ゼロの使い魔保管庫
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一足先に進軍していたギーシュ率いる中隊と装甲擲弾兵連隊は...
味方の退きが余りに早く、下がる事も出来ず各個撃破の繰り返...
押しては引き、引いては押す。地の利はアルビオン側にあり、...
「チキショー!こういう事か、糞ったれ!」ニコラが悪態を付...
そしてギーシュは、呆然としていた。余りの展開に、頭が付い...
「え?何?」「頭下げて!」
パパパパーン
ギーシュがニコラに無理矢理頭を伏せられ、銃弾は空を切った
「糞、せめて防塁を築ければ」
ギーシュが万全なら魔法で築けるが、ギーシュは今、自失から...
その横に弓が降り注ぎ、銃身で振り払うが、何発か貰って倒れ...
装甲擲弾兵を見るが、目の合った連中からは、諦めの目が向け...
彼らは元々クラスが低いのだ。他部隊に命令無しでサービスす...
「僕、こんな所で何やってるんだろ?」
「失礼します、隊長殿」
ニコラはそう言って、ギーシュを拳でぶん殴る
ドカッと石畳のギーシュは倒れ、ニコラを呆然と見る
「しっかりして下さい、隊長殿!今の苦境を切り抜けるには隊...
「え、でも……僕の魔法じゃ……」
「このまんまじゃ、俺達は全滅です!今は出来る事をして下さ...
呆然とするギーシュの耳に、メイジに通じる遠話が届いた
〈此方、ド・ヴィヌイーユ独立銃歩兵大隊じゃ。皆の衆良く聴...
タルブの英雄、イーヴァルディ。この二つの言葉は、ギーシュ...
そう、すっくと立ち上がると、薔薇の杖を抜いて、一気に詠唱
「イル・アース・デル」
ギーシュ達の前に、錬金により石の防塁が出来、銃弾や弓矢か...
「よっしゃあ!」「流石メイジ!やるな隊長!」
今までのが嘘みたいだが、ニコラは気付いた
ギーシュの足元は震えている
「僕は、才人に恥ずかしくない戦いをする。僕に指揮権を寄越...
「勿論!お供しますぜ、隊長殿!」
ニコラが唱和し、中隊全員が頷いた
「隊長、竜騎士接近中!我々を焼き払う積もりです!」
「02式擲弾用意!短銃三段撃ちだ!総員装填!」
「ウィ!」
ギーシュの声に全員装填し、次々に音が重なる
「両手で狙え!第一〜てぇぇぇ!!」
パパパパーン
擲弾の発射音が鳴り響いた
「第二〜〜てぇぇぇ!!」
パパパパーン
明らかに音の数が多いのだが、誰も気にしていない
「第三〜〜てぇぇぇ!!!!」
パパパパーン
時間差で空中に撃たれた1000発近くの擲弾は、近付いた竜騎士...
更に炸裂したディテクトマジックの残渣に反応して連鎖爆発を...
凄まじい爆音を響かせた中に竜騎士が突っ込み、煙の中から出...
だが、その様を見る前に、ギーシュは先程の射撃命令から間髪...
「装甲擲弾兵!防御詠唱重ね掛け!使い切れ!」
「おおぉぉぉ〜〜〜!」
そう、衝突コースに突入しており、密集した部隊に巨体が墜落...
本来越権行為なのだが、ギーシュの声に何の疑問も無く装甲擲...
ズズズン
肉の潰れる音が鳴り響き、ギーシュの目の前に、竜騎士の巨体...
「無事ですか、隊長殿?」
「……あ、僕……」
またガクガクし出したギーシュの横っ面をニコラは張り飛ばした
パァン
「あんたは間違って無い!俺達じゃ、火竜のブレスは防げない...
ペッと血と唾を吐き捨てたギーシュは頷いて、更に指示を飛ばす
「本隊と合流して立て直す!突破力の有る装甲擲弾兵は先陣を...
「ヤー」「ウィ」
今の衝突で指揮官を失った装甲擲弾兵は有無を言わずに敬礼し...
今は四の五の言っている暇は無い。本隊と合流して、再度攻勢...
「僕は…生き残る。だから才人、陛下とトリスタニアを頼むよ」
* * *
トリスタニアの街に、突然ぽっかりとオークとトロルが出たの...
街行く人は、突然の闖入者に暫くぽかんとしていたが、トロル...
「いやぁぁぁぁぁ!!」「うわぁぁぁぁぁ!!」「助けて、助け!」
オーク達は勃起したモノをブルブル震わせながら、繁殖に使え...
「王宮に伝わる迄30分って、所か。あの浅はかな王女の事だ、...
そう言ってワルドは吐き捨て、ムーアが確認する
「確率は?」「まぁ、5割だろう。周りが止めるかも知れん」
「そうか」「何処に居ようが構うまい。衛士隊や銃士隊が亜人...
「我々が女王を頂くと。実に素晴らしい戦術だな。我らの主は...
「では参ろうぞ」
姿を消した一団は、音も無くその場から消えたのだ
その中で、フーケは考え込んでいた
『前からクロムウェルは王家に執心だったね?始祖ブリミルの...
* * *
連絡を受けた当直のジェラール=ド=グラモンは、同じく当直...
「くっそ!こんな時に亜人の急襲だと!?アルビオンが確か亜人...
「……行くのか?ジェラール」
「あぁ。ミシェルは王宮の防備を固めろ」
そう言って、全裸のミシェルにキスをすると、ジェラールは手...
「死ぬなよ」
「解ってる。結婚式は何時が良い?」
「気が早すぎだ、戯け」
「結婚前に未亡人にはさせないさ」
ジェラールはウィンク一つをしてから出て行き、それからミシ...
彼は自分の為に平民になると言った。信じられない
給料は安いけど、二人で小さいけどささやかな家を作ろうって...
「貴族じゃなくて良いのか?」「あぁ、構わない。兄貴が継い...
信じられなかった。でも、本当にスパッと全員と手を切って、...
「いやぁ、5回位殺されそうになったわ」そう言って、にこや...
「私なんかの何処が良い?」「俺に靡かない所」全くコイツは…...
思い出し笑いをしたミシェルは「ま、絶対奴は浮気するからな...
そこは既に前線だ
ミシェルも決意を秘めて、前に出たのだ
「私みたいに弛んでる奴は居ないか?総員第一種戦闘配備急げ...
* * *
アニエスは寝床は何処でも良かった為に、敢えて周りから距離...
中には無害レベルのマジックアイテムが雑然と置かれており、...
結局、タングルテールの虐殺の手掛かりを求めて魔法学院に行...
「20年前だから仕方ないとは言え、こうも露骨に消えてるのは...
