ゼロの使い魔保管庫
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開始行:
シエスタとジェシカは、タルブの村でワイン用葡萄の収穫祭に...
シエスタは一旦学院に行ったのだが、今回今迄の実積を認めら...
太鼓のリズムに合わせてスカートをひらひらさせながら、踊り...
それを男達が笑顔や真剣な眼差しで見ている
笑顔の者は既婚者の余裕
真剣な顔の者は少年が多く、この後のダンスの申し込みして、...
要は、カップル成立率が非常に高いイベントな訳だ
ちなみにシエスタは才人と非常に親しい間柄で有る事を認知さ...
そんな事したら村を救ってくれた英雄に会わせる顔が無くなる...
シエスタはジェシカと同じく器量良しで乳が二人でバインバイ...
最も、祭の前に告白をした者も居て、返事は
「才人さんに勝てるなら良いです」
シエスタも何気に強気だ
二週間前の宴の滞在中に腕試しだと、野郎共が素手武器込みで...
あの男に挑戦するのは二度とゴメンと言うのが、村の男達の総...
英雄が英雄たらしめるのは、きちんとした下地が有る事を確認...
そして竜の羽衣をシエスタの家族含めて子供達には乗せて、ち...
シエスタの家族はそのサービス精神の豊富さと勤勉な姿勢を大...
収穫祭に至る背景としてはこんな所だ
で、収穫祭の話はシエスタが村人達に仕事だからと口をつぐま...
事実、無理に無理を言って来て貰ったのを承知してるので、村...
シエスタだけは、才人の身辺が非常に危険なのを知っており、...
そんな折、新しいアストン伯が、収穫祭の観覧に来たのである
祭で踊ってる娘達を見て、人に嫌悪をもよおす笑みを見せ、更...
「此方に、竜の羽衣を祀ってた一族が居たな?」
* * *
学院にシエスタが戻って来たのは、予定より二日遅く、メイド...
「ちょっと急用で長引いてしまいました。すいません」とだけ...
何時も朗らかの印象が強いシエスタの豹変振りに、周りがあれ...
「急用の件でちょっとね」
そう言って、多くを語らなかった
つまり本当に急用が出来て、それを切り上げて来たから心配な...
何時も元気なシエスタに皆が元に戻って欲しいと、あれこれ世...
その心配した中にルイズが居たのは、今迄世話になった人に対...
何だかんだで、やっぱり優しい娘なのだ
ただ、人より大分不器用なだけである
「もう、シエスタ、元気出しなさいよ。調子狂っちゃうじゃな...
ルイズのお茶にシエスタを指名して、二人きりだ
エレオノール側には、ミミやローラ、他のメイド達がビクビク...
ビクビクされると誰でも不愉快なので、エレオノールのご機嫌...
才人が傍に居る時は明らかに落ち着いてるのだが、居なくなる...
何でそんなふうになってるか他のメイドには解らないので、余...
シエスタという潤滑油が、皆に必要とされていた
「えぇ、ちょっと」
シエスタが気まずそうに微笑み、ルイズがそんなシエスタに同...
今要るのはルイズの部屋だ
その際、きちんとドアをロックして、誰にも見られない様にする
「うんうん、ロックやアンロックはきちんとマスター出来たわ...
「えぇ、そうですね」
むぅ、って唸って、ルイズはどうしたもんかと腕を組んでいる
「ほら、二人きりよ。私とシエスタの仲じゃない。ここでなら...
その後に
「借金はお父さまに相談しないと無理だけど」と続け、何とか...
「あはは、ミスヴァリエールの冗談は下手くそですね」
何とかシエスタの気分が少し上向いた
良し、偉いぞルイズと、心の中でガッツポーズをするが、後が...
ん〜と、こ〜と、何とか食い付きそうな話は〜?
「そう言えばシエスタ、ずっと前に賭けをしたじゃない?」
そう言って、ルイズが話しかけ、シエスタが思い返す
「……確か一学期……でしたっけ?」
「そうそう。あの時、確か負けたら何でもいう事一つ聞くって...
「そう言えば……そうでしたっけ?」
「そうよ。で、あの時の賭け。私の負けだっのよね。シエスタ...
シエスタはそのルイズの申し出に、少し考え、そしてこう答えた
「なら、才人さんを一日貸して貰えませんか?」
「才人の仕事を休めって言うの?」
「はい」
ルイズは少し考え、結局は頷いた
他でもないシエスタの頼みである
馬鹿犬の仕事が何であろうと、シエスタの復活は仕事にも好影...
「ちょっと待ってて、命令して来るから」
そう結論付けて、ルイズは研究室にダッシュしたのである
* * *
「ちょっとルイズ、仕事中に何の用よ?」
研究室の扉を開けて開口一番、エレオノールに冷たくあしらわ...
だが、友達の為にここは退けない
「あの、シエスタの調子が悪いんです。サイトと二人きりで接...
エレオノールはその言葉に、暫く考える
確かに事情知りのメイドは大事だ
自分でさえかなり参ってるのだから、平民で力の無い彼女は更...
「ルイズ、あんた、私達がアサシンに狙われてるの、誰にも喋...
「勿論です」
「良いわ、私から才人には伝えておく。あんたは何時も通りに...
「……そんなに酷いんですか?」
「えぇ、傭兵メイジも出始めたわ。巻き込まれたら、命の保障...
ルイズはキュッと、下唇を噛んだ
「死体は?」
「銃士隊が毎日引き取ってる。組織の洗い出ししてる最中ね」
「組織なんですか?」
「正確には、組織も居るって所。背後は有り過ぎ、担うアサシ...
そう言って、エレオノールは頭上を仰ぐ
「普通は、襲撃止みますよね?」
「普通はね。何を用意すればこんなに不屈の精神で攻め続ける...
まさか、ヴァリエール公の椅子と三姉妹が景品に載せられてる...
ちなみに才人が学院から出てわざわざアサシンを相手にしてる...
そんなこんなでガチャっと扉が開き、才人が入って来た
全身に死臭を臭わせ、反り血も少々浴びている
「よう、姉妹揃ってご苦労さん。やっとお勤め終わって来たぜ...
デルフが一際陽気に言い放ち、才人はちょっと疲れた表情だ
「今日は何人?」
「メイジが三人、非メイジが十五人。違う組織の癖に協同作戦...
そう言って、才人はドカッと椅子に座る
ちなみにエレオノールはドラフターの椅子だ
「日に日に激しくなって来てるわね」
「おりゃあ、冬戦争のシモヘイヘか、東部戦線のルーデルかよ...
そう言って、才人が溜め息をつく
「で、今日のスコアは?」
「長期戦で使い魔切れるわ、相棒キレるわで皆殺し。一人残し...
