ゼロの使い魔保管庫
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パンドラの箱
北進していたトリステイン=ゲルマニア連合軍は、相当の被害...
だが、市壁を壊したままであり、逃げ道の確保はしている。そ...
また、アルビオンが外壁を周回して襲撃に備える為でもあり、...
敵は常に身内に在りって訳だ。集まった連中の大半は、戦争で...
その代表例が今、勲章を授けられていた。そう、ギーシュ=ド...
ギーシュは、首に勲章を総司令たるウィンプフェンから直々に...
「あの、ぼ…小官にですか?」
「勿論だ。貴官は部隊を指揮し、突出した部隊をアルビオンの...
にこにこしながらウィンプフェンに言われて、ギーシュは戸惑...
「ですが、小官は越権行為を」
「さて?ハルデンベルグ候、報告では?」
話を振られたハルデンベルグ候が、カイゼル髭をこすりながら...
「我が方の報告では、司令官戦死の為、壊滅の危機に陥った部...
ギーシュとしては何ともむず痒い感覚だ。いざという時以外は...
そのまま、戦果を大々的に宣告され、集まった兵達から盛大な...
「に、兄さん?」「…良かった。ギーシュ、お前が最前線に配置...
後は無言で強烈に抱き締められ、苦しくなって来た「ちょ、兄...
そのままジョルジュの手が尻にいった途端ギーシュが爆発し、...
ダアン
暫く場が氷付き、周りに居た全員がぽかんとし、見事なブリッ...
「…いい加減にしろ!馬鹿兄貴!」
肩で息をするギーシュを見て、一気に会場が爆笑に包まれ、全...
* * *
ゼッザールは自身の休暇中に起きた戦闘の痕を上空から見て、...
「陛下、この度の不手際、私の責任です」そう言って、自ら首...
パァン
ゼッザールは黙って受け入れた
「貴方は充分に戦ってます。人は誰しも一日中働けません。休...
こう言われてしまっては、ゼッザールも引き下がるしかない
一礼して命を待つ
アンリエッタはゼッザールの目前に立ったままだ
「この命、30年前からトリステインに捧げております。存分に...
「無論です。貴方は勝手に死ぬ事は許しません。それが、責任...
「御意」
頭を垂れたまま、ゼッザールは感極まって涙を流してしまう
「なんと、素晴らしい王に成られた」
ゼッザールはそう言って、踵を返して後処理に向かったのだ
ゼッザールが中間報告を受け取ると、衛士隊、銃士隊の近衛4...
才人の援軍による支援もあり、潜伏していたアルビオン鉄騎兵...
トリスタニア市民に1000人単位で死傷者を抱え、近衛4隊はマ...
指揮官にも被害が出た
銃士隊副長ミシェルの戦死だ
戦場を回って経過を自身の目で確認していたジェラールは各地...
「伏兵のアルビオン兵に襲われて……副長が皆の盾になって」
「……そうか」
ジェラールはそう言って、暫く無言だった
事後処理をゼッザールに引き継いだ後、ジェラールは三日程消...
ゼッザールの元に上げられた報告書には一言、休暇とのみ書か...
魔法学院側の襲撃報告も第一分隊長アメリーから入っており、...
あの黒髪の男の下支えには、彼が必要不可欠だと知っていたか...
「…これだから戦争ってのは」
必要な者程、実力の有る者程死んでいく
そして残るのは、戦場に駆り立てる煽動者と、取るに足らない...
「お前は死なんよな?なぁ、息子よ……」
ゼッザールの呟きは、隊長の執務室に響いただけだった
* * *
才人はアンリエッタの協力で零戦を起動させてアンリエッタを...
「しまった、航法無いと戻れねぇ。ルイズ起きる迄無理だ」
「どうすんでぇ?相棒?」
「さて……」
考えてた時間はそう長くなく、魔法通信機の指示で才人は零戦...
ルイズが起きる迄は移動が出来ないので、才人としては指示に...
才人が王宮の竜舎前に着陸すると、アンリエッタが走って来て...
「ルイズ無しでは、常に位置の変化するアルビオン大陸に移動...
走って来て頬が上気しているアンリエッタの様子は、好意によ...
才人はルイズを後部座席から引き上げて、両腕に抱えてる状態...
「そうですね。こうなると下手すりゃ一晩起きないからね。明...