大筋は判明しているので特に問題は無いが、下手人を生かした...
結局、ミシェルの行動は自分の行動そのままだ
だから、ミシェルを攻める気が無い。所詮同じ穴の狢だ
そんな事を思い出し、更にミシェルが此方に配属前に照れて言...
銃士隊の隊長室で、ミシェルから切り出された
「隊長、いやアニエス。貴女に伝えないといけない事がある」
「何だミシェル。改まって」
もじもじしたミシェルなんか、初めて見る光景だった
「あの……私……け……け……結婚する……事に……なった」
最後の方は、余りに小さい声で聞き取れ無かったので、改めて...
「済まん、小声で聴こえなかった。もう一度言ってくれ」
ミシェルが慌ててる様も初めて見る
自分と同じく、勤勉実直が売りだったので、実に新鮮味がある
「あの……だから……結婚!する事になった」
「……」
思わず無言で睨み返し、ミシェルがバツが悪そうだ
まぁ、私としては、友人が幸せになるなら祝福する気は満々に...
「相手は?」「…ジェラール」
また聴こえない
全く、恥ずかしいのは解るが、旦那に挨拶しなきゃならないん...
「ジェラールだ!」「まさか、あのジェラールか?」
「そ、そう」
剣から銃に切り替え、勿論ドレッドノートだ
「とりあえず挨拶に行って来る」
私がそう言って陛下から頂いた03式銃に赤弾を弾込めし、ガチ...
…こんなのミシェルじゃない
「わぁ!待って待って待って!とにかく話を聴いてくれ!」
ミシェルがそう言うので、仕方ないから私は頷いて話を聴いた
ミシェルの為に平民になる事、今まで付き合っていた女と全員...
ミシェルも満更ではない事
次々と言われた内容に、私は注文を付けた
「悪いが、ジェラールは貴族からは降ろせん。お前がグラモン...
「…え?」
「奴より有能な指揮官は中々居ない。平民じゃ睨みがきかん。...
「だけど、私は貴族になる手柄は上げて無いし」
「第二代銃士隊隊長と言うのはどうだ?」
そう言ってからかってみると、怒り出した
「あぁ!?アニエス、あんた私に銃士隊押し付けて、男に走る積...
「先に走った癖に何言ってんだ?」
そう言って、お互いに年頃の女らしく、珍しくお互いの男で盛...
「今まで、酷い役目やらせてゴメン!好きな男に、初めてあげ...
「過ぎた事だ」
「でも」
「才人は気にしない……多分な。アイツはな……懐広いんだ」
「…そっか。あと、もう一つ」
「何だ?」
「あの時に逮捕しないでくれて、有り難う」
「何の事だ?」
ミシェルはその言葉に、拳をポフって私に入れて、私はミシェ...
「あぁ、冗談抜きで平民落ちは無しで頼むぞ。陛下に直訴する...
そう言うと、ミシェルは私に敬礼する
「了解です、隊長」
出立前に陛下にもう一度謁見して直訴したらにこやかに頷いて...
グラモンが貴族じゃないと困るのは陛下だ
いつの間にか自分にも、権謀が付き始めたらしいと、アニエス...
静か過ぎる。メイド達の働く音がしない
咄嗟に短銃と剣を握って抜き、鏡の背後に隠れる
すると、走りよる音が聴こえて来た
アニエスは努めて息を殺し、来る者に備える
ガチャ
開けたシルエットは男。学園内では殆ど居ない、そして詠唱を...
バキッ
そのまま相手の首筋にサーベルを突き立て、一撃で仕留める
そして、出た相手は敵だったのが、服装で判った
仮にも治安担当である。特徴的な身なりは諳んじる事が出来る...
「ふぅ、間違えずに良かった」
間違いで殺したかと、内心冷や汗たらたらだったのだが、杞憂...
「先ずはゼロ機関を確保。彼処に行けば補給が効く」
そうしてアニエスは出て行き、後には死体と壊された鏡が残っ...
* * *
キュルケの部屋の窓ガラスが外からこつこつ叩かれて、キュル...
「どうしたのタバサ?朝から珍しいじゃない」
「襲撃」
その言葉にキュルケは真顔になり、耳を澄ますと微かに悲鳴と...
「一度退く」「同感ね」
キュルケは手早く身繕いを済ませると、タバサと共に窓から飛...
* * *
エレオノールは自宅に帰らず、彼の匂いが残る仮眠室に寝泊ま...
シエスタも一緒であり、理由は同じだ
更にシエスタには別の心配もあった為に、同じ部屋だ
理由は、エレオノールの落ち込み振りを心配しての事だ
「ミス、ほら起きましょう。才人さんが帰って来た時に、何も...
「…ん、もうちょい」
そう言って、才人の残り香の残るベッドをくんかくんかするエ...
もう随分と自分の匂いで上書きされたが、まだまだ大丈夫。こ...
「もぅ、早く起きて下さいね〜〜」
そう言ってシエスタが出て行き、部屋の中を掃除してると、ガ...
「どちら様ですかぁ?営業時間迄、まだ有りますよ〜?」
「開けろ!」
シエスタはその瞬間に真顔になった
今は男は居ない。学院関係者でゼロ機関にこんな口を叩く奴は...
此処まで思考を繋げると、エレオノールを再度起こしに行く
「ミス、ミス起きて下さい。不審者です。不審者ですよ?」
エレオノールはぱちくりと目を覚まし、ゆら〜りと立ち上がる
「そぅ、不審者。なら、いたぶって良いのよねぇ?」
うふふふふと笑い出したエレオノールにシエスタは冷や汗を足...
そして鍵ががちゃりと開かれると、男が飛び込んで来た
カランコロン
「何だ?あのまま籠城すんのかと……」
侵入した男が見たのは、書類仕事をしている、眼鏡を掛けた金...
「ゼロ機関にようこそ、お客様。当機関は取引に積極的なお客...
「な、何?」
「ご希望の商品はなんでしょう?マスケットライフル、マッチ...
いきなり商品を滅茶苦茶に羅列されて解る訳も無い。男はエレ...
「何訳わかんねぇ事言ってんだ!良いから来い!お前は人質だ」
そう言って杖を向けた男に、エレオノールは逆手に持っていた...
「な?メイジ!?」
杖を出した時には既に決していた
頭上にレビテーションで浮かされていたシエスタの魔法が解か...
クアァァァァン
シエスタの体重が乗った激烈に重い一撃を食らって、男は昏倒...
「うん、やっぱり私は、フライパンが手に馴染みます」
そう言って、にこやかに笑うシエスタ。人を張り倒しての笑顔...
こうして、アニエスがゼロ機関に到着した際には、捕虜が一人...
