ゼロの使い魔保管庫
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才人達は避難の鐘を聞き逃していたらしい
職人達は誰も怪我が無く、きちんと避難していた
水が引いた後、モンモランシー達が来て、全員を回収する
舟の上で全員食事を振る舞われ、モンモランシ伯邸に戻ると、...
「一体何だ?」
「魔法装置を開発するわ。常時錬金を放出する奴。平民でも使...
「魔力の補給法は?」
「平民はどんな形が良い?」
「そうだな、カートリッジ式で交換出来た方が良いわ。そうす...
「今みたいに、対象物を粉にするだけの錬金?」
「あぁ。別の機能が必要なら、その時に違う仕様を製作すれば...
「解った。その方向で行く」
「期間は?」
「一週間。ミスタコルベールが協力してくれるなら、まだ早く...
「解った、二人でやってくれ。じゃあ、その間、俺はルイズの...
「……行くの?」
「あぁ、悪い」
「良いわ、待ってる」
そして職人達に指示を下し、本日は休みで明日から作業再開、...
そして、才人が零戦に乗り込み、エレオノールがプロペラを風...
一気に離陸して行くのを、職人達があんぐりしながら見送り、...
「マルガリタ、何だあの魔法装置は?」
「お父様が袖にした平民のみが動かせる、科学と言う魔法で、...
「むむむむ」
モンモランシ伯が唸りだし、家に戻っていく
『早く、貴方と一緒になりたいわ、ねぇ才人』
* * *
才人達が零戦で学院に戻り、コルベール達と合流すると説明し...
キュルケ達はそのまま製作の手伝いである
才人が到着したおり、既にボイラー本体は形になっており、余...
「流石先生だ、早い」
「二人の協力無しでは無理だったよ。序でに給水タンクの冷気...
「頼みます」
コルベールと握手を交わすとコルベールが微笑む
「今が一番充実してるな」
「そうですね、新規工場が立ち上がれば、俺達の出番は無くな...
「雇用対策にもなると。才人君は政治家かね?」
「そんな事無いです。所詮、利己主義者ですよ」
「そうは見えないんだが?」
「多分……誰よりも……ね」
そう言って、エレオノールが待つ、竜籠に歩いて行った
コルベールも続いて歩き出し、キュルケとギーシュは顔を見合...
「……ダーリンを一人にさせちゃ駄目ね」
「同感。全部始末付けたら、黙って消える積もりだね」
「そうしたらどうするの?」
「聞きたい?」
「勿論」
「最善が才人が留まる。次点が僕が付いて行く。最悪は種だけ...
「あら、もう覚悟決めてるの?」
「そうだよ。もう、悩む段階は過ぎてるんだ」
「ちょっと尊敬するわ、ギーシュ」
「僕にはキュルケの奔放振りが羨ましいよ。そうだ、最近尻周...
「あら、丸みが増えたの?」
「うん、腰周りは逆に落ちたんだけど、何か丸くなっちゃって...
「あらあら、大分愛されちゃってるのが効いたのね。ちょっと...
* * *
エレオノール達は才人をトリスタニアに届けた後、その足でそ...
アカデミーも夏休みの為、職員は留守番以外は殆ど居ない
そんな中、ゴンドランはどうやらまだ居た様だ
秘書のヴァランタンが、相変わらず受け付けをしている
「所長に面会ですか?約束はしてますでしょうか?ミスヴァリ...
「無いわ。ちょっと、通してくれないかしら?」
「そちらのミスタは?」
「上司よ」
「そうですか。では、規則ですので、お約束をしてから、もう...
ヴァランタンはにべも無い
そしてエレオノールは、そんなヴァランタンには慣れっこである
「私はアカデミーの主席研究員よ。融通効かせなさいよ」
「あら、私は女王陛下と言えど、同じ言葉を返すのみですわ。...
「……少し、口の聞き方を選んだら?ヴァランタン」
「あら、アカデミーの中では攻撃魔法は厳禁ですのよ?使った...
「あら、そんな事に大事な魔力と精神力使う訳無いでしょ?う...
その言葉に、ヴァランタンはすっくと立ち上がり、エレオノー...
「やるの?ヴァリエール?」
「やらいでか」
学生時代から散々繰り返された二人の喧嘩
仲裁をした者はそのまま二人に吹っ飛ばされる、正に嵐である
それでも普段はお茶やら酒を同席して、更に喧嘩してるのだか...
コルベールは止めるのも無駄と思いつつ、声をかける
「君達、止めたまえ。学生時代から変わらないのかね?」
「残念ですが、ミスタ」
ヴァランタンが答え、エレオノールと同じく杖と身体を駆使し...
〈今すぐ止めたまえ!!毎回毎回君達は何で衝突するんだ!!私の...
「……止まれば良いのに」
小声で呟いたその声を拾ったのは、傍にいたエレオノールだけ...
〈ミスヴァリエール、何か用かね?〉
「はい、ゼロ機関として参りました」
〈入りたまえ〉
部屋の主の許可が下りた為、ヴァランタンは大人しく道を譲る
「アンタも此方来る?」
「いやぁよ、都落ちなんて」
「今、新しい都作ってんのよ」
「上手く出来たら教えてね。乗り換えるから」
「ただ乗りしようとしても、そうは問屋が卸さないわよ」
「あ、そ」
エレオノールとコルベールがそのまま所長室に入り、中ではゴ...