才人はそう言って、ルイズをアンリエッタ自らの案内で客間に...
「おい、相棒、どうした?」
デルフの声にも応じず才人はそのまま倒れてしまい、アンリエ...
「過労ですね。ゆっくり寝かせてあげましょう」
「本当は寝かせる積もり無かった癖に」
デルフの突っ込みに対しアンリエッタは顔を真っ赤にして、デ...
「良いじゃないですか。私だって、いちゃいちゃしたいんです」
「おもれぇから止めねぇよ。頑張ってくんな」
そう言ってデルフはカタカタと笑い、鞘に収まった
* * *
アニエスは報告と後処理をアメリーに一任すると、人が減って...
そこで自らの手で穴を掘り、棺を苦労しながら置き、更に土を...
其所には、手作りの墓碑が並んでおり、アニエスは革手を外す...
そして、新教徒たる自らの手で祈りを捧げ、懐から託されたル...
「…彼女の親族に必ず。いつか、再興させる。その時迄見ていて...
アニエスは更に墓碑に銘をサーベルで刻んだ
我が教師
彼の遺志の一部を、アニエスは継いだのである
人の意思は受け継がれ、本人が居なくなろうとも、継ぐ意思が...
* * *
桃色がかったブロンドの髪がベッドの上でゆらりと揺れ、腕が...
「……サイトは……?」
キョロキョロと辺りを見回すと、何度か来た事が有るレイアウ...
「王宮の……客間?」そのまま寝ていた時に着させられたネグリ...
『すんごく、やな予感がする』
ルイズはそう思いながらアンリエッタの部屋に向かい、カチャ...
魔法による暖房が利いた部屋の中、天蓋付のベッドの上で亜麻...
自らが慕う男性に求めるだけではなく、与える行為
欲する事しか表現出来ず、それすらプライドが邪魔して満足に...
行為に没頭しているルイズの親友は、決してルイズに注意を向...
そのまま、相手の唇を啄ばむ音が天蓋に響き、囁きが聞こえて...
「サイト殿、ギリギリまでこうしてて下さいまし」「…ああ」
ルイズはそっと扉を閉めると、宛がわれた部屋に戻ってベッド...
邪魔出来なかった、羨ましいと思ってしまった。なんで自分の...
「なんで…あだしじゃ駄目なのぉ?…ザイドのばかぁ」
タイミングが毎回悪いだけでは決してない。ルイズには、自分...
絶対に、何かある。でも、何が有るのかが、少女のルイズには...
ルイズの使い魔は、ルイズの生きて来た常識の外に生きている...
今はどんなに辛くても、彼と行動を共にし、彼の思考の一端を...
『今は無理でも、絶対になって、振り向かせてやるんだからね...
* * *
才人達は朝食をとると離陸し、行きとは違って慎重に白の国の...
才人達が出立する迄に魔法学院の襲撃報告がアンリエッタに届...
「待機かよ。戦線はどうなってんだ?」「知らないわよ。私達...
そう言って、ご主人様はご機嫌ナナメであり、才人は今朝方の...
「それもそうか。市街戦だしな」才人はそう言うに留めたのみだ
と、言う訳で、ミスゼロ用貴賓室に戻った二人だが、才人は身...
「どこに行くのよ?」「観光。ぶらりとして来る」
パタンと扉が閉じられ、ルイズは扉に向けて枕を思い切り投げ...
* * *
才人は以前に来た時は殆んど観光が出来なかった事を気にして...
あちこちで前線に送る物資が山積みにされていて、補給路が確...
そんな才人の耳に話し声が入って来た
「おい、聞いたか?」「聞いた。例のレコンキスタの慰安所だ...
才人はその言葉につられ、とりあえず足を向ける事にした
* * *
才人が向かった先は男達でごった返しており、才人は苦労しな...
「ロサイスの娼館にようこそ、お客様。金貨一枚よりご希望の...
才人は造りを見回して尋ねてみた
「元は軍の?」「左様でございます」「ふうん…」
才人はそう言うと、支配人に話しかけた
「以前は軍から配給が有ったけど、占領されて途絶えたからこ...
才人の身のこなしや雰囲気から、買いに来たわけじゃなさそう...
「冷やかしなら退店なさって下さりませんか?」「あぁごめん...
面倒臭そうに、彼は答え「元王党派です」その仕草には、平民...