言ってる中味だけでも、相当に凄惨だ
ルイズはつい身震いしてしまう
「サイトは怪我無いの?」
「でいじょうぶだよ。怪我したら致命傷になっちまうからな。...
そう言って、デルフは愉快そうに笑っている
普通はこんなに攻められたら身が持たない
才人は、モンモランシーやヴァレリーによる、秘薬のバックア...
当然、モンモランシーは大量に用意した秘薬類の消耗に頭を悩...
ちなみに、エレオノールが材料仕入れにゼロ機関口座の小切手...
シエスタの復調は、全員の生命線になりつつあった
「才人、メイドが不調なの。明日は休んで、元気つけて上げて...
「シエスタが?」
自分自身の事で手一杯な才人は、そこまで気が回らなかった
毎日生きるか死ぬかをやってたら仕方ないのだろう
「キュルケやモンモンは大丈夫か?」
「ツェルプストーなら、私も参戦したいってぶぅたれてるわよ...
ルイズの言い分に才人は少し考えて、直ぐに頷いた
「やっぱりシエスタが元気じゃないと駄目だな。俺で良ければ...
こうして、才人は明日シエスタに付き合う事になる
* * *
シエスタと才人はルイズの部屋で二人きりだ
ルイズは授業に出ており、エレオノールは研究室で盗聴をして...
「良い、ボロ剣。メイドの復調は大事な事よ?だからきちんと...
「つまり、相棒の他の女との濡れ場が気になって気になって仕...
デルフの発言は身も蓋も無い
事実その通りなので、エレオノールは言葉を詰まらせてしまった
「…良いから、黙ってなさい」
「そのネタ掴んでどうする気よ?中身次第だぁね。喧嘩や脅迫...
真っ赤になったエレオノールがぽつりと呟いた
「……お、同じ事……おねだりするのよ……これで良い?」
エレオノールがそっぽを向いて、デルフが思いっきりカタカタ...
「わっはっはっは!それはおもれぇ!乗った!姉ちゃん存分に...
こうして二人は盗聴に気付かず、のんべんだらりとしている
と言っても、リラックスしてるのは才人の方だけで、シエスタ...
ちなみに暗殺者が出る様になってからは、ルイズの部屋のみで...
才人の安全の為に不承不承頷いたルイズだが、そのまま自身の...
ちなみにコルベールの部屋にも泊まっているが、断じてそうい...
寧ろ、対策の肝はコルベールと練ってる為に、才人的にはコル...
キュルケやモンモランシーは大変喜び
「このままずっと続かないかしら?ダーリンと一緒に寝るのっ...
「本当よね。お陰で肌の張り艶も良いし、自分の匂いがエロい...
「あ、解る解る。本当にエロい匂いになって来たわよね」
「女って、やっぱり愛されないと駄目ねぇ。ミスヴァリエール...
「……そうね」
二人共に上機嫌である
シエスタは共同部屋の為に、才人の宿には出来なかった
つまり、彼女達はその差が出たと認識したのだ
才人が隣に居るだけで、全然違うのを認識してしまってる為に...
男が自然体で居るだけで安心する
そんな男になりたいものである
シエスタがどうしたいか解らない為に、才人はシエスタに緑茶...
シエスタは黙って両手で飲んでいる
仕草も何時もと違う。相当参ってるのだろう
才人はどうしたもんかとガリガリ頭を掻いて、ドカッと椅子に...
「悩みが有るのか?収穫祭から帰って来て、元気無いみたいだ...
「えぇ、ちょっと」
やっぱり、元気が無い
「俺は……力になれないか?」
「そんな事無いです。寧ろ、才人さんじゃないと……駄目です」
そう言って、シエスタは再び黙る
「う〜ん。俺じゃないと駄目だけど、中々話せないって、何だ...
カチッとデルフが出てきた
「そりゃおめえ、メイドの嬢ちゃんの年齢なら結婚だろ?結婚...
こう言ってデルフはカタカタ笑い、シエスタがビクッと反応し...
「ありゃ?図星か?」
「はい、ここで相棒の取る選択はやっぱりメイドの嬢ちゃんを...
ガチッ
才人が立て掛けてたデルフに立ち寄り、無理矢理デルフを収め...
「お前は面白いか面白くないかだけで判断してんじゃねぇ!」
才人が席に戻るとガチッとまた出てきた
「だってよぅ、俺っち剣だもんよ。面白い面白くない以外に、...
「……それもそうだな。気楽な奴め」
才人はそう言って、更にデルフに追加の言葉を投げ掛けた
「助かったけど、話の腰はもう折るなよ?」
「へぇへぇ。ま、せいぜいメイドの嬢ちゃんを元気つけてやれ...
そう言って、デルフは引っ込み、辺りに香が漂って来た
モンモランシー製の、あの香の匂いである
「マジ?」
流石に才人が汗を垂らした
更にシエスタがキスをしてきて、何かを飲まされる
そのまま才人に寄り掛かったシエスタが、涙を浮かべながら、...
「ミスモンモランシと、ミスヴァリエールに頂きました。沢山...
「…あぁ」
「お願い、何も聞かずに」
「…解った」
才人はそう言って、シエスタをベッドに抱え上げて横たえた
* * *
エレオノールはその頃、書類を書き書きしてたのだが、完全に...
「えぇ!?あっ、ちょっと」
書類の上でペンがあらぬ方向に走り、書類が駄目になる
「胸ぇ!?胸かぁ!!うわっ、酷い!私は出来ないじゃないの!む...
握ってたペンがギリギリと軋み、バキッと折れる
「え?やだ!?あれ、喰わえるの!?やだやだ、そんなの出来ない...
二人きりの空気なので、エレオノールが盗聴してる事に気付い...
「えぇ!?両脚が頭迄!?丸見えじゃないの!私まだしたことなぁ...
コルベールが授業終わって来る事を、すっかり忘れている模様だ
そして、コルベールは騒いでたので、そっと開けて直ぐに閉め...
「…見なかった事にしますか」
やはり、コルベールは色々と経験を積んでると見える
* * *
才人にあられもない姿を晒したシエスタは、まんぐり返しの姿...
「才人さん。あ、すご、出ちゃう!私の中に出しちゃう!」
シエスタが才人の射精に合わせて、強烈に吸い込み、しかもシ...
「もっと出したい。才人さん、私の中、凄く良いんだぁ」
才人の快楽が全て判るので、身体をくねらせ、離された脚をが...
「才人さんの感覚、凄い。私の中は柔々で、いつの間にか出し...
才人の抱擁を思いっきり抱き締め、同調した射精感覚に完全に...
