が歩み寄るのを見て兵士たちはサイトをその場に跪かせ...
ほぼ全裸に近い格好をさせられているサイトを見下ろし、ル...
「やっぱり、思ったとおりね。なかなか犬らしい格好でお似合...
その言葉にサイトは顔を上げ、ルイズを睨みつける。その眼...
「野良犬のくせに…いえ、野良犬だからでしょうね。ずいぶんと...
「てめ――ルイズ! 答えろ、いったい何のつもりだ!」
「何のつもりって、何が?」
「とぼけんな! 俺をこんな格好にして、こんなところに連れ...
怒声を張り上げるサイトにルイズは「やれやれ」と言いたげ...
「まったく、キャンキャンうるさい犬ね。まあ、いいわ。とり...
ルイズはサイトにあの後――意識が途切れた後の事を洗いざら...
あの戦いでルイズの爆発魔法を受けたサイトは気絶し、それ...
反乱軍はといえば、サイトが倒された事と殺戮姫の出陣とあ...
そして戦場で意識を失っていたサイトは捕虜として捕らえら...
「――とまあ、こんなところかしら。納得したかしら?」
「まだだ。まだ聞きたい事がある。なんで俺を捕らえ、あまつ...
「ええ、殺そうかと思ったわ。一応、王宮からの命令でもそう...
「なら――」
さっさとそうしろ、と言いかけたところでその言葉をさえぎ...
「でも、それじゃつまらないわ」
「つまらない、だと?」
サイトは眉間にしわを寄せる。
「ええ、つまらないわ。なんだかんだ言ってあんたは、平民た...
「お、堕とすだって?」
「ええ、そうよ。あんたを『人間』から『犬』に堕とすのよ。...
ルイズの言葉にサイトは、頭に血を上らせる。瞬く間に冷静...
「ふざけるな、てめぇ!」
喚き、飛び掛ろうとする。だが即座に周りにいた兵士たちに...
「くそ、離せ! 離しやがれ! くそ! ふざけるな! 殺せ...
睨み付けるサイト。だが、ルイズはまるでつまらなさそうな...
「へえ、死んだ方がマシって言うの?」
「当たり前だ! 何度でも言ってやる! お前らの犬には絶対...
「別にいいわよ」
予想外の言葉にサイトは呆気に取られる。
「良いって…おい、どういう事だ!」
「その言葉の意味よ。死ぬ方が良いなら勝手に死になさい。舌...
「なら、今すぐここで――」
殺せ!――そう言おうとした矢先、再びルイズが言葉をさえぎ...
「その代わり、反乱軍の捕虜……そうね、全員で1000人ぐら...
その言葉にサイトは絶句し、硬直した。ルイズは続けた。
「まず、全員を素っ裸にするわ。男も女も関係なくね。それで...
まるでどんなお遊びをしようか考えている子供のように楽し...
「……汚ねぇッ! 最悪だ! この売女! 鬼畜!」
「褒め言葉として受け取っておくわ。それでどうするの? 自...
いわれ、ぐっと言葉をつまらせる。
英雄――ルイズはあえてそう呼んだ。
捕虜にされた1000人は、自分たちにつき従い、命を懸け...
なら、答えは決まっている――サイトは口を開いた。
「……分かった。大人しく従う」
「賢明な判断ね」
「だが、覚えておけ。俺は絶対に屈しないからな」
「そうでなければつまらないわ」
かくして、物語は始まる。
終了行:
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拙いできですが、読んでいただければ幸いです。
プロローグ:捕虜
ハルケギニア大陸にある王政国家、トリステイン王国。
トリステイン王家に統治される小国は今、戦乱の渦中にあっ...
それは当初、これまで起きた暴動や反乱と同じく、すぐに鎮...
内戦の拡大と長期化は、すなわち国力や統治力の低下、ひい...
草原で激突する2つの軍勢。
方や王家の紋章が描かれた旗を翻し、立派な武具で身を固め...
方や寄せ集めの武具で身を固めた統一感の欠片もない、いか...
戦場で衝突していたのは、トリステイン王国の正規軍と反乱...
戦いは、数と質で勝る正規軍による圧倒的な勝利で終わると...
それもこれも、すべてはその少年1人のせいだった。
この大陸にあっては珍しい黒い色の髪を少年。
王国の支配層たちからは「メイジ殺し」「王家最大の敵」と...
名を、サイト・ヒラガという。
「よし、敵は陣形を崩し始めた! 一気に蹴散らすぞ!」
身の丈ほどある大剣を両手で握り、先陣を駆け抜けるサイト...
そうだ、メイジがなんだ。魔法がなんだ。王国軍がなんだ――
俺たちには彼がいる。解放者が。人民の英雄が――
恐れる必要なんかない! 俺たちは勝てる! 勝てるんだ!――
大気を振るわせんとするほどの怒声と共に反乱の戦士たちは...
戦場からやや離れた場所に布かれた王国軍の野営地。
司令部として使われているテントに伝令の兵士が駆け込む。
「失礼いたします!」
兵士はテントの中に入ると、ソファ――まるで宮殿にあったも...