「いや、邪魔したね」
才人はそう言うと、素直に退店して行き、そのまま総司令部に...
「ロサイスの町の娼館。レコンキスタの持ち物だろ?なぜ潰さ...
才人の言い分にウィンプフェンはどうでもいい事として答える
「兵に娼館は必要だ。誰もが貴卿の様に不自由しない訳ではな...
そう言うと書類に目を落とすウィンプフェン。才人もウィンプ...
「彼女達は元王党派の貴族出身者が多数との事だ。なら、トリ...
圧倒的な現実。この事実の前には、才人は苦笑するしかない
「貴族も大した事が無いんだな」
才人の言葉に、ウィンプフェンは大仰に演じてみせる
「貴族らしく、貴族の誇り、大いに結構!それで食い物が増え...
「いや…」そう言って才人は暫く考え込んでると、ウィンプフェ...
「あちらから言い出した事だ。占領後は、ここで営業させて下...
黙り込んでる才人に、更に言い放つ
「汚れすぎた彼女達を保護しても、以前の様にはなれん。結婚...
そう言うとウィンプフェンは手を払い、用は済んだとばかりに...
「…なら、ゼロ機関で雇うのは良いのか?」「好きにしろ。軍の...
「じゃあ、好きにするさ。構わんね?」「管轄外だ」「了解」
才人が出て行くと、ウィンプフェンは口元を歪ませ、次いで含...
「…くくくく、あっはははははは!一人で全部救う積もりか?奇...
* * *
才人は貴賓室に戻ると、こちらに持って来てた受注契約のリス...
「一体、どうしたの?」ルイズには知る由もない
才人はそのまま、足早に娼館に寄ると支配人を見て即座に言い...
「商談が有る。あんた達、杖は持ってるか?」「えぇ。私が預...
メイジは杖と契約する。裏を返すと、契約以外の杖は使えない...
その場で予備と契約されたら、潰す意味が消えるからである。...
で、才人は支配人と支配人室に滑り込むと、言い放った
「悪いけど、あんまり給料は出せないけど、メイジが必要な仕...
流石に支配人は、鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてしまう
「は…?貴方、商人ですか?」「商人じゃない、職人だ。それは...
そんな事を言われても、いきなりはいそうですかと答える奴は...
「そんな事言って、我々を他国に売り飛ばすつもりでしょう?」
ごく普通の反応だ。才人は説得を試みた
「そんな事無いって。俺はゼロ機関の所長をやってて…て、まだ...
総司令部で才人の身分証明を受けると、支配人は平民の男が本...
「今日から我々は、トリステイン女王陛下直属のゼロ機関に雇...
その言葉に、多くの女性が歓声を上げたが、皮肉を言う者も出...
「つまりあれかい?今日から私達全員、この平民様の性奴隷に...
そう言って肯定する女性に対し、才人は表情を変えずに言った...
「そんな事はしないで良い。勿論、このまま娼婦をやりたいっ...
才人はそう言って、頭をがりがりし、他意は無い事を主張する...
才人はすっかり困ってしまう。今迄が今迄だ。彼女達は、価値...
「くっそ、困ったな。こういう時は、貴族の名前が必要なのか」
支配人に目を向けると、彼も首を竦めており、助けになりそう...
「どうすっかな…」
才人はすっかり悩んでしまって居たのだが、馴染みの大声が飛...
「こっっっっっっっの、馬鹿犬〜〜〜〜〜〜!!あああああんた...
「げっ、ルイズ」
才人が首を竦めて逃げ出す仕草をすると同時に、付近の女性が...
「あらやだ可愛いお嬢さんね、肌もぷりぷりしてて美味しそう...
「声も可愛いわ。食べちゃいたい位ね」「や、やだ、ちょっと...
「やぁね、ここはそういう、お・み・せ・よ!貴女みたいな可...
ルイズの唇がまたも才人以外に奪われ、才人は苦笑して見てい...
「…あん、すごいわ」「この位じゃ、あたしを籠絡出来ないわよ」
「ねぇ、もっとぉ」アニエスの薫陶此処に在り。ルイズはしな...
こんな所にも、乗馬鞭は持って来ていたらしい。用意周到な事...
ルイズの前に道は開かれ、さながら海を割るモーゼだ
つかつかと歩み寄ったルイズに、才人は既に腰が引けている。...