「はあぁぁ。いつも、こんな感じ?」
「…あぁ」
「才人さんの気持ち良いの全部気持ち良いだなんて、素敵なお...
才人が身体を起こすとシエスタがガッチリと離さず、そのまま...
シエスタが身体を立てると、体重で沈み込み、奥の奥迄繋がり...
「あ……堪らない」
本能で腰を前後に艶かしく動かし、ほんの三擦りでシエスタは...
「はひ………はひ…」涙を流し、静かに喘ぐ
香と薬は、余り長い時間を効かせない様に、控え目だった
* * *
「ひっく、ひっく」
シエスタが正気に戻ると泣いている
才人は、ベッドの上で肩を抱く事しか出来ない
「シエスタ」
「…いつまでも、泣いてちゃ駄目ですよね」シエスタはそう言っ...
「喉、渇きましたよね?」
「あぁ、有り難う」
才人がそのまま口を付け、飲んだ時には、こう言ったのだ
「才人さん、私の最後のお茶です。誰よりも愛してます」
才人が飲み込んだ時にはそのまま硬直し、ベッドからどさりと...
「…大丈夫ですよ。私も逝きますから」
そう言って、シエスタは扉を開けて駆け出し、デルフが大声を...
「姉ちゃん今すぐ来い!緊急事態だ!よりによって、メイドの...
デルフが怒鳴り、エレオノールががたりと跳ねて扉を開け、フ...
才人のパーカーから解毒薬を抜き出し、無理矢理飲ませるのに...
そこから、全精神力と魔力を投入し、一気に浄化を行うのに10秒
「ぐうぅぅぅ、間に合えぇぇぇ!」
気合いの言葉は、そのまま精神力と魔力の下支えになる
「良し、顔色良くなって来やがった。もうちっと気張れや姉ち...
「言われんでも分かってるわよ!ボロ剣!誰か来なさぁい!」
だが、叫んだ所で授業中だ
「良し、落ち着いたみてぇだ」
「ぜぇっぜぇっ」
一気に消耗したエレオノールが肩で息をしてるが、ゆらりと立...
「姉ちゃん、相棒放っておいて、何処に向かう気だ?」
「決まってるじゃない。あのメイドを殺すの」
「待てこら。相棒が目を覚ました時に、なんて言う積もりだ?」
「知らないわよ。私の男の命に手を出したんだから、覚悟位し...
そう言って、ふらりとフライをまた唱えたエレオノールは、ル...
ガシャアン
派手に音が鳴り響き、女生徒だけの教室が驚きの目でエレオノ...
先程あれだけの魔力を放出したのに、魔力が跳ね上がって、髪...
「ミスヴァリエール!教室を壊さないで下さい!」
そう言ってミセスシュヴルーズがたしなめるが、一切無視だ
「ちょっとヴァリエール、何事?」
キュルケが思わず立ち上がって詰問するが、真っ直ぐにモンモ...
「才人が毒を盛られた。今すぐルイズの部屋に行きなさい。私...
一気にざわめき立つ教室
ルイズは真っ青で、モンモランシーはそんなのお構い無しでフ...
「だ、誰がサイトに?」
「黒髪のメイドよ。今すぐに探しなさい。アンタ達、学院内で...
その言には一片の迷いも気負いもなく、やると決めた事を淡々...
「ちょっと待って下さい!姉さま!シエスタがそんな事…」
パァン!
近寄ったルイズに裏拳が入り、ルイズは姉が全く意見を受け入...
ヴァリエールの怒りに触れて、無事な相手は居ないのだ
「良いから捜しなさい。自殺する気なのよ。自殺なんか絶対に...
自殺と聞いて、キュルケは捜索の必要性が生じたのを理解し、...
「皆、捜索するわよ。確かに死なれて背景が解らなくなったら...
キュルケがパンパンと手を叩いて、自殺を止めるには確かに捜...
「良いですね?先生」
「はい、緊急事態です。授業は中断。全員黒髪のメイド……ミス...
シュヴルーズがてきぱきと指示を下す間に、ルイズにはキュル...
「シエスタがダーリンに毒を盛った。あり得る?」
「あり得ない」
「あんたの姉さんは、嘘であんな怒り撒き散らす人?」
「絶対無い。姉さまは、誰よりも貴族の誇りを重んじてる。だ...
「有り得ない事が二つも起きた。なら、必ず理由は有る。私達...
「解った」
「一つ聞くわ、ルイズ。シエスタは貴女の何?」
「友達よ」
簡潔に答えたルイズに、キュルケは大きく頷いた
「良い答えだ。さてと、私達の友達が困ってる。助けるわよ、...
「えぇ。姉さまなんかに渡さない。私は友達を助ける」
そう言って、腫れた頬をそのままに、ルイズはキュルケと共に...
友達が困ってる
だったら今は……走る!
* * *
シエスタは最後のノートに記入を終えると、日記帳をそっと抱...
「今迄有り難う。じゃあ、才人さんが待ってるから、私も地獄...
既に首吊り縄は用意してあり、台の上で輪に首を通して、台座...
一気に首が締まり、頸骨に体重が一気にかかりショックで折れる
「ひぅっ」
遠くなる意識の中で周りが騒ぐ音が聴こえていた
* * *
「シエスタ〜!返事してぇ〜!シエスタ〜!何処に居るの〜?」
ミミが火の塔の階段の影で首吊りを見付けたのは幸運だったの...
「きゃあぁぁぁぁ!シエスタ〜〜〜〜!」
ミミの悲鳴に気付いたメイジ達がフライで一斉に駆け付け、首...
「どう?」
「わからないわよ!早く水使い来てくれないと。とにかく治癒...
一気にメイジ達が集まって、口々に治癒を唱えていく
ミミはそんなメイジ達の邪魔にならない様に離れて、あるモノ...
そう、シエスタの日記帳だ
ぱらりと捲っていき、最後の書き込みを見て、はたと止まり、...
「シエスタ、シエスタ〜!お願いします、貴族様。シエスタを...
「五月蝿いわね!やってるから黙ってなさい!気が散る!」
「は、はいぃ」
シエスタに対し、学院の生徒達が懸命に治癒を詠唱していくと...
「ちょっと道開けて」
どうやら三年の様だ。すかさず診察を始める
「治癒を始めてどれ位?」
「5分って所かしら?」
「頸骨は折れてるけど、発見が早かったせいで、鬱血は出てる...
一気に連続詠唱に移行し、精神力を促す為に敢えて目を瞑って...
学院お抱えの治癒術士は志願してしまった為に、今は学生しか...
次々に水使い達が魔力を温存する為に抱えられて到着し、一気...