「全く、君達は何時も何時も衝突して。少しは私の立場にもな...
『多分、遠回りに死ねって、ヴァランタンの挑発だと思うわよ...
エレオノールの気性を熟知してるから、わざと挑発してるとエ...
「申し訳ございません、ミスタゴンドラン。今日はお願いがあ...
「何かね?」
「私の研究室を、ゼロ機関に貸して頂けないでしょうか?」
「……ほう。アカデミーの研究室はアカデミーの財産でな、女王...
「しかし、貸して頂けないと、女王陛下の命が実行出来ません」
「……内容は?」
エレオノールがコルベールを見ると首を振る
守秘義務違反になるからだ
「申し訳ございません。言えません」
「…では、無理としか答えられん」
「陛下の命ですよ!!」
エレオノールが詰め寄り、思わずゴンドランは首をすくめる
「そういきり立つでない、ミスヴァリエール。が、とある条件...
そう言って口を濁すゴンドラン
エレオノールはそんなゴンドランを見て、怪訝な表情を浮かべる
そんなエレオノールに、コルベールは耳打ちをする
「袖の下だよ、ミス」
その瞬間、エレオノールの目が釣り上がる
「ままま、まさか、栄誉ある王立アカデミーの所長ともあろう...
「賄賂?何の事かね?私は研究室の使用料を出してくれるなら...
筋は通っているが、如何せん怪しい
「使用料はアカデミーの予算に充当されますかな?ミスタ?」
此処でコルベールが交渉に口を出す
「さて、君達は君達の研究をやる。私を含め、アカデミーは感...
「…良いでしょう」
そう言って、コルベールは懐から才人に貰った小切手を出し、...
ゴンドランはそのまま金額を確認するとニヤリとする
「この異国のサインは、所長のかね?」
「その通りです、ミスタ」
「支払いが所長からなら、ゼロ機関の総意と取ろう。アカデミ...
「えぇ、その後必要なら、更新の交渉を」
「了解した。後程、契約書類を部屋に届けさせて頂く。我々も...
「では此からは、ミスヴァリエールの研究室は、ゼロ機関が借...
「構わぬよ。必要な機材が有れば言いなさい。レンタルする分...
「判りました。では、女王陛下のゼロ機関副所長、ジャン=コ...
「所長にもよしなにと伝えてくれたまえ。お互いに、神と始祖...
ゴンドランの祝福の言葉でコルベールとゴンドランは握手を交...
「ふん、貸すだけでシュヴァリエ年金の4倍か。此方は陛下の...
* * *
エレオノール達が退出すると、ヴァランタンが話しかけた
「交渉成立?」
「えぇ、アンタが言ってた意味が、良く判ったわよ」
「…そう」
「私の研究室、アカデミーからゼロ機関に切り替わったから、...
「了解。通知と立て札作っておくわ」
こうして、コルベールとエレオノールは魔法学院以上の設備を...
その後、各々の提案を実現させる魔法装置開発に、研究室は多...
居るか居ないか解らず、常にディテクトマジックでサーチされ...
* * *
「……今頃何しに来たのよ?馬鹿犬」
「いや、そう言われても俺も仕事で……」
ドゴッ!!
みぞ落ちに蹴りを食らい、悶絶する才人
「……だから、何でヴァリエール姉妹はこう暴力で応じるんだよ…」
暫く苦しんだ後、才人はルイズに抗議するが、ルイズはちっと...
「うるっさいわね。大事な時に居ないで何が使い魔よ?チップ...
ルイズの屋根裏部屋で、才人はルイズにお仕置きされ、才人は...
「……ててて、何が有ったんだ?」
「ふん、まぁ良いわ」
才人を床に転がして上に乗っかり、頬杖を付いてルイズは語り...
「…バレちゃったのよ」
「……何だって?」
「皆に、あたしの事が貴族だって、バレちゃったの!!」
才人はガバッと跳ね起き、ルイズは転がる
「きゃん!?」
「どういう事だ?ルイズ」
才人が真剣にルイズを捉え、ルイズはぽつぽつと喋り出した
「あのね……最終日に、チュレンヌって徴税官が来て、店に無法...
「……皆を助ける為か?」
ルイズはコクリと頷く
「才人が居れば……あたし、魔法使わなくて済んだの」
「…そうだな、悪かった」
「でもね、皆ね、黙っててくれるって、笑って頷いてくれたの」
「良い人達じゃないか」
「うん。あたし……良く出来た?」
「あぁ、良く出来た。はなまるだ」
そのまま才人はルイズの頭にぽんと手を乗せると、ルイズは嬉...
「ふっふっふ、この前来た時とは別のルイズでしょ?」
どうやら、調子が上がって来たらしい
「あぁ、そうだな。もう別人。才人困っちゃう。ルイズ様の後...
ドゴッ!!
全てを棒読みで返された為、ルイズのアッパーカットが炸裂し...