「…犬」「…ワン」「座れ」「ワン」
素直に従い正座する才人。年上の威厳なぞ、主人と使い魔の関...
ルイズの愛らしいおみ足が、才人の顔面にぺたりと乗り、スカ...
『はいてねぇ』
ルイズの顔が上気しているのは、怒りだけではないと才人だけ...
「犬、あたしもね、男の生理にとやかく言うのは野暮だと、そ...
「はい、この犬めは、ご主人様の成長、感激に涙が止まりませ...
何故涙目になってるかと言うと、ルイズが才人にぴしぴしと乗...
「ああああんたに愛人が沢山居るのも、むむむむかつくけど、...
才人は本気で驚いた。ルイズ自身も、変わろうともがいている...
「…でもね、いいえ、だからこそね。ああああたしの友達を悲し...
「ちょっと待てルイズ!誤解だ!」「うるさい!あんたなんか...
ぴしぴしと乗馬鞭が才人に当たり、ルイズの方が涙を流している
「娼館なんかに通うほど、女に不自由してないでしょうがぁ!」
流石に気の毒と思ったのだろう。支配人がルイズを止めようと...
「あたしに触れるな!そこの馬鹿犬があんたの素っ首落とすわ...
才人の目が凄まじく剣呑な光を宿し、お仕置きの最中にも関わ...
「そちらのミスターは、娼館に来たのでは有りません」「じゃ...
支配人の言葉に耳を傾けたルイズは、やっと自分の勘違いに気...
支配人の水魔法で回復した才人が、そんなルイズに文句を垂れ...
「聞く耳持たなかったじゃねぇか」「う…」
ルイズは冷や汗を垂らしながらも、状況を聞く
「で、どうなの?」「上手くない。平民且つ異邦人の俺の言葉...
ルイズは一つ頷くと、自分の言葉で彼女達に話し始めた
「私の名は、ルイズ=フランソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=...
そう言って、アンリエッタ直筆サインの入った女官の任命書を...
「ヴァリエール?」「あのトリステインの大貴族?」「嘘?な...
『こう言う時はやっぱり名前かよ』
才人は少々不機嫌になりながらも、ルイズに任せる。話がまと...
「この男は私の忠実な使い魔よ。で、貴女達に伝えたのは全部...
「陛下直属のゼロ機関では、人手が不足しています。皆様が望...
そう言って、ルイズは頭を下げたのだ
暫く黙っていた女性達だが、声を上げた者が出た
「結婚」「…え?」
ルイズに聞き返すと、女性はもう一度声を上げる
「私達皆、汚れちゃったしさ、子供を産まされてオークに食わ...
流石にこんな要求されるとは思わず、ルイズも意表をつかれ、...
「ウチの連中、確かに独身ばっかなんだが、仕事ばっかで女房...
さばさばした答えに才人も頷いた
「まぁ、上手くやれるかは本人次第。今、手紙をしたためるよ...
才人の言葉に支配人も頷き、更に問うた
「で、貴方の呼び方は?」「職人連中は親方って、呼んでるよ...
話が纏まると、女性陣から歓声が上がり、まだ見ぬ男達の話題...
「トリステインの元軍人だって」「きっと、素敵な殿方達よ」...
才人とルイズは邪魔をしない様に去ろうとすると、才人に複数...
「えっ?何?」「私達の、最後のお客様になって。お願い!」
「待ってくれ。そんな事したら、あいつ等に顔向け出来ないか...
そう言って、ガンダールヴを発動させた才人が、ルイズを抱え...
ルイズは自身の使い魔の腕の中で気分が上機嫌に跳ね上がって...
『やっぱり、サイトは最高の使い魔よね!姉さまやちい姉さま...
最早ご主人様の妄想では、あらゆるライバルを蹴落として、死...
* * *
終了行:
パンドラの箱
北進していたトリステイン=ゲルマニア連合軍は、相当の被害...
だが、市壁を壊したままであり、逃げ道の確保はしている。そ...
また、アルビオンが外壁を周回して襲撃に備える為でもあり、...
敵は常に身内に在りって訳だ。集まった連中の大半は、戦争で...
その代表例が今、勲章を授けられていた。そう、ギーシュ=ド...
ギーシュは、首に勲章を総司令たるウィンプフェンから直々に...