そんな中、キュルケがルイズを抱えて飛んで来た
「シエスタ!」
「治癒の邪魔よ。近寄らないで」
水使い達にそう言われて、ルイズは頷いた
そして最強最悪の敵が到着する事に、キュルケと同じく構える
彼女は歩いてやって来た
魔力が溜まりに溜まって髪が逆立ち、周りに圧倒的な魔力を洩...
「捜索ご苦労。引き渡しなさい。虫の息だろうと、生きてれば...
そう言って、手を差し出すエレオノール
その様は、正に金の女帝
余りの魔力に誰もがビビり、治癒に参加してない者達がサァッ...
あっという間に、キュルケとルイズだけになる
「ちっ、ヴァリエール舐めてた。何なのあの魔力。私の炎届く...
キュルケはそう言って汗を垂らし、決然とルイズが宣った
「対抗しないと、シエスタが殺されちゃう。やるわよ、ツェル...
「全く、ダーリンと一緒だと、本当に退屈しないわ」
その時、上からふわりと一陣の雪風が舞い降りた
そして、一気にエレオノールが雪風に包まれる
ビュオオォ!
「アイスストーム!」キュルケが喚声を上げ、助かった反動で...
「タバサ、遅いわよ!」
スタンとルイズ達の前に降り立ったタバサが、杖を真横に構え...
「…説明」
「今は後!あの女帝を止めるの手伝いなさい!」
コクンと頷いたタバサが正面を見据えると、土の壁が出来ていた
キュルケが圧倒的なヤバさに詠唱を始める
「あれは……不味い、ルイズ、二発目!」
「えぇ、エオルー…」
そして、キュルケは爆炎を詠唱し、来るタイミングを計り、タ...
四方八方に壁が散弾として飛び散り、アイスストームを撃破し...
一気に目前に輝く炎球が出来て散弾を燃やし尽くそうとするが...
思わず目を瞑ったキュルケの前に散弾は届かなかった
タバサが杖を立てて、エアシールドをかけてたのである
だが、その顔に余裕は無い
「タバサ、助かった」
「…追撃」
タバサも一杯一杯を主張し、キュルケは一気に後続を詠唱し始...
「…カノ・オシェラ」
ルイズのエクスプロージョンが杖と共に振り下ろされ、エレオ...
「イル・アース・デル」
光を非常に強固な石の結晶たる水晶が上方を開けて覆い被さり...
「嘘っ!?虚無を」
ルイズの愕然とした表情に、女帝は一歩踏み出し、吐き捨てた
「随分安っぽい伝説ね。銃砲となんら変わらないじゃないの」
正に、女帝。使い方なんか、まだまだ手探りのルイズとは違い...
「退きなさい。地面に立ってる時点で、アンタ達なんか何時で...
「まだ終わりじゃない!止まりなさい、ヴァリエール!」
フレイムアローを複数呼び出し、数で攻める事にしたキュルケ
更にタバサも同調し、ウィンディアイシクルも形成され、一気...
「馬鹿ね、数とはこうやるのよ」
そう言ったエレオノールは杖を一振りすると、一気に桁が一つ...
「「「きゃああぁぁぁぁ!!」」」
一気にズタボロになる三人
しかも、きちんと全員急所を外され、打撲で済んでいる
ジャリッジャリッ
エレオノールの歩みを止められず、既に立てなくなった三人
だが、それでもルイズは傍を通過するエレオノールの脚を掴んだ
「お願い、シエスタを殺さないで!」
ルイズの嘆願に対し、エレオノールの声は非常に冷たい
「……何を言ってるの?アンタの使い魔の命が狙われたのよ?ヴ...
そう言って振り切り、更に歩みを進めた先に、輝かしい頭が現...
「其処までだ、ミスヴァリエール。この件は副所長として、私...
「退いて下さらない?私、今はミスタと言えども、手加減出来...
大人同士のけれん味で、その底に通じる相手の反応を伺う
「ヴァリエールは敵を滅殺が掟なのかね?」
「えぇ、例外はございません。はね除けられない者は、等しく...
大貴族として、必要な無慈悲
正に今、エレオノールは全力で出している
「私でも止められるか、怪しいな」
「邪魔だて致しますの?残念ですわ、ミスタ」
そう言って二人は杖を構えた所に、メイドが一人、乱入したの...
「おおおお待ちを〜〜!ミスヴァリエール!シエスタに是非と...
そう言って、ひれ伏したのはミミだった
「……メイド。邪魔しないように」
冷淡な瞳で撥ね付けるエレオノール
「おおおお聞き下さい!ヴァリエールの敵は、シエスタでは有...
そこで、初めてエレオノールが止まり、ミミに視線を向ける
「戯言なら、あんたも殺すわよ?」
とにかくエレオノールが止まった
ミミはすかさず日記帳を出したのである
「ここここの日記帳を御覧下さい。シエスタは、人質を取られ...
エレオノールは日記帳を読み進め、最後の方で更に髪を逆立てる
「ミスタはこの日記帳、ご存知?」
「いや、知らない」
「……証拠不十分ね」エレオノールはそう言って、パタンと閉じる
そこに、タバサが何とかよろよろと歩き出して手を出した
「…見せて」
エレオノールは黙って渡し、タバサが読んで行く
「過去の件に付いては本当。私が保障する」
「肝心の件は?」
「本当。ガリアにも暗殺依頼が来ている。今回、私も請けて来...
その瞬間、エレオノールの目がギョロリとタバサを睨んだ
「じゃあ、アンタも死になさい」
「続き」
まだ続きが有る事を示唆され、エレオノールが促す
そしてタバサは、サイレンスを周囲にかけた
「ガリアは、トリステイン貴族に金を吐き出させる事が目的。...
「…それで?」
「依頼貴族の中に、アストン伯があった。つまり、彼女はナイ...
「ほぅ、まさかガリアに迄……か」
コルベールが思わず唸る
「で、ミスタバサは才人君を暗殺するのかね?」
すると、タバサは首を振る
「内の騎士団の最強の四人が、成功率が四人がかりでも低いと...
「成る程ね」
コルベールが頷き、エレオノールは考えている
「貴女、花壇騎士なの?」
タバサがこくりと頷く
「ミスタはご存知?」
「実は初耳だ」
そこで見回すと、キュルケとルイズも立ち上がっていた
「タバサが花壇騎士なのは本当よ。私も一緒に任務をした事あ...
「あたしは、タバサの任務で衝突した事有ります」
キュルケとルイズの主張に、エレオノールはやっと杖を収めた...
「ふうん、一応証人は有りと。良いでしょう、一旦杖は収めま...
「「「はい」」」
エレオノールの本当の恐ろしさは身に沁みた
何で彼女を才人だけは御する事が出来るのか皆が疑問に思い、...