――もっとも、将軍といっても伝令の兵士よりははるかに若い...
ウェーブのかかったピンク色の長い髪。
王国の支配者や兵士たちからは「軍神」「戦乙女」という名...
名を、ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエールとい...
「あら、何事かしら? もう、あの生意気な犬どもを皆殺しに...
兵士は答えた。
「前線より報告! 敵軍の先鋒にあのメイジ殺し――サイト・ヒ...
サイト・ヒラガ――その言葉にテント内にいたルイズ将軍の参...
「サイト・ヒラガ――あのメイジ殺しの…!」
「まずいな、これは…」
「最悪、一時後退という事態も…」
動揺する参謀たちに対し、ルイズはまったく動じず、ただた...
「もう、何よ。トリステイン王国の誉れ高き将兵が、群のボス...
自分たちよりはるかに若い将軍の言葉に参謀たちは口ごもる。
「し、しかし、将軍…相手は、あのメイジ殺しの…」
「ええ、知ってるわよ。何しろ、王家最大の敵なんていう身分...
「なら、ご存知でしょう。今まであの男と戦い、敗れ去った将...
そう言いかけた矢先、ルイズはおもむろに席を立つとテント...
「将軍、どちらへ?」
「ちょっと教育してくるわ」
言って懐から愛用の杖を取り出す。
それを見て参謀たちは、将軍が何をしようとしているのか悟...
「将軍、危険です! 何も戦場の真っ只中に赴かずとも――」
「司令部で報告を待ったり、地図を睨むのにも飽きてたところ...
そういうなり、ルイズは杖を振るい、空へと舞い上がった。
戦いは、反乱軍が優勢になっていた。王国軍は、敵の思わぬ...
「よし、行けるぞ! このまま勢いに任せて敵陣を食い荒らす...
勢いづく戦士たち。なおも前進を続けようとしたその時、後...
「なんだ!?」
サイトは何事かと振り返る。視界に映ったのは、巨大な爆発...
虚を突かれた攻撃に先ほどまでの勢いは削がれる。そして爆...
「爆発の魔法…あいつしかいない!」
ハルケギニア広しと言えど、爆発する魔法を使うメイジは1...
殺戮姫。最凶のメイジ。
「――ルイズ・フランソワーズ!」
その名を口にすると共にサイトは空を見上げた。
その視線の先に殺戮姫――ルイズは佇んでいた。
ルイズは杖を振るい、サイトの前に着地する。
「大将が自ら前線で戦うなんて、まるで野党ね――まあ、おかげ...
不敵な笑みを浮かべるルイズ。対するサイトは剣を構え、そ...
「手間が省けただぁ? それはこっちのセリフだ! 大将の――...
それを聞き、ルイズは盛大に笑った。
「あっはっはっはっは!」
「何がおかしい!」
激昂するサイト。ルイズは続ける。
「やっぱり駄犬の考える事は浅はかね! 私を討てば王室が弱...
「このくそ女ッ――ほざけ!」
地面を蹴り、前に踏み出すサイト。
直後、ルイズは杖を振るった。
「身の程知らずの駄犬が! 躾けてあげるわ!」
杖の先端が激しく光る。
瞬間、サイトの意識は途切れた。
目が覚めた時、サイトは床に突っ伏していた。
(ここは…?)
ぼんやりとした意識の中、顔を上げて辺りを見回す。
硬い木の床に木の壁。そして採光用の小さな窓――否、正確に...
一瞬、牢屋の中だと思ったが、床が激しく揺れており、外か...
どうやらここは、罪人護送用の馬車の中らしい。
(くそ、捕まったのか、俺は…)
起き上がろうと両手両足を動かした時、サイトは異変に気づ...
両腕は後ろに回され、手錠で繋がれている。足も同様に鎖で...
だが、問題はそこではなかった。手錠や足枷など虜囚の身で...
サイトの身に起きている最大の異常――それは、全裸という事...
(なッ…裸…全裸じゃねぇか! くそ、何のつもりだ!)
羞恥心が一気にこみ上げ、顔が紅潮する。幸い、囚人護送用...
(くそ、なに考えてやがるんだ…)
サイトはとりあえず上体を起こし、ついで立ち上がると鉄格...
どうやら馬車は街道を走っているようだが、それ以上の事は...
(どこへ連れて行くんだ…?)
腰を下ろし、背中を壁に預けるとサイトは思考を巡らせた。
自分は反乱軍の指導者。当然、身柄を拘束されれば、待って...
(ほんと、俺をどうするつもりなんだ…くそッ!)
苛立つサイトは、思わず後頭部を壁に打ち付ける。
今すぐにでも知りたいことは他にもあった。あの戦いからど...
不安ばかりが募っていく。
やがて馬車は、目的地に着いたのか停車した。間もなくして...
「出ろ」
甲冑を身にまとう兵士がサイトに命じる。
首輪と枷以外は何も身につけていないという全裸以上に羞恥...