ドサッ
「……おっかしいな?俺、褒めたよな?」
床に伸びた状態で息も絶えだえに才人が疑問を呈し、デルフが...
「いんや、相棒が悪いと思うぞ?」
「ふん!!」
ルイズは、部屋を出ていってしまった
* * *
シエスタは、ルイズがバレた為にフォローの為に居る必要が無...
ルイズ居る所、使い魔出現せり、である
着いたのが午後で、才人が降りて来たのが、開店一時間前である
「あ〜、才人さんやっぱりやって来た」
そう言って、シエスタは才人の腕を取る
「あらあら、トレビアン!!お兄さんまた来たのね。随分心配性...
スカロンが笑いながら才人を迎い入れ、才人が恐縮する
スカロンと対面に才人が座り、歓談が始まった
「すいませんマダム。どうやら、本当にご迷惑かけたみたいで」
「あらあら、ノンノンノン。助けられたのは私達よ。あれから...
『って事は、ルイズはチュレンヌの行状も姫様に伝えたって訳...
「そのチュレンヌって人、酷かったんですか?」
「えぇ、そりゃもう。全ての店がやられてたからねぇ」
『真っ黒か…』
「それより聞いてよ、お兄さん。ルイズちゃんがチップレース...
思い出してくねくねするスカロン
相変わらず不気味である
「…いえ、初耳です」
「あらあら、ルイズちゃんたら、何で言わないのかしら?」
「幾ら貰ったんですか?」
「さっき言ったでしょ?そのチュレンヌって人達が全員財布を...
怒りをしたため、杖を構えて虚無の魔力を立ち上げたルイズの...
その様がありありと才人にも解り、肩をすくめる
「眠れる竜の尾を踏むなんざ、知らぬとは言え、随分気の毒な」
「アッハッハッハッ!!」
スカロンが盛大に笑い出す
「其で竜の尾を踏んだ一言はね『この洗濯板が!!』なのよ」
スカロンが才人にずずいと近寄り、才人は顔を真っ青になる
「…良く生きて返したな」
「あら、そんなに?」
「えぇ」
「ルイズちゃんは、今でも充分可愛いのにねぇ」
「同感」
才人達がふぅと溜め息を付き、更にスカロンは才人にお願いする
「悪いんだけど、今日も手伝ってくれないかしら?」
「えぇ、良いですよ」
「宜しくね。給料は現物支給で良いかしら?」
「現物?」
「えぇ、ジェシカ」
「はぁい、お父さん」
そう言って、ジェシカがパタパタやって来る
「何でジェシカが?」
「はい、この前の分と合わせて、給料の支払いね」
そう言って、ジェシカをずずいと才人に押し付け、ニヤニヤす...
「……はい?」
「嫌だなお兄さん。私が給料よ。好きに使ってね」
語尾にハートマークが付いてるのが見える感じがして、思わず...
「流石、マダムとジェシカ。冗談が上手い」
そう言って、ジェシカをそっと押しのける
「あん、残念」
「あらやだ。本気だったんだけどねぇ」
そう言って、スカロンは笑い、ジェシカはちぇーと舌打ちしな...
「全く、お二人には敵わないわ」
* * *
才人が手伝いに入って開店し、客が入って来ると、才人達がと...
魔法衛士隊の一団である
どうやら3隊合同で、10人ずつらしい
マントにそれぞれの隊の幻獣の紋章が縫われている為、直ぐに...
そして、全員身体が薄汚れている
「よっし、訓練ご苦労!!打ち上げだ!!」
「「「「うおぉぉぉぉ!!」」」」
厨房に迄声が聞こえ、才人が顔を歪める
「ちっ、ジェラールの野郎、此所の常連かよ。まぁ、アイツな...
女+酒=グラモン
トリステインなら、必ず通じる方程式である
だが、困った事に、潜入任務中に知り合いに来られるのは、非...
そんな事はルイズですら承知しているが、接客は接客だ
ルイズは意図して近付かない様にしたのだが
「ルイズちゃん。グラモンの隊長さんはお得意様よ。しっかり...
スカロンにそう言われ、仕方なくルイズはジェラールの席に行く
お盆で顔を隠して、メニューを渡し、一言も喋らない
ジェラールは、そんな妖精さんをニヤニヤしながら眺め、話し...
「此は此は美しい妖精さん、余りの美しさに顔を隠してしまっ...
「俺のブリュンヒルデ。君の顔が見られるなら、俺はヴァルハ...
そう言って、お盆をすいっとジェラールが取ると、真っ赤な顔...
「い、いけない人ね」
才人が絶対にやらないのも加算され、すっかり弱くなるルイズ
だが、ジェラールは更に追加で口説き始めた
「あぁ、やっと顔を見せてくれたね、俺のブリュンヒルデ。君...
けなされる事なら数あれど、褒められる事は皆無だったルイズ...
思わず、微笑んでしまう
『ちょろい。姉とは別物。こりゃ、頂き』
そんな事を思いつつ、ジェラールが更に歴戦の口説き文句を紡...
ドスッ!!
更に口説く為に動こうとしたジェラールの真ん前に、霧を巻き...