* * *
寝起きを襲撃されて教室に集められた生徒達は、大半が寝間着...
「おい、爺。学院関係者はこれで全部か?」
オスマン含めた教師陣も拉致られており、相手の手際の良さに...
「ここ迄見事にやられるとはのぉ」
「警備から何からザルじゃねぇか」
「全く、盗賊事件以来さっぱり変わらないらしいみたいだのぉ」
そう言って、女性教師陣を見回し、全員が気まずそうに目を反...
そう、男性教師たる彼は居ないのだ
そして、自らの使い魔が天井から顔を出してるのを確認すると...
「もう一度聞くぞ、爺。これで学院の貴族は全部か?」
「そうじゃよ。で、我々をどうする積もりかね?」
「何、アルビオンに御招待だ。嫌だと言うなら結婚相手を紹介...
「……!?」
女生徒達が息を飲む。女達には最悪の結末だ「い、嫌」
「嫌なら大人しくしていろ。俺を含めて部下共を刺激すると、...
その言葉に、女生徒達は身を寄せ合ってメンヌヴィルを見るし...
だが、その様は、メンヌヴィルの部下達が欲情をもよおすには...
「隊長、やっちゃって良いでしょ?」
「取引にならんから止めろ。死にもの狂いになられたら、取引...
「ちぇっ。お預けかよ」
「逆らった馬鹿なら好きにして良い」
「やった!ひよこちゃん達、頑張って抵抗してくれよ〜!」
そう言って、舌舐めずりする部下に、メンヌヴィルは興味無さ...
そう、彼は窓の方を向いていた。その時、ガシャアァァァンと...
「ガァァァァァ!」
だが、メンヌヴィルは杖たる鉄棍を、咆哮から噛み付きの為に...
グズッ
肉を裂く音が響き、串刺しにされたマンティコアが痙攣する
「…マンティコアは好かん」
ビクンビクンと痙攣するマンティコアに、メンヌヴィルが呟く...
ゴォッと一気に火葬されるマンティコア
その光景に、一人の女生徒が悲鳴を上げてしまった
「いやぁぁぁぁぁ!?私のギィ〜〜!止めてぇぇぇぇ!!」
周りが慌てて止めるが、半狂乱になった女生徒はメンヌヴィル...
「止めて!止めてよ!私の使い魔よ!殺すの止めて!」
メンヌヴィルの背中を無茶苦茶に涙を流しながら叩く女生徒に...
「ならば、お前も使い魔の後を追え」
がしりと女生徒の首筋を片手で掴んで持ち上げるメンヌヴィル
「い、ぐっ」「止めい!」
嗄れてはいるが、貫禄の声が轟き、メンヌヴィルが振り向く
「何だ爺。大人しくしない奴は、ロクな事にならんと言った筈...
「そう言うでない。前途有る生徒を見捨てては、教師の名が泣...
メンヌヴィルは見えぬ目で、思わずオスマンを見返してしまう
「…ほぅ。良かろう。だが、質問に答えてからだ。小娘、使い魔...
降ろされた生徒はケホケホしながらも、首を振って答えた
「違う。ギィは私のピンチと知って、飛び込んで来たの」
それを聞くと、メンヌヴィルも頷いた
メンヌヴィルとてメイジである。使い魔の有り様位知っている
「主人想いの使い魔と爺に感謝しろ」
そう言って、待機姿勢に入った
* * *
集められた教室の場所をモートソグニルの案内で知ったエレオ...
「ちっ、我々の警備すら掻い潜って来たのか!?部下達も全滅さ...
「可能性は否定出来ないわね」
「モートソグニルさん、モートソグニルさん。あれ?駄目です...
案内をしていたモートソグニルが、いつの間にか消えているの...
「二十日鼠なんか戦力にならないわ。偵察してくれただけで充...
「はい」
エレオノールの発言にシエスタが頷いて、エレオノールはシエ...
「おい、何処に行くんだ?」
「私達の仕事をするの。メイド、行くわよ」
「はい」
「ちょっと待て。この様で留守を任せた才人になんて言い訳「...
そう言って、エレオノールはシエスタと共に去ってしまった
「あら、入れ違い?」
アニエスに別の方角から声をかけられ、アニエスが振り向くと...
「お前達か。人質をどうにか解放したい。協力してくれ」
アニエスの言葉にキュルケはタバサを振り返って見て、そして...
「無理だって」
「あのな、あっさり手を上げるのもな……」
「タバサがそう言ってるの。私達じゃ破壊力有り過ぎるのよ。...
キュルケの言い分に、アニエスがしかめ面をしてみせる
「威力下げれば何とかならんか?」
「反撃喰らうわよ」
アニエスはその言葉に暫く思考する
「…被害担当が居れば良いのか?」「まさか…」キュルケの問い...
平民上がりとは言え、やはり近衛隊長は違うと再確認するが、...
「生徒を助けるのかね?だったら、私の指示に従ってくれたま...
「ミスタコルベール?」
アニエスの問いにコルベールが頷いた
「全員魔法通信機を着けてくれたまえ。反撃と行こうではない...
* * *
メンヌヴィルは、移送作業を行う為に部下を集める指示を下し...
「どういう事だ?おい、爺、これで全部と言ったではないか?...
「おおう、そう言えば、銃士隊が最近警備に就いておったのぉ」
顎鬚を撫でながら思い出した様に言うオスマンにメンヌヴィル...
「これで全部と言ったではないか?」
「学院関係者ではないぞい。嘘は吐いておらん。それに、そな...
メンヌヴィルはその答えに苦笑する。確かに、嘘は言ってない
「後で覚えてろよ、爺」「さて、最近物忘れが酷くてのう。年...
すっかり惚けるオスマン。メンヌヴィルは、これ以上は問答の...
ダァン
銃声が鳴り響き、メンヌヴィルと共に居た部下が、警戒に散っ...
「おい、どうした?仕事中は女達捕まえて遊ぶのも程々にしろ...
〈違う、攻撃だ。位置が掴めねぇ〉〈ダン〉〈うわっ!?〉
そこで通信が切れ、メンヌヴィル隊の男達は、顔を険しくする
「隊長、不味いっすね」「何時もの事だ」
メンヌヴィルの答えに、部下はあっさり頷く「それもそうっす...
彼らは常にキツイ場面に投入されてるが為に、こういった事態...
「撃破する」「了解」
簡潔なやり取りに、女生徒達は怖れの色を濃くしたのである
* * *
シエスタは、03式に固定座を装着して、風の塔の屋根からエレ...
「う〜ミス、当たりません」「才人みたいには行かないか」
「この小っちゃい望遠鏡、見辛いです」「ああもう、高いのよ...