「お、おい、せめて上着ぐらいは…」
「いいから降りろ、ヴァリエール将軍がお待ちだ!」
言って兵士はサイトの身体を掴み、馬車から乱暴に引きずり...
外にいる他の兵士たちの視線を気にしつつ、サイトは歩いて...
自分が連れてこられたのは、城だった。それも城砦といった...
「ちょっと待て、どこだよここ! それにこの格好のまま、中...
わめくサイト。だが、兵士たちは沈黙を保ったままだ。
これだけの城だ。中には当然、使用人が大勢いるはずだ。こ...
しかし、兵士たちは問答無用でサイトを歩かせ、城内に入っ...
王宮を思わせる立派な外観と同様、中も豪華な作りになって...
そして案の定、使用人――メイドたちもいた。
事前にこの事を伝えられていたのか、全裸で歩かされている...
「ねえ、あれが例の、反乱軍の?」
「やだ、本当に全裸よ。信じられないわ」
「英雄もああなったらお終いねぇ」
「姫様は何をお考えなのかしらね」
あちこちから聞こえてくる、せせら笑いも含んだメイドたち...
(くそッ…最悪だ! いっその事、殺してくれ!)
心の中で絶叫する。
間もなくしてサイトは、その部屋の前に到着する。兵士の1...
「ヴァリエール将軍、お連れしました」
「ご苦労、入りなさい」
扉の向こうから聞こえてくる、聞き覚えのある声にサイトは...
扉が開き、一行は室内に入る。
広々とした部屋の中で声の主――ルイズは、天蓋のついたキン...
「やっと着いたわね」
言ってルイズは読んでいた本を閉じ、ベッドから起き上がっ...
将軍が歩み寄るのを見て兵士たちはサイトをその場に跪かせ...
ほぼ全裸に近い格好をさせられているサイトを見下ろし、ル...
「やっぱり、思ったとおりね。なかなか犬らしい格好でお似合...
その言葉にサイトは顔を上げ、ルイズを睨みつける。その眼...
「野良犬のくせに…いえ、野良犬だからでしょうね。ずいぶんと...
「てめ――ルイズ! 答えろ、いったい何のつもりだ!」
「何のつもりって、何が?」
「とぼけんな! 俺をこんな格好にして、こんなところに連れ...
怒声を張り上げるサイトにルイズは「やれやれ」と言いたげ...
「まったく、キャンキャンうるさい犬ね。まあ、いいわ。とり...
ルイズはサイトにあの後――意識が途切れた後の事を洗いざら...
あの戦いでルイズの爆発魔法を受けたサイトは気絶し、それ...
反乱軍はといえば、サイトが倒された事と殺戮姫の出陣とあ...
そして戦場で意識を失っていたサイトは捕虜として捕らえら...
「――とまあ、こんなところかしら。納得したかしら?」
「まだだ。まだ聞きたい事がある。なんで俺を捕らえ、あまつ...
「ええ、殺そうかと思ったわ。一応、王宮からの命令でもそう...
「なら――」
さっさとそうしろ、と言いかけたところでその言葉をさえぎ...
「でも、それじゃつまらないわ」
「つまらない、だと?」
サイトは眉間にしわを寄せる。
「ええ、つまらないわ。なんだかんだ言ってあんたは、平民た...
「お、堕とすだって?」
「ええ、そうよ。あんたを『人間』から『犬』に堕とすのよ。...
ルイズの言葉にサイトは、頭に血を上らせる。瞬く間に冷静...
「ふざけるな、てめぇ!」
喚き、飛び掛ろうとする。だが即座に周りにいた兵士たちに...
「くそ、離せ! 離しやがれ! くそ! ふざけるな! 殺せ...
睨み付けるサイト。だが、ルイズはまるでつまらなさそうな...
「へえ、死んだ方がマシって言うの?」
「当たり前だ! 何度でも言ってやる! お前らの犬には絶対...
「別にいいわよ」
予想外の言葉にサイトは呆気に取られる。
「良いって…おい、どういう事だ!」
「その言葉の意味よ。死ぬ方が良いなら勝手に死になさい。舌...
「なら、今すぐここで――」
殺せ!――そう言おうとした矢先、再びルイズが言葉をさえぎ...
「その代わり、反乱軍の捕虜……そうね、全員で1000人ぐら...
その言葉にサイトは絶句し、硬直した。ルイズは続けた。
「まず、全員を素っ裸にするわ。男も女も関係なくね。それで...
まるでどんなお遊びをしようか考えている子供のように楽し...
「……汚ねぇッ! 最悪だ! この売女! 鬼畜!」
「褒め言葉として受け取っておくわ。それでどうするの? 自...
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英雄――ルイズはあえてそう呼んだ。
捕虜にされた1000人は、自分たちにつき従い、命を懸け...
なら、答えは決まっている――サイトは口を開いた。
「……分かった。大人しく従う」
「賢明な判断ね」
「だが、覚えておけ。俺は絶対に屈しないからな」
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