* * *
終了行:
シエスタとジェシカは、タルブの村でワイン用葡萄の収穫祭に...
シエスタは一旦学院に行ったのだが、今回今迄の実積を認めら...
太鼓のリズムに合わせてスカートをひらひらさせながら、踊り...
それを男達が笑顔や真剣な眼差しで見ている
笑顔の者は既婚者の余裕
真剣な顔の者は少年が多く、この後のダンスの申し込みして、...
要は、カップル成立率が非常に高いイベントな訳だ
ちなみにシエスタは才人と非常に親しい間柄で有る事を認知さ...
そんな事したら村を救ってくれた英雄に会わせる顔が無くなる...
シエスタはジェシカと同じく器量良しで乳が二人でバインバイ...
最も、祭の前に告白をした者も居て、返事は
「才人さんに勝てるなら良いです」
シエスタも何気に強気だ
二週間前の宴の滞在中に腕試しだと、野郎共が素手武器込みで...
あの男に挑戦するのは二度とゴメンと言うのが、村の男達の総...
英雄が英雄たらしめるのは、きちんとした下地が有る事を確認...
そして竜の羽衣をシエスタの家族含めて子供達には乗せて、ち...
シエスタの家族はそのサービス精神の豊富さと勤勉な姿勢を大...
収穫祭に至る背景としてはこんな所だ
で、収穫祭の話はシエスタが村人達に仕事だからと口をつぐま...
事実、無理に無理を言って来て貰ったのを承知してるので、村...
シエスタだけは、才人の身辺が非常に危険なのを知っており、...
そんな折、新しいアストン伯が、収穫祭の観覧に来たのである
祭で踊ってる娘達を見て、人に嫌悪をもよおす笑みを見せ、更...
「此方に、竜の羽衣を祀ってた一族が居たな?」
* * *
学院にシエスタが戻って来たのは、予定より二日遅く、メイド...
「ちょっと急用で長引いてしまいました。すいません」とだけ...
何時も朗らかの印象が強いシエスタの豹変振りに、周りがあれ...
「急用の件でちょっとね」
そう言って、多くを語らなかった
つまり本当に急用が出来て、それを切り上げて来たから心配な...
何時も元気なシエスタに皆が元に戻って欲しいと、あれこれ世...
その心配した中にルイズが居たのは、今迄世話になった人に対...
何だかんだで、やっぱり優しい娘なのだ
ただ、人より大分不器用なだけである
「もう、シエスタ、元気出しなさいよ。調子狂っちゃうじゃな...
ルイズのお茶にシエスタを指名して、二人きりだ
エレオノール側には、ミミやローラ、他のメイド達がビクビク...
ビクビクされると誰でも不愉快なので、エレオノールのご機嫌...
才人が傍に居る時は明らかに落ち着いてるのだが、居なくなる...
何でそんなふうになってるか他のメイドには解らないので、余...
シエスタという潤滑油が、皆に必要とされていた
「えぇ、ちょっと」
シエスタが気まずそうに微笑み、ルイズがそんなシエスタに同...
今要るのはルイズの部屋だ
その際、きちんとドアをロックして、誰にも見られない様にする
「うんうん、ロックやアンロックはきちんとマスター出来たわ...
「えぇ、そうですね」
むぅ、って唸って、ルイズはどうしたもんかと腕を組んでいる
「ほら、二人きりよ。私とシエスタの仲じゃない。ここでなら...
その後に
「借金はお父さまに相談しないと無理だけど」と続け、何とか...
「あはは、ミスヴァリエールの冗談は下手くそですね」
何とかシエスタの気分が少し上向いた
良し、偉いぞルイズと、心の中でガッツポーズをするが、後が...
ん〜と、こ〜と、何とか食い付きそうな話は〜?
「そう言えばシエスタ、ずっと前に賭けをしたじゃない?」
そう言って、ルイズが話しかけ、シエスタが思い返す
「……確か一学期……でしたっけ?」
「そうそう。あの時、確か負けたら何でもいう事一つ聞くって...
「そう言えば……そうでしたっけ?」
「そうよ。で、あの時の賭け。私の負けだっのよね。シエスタ...
シエスタはそのルイズの申し出に、少し考え、そしてこう答えた
「なら、才人さんを一日貸して貰えませんか?」
「才人の仕事を休めって言うの?」
「はい」
ルイズは少し考え、結局は頷いた
他でもないシエスタの頼みである
馬鹿犬の仕事が何であろうと、シエスタの復活は仕事にも好影...
「ちょっと待ってて、命令して来るから」
そう結論付けて、ルイズは研究室にダッシュしたのである
* * *
「ちょっとルイズ、仕事中に何の用よ?」
研究室の扉を開けて開口一番、エレオノールに冷たくあしらわ...
だが、友達の為にここは退けない
「あの、シエスタの調子が悪いんです。サイトと二人きりで接...
エレオノールはその言葉に、暫く考える
確かに事情知りのメイドは大事だ
自分でさえかなり参ってるのだから、平民で力の無い彼女は更...
「ルイズ、あんた、私達がアサシンに狙われてるの、誰にも喋...
「勿論です」
「良いわ、私から才人には伝えておく。あんたは何時も通りに...
「……そんなに酷いんですか?」
「えぇ、傭兵メイジも出始めたわ。巻き込まれたら、命の保障...
ルイズはキュッと、下唇を噛んだ
「死体は?」
「銃士隊が毎日引き取ってる。組織の洗い出ししてる最中ね」
「組織なんですか?」
「正確には、組織も居るって所。背後は有り過ぎ、担うアサシ...
そう言って、エレオノールは頭上を仰ぐ
「普通は、襲撃止みますよね?」
「普通はね。何を用意すればこんなに不屈の精神で攻め続ける...
まさか、ヴァリエール公の椅子と三姉妹が景品に載せられてる...
ちなみに才人が学院から出てわざわざアサシンを相手にしてる...
そんなこんなでガチャっと扉が開き、才人が入って来た
全身に死臭を臭わせ、反り血も少々浴びている
「よう、姉妹揃ってご苦労さん。やっとお勤め終わって来たぜ...
デルフが一際陽気に言い放ち、才人はちょっと疲れた表情だ
「今日は何人?」
「メイジが三人、非メイジが十五人。違う組織の癖に協同作戦...
そう言って、才人はドカッと椅子に座る
ちなみにエレオノールはドラフターの椅子だ
「日に日に激しくなって来てるわね」
「おりゃあ、冬戦争のシモヘイヘか、東部戦線のルーデルかよ...
そう言って、才人が溜め息をつく
「で、今日のスコアは?」
「長期戦で使い魔切れるわ、相棒キレるわで皆殺し。一人残し...