「ち、この剣は、邪魔すんな、才人!!何で、てめぇが居るんだ!...
その声に、厨房の奥から声が聞こえてきた
「何時も魅惑の妖精亭をご利用頂き、誠に有り難うございます...
カッカッカッカッ
硬質のゴムが床を擦る独特の音を立てながら、才人が厨房の入...
デルフを背負うのではなく片手に持ち、鬼気迫るオーラを纏っ...
その気迫に、周りの客達が何事と、才人と衛士隊隊長を見る
「特別なサービスだと?」
「良いから杖抜け、この野郎。手ぇ出して良い相手と駄目な相...
「……上等だ、表出ろ」
「はい、皆様お立ち会い。当店が誇る用心棒、ルイズちゃんの...
スカロンがすかさず合いの手を入れ、魔法衛士隊隊長の喧嘩が...
「あれ?才人があたしを………?」
ルイズには訳が分からない
「全く、本当にルイズちゃんの事になると、お兄さん駄目ねぇ...
「それに付いては……うん、大丈夫。騎乗しないなら」
だが、そんなルイズの言葉は裏切られ、外の屋根には、通行人...
「ったく、手加減しねぇぞ、この野郎。ピュイ」
ジェラールが口笛を吹くと、ジェラールのヒポグリフが着地し...
歩兵対騎兵
どう見ても才人に勝算は無い筈なのだが、ジェラールの額に汗...
「えっと、騎兵なのに、マジモード?あのお兄さんそんなに?」
ダン!!
最初に動いたのはジェラールで、一気に加速してチャージを仕...
そのまま空中に踊り上がったジェラールは、再度のチャージの...
「イル・アース・デル・ソーン・イス。串刺しになりやがれ!!」
声を聞いたデルフが指示を下す
「マズイ、相棒俺を地面に突き立てろ」
ザク
才人が地面に突きてると同時に、ジェラールが左手の杖を振る
才人周辺の道から、複数の太い石の槍が才人を囲う様に突き上...
ドシュドシュドシュ!!
「……何だよ、このスペルは」
「ストーンパイクだよ、地面に居ちゃ絶対に殺られる」
「っの野郎。マジか」
デルフが才人周辺の魔力を吸収した為、死なずに済んだ
空中でジェラールが、柱みたいな石の槍で囲まれた様を見て唸る
「ちっ、インテリジェンスソードのせいで駄目か。だが、逃げ...
そのまま、ばさりと羽ばたき、チャージの姿勢を取ると、才人...
タンタンタン
降下と同時にジェラールの眼に入ったのは、石の槍を足場に駆...
タン
「糞、カウンター失敗か」
「空中相手は不利だぁね」
「ジェットスクランダーが有ればな」
「何だそりゃ?」
そのまま、ジェラールの旋回を睨み付ける才人
「「「「おおおぉ〜〜〜!?」」」」
魅惑の妖精亭から出て来た客達が、酒を片手にチップを投げて...
* * *
「隊長」
「何だ?今忙しい、緊急で無いなら後にしろ」
「緊急です。街中で戦争が始まりました」
「何!?」
ゼッザールが空軍と作戦計画を練っていると、部下がそう報告...
思わず皆が伝令を見る
「相手は?」
「一名です」
「迎撃は?」
「グラモン隊長です。と言うより、グラモン隊長が殆ど破壊し...
「……だから相手は?」
「……無冠の騎士です」
「…何でそうなる?」
思わず目の間を揉むゼッザール
「ぶっちゃけると、只の喧嘩です」
「……止めろ」
「訓練帰りの為、被害を最小限にするので精一杯でして。仲裁...
その先に有るのを、ゼッザールも言わずとも理解する
「……制圧しろ。全衛士隊に出撃を命ずる。生死は問わずだ。あ...
「ウィ」
敬礼し、伝令は去って行く
「全く、元気が有りすぎだな、二人共」
* * *
ズガガ!!
魔法により家々の屋根を材料にした攻撃が才人に集中し、才人...
「あんにゃろう、見境ねぇな」
「相棒の足場を奪う目的なんだよ」
「んなこたぁ解ってる。次の一合で仕留めるぞ、溜まってんな...
「大丈夫だ」
急旋回したヒポグリフが、そのまま才人にチャージを敢行する
「此方の足場を奪ったから、覚悟決めたな。ありゃ、硬化付き...
デルフが解説し、そのまま才人はジェラールをギリギリ迄引き...
「デルフ、点火!!」
才人の声と同時に、周囲に稲光が疾った
ピシャア〜〜ン!!
二人に雷が落ち、そのまま失速し、二人共ヒポグリフと共に落...
「良し、制圧。治療と復旧作業カカレ!!」
次々に衛士隊が降下し、攻撃に使われた材料片手に錬金で修復...
一部始終を見てた魅惑の妖精亭の客達は、被害と戦場が一気に...
「あはは、あれ、どうしましょ?」
スカロンが皆に振り向くと、皆が首を振る
「とりあえず、忘れましょうかしら?皆様、余興は終わりです...