「私に才人さんの技量求めないで下さぁい」「…仕方ないわね」
スコープを覗いてたシエスタに、エレオノールは、錬金でモノ...
「はい、コイツならどう?」エレオノールが、シエスタにモノ...
「わあ、良くみえます」「さっさと殺るわよ。後輩見捨てたら...
頷いたシエスタは、脚を開いた間に03式を構え、モノクルスコ...
ダアァン!
すかさず排莢して弾丸をセットすると撃鉄を起こし、照準を合...
ダアァン!
シエスタの支援射撃が始まると、エレオノールが通信機に語り...
「ミスタ、突入して」「やった!当たりました!」
「気を抜くな。次よ」「はい、ミス」
* * *
シエスタの銃撃が始まると、コルベールは03式擲弾を割れた窓...
室内に居たメンヌヴィルの部下が、投げ込まれた擲弾に反応する
「擲弾?人質事か!?」
そう言った時には、擲弾から大量の煙が吹き出し、全員咳き込...
「ゲホッゲホッ」「糞っ、味な真似を!」
メンヌヴィルの部下達が吐き捨ててると、煙の中から褐色の手...
同士討ちを避ける為に、ブレイドとサーベルでの攻撃である
「があっ!?」「ぐっ」
一合目は彼女達に軍配が挙がったが、二合目はメンヌヴィル隊...
メンヌヴィルがフレイムスプレッドを詠唱し、辺りを構わず炸...
ババババン!
煙と共にアニエス達も吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた
「グ………ア」
「中々やるな。だが、こちらが対応出来ると思わなかったのか...
煙が晴れるとジャリジャリと歩いてメンヌヴィルがアニエスに...
そんな中人影が一人、飛び込み様蹴りを放ちつつ、そのまま炎...
「ぐっ、誰だ?」「生徒たちはやらせる訳には行かない。シュ...
コルベールは、着地と同時に、凄まじい攻勢を掛け始める「お...
「ウル・カーノ・イーサ・ティール・ギョーフ」
掌打を腰を沈めながら放ち、水月(鳩尾)に当てて呼吸を一時的...
「うおおおおおおお!?」
堪らなくなったメンヌヴィルが、フレイムウォールを出す時間...
ガシャァァァァァァン
そのまま二人が外に飛び出し、お互いに睨み合う。すると、メ...
「くくくくくく……うわっははははははははは!!その技巧、その...
心底可笑しいのか、メンヌヴィルは笑いが止まらない。コルベ...
「まだ殺生の道を歩んでいたか、メンヌヴィル」
「ふははははは!何を言ってる?俺をこの道に引き込んだのは...
コルベールは何も言わなかったが、その言葉に反応した者が居た
「…何……だ……と…?」
ダメージを負ったものの、痛む身体に鞭を入れ、生徒や教師の...
「ちょっとシュヴァリエ、今は避難が先よ。足手纏いが居たら...
キュルケに促され、アニエスも避難誘導に専念する事にし、コ...
「隊長!」
その言葉に振り向いたアニエスに、銃士隊の隊員が走り寄って...
「アメリーか。被害は?」「第一分隊2/3が戦死。10人程捕虜に...
アニエスは報告を聞くと即決する
「捕虜になった連中は、余裕が出来たら取り返す。基本は戦死...
「動ける者を集めろ。掃討する」「ウィ」
「非戦闘員は、動くなと伝えろ。誤って殺されても知らんとな...
「戦える者は手伝って貰うぞ。じゃなければ、全員破滅だ。い...
アニエスが避難誘導している少女達に振り返り、その言葉に、...
今は、四の五の言っている事態では無いのだ
* * *
「わ、わ、わ、わ、ミス!ミスタコルベールが敵と戦ってます...
エレオノールの言葉に頷いたシエスタは、一人、男が飛んで来...
カチン
「あぁ〜!?弾込めなきゃ!?」「遅ぇ!」
そう言って、飛び出して来た男の前で、朗々と美しい声で、詠...
「イル・アース・デル・ソーン・イーサ・ハガラース」
先程の錬金と同じく塔そのものを材料としてパルチザンが唱え...
本来、頑強な建築物には、非常に強固な固定化がかけられ、並...
ズグリと肉を貫く音が伝わり、「馬鹿な…固定化を退けたのか…...
男は今際の際で呟く「…ヴァリエール……あんたが……」
煌めく水晶の槍に貫かれた男は墜落して行き、エレオノールは...
「居場所がばれた。移動よ」「了解です、ミス」
* * *
タバサは、避難誘導をしている最中、不自然な遺体を何体か確...
一体あれはどういう攻撃手段か皆目見当がつかない。手段は解...
エストックが狙うのは心臓だ、首筋は基本狙わない。だからタ...
その様子を、二十日鼠が壁に張り付いて見ていた
* * *
「はははははは!どうしたどうした隊長殿?キレが今一じゃな...
コルベールの杖と、メンヌヴィルの鉄棍、得物自体の威力に違...
お互いに回し蹴りを放ち、左腕で防御すると、そのまま杖にブ...
「ふはははははは!流石、俺が生涯を懸けて殺そうとした相手...
「お断りする。メンヌヴィル、君こそ破壊の為に炎を使うのは...
「俺を止めたきゃ、殺すんだな!ウル・カーノ・ソウイル・ベ...
「…やはりそうなるか。ウル・カーノ・ジエーラ・ティール・ギ...
メンヌヴィルが頭上に丸く輝く白炎を生み出すと、コルベール...
炎の蛇が生きてるが如く必殺の炎を操る、正にコルベールの二...
精神力の高まりを受け、互いの炎が極限まで高まり、正視出来...
「これが、あんたを越える炎だ!コルベール!」「魔法は魔力...
メンヌヴィルの白炎が鉄棍の盛大な振りで一気にコルベールに...
互いの中央で炎蛇が白炎を飲み込み消化しようとし、白炎が蛇...
バアアアアアアアン!
凄まじい爆発音が辺りにばら撒かれ、衝撃波で二人諸共に吹き...
「ぐう…」「………くっ」
二人共に衝撃波が身体に直撃し、がくがくになりながらも立ち...
「メンヌヴィル隊長!」「ミスタ!」
轟音に気付いた両陣営の人間が、二人を救援する為に走って割...
「トーション・デル・ウィンデ」「エオルー・ユル・ソーン・...
メンヌヴィル隊の隊員がトルネードを唱え、キュルケが盛大な...
灼熱の炎の壁が、二人を引き離す
「ミスツェルプストーか、済まない」「大丈夫ですか、ミスタ...
撤退するコルベール達に、メンヌヴィルが大声で伝えたのだ
「ジャン=コルベール!我が愛する炎の使い手よ!この戦場で...