言ってる中味だけでも、相当に凄惨だ
ルイズはつい身震いしてしまう
「サイトは怪我無いの?」
「でいじょうぶだよ。怪我したら致命傷になっちまうからな。...
そう言って、デルフは愉快そうに笑っている
普通はこんなに攻められたら身が持たない
才人は、モンモランシーやヴァレリーによる、秘薬のバックア...
当然、モンモランシーは大量に用意した秘薬類の消耗に頭を悩...
ちなみに、エレオノールが材料仕入れにゼロ機関口座の小切手...
シエスタの復調は、全員の生命線になりつつあった
「才人、メイドが不調なの。明日は休んで、元気つけて上げて...
「シエスタが?」
自分自身の事で手一杯な才人は、そこまで気が回らなかった
毎日生きるか死ぬかをやってたら仕方ないのだろう
「キュルケやモンモンは大丈夫か?」
「ツェルプストーなら、私も参戦したいってぶぅたれてるわよ...
ルイズの言い分に才人は少し考えて、直ぐに頷いた
「やっぱりシエスタが元気じゃないと駄目だな。俺で良ければ...
こうして、才人は明日シエスタに付き合う事になる
* * *
シエスタと才人はルイズの部屋で二人きりだ
ルイズは授業に出ており、エレオノールは研究室で盗聴をして...
「良い、ボロ剣。メイドの復調は大事な事よ?だからきちんと...
「つまり、相棒の他の女との濡れ場が気になって気になって仕...
デルフの発言は身も蓋も無い
事実その通りなので、エレオノールは言葉を詰まらせてしまった
「…良いから、黙ってなさい」
「そのネタ掴んでどうする気よ?中身次第だぁね。喧嘩や脅迫...
真っ赤になったエレオノールがぽつりと呟いた
「……お、同じ事……おねだりするのよ……これで良い?」
エレオノールがそっぽを向いて、デルフが思いっきりカタカタ...
「わっはっはっは!それはおもれぇ!乗った!姉ちゃん存分に...
こうして二人は盗聴に気付かず、のんべんだらりとしている
と言っても、リラックスしてるのは才人の方だけで、シエスタ...
ちなみに暗殺者が出る様になってからは、ルイズの部屋のみで...
才人の安全の為に不承不承頷いたルイズだが、そのまま自身の...
ちなみにコルベールの部屋にも泊まっているが、断じてそうい...
寧ろ、対策の肝はコルベールと練ってる為に、才人的にはコル...
キュルケやモンモランシーは大変喜び
「このままずっと続かないかしら?ダーリンと一緒に寝るのっ...
「本当よね。お陰で肌の張り艶も良いし、自分の匂いがエロい...
「あ、解る解る。本当にエロい匂いになって来たわよね」
「女って、やっぱり愛されないと駄目ねぇ。ミスヴァリエール...
「……そうね」
二人共に上機嫌である
シエスタは共同部屋の為に、才人の宿には出来なかった
つまり、彼女達はその差が出たと認識したのだ
才人が隣に居るだけで、全然違うのを認識してしまってる為に...
男が自然体で居るだけで安心する
そんな男になりたいものである
シエスタがどうしたいか解らない為に、才人はシエスタに緑茶...
シエスタは黙って両手で飲んでいる
仕草も何時もと違う。相当参ってるのだろう
才人はどうしたもんかとガリガリ頭を掻いて、ドカッと椅子に...
「悩みが有るのか?収穫祭から帰って来て、元気無いみたいだ...
「えぇ、ちょっと」
やっぱり、元気が無い
「俺は……力になれないか?」
「そんな事無いです。寧ろ、才人さんじゃないと……駄目です」
そう言って、シエスタは再び黙る
「う〜ん。俺じゃないと駄目だけど、中々話せないって、何だ...
カチッとデルフが出てきた
「そりゃおめえ、メイドの嬢ちゃんの年齢なら結婚だろ?結婚...
こう言ってデルフはカタカタ笑い、シエスタがビクッと反応し...
「ありゃ?図星か?」
「はい、ここで相棒の取る選択はやっぱりメイドの嬢ちゃんを...
ガチッ
才人が立て掛けてたデルフに立ち寄り、無理矢理デルフを収め...
「お前は面白いか面白くないかだけで判断してんじゃねぇ!」
才人が席に戻るとガチッとまた出てきた
「だってよぅ、俺っち剣だもんよ。面白い面白くない以外に、...
「……それもそうだな。気楽な奴め」
才人はそう言って、更にデルフに追加の言葉を投げ掛けた
「助かったけど、話の腰はもう折るなよ?」
「へぇへぇ。ま、せいぜいメイドの嬢ちゃんを元気つけてやれ...
そう言って、デルフは引っ込み、辺りに香が漂って来た
モンモランシー製の、あの香の匂いである
「マジ?」
流石に才人が汗を垂らした
更にシエスタがキスをしてきて、何かを飲まされる
そのまま才人に寄り掛かったシエスタが、涙を浮かべながら、...
「ミスモンモランシと、ミスヴァリエールに頂きました。沢山...
「…あぁ」
「お願い、何も聞かずに」
「…解った」
才人はそう言って、シエスタをベッドに抱え上げて横たえた
* * *
エレオノールはその頃、書類を書き書きしてたのだが、完全に...
「えぇ!?あっ、ちょっと」
書類の上でペンがあらぬ方向に走り、書類が駄目になる
「胸ぇ!?胸かぁ!!うわっ、酷い!私は出来ないじゃないの!む...
握ってたペンがギリギリと軋み、バキッと折れる
「え?やだ!?あれ、喰わえるの!?やだやだ、そんなの出来ない...
二人きりの空気なので、エレオノールが盗聴してる事に気付い...
「えぇ!?両脚が頭迄!?丸見えじゃないの!私まだしたことなぁ...
コルベールが授業終わって来る事を、すっかり忘れている模様だ
そして、コルベールは騒いでたので、そっと開けて直ぐに閉め...
「…見なかった事にしますか」
やはり、コルベールは色々と経験を積んでると見える
* * *
才人にあられもない姿を晒したシエスタは、まんぐり返しの姿...
「才人さん。あ、すご、出ちゃう!私の中に出しちゃう!」
シエスタが才人の射精に合わせて、強烈に吸い込み、しかもシ...
「もっと出したい。才人さん、私の中、凄く良いんだぁ」
才人の快楽が全て判るので、身体をくねらせ、離された脚をが...
「才人さんの感覚、凄い。私の中は柔々で、いつの間にか出し...
才人の抱擁を思いっきり抱き締め、同調した射精感覚に完全に...