「あの、ぼ…小官にですか?」
「勿論だ。貴官は部隊を指揮し、突出した部隊をアルビオンの...
にこにこしながらウィンプフェンに言われて、ギーシュは戸惑...
「ですが、小官は越権行為を」
「さて?ハルデンベルグ候、報告では?」
話を振られたハルデンベルグ候が、カイゼル髭をこすりながら...
「我が方の報告では、司令官戦死の為、壊滅の危機に陥った部...
ギーシュとしては何ともむず痒い感覚だ。いざという時以外は...
そのまま、戦果を大々的に宣告され、集まった兵達から盛大な...
「に、兄さん?」「…良かった。ギーシュ、お前が最前線に配置...
後は無言で強烈に抱き締められ、苦しくなって来た「ちょ、兄...
そのままジョルジュの手が尻にいった途端ギーシュが爆発し、...
ダアン
暫く場が氷付き、周りに居た全員がぽかんとし、見事なブリッ...
「…いい加減にしろ!馬鹿兄貴!」
肩で息をするギーシュを見て、一気に会場が爆笑に包まれ、全...
* * *
ゼッザールは自身の休暇中に起きた戦闘の痕を上空から見て、...
「陛下、この度の不手際、私の責任です」そう言って、自ら首...
パァン
ゼッザールは黙って受け入れた
「貴方は充分に戦ってます。人は誰しも一日中働けません。休...
こう言われてしまっては、ゼッザールも引き下がるしかない
一礼して命を待つ
アンリエッタはゼッザールの目前に立ったままだ
「この命、30年前からトリステインに捧げております。存分に...
「無論です。貴方は勝手に死ぬ事は許しません。それが、責任...
「御意」
頭を垂れたまま、ゼッザールは感極まって涙を流してしまう
「なんと、素晴らしい王に成られた」
ゼッザールはそう言って、踵を返して後処理に向かったのだ
ゼッザールが中間報告を受け取ると、衛士隊、銃士隊の近衛4...
才人の援軍による支援もあり、潜伏していたアルビオン鉄騎兵...
トリスタニア市民に1000人単位で死傷者を抱え、近衛4隊はマ...
指揮官にも被害が出た
銃士隊副長ミシェルの戦死だ
戦場を回って経過を自身の目で確認していたジェラールは各地...
「伏兵のアルビオン兵に襲われて……副長が皆の盾になって」
「……そうか」
ジェラールはそう言って、暫く無言だった
事後処理をゼッザールに引き継いだ後、ジェラールは三日程消...
ゼッザールの元に上げられた報告書には一言、休暇とのみ書か...
魔法学院側の襲撃報告も第一分隊長アメリーから入っており、...
あの黒髪の男の下支えには、彼が必要不可欠だと知っていたか...
「…これだから戦争ってのは」
必要な者程、実力の有る者程死んでいく
そして残るのは、戦場に駆り立てる煽動者と、取るに足らない...
「お前は死なんよな?なぁ、息子よ……」
ゼッザールの呟きは、隊長の執務室に響いただけだった
* * *
才人はアンリエッタの協力で零戦を起動させてアンリエッタを...
「しまった、航法無いと戻れねぇ。ルイズ起きる迄無理だ」
「どうすんでぇ?相棒?」
「さて……」
考えてた時間はそう長くなく、魔法通信機の指示で才人は零戦...
ルイズが起きる迄は移動が出来ないので、才人としては指示に...
才人が王宮の竜舎前に着陸すると、アンリエッタが走って来て...
「ルイズ無しでは、常に位置の変化するアルビオン大陸に移動...
走って来て頬が上気しているアンリエッタの様子は、好意によ...
才人はルイズを後部座席から引き上げて、両腕に抱えてる状態...
「そうですね。こうなると下手すりゃ一晩起きないからね。明...
才人はそう言って、ルイズをアンリエッタ自らの案内で客間に...
「おい、相棒、どうした?」
デルフの声にも応じず才人はそのまま倒れてしまい、アンリエ...
「過労ですね。ゆっくり寝かせてあげましょう」
「本当は寝かせる積もり無かった癖に」
デルフの突っ込みに対しアンリエッタは顔を真っ赤にして、デ...