その声を背に、二人は下がったのだ
* * *
終了行:
一足先に進軍していたギーシュ率いる中隊と装甲擲弾兵連隊は...
味方の退きが余りに早く、下がる事も出来ず各個撃破の繰り返...
押しては引き、引いては押す。地の利はアルビオン側にあり、...
「チキショー!こういう事か、糞ったれ!」ニコラが悪態を付...
そしてギーシュは、呆然としていた。余りの展開に、頭が付い...
「え?何?」「頭下げて!」
パパパパーン
ギーシュがニコラに無理矢理頭を伏せられ、銃弾は空を切った
「糞、せめて防塁を築ければ」
ギーシュが万全なら魔法で築けるが、ギーシュは今、自失から...
その横に弓が降り注ぎ、銃身で振り払うが、何発か貰って倒れ...
装甲擲弾兵を見るが、目の合った連中からは、諦めの目が向け...
彼らは元々クラスが低いのだ。他部隊に命令無しでサービスす...
「僕、こんな所で何やってるんだろ?」
「失礼します、隊長殿」
ニコラはそう言って、ギーシュを拳でぶん殴る
ドカッと石畳のギーシュは倒れ、ニコラを呆然と見る
「しっかりして下さい、隊長殿!今の苦境を切り抜けるには隊...
「え、でも……僕の魔法じゃ……」
「このまんまじゃ、俺達は全滅です!今は出来る事をして下さ...
呆然とするギーシュの耳に、メイジに通じる遠話が届いた
〈此方、ド・ヴィヌイーユ独立銃歩兵大隊じゃ。皆の衆良く聴...
タルブの英雄、イーヴァルディ。この二つの言葉は、ギーシュ...
そう、すっくと立ち上がると、薔薇の杖を抜いて、一気に詠唱
「イル・アース・デル」
ギーシュ達の前に、錬金により石の防塁が出来、銃弾や弓矢か...
「よっしゃあ!」「流石メイジ!やるな隊長!」
今までのが嘘みたいだが、ニコラは気付いた
ギーシュの足元は震えている
「僕は、才人に恥ずかしくない戦いをする。僕に指揮権を寄越...
「勿論!お供しますぜ、隊長殿!」
ニコラが唱和し、中隊全員が頷いた
「隊長、竜騎士接近中!我々を焼き払う積もりです!」
「02式擲弾用意!短銃三段撃ちだ!総員装填!」
「ウィ!」
ギーシュの声に全員装填し、次々に音が重なる
「両手で狙え!第一〜てぇぇぇ!!」
パパパパーン
擲弾の発射音が鳴り響いた
「第二〜〜てぇぇぇ!!」
パパパパーン
明らかに音の数が多いのだが、誰も気にしていない
「第三〜〜てぇぇぇ!!!!」
パパパパーン
時間差で空中に撃たれた1000発近くの擲弾は、近付いた竜騎士...
更に炸裂したディテクトマジックの残渣に反応して連鎖爆発を...
凄まじい爆音を響かせた中に竜騎士が突っ込み、煙の中から出...
だが、その様を見る前に、ギーシュは先程の射撃命令から間髪...
「装甲擲弾兵!防御詠唱重ね掛け!使い切れ!」
「おおぉぉぉ〜〜〜!」
そう、衝突コースに突入しており、密集した部隊に巨体が墜落...
本来越権行為なのだが、ギーシュの声に何の疑問も無く装甲擲...
ズズズン
肉の潰れる音が鳴り響き、ギーシュの目の前に、竜騎士の巨体...
「無事ですか、隊長殿?」
「……あ、僕……」
またガクガクし出したギーシュの横っ面をニコラは張り飛ばした
パァン
「あんたは間違って無い!俺達じゃ、火竜のブレスは防げない...
ペッと血と唾を吐き捨てたギーシュは頷いて、更に指示を飛ばす
「本隊と合流して立て直す!突破力の有る装甲擲弾兵は先陣を...
「ヤー」「ウィ」
今の衝突で指揮官を失った装甲擲弾兵は有無を言わずに敬礼し...
今は四の五の言っている暇は無い。本隊と合流して、再度攻勢...
「僕は…生き残る。だから才人、陛下とトリスタニアを頼むよ」
* * *
トリスタニアの街に、突然ぽっかりとオークとトロルが出たの...
街行く人は、突然の闖入者に暫くぽかんとしていたが、トロル...
「いやぁぁぁぁぁ!!」「うわぁぁぁぁぁ!!」「助けて、助け!」
オーク達は勃起したモノをブルブル震わせながら、繁殖に使え...
「王宮に伝わる迄30分って、所か。あの浅はかな王女の事だ、...
そう言ってワルドは吐き捨て、ムーアが確認する
「確率は?」「まぁ、5割だろう。周りが止めるかも知れん」
「そうか」「何処に居ようが構うまい。衛士隊や銃士隊が亜人...
「我々が女王を頂くと。実に素晴らしい戦術だな。我らの主は...
「では参ろうぞ」
姿を消した一団は、音も無くその場から消えたのだ
その中で、フーケは考え込んでいた
『前からクロムウェルは王家に執心だったね?始祖ブリミルの...
* * *
連絡を受けた当直のジェラール=ド=グラモンは、同じく当直...
「くっそ!こんな時に亜人の急襲だと!?アルビオンが確か亜人...
「……行くのか?ジェラール」
「あぁ。ミシェルは王宮の防備を固めろ」
そう言って、全裸のミシェルにキスをすると、ジェラールは手...
「死ぬなよ」
「解ってる。結婚式は何時が良い?」
「気が早すぎだ、戯け」
「結婚前に未亡人にはさせないさ」
ジェラールはウィンク一つをしてから出て行き、それからミシ...
彼は自分の為に平民になると言った。信じられない
給料は安いけど、二人で小さいけどささやかな家を作ろうって...
「貴族じゃなくて良いのか?」「あぁ、構わない。兄貴が継い...
信じられなかった。でも、本当にスパッと全員と手を切って、...
「いやぁ、5回位殺されそうになったわ」そう言って、にこや...
「私なんかの何処が良い?」「俺に靡かない所」全くコイツは…...
思い出し笑いをしたミシェルは「ま、絶対奴は浮気するからな...
そこは既に前線だ
ミシェルも決意を秘めて、前に出たのだ
「私みたいに弛んでる奴は居ないか?総員第一種戦闘配備急げ...
* * *
アニエスは寝床は何処でも良かった為に、敢えて周りから距離...
中には無害レベルのマジックアイテムが雑然と置かれており、...
結局、タングルテールの虐殺の手掛かりを求めて魔法学院に行...
「20年前だから仕方ないとは言え、こうも露骨に消えてるのは...