頷いた中に、ルイズとシエスタが居たのは言うまでもない
* * *
終了行:
才人達は避難の鐘を聞き逃していたらしい
職人達は誰も怪我が無く、きちんと避難していた
水が引いた後、モンモランシー達が来て、全員を回収する
舟の上で全員食事を振る舞われ、モンモランシ伯邸に戻ると、...
「一体何だ?」
「魔法装置を開発するわ。常時錬金を放出する奴。平民でも使...
「魔力の補給法は?」
「平民はどんな形が良い?」
「そうだな、カートリッジ式で交換出来た方が良いわ。そうす...
「今みたいに、対象物を粉にするだけの錬金?」
「あぁ。別の機能が必要なら、その時に違う仕様を製作すれば...
「解った。その方向で行く」
「期間は?」
「一週間。ミスタコルベールが協力してくれるなら、まだ早く...
「解った、二人でやってくれ。じゃあ、その間、俺はルイズの...
「……行くの?」
「あぁ、悪い」
「良いわ、待ってる」
そして職人達に指示を下し、本日は休みで明日から作業再開、...
そして、才人が零戦に乗り込み、エレオノールがプロペラを風...
一気に離陸して行くのを、職人達があんぐりしながら見送り、...
「マルガリタ、何だあの魔法装置は?」
「お父様が袖にした平民のみが動かせる、科学と言う魔法で、...
「むむむむ」
モンモランシ伯が唸りだし、家に戻っていく
『早く、貴方と一緒になりたいわ、ねぇ才人』
* * *
才人達が零戦で学院に戻り、コルベール達と合流すると説明し...
キュルケ達はそのまま製作の手伝いである
才人が到着したおり、既にボイラー本体は形になっており、余...
「流石先生だ、早い」
「二人の協力無しでは無理だったよ。序でに給水タンクの冷気...
「頼みます」
コルベールと握手を交わすとコルベールが微笑む
「今が一番充実してるな」
「そうですね、新規工場が立ち上がれば、俺達の出番は無くな...
「雇用対策にもなると。才人君は政治家かね?」
「そんな事無いです。所詮、利己主義者ですよ」
「そうは見えないんだが?」
「多分……誰よりも……ね」
そう言って、エレオノールが待つ、竜籠に歩いて行った
コルベールも続いて歩き出し、キュルケとギーシュは顔を見合...
「……ダーリンを一人にさせちゃ駄目ね」
「同感。全部始末付けたら、黙って消える積もりだね」
「そうしたらどうするの?」
「聞きたい?」
「勿論」
「最善が才人が留まる。次点が僕が付いて行く。最悪は種だけ...
「あら、もう覚悟決めてるの?」
「そうだよ。もう、悩む段階は過ぎてるんだ」
「ちょっと尊敬するわ、ギーシュ」
「僕にはキュルケの奔放振りが羨ましいよ。そうだ、最近尻周...
「あら、丸みが増えたの?」
「うん、腰周りは逆に落ちたんだけど、何か丸くなっちゃって...
「あらあら、大分愛されちゃってるのが効いたのね。ちょっと...
* * *
エレオノール達は才人をトリスタニアに届けた後、その足でそ...
アカデミーも夏休みの為、職員は留守番以外は殆ど居ない
そんな中、ゴンドランはどうやらまだ居た様だ
秘書のヴァランタンが、相変わらず受け付けをしている
「所長に面会ですか?約束はしてますでしょうか?ミスヴァリ...
「無いわ。ちょっと、通してくれないかしら?」
「そちらのミスタは?」
「上司よ」
「そうですか。では、規則ですので、お約束をしてから、もう...
ヴァランタンはにべも無い
そしてエレオノールは、そんなヴァランタンには慣れっこである
「私はアカデミーの主席研究員よ。融通効かせなさいよ」
「あら、私は女王陛下と言えど、同じ言葉を返すのみですわ。...
「……少し、口の聞き方を選んだら?ヴァランタン」
「あら、アカデミーの中では攻撃魔法は厳禁ですのよ?使った...
「あら、そんな事に大事な魔力と精神力使う訳無いでしょ?う...
その言葉に、ヴァランタンはすっくと立ち上がり、エレオノー...
「やるの?ヴァリエール?」
「やらいでか」
学生時代から散々繰り返された二人の喧嘩
仲裁をした者はそのまま二人に吹っ飛ばされる、正に嵐である
それでも普段はお茶やら酒を同席して、更に喧嘩してるのだか...
コルベールは止めるのも無駄と思いつつ、声をかける
「君達、止めたまえ。学生時代から変わらないのかね?」
「残念ですが、ミスタ」
ヴァランタンが答え、エレオノールと同じく杖と身体を駆使し...
〈今すぐ止めたまえ!!毎回毎回君達は何で衝突するんだ!!私の...
「……止まれば良いのに」
小声で呟いたその声を拾ったのは、傍にいたエレオノールだけ...
〈ミスヴァリエール、何か用かね?〉
「はい、ゼロ機関として参りました」
〈入りたまえ〉
部屋の主の許可が下りた為、ヴァランタンは大人しく道を譲る
「アンタも此方来る?」
「いやぁよ、都落ちなんて」
「今、新しい都作ってんのよ」
「上手く出来たら教えてね。乗り換えるから」
「ただ乗りしようとしても、そうは問屋が卸さないわよ」
「あ、そ」
エレオノールとコルベールがそのまま所長室に入り、中ではゴ...