「良いじゃないですか。私だって、いちゃいちゃしたいんです」
「おもれぇから止めねぇよ。頑張ってくんな」
そう言ってデルフはカタカタと笑い、鞘に収まった
* * *
アニエスは報告と後処理をアメリーに一任すると、人が減って...
そこで自らの手で穴を掘り、棺を苦労しながら置き、更に土を...
其所には、手作りの墓碑が並んでおり、アニエスは革手を外す...
そして、新教徒たる自らの手で祈りを捧げ、懐から託されたル...
「…彼女の親族に必ず。いつか、再興させる。その時迄見ていて...
アニエスは更に墓碑に銘をサーベルで刻んだ
我が教師
彼の遺志の一部を、アニエスは継いだのである
人の意思は受け継がれ、本人が居なくなろうとも、継ぐ意思が...
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桃色がかったブロンドの髪がベッドの上でゆらりと揺れ、腕が...
「……サイトは……?」
キョロキョロと辺りを見回すと、何度か来た事が有るレイアウ...
「王宮の……客間?」そのまま寝ていた時に着させられたネグリ...
『すんごく、やな予感がする』
ルイズはそう思いながらアンリエッタの部屋に向かい、カチャ...
魔法による暖房が利いた部屋の中、天蓋付のベッドの上で亜麻...
自らが慕う男性に求めるだけではなく、与える行為
欲する事しか表現出来ず、それすらプライドが邪魔して満足に...
行為に没頭しているルイズの親友は、決してルイズに注意を向...
そのまま、相手の唇を啄ばむ音が天蓋に響き、囁きが聞こえて...
「サイト殿、ギリギリまでこうしてて下さいまし」「…ああ」
ルイズはそっと扉を閉めると、宛がわれた部屋に戻ってベッド...
邪魔出来なかった、羨ましいと思ってしまった。なんで自分の...
「なんで…あだしじゃ駄目なのぉ?…ザイドのばかぁ」
タイミングが毎回悪いだけでは決してない。ルイズには、自分...
絶対に、何かある。でも、何が有るのかが、少女のルイズには...
ルイズの使い魔は、ルイズの生きて来た常識の外に生きている...
今はどんなに辛くても、彼と行動を共にし、彼の思考の一端を...
『今は無理でも、絶対になって、振り向かせてやるんだからね...
* * *
才人達は朝食をとると離陸し、行きとは違って慎重に白の国の...
才人達が出立する迄に魔法学院の襲撃報告がアンリエッタに届...
「待機かよ。戦線はどうなってんだ?」「知らないわよ。私達...
そう言って、ご主人様はご機嫌ナナメであり、才人は今朝方の...
「それもそうか。市街戦だしな」才人はそう言うに留めたのみだ
と、言う訳で、ミスゼロ用貴賓室に戻った二人だが、才人は身...
「どこに行くのよ?」「観光。ぶらりとして来る」
パタンと扉が閉じられ、ルイズは扉に向けて枕を思い切り投げ...
* * *
才人は以前に来た時は殆んど観光が出来なかった事を気にして...
あちこちで前線に送る物資が山積みにされていて、補給路が確...
そんな才人の耳に話し声が入って来た
「おい、聞いたか?」「聞いた。例のレコンキスタの慰安所だ...
才人はその言葉につられ、とりあえず足を向ける事にした
* * *
才人が向かった先は男達でごった返しており、才人は苦労しな...
「ロサイスの娼館にようこそ、お客様。金貨一枚よりご希望の...
才人は造りを見回して尋ねてみた
「元は軍の?」「左様でございます」「ふうん…」
才人はそう言うと、支配人に話しかけた
「以前は軍から配給が有ったけど、占領されて途絶えたからこ...
才人の身のこなしや雰囲気から、買いに来たわけじゃなさそう...
「冷やかしなら退店なさって下さりませんか?」「あぁごめん...
面倒臭そうに、彼は答え「元王党派です」その仕草には、平民...
「いや、邪魔したね」
才人はそう言うと、素直に退店して行き、そのまま総司令部に...
「ロサイスの町の娼館。レコンキスタの持ち物だろ?なぜ潰さ...
才人の言い分にウィンプフェンはどうでもいい事として答える
「兵に娼館は必要だ。誰もが貴卿の様に不自由しない訳ではな...
そう言うと書類に目を落とすウィンプフェン。才人もウィンプ...