大筋は判明しているので特に問題は無いが、下手人を生かした...
結局、ミシェルの行動は自分の行動そのままだ
だから、ミシェルを攻める気が無い。所詮同じ穴の狢だ
そんな事を思い出し、更にミシェルが此方に配属前に照れて言...
銃士隊の隊長室で、ミシェルから切り出された
「隊長、いやアニエス。貴女に伝えないといけない事がある」
「何だミシェル。改まって」
もじもじしたミシェルなんか、初めて見る光景だった
「あの……私……け……け……結婚する……事に……なった」
最後の方は、余りに小さい声で聞き取れ無かったので、改めて...
「済まん、小声で聴こえなかった。もう一度言ってくれ」
ミシェルが慌ててる様も初めて見る
自分と同じく、勤勉実直が売りだったので、実に新鮮味がある
「あの……だから……結婚!する事になった」
「……」
思わず無言で睨み返し、ミシェルがバツが悪そうだ
まぁ、私としては、友人が幸せになるなら祝福する気は満々に...
「相手は?」「…ジェラール」
また聴こえない
全く、恥ずかしいのは解るが、旦那に挨拶しなきゃならないん...
「ジェラールだ!」「まさか、あのジェラールか?」
「そ、そう」
剣から銃に切り替え、勿論ドレッドノートだ
「とりあえず挨拶に行って来る」
私がそう言って陛下から頂いた03式銃に赤弾を弾込めし、ガチ...
…こんなのミシェルじゃない
「わぁ!待って待って待って!とにかく話を聴いてくれ!」
ミシェルがそう言うので、仕方ないから私は頷いて話を聴いた
ミシェルの為に平民になる事、今まで付き合っていた女と全員...
ミシェルも満更ではない事
次々と言われた内容に、私は注文を付けた
「悪いが、ジェラールは貴族からは降ろせん。お前がグラモン...
「…え?」
「奴より有能な指揮官は中々居ない。平民じゃ睨みがきかん。...
「だけど、私は貴族になる手柄は上げて無いし」
「第二代銃士隊隊長と言うのはどうだ?」
そう言ってからかってみると、怒り出した
「あぁ!?アニエス、あんた私に銃士隊押し付けて、男に走る積...
「先に走った癖に何言ってんだ?」
そう言って、お互いに年頃の女らしく、珍しくお互いの男で盛...
「今まで、酷い役目やらせてゴメン!好きな男に、初めてあげ...
「過ぎた事だ」
「でも」
「才人は気にしない……多分な。アイツはな……懐広いんだ」
「…そっか。あと、もう一つ」
「何だ?」
「あの時に逮捕しないでくれて、有り難う」
「何の事だ?」
ミシェルはその言葉に、拳をポフって私に入れて、私はミシェ...
「あぁ、冗談抜きで平民落ちは無しで頼むぞ。陛下に直訴する...
そう言うと、ミシェルは私に敬礼する
「了解です、隊長」
出立前に陛下にもう一度謁見して直訴したらにこやかに頷いて...
グラモンが貴族じゃないと困るのは陛下だ
いつの間にか自分にも、権謀が付き始めたらしいと、アニエス...
静か過ぎる。メイド達の働く音がしない
咄嗟に短銃と剣を握って抜き、鏡の背後に隠れる
すると、走りよる音が聴こえて来た
アニエスは努めて息を殺し、来る者に備える
ガチャ
開けたシルエットは男。学園内では殆ど居ない、そして詠唱を...
バキッ
そのまま相手の首筋にサーベルを突き立て、一撃で仕留める
そして、出た相手は敵だったのが、服装で判った
仮にも治安担当である。特徴的な身なりは諳んじる事が出来る...
「ふぅ、間違えずに良かった」
間違いで殺したかと、内心冷や汗たらたらだったのだが、杞憂...
「先ずはゼロ機関を確保。彼処に行けば補給が効く」
そうしてアニエスは出て行き、後には死体と壊された鏡が残っ...
* * *
キュルケの部屋の窓ガラスが外からこつこつ叩かれて、キュル...
「どうしたのタバサ?朝から珍しいじゃない」
「襲撃」
その言葉にキュルケは真顔になり、耳を澄ますと微かに悲鳴と...
「一度退く」「同感ね」
キュルケは手早く身繕いを済ませると、タバサと共に窓から飛...
* * *
エレオノールは自宅に帰らず、彼の匂いが残る仮眠室に寝泊ま...
シエスタも一緒であり、理由は同じだ
更にシエスタには別の心配もあった為に、同じ部屋だ
理由は、エレオノールの落ち込み振りを心配しての事だ
「ミス、ほら起きましょう。才人さんが帰って来た時に、何も...
「…ん、もうちょい」
そう言って、才人の残り香の残るベッドをくんかくんかするエ...
もう随分と自分の匂いで上書きされたが、まだまだ大丈夫。こ...
「もぅ、早く起きて下さいね〜〜」
そう言ってシエスタが出て行き、部屋の中を掃除してると、ガ...
「どちら様ですかぁ?営業時間迄、まだ有りますよ〜?」
「開けろ!」
シエスタはその瞬間に真顔になった
今は男は居ない。学院関係者でゼロ機関にこんな口を叩く奴は...
此処まで思考を繋げると、エレオノールを再度起こしに行く
「ミス、ミス起きて下さい。不審者です。不審者ですよ?」
エレオノールはぱちくりと目を覚まし、ゆら〜りと立ち上がる
「そぅ、不審者。なら、いたぶって良いのよねぇ?」
うふふふふと笑い出したエレオノールにシエスタは冷や汗を足...
そして鍵ががちゃりと開かれると、男が飛び込んで来た
カランコロン
「何だ?あのまま籠城すんのかと……」
侵入した男が見たのは、書類仕事をしている、眼鏡を掛けた金...
「ゼロ機関にようこそ、お客様。当機関は取引に積極的なお客...
「な、何?」
「ご希望の商品はなんでしょう?マスケットライフル、マッチ...
いきなり商品を滅茶苦茶に羅列されて解る訳も無い。男はエレ...
「何訳わかんねぇ事言ってんだ!良いから来い!お前は人質だ」
そう言って杖を向けた男に、エレオノールは逆手に持っていた...
「な?メイジ!?」
杖を出した時には既に決していた
頭上にレビテーションで浮かされていたシエスタの魔法が解か...
クアァァァァン
シエスタの体重が乗った激烈に重い一撃を食らって、男は昏倒...
「うん、やっぱり私は、フライパンが手に馴染みます」
そう言って、にこやかに笑うシエスタ。人を張り倒しての笑顔...
こうして、アニエスがゼロ機関に到着した際には、捕虜が一人...