「全く、君達は何時も何時も衝突して。少しは私の立場にもな...
『多分、遠回りに死ねって、ヴァランタンの挑発だと思うわよ...
エレオノールの気性を熟知してるから、わざと挑発してるとエ...
「申し訳ございません、ミスタゴンドラン。今日はお願いがあ...
「何かね?」
「私の研究室を、ゼロ機関に貸して頂けないでしょうか?」
「……ほう。アカデミーの研究室はアカデミーの財産でな、女王...
「しかし、貸して頂けないと、女王陛下の命が実行出来ません」
「……内容は?」
エレオノールがコルベールを見ると首を振る
守秘義務違反になるからだ
「申し訳ございません。言えません」
「…では、無理としか答えられん」
「陛下の命ですよ!!」
エレオノールが詰め寄り、思わずゴンドランは首をすくめる
「そういきり立つでない、ミスヴァリエール。が、とある条件...
そう言って口を濁すゴンドラン
エレオノールはそんなゴンドランを見て、怪訝な表情を浮かべる
そんなエレオノールに、コルベールは耳打ちをする
「袖の下だよ、ミス」
その瞬間、エレオノールの目が釣り上がる
「ままま、まさか、栄誉ある王立アカデミーの所長ともあろう...
「賄賂?何の事かね?私は研究室の使用料を出してくれるなら...
筋は通っているが、如何せん怪しい
「使用料はアカデミーの予算に充当されますかな?ミスタ?」
此処でコルベールが交渉に口を出す
「さて、君達は君達の研究をやる。私を含め、アカデミーは感...
「…良いでしょう」
そう言って、コルベールは懐から才人に貰った小切手を出し、...
ゴンドランはそのまま金額を確認するとニヤリとする
「この異国のサインは、所長のかね?」
「その通りです、ミスタ」
「支払いが所長からなら、ゼロ機関の総意と取ろう。アカデミ...
「えぇ、その後必要なら、更新の交渉を」
「了解した。後程、契約書類を部屋に届けさせて頂く。我々も...
「では此からは、ミスヴァリエールの研究室は、ゼロ機関が借...
「構わぬよ。必要な機材が有れば言いなさい。レンタルする分...
「判りました。では、女王陛下のゼロ機関副所長、ジャン=コ...
「所長にもよしなにと伝えてくれたまえ。お互いに、神と始祖...
ゴンドランの祝福の言葉でコルベールとゴンドランは握手を交...
「ふん、貸すだけでシュヴァリエ年金の4倍か。此方は陛下の...
* * *
エレオノール達が退出すると、ヴァランタンが話しかけた
「交渉成立?」
「えぇ、アンタが言ってた意味が、良く判ったわよ」
「…そう」
「私の研究室、アカデミーからゼロ機関に切り替わったから、...
「了解。通知と立て札作っておくわ」
こうして、コルベールとエレオノールは魔法学院以上の設備を...
その後、各々の提案を実現させる魔法装置開発に、研究室は多...
居るか居ないか解らず、常にディテクトマジックでサーチされ...
* * *
「……今頃何しに来たのよ?馬鹿犬」
「いや、そう言われても俺も仕事で……」
ドゴッ!!
みぞ落ちに蹴りを食らい、悶絶する才人
「……だから、何でヴァリエール姉妹はこう暴力で応じるんだよ…」
暫く苦しんだ後、才人はルイズに抗議するが、ルイズはちっと...
「うるっさいわね。大事な時に居ないで何が使い魔よ?チップ...
ルイズの屋根裏部屋で、才人はルイズにお仕置きされ、才人は...
「……ててて、何が有ったんだ?」
「ふん、まぁ良いわ」
才人を床に転がして上に乗っかり、頬杖を付いてルイズは語り...
「…バレちゃったのよ」
「……何だって?」
「皆に、あたしの事が貴族だって、バレちゃったの!!」
才人はガバッと跳ね起き、ルイズは転がる
「きゃん!?」
「どういう事だ?ルイズ」
才人が真剣にルイズを捉え、ルイズはぽつぽつと喋り出した
「あのね……最終日に、チュレンヌって徴税官が来て、店に無法...
「……皆を助ける為か?」
ルイズはコクリと頷く
「才人が居れば……あたし、魔法使わなくて済んだの」
「…そうだな、悪かった」
「でもね、皆ね、黙っててくれるって、笑って頷いてくれたの」
「良い人達じゃないか」
「うん。あたし……良く出来た?」
「あぁ、良く出来た。はなまるだ」
そのまま才人はルイズの頭にぽんと手を乗せると、ルイズは嬉...
「ふっふっふ、この前来た時とは別のルイズでしょ?」
どうやら、調子が上がって来たらしい
「あぁ、そうだな。もう別人。才人困っちゃう。ルイズ様の後...
ドゴッ!!
全てを棒読みで返された為、ルイズのアッパーカットが炸裂し...