「はあぁぁ。いつも、こんな感じ?」
「…あぁ」
「才人さんの気持ち良いの全部気持ち良いだなんて、素敵なお...
才人が身体を起こすとシエスタがガッチリと離さず、そのまま...
シエスタが身体を立てると、体重で沈み込み、奥の奥迄繋がり...
「あ……堪らない」
本能で腰を前後に艶かしく動かし、ほんの三擦りでシエスタは...
「はひ………はひ…」涙を流し、静かに喘ぐ
香と薬は、余り長い時間を効かせない様に、控え目だった
* * *
「ひっく、ひっく」
シエスタが正気に戻ると泣いている
才人は、ベッドの上で肩を抱く事しか出来ない
「シエスタ」
「…いつまでも、泣いてちゃ駄目ですよね」シエスタはそう言っ...
「喉、渇きましたよね?」
「あぁ、有り難う」
才人がそのまま口を付け、飲んだ時には、こう言ったのだ
「才人さん、私の最後のお茶です。誰よりも愛してます」
才人が飲み込んだ時にはそのまま硬直し、ベッドからどさりと...
「…大丈夫ですよ。私も逝きますから」
そう言って、シエスタは扉を開けて駆け出し、デルフが大声を...
「姉ちゃん今すぐ来い!緊急事態だ!よりによって、メイドの...
デルフが怒鳴り、エレオノールががたりと跳ねて扉を開け、フ...
才人のパーカーから解毒薬を抜き出し、無理矢理飲ませるのに...
そこから、全精神力と魔力を投入し、一気に浄化を行うのに10秒
「ぐうぅぅぅ、間に合えぇぇぇ!」
気合いの言葉は、そのまま精神力と魔力の下支えになる
「良し、顔色良くなって来やがった。もうちっと気張れや姉ち...
「言われんでも分かってるわよ!ボロ剣!誰か来なさぁい!」
だが、叫んだ所で授業中だ
「良し、落ち着いたみてぇだ」
「ぜぇっぜぇっ」
一気に消耗したエレオノールが肩で息をしてるが、ゆらりと立...
「姉ちゃん、相棒放っておいて、何処に向かう気だ?」
「決まってるじゃない。あのメイドを殺すの」
「待てこら。相棒が目を覚ました時に、なんて言う積もりだ?」
「知らないわよ。私の男の命に手を出したんだから、覚悟位し...
そう言って、ふらりとフライをまた唱えたエレオノールは、ル...
ガシャアン
派手に音が鳴り響き、女生徒だけの教室が驚きの目でエレオノ...
先程あれだけの魔力を放出したのに、魔力が跳ね上がって、髪...
「ミスヴァリエール!教室を壊さないで下さい!」
そう言ってミセスシュヴルーズがたしなめるが、一切無視だ
「ちょっとヴァリエール、何事?」
キュルケが思わず立ち上がって詰問するが、真っ直ぐにモンモ...
「才人が毒を盛られた。今すぐルイズの部屋に行きなさい。私...
一気にざわめき立つ教室
ルイズは真っ青で、モンモランシーはそんなのお構い無しでフ...
「だ、誰がサイトに?」
「黒髪のメイドよ。今すぐに探しなさい。アンタ達、学院内で...
その言には一片の迷いも気負いもなく、やると決めた事を淡々...
「ちょっと待って下さい!姉さま!シエスタがそんな事…」
パァン!
近寄ったルイズに裏拳が入り、ルイズは姉が全く意見を受け入...
ヴァリエールの怒りに触れて、無事な相手は居ないのだ
「良いから捜しなさい。自殺する気なのよ。自殺なんか絶対に...
自殺と聞いて、キュルケは捜索の必要性が生じたのを理解し、...
「皆、捜索するわよ。確かに死なれて背景が解らなくなったら...
キュルケがパンパンと手を叩いて、自殺を止めるには確かに捜...
「良いですね?先生」
「はい、緊急事態です。授業は中断。全員黒髪のメイド……ミス...
シュヴルーズがてきぱきと指示を下す間に、ルイズにはキュル...
「シエスタがダーリンに毒を盛った。あり得る?」
「あり得ない」
「あんたの姉さんは、嘘であんな怒り撒き散らす人?」
「絶対無い。姉さまは、誰よりも貴族の誇りを重んじてる。だ...
「有り得ない事が二つも起きた。なら、必ず理由は有る。私達...
「解った」
「一つ聞くわ、ルイズ。シエスタは貴女の何?」
「友達よ」
簡潔に答えたルイズに、キュルケは大きく頷いた
「良い答えだ。さてと、私達の友達が困ってる。助けるわよ、...
「えぇ。姉さまなんかに渡さない。私は友達を助ける」
そう言って、腫れた頬をそのままに、ルイズはキュルケと共に...
友達が困ってる
だったら今は……走る!
* * *
シエスタは最後のノートに記入を終えると、日記帳をそっと抱...
「今迄有り難う。じゃあ、才人さんが待ってるから、私も地獄...
既に首吊り縄は用意してあり、台の上で輪に首を通して、台座...
一気に首が締まり、頸骨に体重が一気にかかりショックで折れる
「ひぅっ」
遠くなる意識の中で周りが騒ぐ音が聴こえていた
* * *
「シエスタ〜!返事してぇ〜!シエスタ〜!何処に居るの〜?」
ミミが火の塔の階段の影で首吊りを見付けたのは幸運だったの...
「きゃあぁぁぁぁ!シエスタ〜〜〜〜!」
ミミの悲鳴に気付いたメイジ達がフライで一斉に駆け付け、首...
「どう?」
「わからないわよ!早く水使い来てくれないと。とにかく治癒...
一気にメイジ達が集まって、口々に治癒を唱えていく
ミミはそんなメイジ達の邪魔にならない様に離れて、あるモノ...
そう、シエスタの日記帳だ
ぱらりと捲っていき、最後の書き込みを見て、はたと止まり、...
「シエスタ、シエスタ〜!お願いします、貴族様。シエスタを...
「五月蝿いわね!やってるから黙ってなさい!気が散る!」
「は、はいぃ」
シエスタに対し、学院の生徒達が懸命に治癒を詠唱していくと...
「ちょっと道開けて」
どうやら三年の様だ。すかさず診察を始める
「治癒を始めてどれ位?」
「5分って所かしら?」
「頸骨は折れてるけど、発見が早かったせいで、鬱血は出てる...
一気に連続詠唱に移行し、精神力を促す為に敢えて目を瞑って...
学院お抱えの治癒術士は志願してしまった為に、今は学生しか...
次々に水使い達が魔力を温存する為に抱えられて到着し、一気...