* * *
寝起きを襲撃されて教室に集められた生徒達は、大半が寝間着...
「おい、爺。学院関係者はこれで全部か?」
オスマン含めた教師陣も拉致られており、相手の手際の良さに...
「ここ迄見事にやられるとはのぉ」
「警備から何からザルじゃねぇか」
「全く、盗賊事件以来さっぱり変わらないらしいみたいだのぉ」
そう言って、女性教師陣を見回し、全員が気まずそうに目を反...
そう、男性教師たる彼は居ないのだ
そして、自らの使い魔が天井から顔を出してるのを確認すると...
「もう一度聞くぞ、爺。これで学院の貴族は全部か?」
「そうじゃよ。で、我々をどうする積もりかね?」
「何、アルビオンに御招待だ。嫌だと言うなら結婚相手を紹介...
「……!?」
女生徒達が息を飲む。女達には最悪の結末だ「い、嫌」
「嫌なら大人しくしていろ。俺を含めて部下共を刺激すると、...
その言葉に、女生徒達は身を寄せ合ってメンヌヴィルを見るし...
だが、その様は、メンヌヴィルの部下達が欲情をもよおすには...
「隊長、やっちゃって良いでしょ?」
「取引にならんから止めろ。死にもの狂いになられたら、取引...
「ちぇっ。お預けかよ」
「逆らった馬鹿なら好きにして良い」
「やった!ひよこちゃん達、頑張って抵抗してくれよ〜!」
そう言って、舌舐めずりする部下に、メンヌヴィルは興味無さ...
そう、彼は窓の方を向いていた。その時、ガシャアァァァンと...
「ガァァァァァ!」
だが、メンヌヴィルは杖たる鉄棍を、咆哮から噛み付きの為に...
グズッ
肉を裂く音が響き、串刺しにされたマンティコアが痙攣する
「…マンティコアは好かん」
ビクンビクンと痙攣するマンティコアに、メンヌヴィルが呟く...
ゴォッと一気に火葬されるマンティコア
その光景に、一人の女生徒が悲鳴を上げてしまった
「いやぁぁぁぁぁ!?私のギィ〜〜!止めてぇぇぇぇ!!」
周りが慌てて止めるが、半狂乱になった女生徒はメンヌヴィル...
「止めて!止めてよ!私の使い魔よ!殺すの止めて!」
メンヌヴィルの背中を無茶苦茶に涙を流しながら叩く女生徒に...
「ならば、お前も使い魔の後を追え」
がしりと女生徒の首筋を片手で掴んで持ち上げるメンヌヴィル
「い、ぐっ」「止めい!」
嗄れてはいるが、貫禄の声が轟き、メンヌヴィルが振り向く
「何だ爺。大人しくしない奴は、ロクな事にならんと言った筈...
「そう言うでない。前途有る生徒を見捨てては、教師の名が泣...
メンヌヴィルは見えぬ目で、思わずオスマンを見返してしまう
「…ほぅ。良かろう。だが、質問に答えてからだ。小娘、使い魔...
降ろされた生徒はケホケホしながらも、首を振って答えた
「違う。ギィは私のピンチと知って、飛び込んで来たの」
それを聞くと、メンヌヴィルも頷いた
メンヌヴィルとてメイジである。使い魔の有り様位知っている
「主人想いの使い魔と爺に感謝しろ」
そう言って、待機姿勢に入った
* * *
集められた教室の場所をモートソグニルの案内で知ったエレオ...
「ちっ、我々の警備すら掻い潜って来たのか!?部下達も全滅さ...
「可能性は否定出来ないわね」
「モートソグニルさん、モートソグニルさん。あれ?駄目です...
案内をしていたモートソグニルが、いつの間にか消えているの...
「二十日鼠なんか戦力にならないわ。偵察してくれただけで充...
「はい」
エレオノールの発言にシエスタが頷いて、エレオノールはシエ...
「おい、何処に行くんだ?」
「私達の仕事をするの。メイド、行くわよ」
「はい」
「ちょっと待て。この様で留守を任せた才人になんて言い訳「...
そう言って、エレオノールはシエスタと共に去ってしまった
「あら、入れ違い?」
アニエスに別の方角から声をかけられ、アニエスが振り向くと...
「お前達か。人質をどうにか解放したい。協力してくれ」
アニエスの言葉にキュルケはタバサを振り返って見て、そして...
「無理だって」
「あのな、あっさり手を上げるのもな……」
「タバサがそう言ってるの。私達じゃ破壊力有り過ぎるのよ。...
キュルケの言い分に、アニエスがしかめ面をしてみせる
「威力下げれば何とかならんか?」
「反撃喰らうわよ」
アニエスはその言葉に暫く思考する
「…被害担当が居れば良いのか?」「まさか…」キュルケの問い...
平民上がりとは言え、やはり近衛隊長は違うと再確認するが、...
「生徒を助けるのかね?だったら、私の指示に従ってくれたま...
「ミスタコルベール?」
アニエスの問いにコルベールが頷いた
「全員魔法通信機を着けてくれたまえ。反撃と行こうではない...
* * *
メンヌヴィルは、移送作業を行う為に部下を集める指示を下し...
「どういう事だ?おい、爺、これで全部と言ったではないか?...
「おおう、そう言えば、銃士隊が最近警備に就いておったのぉ」
顎鬚を撫でながら思い出した様に言うオスマンにメンヌヴィル...
「これで全部と言ったではないか?」
「学院関係者ではないぞい。嘘は吐いておらん。それに、そな...
メンヌヴィルはその答えに苦笑する。確かに、嘘は言ってない
「後で覚えてろよ、爺」「さて、最近物忘れが酷くてのう。年...
すっかり惚けるオスマン。メンヌヴィルは、これ以上は問答の...
ダァン
銃声が鳴り響き、メンヌヴィルと共に居た部下が、警戒に散っ...
「おい、どうした?仕事中は女達捕まえて遊ぶのも程々にしろ...
〈違う、攻撃だ。位置が掴めねぇ〉〈ダン〉〈うわっ!?〉
そこで通信が切れ、メンヌヴィル隊の男達は、顔を険しくする
「隊長、不味いっすね」「何時もの事だ」
メンヌヴィルの答えに、部下はあっさり頷く「それもそうっす...
彼らは常にキツイ場面に投入されてるが為に、こういった事態...
「撃破する」「了解」
簡潔なやり取りに、女生徒達は怖れの色を濃くしたのである
* * *
シエスタは、03式に固定座を装着して、風の塔の屋根からエレ...
「う〜ミス、当たりません」「才人みたいには行かないか」
「この小っちゃい望遠鏡、見辛いです」「ああもう、高いのよ...