ドサッ
「……おっかしいな?俺、褒めたよな?」
床に伸びた状態で息も絶えだえに才人が疑問を呈し、デルフが...
「いんや、相棒が悪いと思うぞ?」
「ふん!!」
ルイズは、部屋を出ていってしまった
* * *
シエスタは、ルイズがバレた為にフォローの為に居る必要が無...
ルイズ居る所、使い魔出現せり、である
着いたのが午後で、才人が降りて来たのが、開店一時間前である
「あ〜、才人さんやっぱりやって来た」
そう言って、シエスタは才人の腕を取る
「あらあら、トレビアン!!お兄さんまた来たのね。随分心配性...
スカロンが笑いながら才人を迎い入れ、才人が恐縮する
スカロンと対面に才人が座り、歓談が始まった
「すいませんマダム。どうやら、本当にご迷惑かけたみたいで」
「あらあら、ノンノンノン。助けられたのは私達よ。あれから...
『って事は、ルイズはチュレンヌの行状も姫様に伝えたって訳...
「そのチュレンヌって人、酷かったんですか?」
「えぇ、そりゃもう。全ての店がやられてたからねぇ」
『真っ黒か…』
「それより聞いてよ、お兄さん。ルイズちゃんがチップレース...
思い出してくねくねするスカロン
相変わらず不気味である
「…いえ、初耳です」
「あらあら、ルイズちゃんたら、何で言わないのかしら?」
「幾ら貰ったんですか?」
「さっき言ったでしょ?そのチュレンヌって人達が全員財布を...
怒りをしたため、杖を構えて虚無の魔力を立ち上げたルイズの...
その様がありありと才人にも解り、肩をすくめる
「眠れる竜の尾を踏むなんざ、知らぬとは言え、随分気の毒な」
「アッハッハッハッ!!」
スカロンが盛大に笑い出す
「其で竜の尾を踏んだ一言はね『この洗濯板が!!』なのよ」
スカロンが才人にずずいと近寄り、才人は顔を真っ青になる
「…良く生きて返したな」
「あら、そんなに?」
「えぇ」
「ルイズちゃんは、今でも充分可愛いのにねぇ」
「同感」
才人達がふぅと溜め息を付き、更にスカロンは才人にお願いする
「悪いんだけど、今日も手伝ってくれないかしら?」
「えぇ、良いですよ」
「宜しくね。給料は現物支給で良いかしら?」
「現物?」
「えぇ、ジェシカ」
「はぁい、お父さん」
そう言って、ジェシカがパタパタやって来る
「何でジェシカが?」
「はい、この前の分と合わせて、給料の支払いね」
そう言って、ジェシカをずずいと才人に押し付け、ニヤニヤす...
「……はい?」
「嫌だなお兄さん。私が給料よ。好きに使ってね」
語尾にハートマークが付いてるのが見える感じがして、思わず...
「流石、マダムとジェシカ。冗談が上手い」
そう言って、ジェシカをそっと押しのける
「あん、残念」
「あらやだ。本気だったんだけどねぇ」
そう言って、スカロンは笑い、ジェシカはちぇーと舌打ちしな...
「全く、お二人には敵わないわ」
* * *
才人が手伝いに入って開店し、客が入って来ると、才人達がと...
魔法衛士隊の一団である
どうやら3隊合同で、10人ずつらしい
マントにそれぞれの隊の幻獣の紋章が縫われている為、直ぐに...
そして、全員身体が薄汚れている
「よっし、訓練ご苦労!!打ち上げだ!!」
「「「「うおぉぉぉぉ!!」」」」
厨房に迄声が聞こえ、才人が顔を歪める
「ちっ、ジェラールの野郎、此所の常連かよ。まぁ、アイツな...
女+酒=グラモン
トリステインなら、必ず通じる方程式である
だが、困った事に、潜入任務中に知り合いに来られるのは、非...
そんな事はルイズですら承知しているが、接客は接客だ
ルイズは意図して近付かない様にしたのだが
「ルイズちゃん。グラモンの隊長さんはお得意様よ。しっかり...
スカロンにそう言われ、仕方なくルイズはジェラールの席に行く
お盆で顔を隠して、メニューを渡し、一言も喋らない
ジェラールは、そんな妖精さんをニヤニヤしながら眺め、話し...
「此は此は美しい妖精さん、余りの美しさに顔を隠してしまっ...
「俺のブリュンヒルデ。君の顔が見られるなら、俺はヴァルハ...
そう言って、お盆をすいっとジェラールが取ると、真っ赤な顔...
「い、いけない人ね」
才人が絶対にやらないのも加算され、すっかり弱くなるルイズ
だが、ジェラールは更に追加で口説き始めた
「あぁ、やっと顔を見せてくれたね、俺のブリュンヒルデ。君...
けなされる事なら数あれど、褒められる事は皆無だったルイズ...
思わず、微笑んでしまう
『ちょろい。姉とは別物。こりゃ、頂き』
そんな事を思いつつ、ジェラールが更に歴戦の口説き文句を紡...
ドスッ!!
更に口説く為に動こうとしたジェラールの真ん前に、霧を巻き...