そんな中、キュルケがルイズを抱えて飛んで来た
「シエスタ!」
「治癒の邪魔よ。近寄らないで」
水使い達にそう言われて、ルイズは頷いた
そして最強最悪の敵が到着する事に、キュルケと同じく構える
彼女は歩いてやって来た
魔力が溜まりに溜まって髪が逆立ち、周りに圧倒的な魔力を洩...
「捜索ご苦労。引き渡しなさい。虫の息だろうと、生きてれば...
そう言って、手を差し出すエレオノール
その様は、正に金の女帝
余りの魔力に誰もがビビり、治癒に参加してない者達がサァッ...
あっという間に、キュルケとルイズだけになる
「ちっ、ヴァリエール舐めてた。何なのあの魔力。私の炎届く...
キュルケはそう言って汗を垂らし、決然とルイズが宣った
「対抗しないと、シエスタが殺されちゃう。やるわよ、ツェル...
「全く、ダーリンと一緒だと、本当に退屈しないわ」
その時、上からふわりと一陣の雪風が舞い降りた
そして、一気にエレオノールが雪風に包まれる
ビュオオォ!
「アイスストーム!」キュルケが喚声を上げ、助かった反動で...
「タバサ、遅いわよ!」
スタンとルイズ達の前に降り立ったタバサが、杖を真横に構え...
「…説明」
「今は後!あの女帝を止めるの手伝いなさい!」
コクンと頷いたタバサが正面を見据えると、土の壁が出来ていた
キュルケが圧倒的なヤバさに詠唱を始める
「あれは……不味い、ルイズ、二発目!」
「えぇ、エオルー…」
そして、キュルケは爆炎を詠唱し、来るタイミングを計り、タ...
四方八方に壁が散弾として飛び散り、アイスストームを撃破し...
一気に目前に輝く炎球が出来て散弾を燃やし尽くそうとするが...
思わず目を瞑ったキュルケの前に散弾は届かなかった
タバサが杖を立てて、エアシールドをかけてたのである
だが、その顔に余裕は無い
「タバサ、助かった」
「…追撃」
タバサも一杯一杯を主張し、キュルケは一気に後続を詠唱し始...
「…カノ・オシェラ」
ルイズのエクスプロージョンが杖と共に振り下ろされ、エレオ...
「イル・アース・デル」
光を非常に強固な石の結晶たる水晶が上方を開けて覆い被さり...
「嘘っ!?虚無を」
ルイズの愕然とした表情に、女帝は一歩踏み出し、吐き捨てた
「随分安っぽい伝説ね。銃砲となんら変わらないじゃないの」
正に、女帝。使い方なんか、まだまだ手探りのルイズとは違い...
「退きなさい。地面に立ってる時点で、アンタ達なんか何時で...
「まだ終わりじゃない!止まりなさい、ヴァリエール!」
フレイムアローを複数呼び出し、数で攻める事にしたキュルケ
更にタバサも同調し、ウィンディアイシクルも形成され、一気...
「馬鹿ね、数とはこうやるのよ」
そう言ったエレオノールは杖を一振りすると、一気に桁が一つ...
「「「きゃああぁぁぁぁ!!」」」
一気にズタボロになる三人
しかも、きちんと全員急所を外され、打撲で済んでいる
ジャリッジャリッ
エレオノールの歩みを止められず、既に立てなくなった三人
だが、それでもルイズは傍を通過するエレオノールの脚を掴んだ
「お願い、シエスタを殺さないで!」
ルイズの嘆願に対し、エレオノールの声は非常に冷たい
「……何を言ってるの?アンタの使い魔の命が狙われたのよ?ヴ...
そう言って振り切り、更に歩みを進めた先に、輝かしい頭が現...
「其処までだ、ミスヴァリエール。この件は副所長として、私...
「退いて下さらない?私、今はミスタと言えども、手加減出来...
大人同士のけれん味で、その底に通じる相手の反応を伺う
「ヴァリエールは敵を滅殺が掟なのかね?」
「えぇ、例外はございません。はね除けられない者は、等しく...
大貴族として、必要な無慈悲
正に今、エレオノールは全力で出している
「私でも止められるか、怪しいな」
「邪魔だて致しますの?残念ですわ、ミスタ」
そう言って二人は杖を構えた所に、メイドが一人、乱入したの...
「おおおお待ちを〜〜!ミスヴァリエール!シエスタに是非と...
そう言って、ひれ伏したのはミミだった
「……メイド。邪魔しないように」
冷淡な瞳で撥ね付けるエレオノール
「おおおお聞き下さい!ヴァリエールの敵は、シエスタでは有...
そこで、初めてエレオノールが止まり、ミミに視線を向ける
「戯言なら、あんたも殺すわよ?」
とにかくエレオノールが止まった
ミミはすかさず日記帳を出したのである
「ここここの日記帳を御覧下さい。シエスタは、人質を取られ...
エレオノールは日記帳を読み進め、最後の方で更に髪を逆立てる
「ミスタはこの日記帳、ご存知?」
「いや、知らない」
「……証拠不十分ね」エレオノールはそう言って、パタンと閉じる
そこに、タバサが何とかよろよろと歩き出して手を出した
「…見せて」
エレオノールは黙って渡し、タバサが読んで行く
「過去の件に付いては本当。私が保障する」
「肝心の件は?」
「本当。ガリアにも暗殺依頼が来ている。今回、私も請けて来...
その瞬間、エレオノールの目がギョロリとタバサを睨んだ
「じゃあ、アンタも死になさい」
「続き」
まだ続きが有る事を示唆され、エレオノールが促す
そしてタバサは、サイレンスを周囲にかけた
「ガリアは、トリステイン貴族に金を吐き出させる事が目的。...
「…それで?」
「依頼貴族の中に、アストン伯があった。つまり、彼女はナイ...
「ほぅ、まさかガリアに迄……か」
コルベールが思わず唸る
「で、ミスタバサは才人君を暗殺するのかね?」
すると、タバサは首を振る
「内の騎士団の最強の四人が、成功率が四人がかりでも低いと...
「成る程ね」
コルベールが頷き、エレオノールは考えている
「貴女、花壇騎士なの?」
タバサがこくりと頷く
「ミスタはご存知?」
「実は初耳だ」
そこで見回すと、キュルケとルイズも立ち上がっていた
「タバサが花壇騎士なのは本当よ。私も一緒に任務をした事あ...
「あたしは、タバサの任務で衝突した事有ります」
キュルケとルイズの主張に、エレオノールはやっと杖を収めた...
「ふうん、一応証人は有りと。良いでしょう、一旦杖は収めま...
「「「はい」」」
エレオノールの本当の恐ろしさは身に沁みた
何で彼女を才人だけは御する事が出来るのか皆が疑問に思い、...
* * *
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