「私に才人さんの技量求めないで下さぁい」「…仕方ないわね」
スコープを覗いてたシエスタに、エレオノールは、錬金でモノ...
「はい、コイツならどう?」エレオノールが、シエスタにモノ...
「わあ、良くみえます」「さっさと殺るわよ。後輩見捨てたら...
頷いたシエスタは、脚を開いた間に03式を構え、モノクルスコ...
ダアァン!
すかさず排莢して弾丸をセットすると撃鉄を起こし、照準を合...
ダアァン!
シエスタの支援射撃が始まると、エレオノールが通信機に語り...
「ミスタ、突入して」「やった!当たりました!」
「気を抜くな。次よ」「はい、ミス」
* * *
シエスタの銃撃が始まると、コルベールは03式擲弾を割れた窓...
室内に居たメンヌヴィルの部下が、投げ込まれた擲弾に反応する
「擲弾?人質事か!?」
そう言った時には、擲弾から大量の煙が吹き出し、全員咳き込...
「ゲホッゲホッ」「糞っ、味な真似を!」
メンヌヴィルの部下達が吐き捨ててると、煙の中から褐色の手...
同士討ちを避ける為に、ブレイドとサーベルでの攻撃である
「があっ!?」「ぐっ」
一合目は彼女達に軍配が挙がったが、二合目はメンヌヴィル隊...
メンヌヴィルがフレイムスプレッドを詠唱し、辺りを構わず炸...
ババババン!
煙と共にアニエス達も吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた
「グ………ア」
「中々やるな。だが、こちらが対応出来ると思わなかったのか...
煙が晴れるとジャリジャリと歩いてメンヌヴィルがアニエスに...
そんな中人影が一人、飛び込み様蹴りを放ちつつ、そのまま炎...
「ぐっ、誰だ?」「生徒たちはやらせる訳には行かない。シュ...
コルベールは、着地と同時に、凄まじい攻勢を掛け始める「お...
「ウル・カーノ・イーサ・ティール・ギョーフ」
掌打を腰を沈めながら放ち、水月(鳩尾)に当てて呼吸を一時的...
「うおおおおおおお!?」
堪らなくなったメンヌヴィルが、フレイムウォールを出す時間...
ガシャァァァァァァン
そのまま二人が外に飛び出し、お互いに睨み合う。すると、メ...
「くくくくくく……うわっははははははははは!!その技巧、その...
心底可笑しいのか、メンヌヴィルは笑いが止まらない。コルベ...
「まだ殺生の道を歩んでいたか、メンヌヴィル」
「ふははははは!何を言ってる?俺をこの道に引き込んだのは...
コルベールは何も言わなかったが、その言葉に反応した者が居た
「…何……だ……と…?」
ダメージを負ったものの、痛む身体に鞭を入れ、生徒や教師の...
「ちょっとシュヴァリエ、今は避難が先よ。足手纏いが居たら...
キュルケに促され、アニエスも避難誘導に専念する事にし、コ...
「隊長!」
その言葉に振り向いたアニエスに、銃士隊の隊員が走り寄って...
「アメリーか。被害は?」「第一分隊2/3が戦死。10人程捕虜に...
アニエスは報告を聞くと即決する
「捕虜になった連中は、余裕が出来たら取り返す。基本は戦死...
「動ける者を集めろ。掃討する」「ウィ」
「非戦闘員は、動くなと伝えろ。誤って殺されても知らんとな...
「戦える者は手伝って貰うぞ。じゃなければ、全員破滅だ。い...
アニエスが避難誘導している少女達に振り返り、その言葉に、...
今は、四の五の言っている事態では無いのだ
* * *
「わ、わ、わ、わ、ミス!ミスタコルベールが敵と戦ってます...
エレオノールの言葉に頷いたシエスタは、一人、男が飛んで来...
カチン
「あぁ〜!?弾込めなきゃ!?」「遅ぇ!」
そう言って、飛び出して来た男の前で、朗々と美しい声で、詠...
「イル・アース・デル・ソーン・イーサ・ハガラース」
先程の錬金と同じく塔そのものを材料としてパルチザンが唱え...
本来、頑強な建築物には、非常に強固な固定化がかけられ、並...
ズグリと肉を貫く音が伝わり、「馬鹿な…固定化を退けたのか…...
男は今際の際で呟く「…ヴァリエール……あんたが……」
煌めく水晶の槍に貫かれた男は墜落して行き、エレオノールは...
「居場所がばれた。移動よ」「了解です、ミス」
* * *
タバサは、避難誘導をしている最中、不自然な遺体を何体か確...
一体あれはどういう攻撃手段か皆目見当がつかない。手段は解...
エストックが狙うのは心臓だ、首筋は基本狙わない。だからタ...
その様子を、二十日鼠が壁に張り付いて見ていた
* * *
「はははははは!どうしたどうした隊長殿?キレが今一じゃな...
コルベールの杖と、メンヌヴィルの鉄棍、得物自体の威力に違...
お互いに回し蹴りを放ち、左腕で防御すると、そのまま杖にブ...
「ふはははははは!流石、俺が生涯を懸けて殺そうとした相手...
「お断りする。メンヌヴィル、君こそ破壊の為に炎を使うのは...
「俺を止めたきゃ、殺すんだな!ウル・カーノ・ソウイル・ベ...
「…やはりそうなるか。ウル・カーノ・ジエーラ・ティール・ギ...
メンヌヴィルが頭上に丸く輝く白炎を生み出すと、コルベール...
炎の蛇が生きてるが如く必殺の炎を操る、正にコルベールの二...
精神力の高まりを受け、互いの炎が極限まで高まり、正視出来...
「これが、あんたを越える炎だ!コルベール!」「魔法は魔力...
メンヌヴィルの白炎が鉄棍の盛大な振りで一気にコルベールに...
互いの中央で炎蛇が白炎を飲み込み消化しようとし、白炎が蛇...
バアアアアアアアン!
凄まじい爆発音が辺りにばら撒かれ、衝撃波で二人諸共に吹き...
「ぐう…」「………くっ」
二人共に衝撃波が身体に直撃し、がくがくになりながらも立ち...
「メンヌヴィル隊長!」「ミスタ!」
轟音に気付いた両陣営の人間が、二人を救援する為に走って割...
「トーション・デル・ウィンデ」「エオルー・ユル・ソーン・...
メンヌヴィル隊の隊員がトルネードを唱え、キュルケが盛大な...
灼熱の炎の壁が、二人を引き離す
「ミスツェルプストーか、済まない」「大丈夫ですか、ミスタ...
撤退するコルベール達に、メンヌヴィルが大声で伝えたのだ
「ジャン=コルベール!我が愛する炎の使い手よ!この戦場で...
その声を背に、二人は下がったのだ
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