「ち、この剣は、邪魔すんな、才人!!何で、てめぇが居るんだ!...
その声に、厨房の奥から声が聞こえてきた
「何時も魅惑の妖精亭をご利用頂き、誠に有り難うございます...
カッカッカッカッ
硬質のゴムが床を擦る独特の音を立てながら、才人が厨房の入...
デルフを背負うのではなく片手に持ち、鬼気迫るオーラを纏っ...
その気迫に、周りの客達が何事と、才人と衛士隊隊長を見る
「特別なサービスだと?」
「良いから杖抜け、この野郎。手ぇ出して良い相手と駄目な相...
「……上等だ、表出ろ」
「はい、皆様お立ち会い。当店が誇る用心棒、ルイズちゃんの...
スカロンがすかさず合いの手を入れ、魔法衛士隊隊長の喧嘩が...
「あれ?才人があたしを………?」
ルイズには訳が分からない
「全く、本当にルイズちゃんの事になると、お兄さん駄目ねぇ...
「それに付いては……うん、大丈夫。騎乗しないなら」
だが、そんなルイズの言葉は裏切られ、外の屋根には、通行人...
「ったく、手加減しねぇぞ、この野郎。ピュイ」
ジェラールが口笛を吹くと、ジェラールのヒポグリフが着地し...
歩兵対騎兵
どう見ても才人に勝算は無い筈なのだが、ジェラールの額に汗...
「えっと、騎兵なのに、マジモード?あのお兄さんそんなに?」
ダン!!
最初に動いたのはジェラールで、一気に加速してチャージを仕...
そのまま空中に踊り上がったジェラールは、再度のチャージの...
「イル・アース・デル・ソーン・イス。串刺しになりやがれ!!」
声を聞いたデルフが指示を下す
「マズイ、相棒俺を地面に突き立てろ」
ザク
才人が地面に突きてると同時に、ジェラールが左手の杖を振る
才人周辺の道から、複数の太い石の槍が才人を囲う様に突き上...
ドシュドシュドシュ!!
「……何だよ、このスペルは」
「ストーンパイクだよ、地面に居ちゃ絶対に殺られる」
「っの野郎。マジか」
デルフが才人周辺の魔力を吸収した為、死なずに済んだ
空中でジェラールが、柱みたいな石の槍で囲まれた様を見て唸る
「ちっ、インテリジェンスソードのせいで駄目か。だが、逃げ...
そのまま、ばさりと羽ばたき、チャージの姿勢を取ると、才人...
タンタンタン
降下と同時にジェラールの眼に入ったのは、石の槍を足場に駆...
タン
「糞、カウンター失敗か」
「空中相手は不利だぁね」
「ジェットスクランダーが有ればな」
「何だそりゃ?」
そのまま、ジェラールの旋回を睨み付ける才人
「「「「おおおぉ〜〜〜!?」」」」
魅惑の妖精亭から出て来た客達が、酒を片手にチップを投げて...
* * *
「隊長」
「何だ?今忙しい、緊急で無いなら後にしろ」
「緊急です。街中で戦争が始まりました」
「何!?」
ゼッザールが空軍と作戦計画を練っていると、部下がそう報告...
思わず皆が伝令を見る
「相手は?」
「一名です」
「迎撃は?」
「グラモン隊長です。と言うより、グラモン隊長が殆ど破壊し...
「……だから相手は?」
「……無冠の騎士です」
「…何でそうなる?」
思わず目の間を揉むゼッザール
「ぶっちゃけると、只の喧嘩です」
「……止めろ」
「訓練帰りの為、被害を最小限にするので精一杯でして。仲裁...
その先に有るのを、ゼッザールも言わずとも理解する
「……制圧しろ。全衛士隊に出撃を命ずる。生死は問わずだ。あ...
「ウィ」
敬礼し、伝令は去って行く
「全く、元気が有りすぎだな、二人共」
* * *
ズガガ!!
魔法により家々の屋根を材料にした攻撃が才人に集中し、才人...
「あんにゃろう、見境ねぇな」
「相棒の足場を奪う目的なんだよ」
「んなこたぁ解ってる。次の一合で仕留めるぞ、溜まってんな...
「大丈夫だ」
急旋回したヒポグリフが、そのまま才人にチャージを敢行する
「此方の足場を奪ったから、覚悟決めたな。ありゃ、硬化付き...
デルフが解説し、そのまま才人はジェラールをギリギリ迄引き...
「デルフ、点火!!」
才人の声と同時に、周囲に稲光が疾った
ピシャア〜〜ン!!
二人に雷が落ち、そのまま失速し、二人共ヒポグリフと共に落...
「良し、制圧。治療と復旧作業カカレ!!」
次々に衛士隊が降下し、攻撃に使われた材料片手に錬金で修復...
一部始終を見てた魅惑の妖精亭の客達は、被害と戦場が一気に...
「あはは、あれ、どうしましょ?」
スカロンが皆に振り向くと、皆が首を振る
「とりあえず、忘れましょうかしら?皆様、余興は終わりです...
頷いた中に、ルイズとシエスタが居たのは言うまでもない
* * *
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