「彼女達は元王党派の貴族出身者が多数との事だ。なら、トリ...
圧倒的な現実。この事実の前には、才人は苦笑するしかない
「貴族も大した事が無いんだな」
才人の言葉に、ウィンプフェンは大仰に演じてみせる
「貴族らしく、貴族の誇り、大いに結構!それで食い物が増え...
「いや…」そう言って才人は暫く考え込んでると、ウィンプフェ...
「あちらから言い出した事だ。占領後は、ここで営業させて下...
黙り込んでる才人に、更に言い放つ
「汚れすぎた彼女達を保護しても、以前の様にはなれん。結婚...
そう言うとウィンプフェンは手を払い、用は済んだとばかりに...
「…なら、ゼロ機関で雇うのは良いのか?」「好きにしろ。軍の...
「じゃあ、好きにするさ。構わんね?」「管轄外だ」「了解」
才人が出て行くと、ウィンプフェンは口元を歪ませ、次いで含...
「…くくくく、あっはははははは!一人で全部救う積もりか?奇...
* * *
才人は貴賓室に戻ると、こちらに持って来てた受注契約のリス...
「一体、どうしたの?」ルイズには知る由もない
才人はそのまま、足早に娼館に寄ると支配人を見て即座に言い...
「商談が有る。あんた達、杖は持ってるか?」「えぇ。私が預...
メイジは杖と契約する。裏を返すと、契約以外の杖は使えない...
その場で予備と契約されたら、潰す意味が消えるからである。...
で、才人は支配人と支配人室に滑り込むと、言い放った
「悪いけど、あんまり給料は出せないけど、メイジが必要な仕...
流石に支配人は、鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてしまう
「は…?貴方、商人ですか?」「商人じゃない、職人だ。それは...
そんな事を言われても、いきなりはいそうですかと答える奴は...
「そんな事言って、我々を他国に売り飛ばすつもりでしょう?」
ごく普通の反応だ。才人は説得を試みた
「そんな事無いって。俺はゼロ機関の所長をやってて…て、まだ...
総司令部で才人の身分証明を受けると、支配人は平民の男が本...
「今日から我々は、トリステイン女王陛下直属のゼロ機関に雇...
その言葉に、多くの女性が歓声を上げたが、皮肉を言う者も出...
「つまりあれかい?今日から私達全員、この平民様の性奴隷に...
そう言って肯定する女性に対し、才人は表情を変えずに言った...
「そんな事はしないで良い。勿論、このまま娼婦をやりたいっ...
才人はそう言って、頭をがりがりし、他意は無い事を主張する...
才人はすっかり困ってしまう。今迄が今迄だ。彼女達は、価値...
「くっそ、困ったな。こういう時は、貴族の名前が必要なのか」
支配人に目を向けると、彼も首を竦めており、助けになりそう...
「どうすっかな…」
才人はすっかり悩んでしまって居たのだが、馴染みの大声が飛...
「こっっっっっっっの、馬鹿犬〜〜〜〜〜〜!!あああああんた...
「げっ、ルイズ」
才人が首を竦めて逃げ出す仕草をすると同時に、付近の女性が...
「あらやだ可愛いお嬢さんね、肌もぷりぷりしてて美味しそう...
「声も可愛いわ。食べちゃいたい位ね」「や、やだ、ちょっと...
「やぁね、ここはそういう、お・み・せ・よ!貴女みたいな可...
ルイズの唇がまたも才人以外に奪われ、才人は苦笑して見てい...
「…あん、すごいわ」「この位じゃ、あたしを籠絡出来ないわよ」
「ねぇ、もっとぉ」アニエスの薫陶此処に在り。ルイズはしな...
こんな所にも、乗馬鞭は持って来ていたらしい。用意周到な事...
ルイズの前に道は開かれ、さながら海を割るモーゼだ
つかつかと歩み寄ったルイズに、才人は既に腰が引けている。...
「…犬」「…ワン」「座れ」「ワン」
素直に従い正座する才人。年上の威厳なぞ、主人と使い魔の関...
ルイズの愛らしいおみ足が、才人の顔面にぺたりと乗り、スカ...
『はいてねぇ』
ルイズの顔が上気しているのは、怒りだけではないと才人だけ...
「犬、あたしもね、男の生理にとやかく言うのは野暮だと、そ...
「はい、この犬めは、ご主人様の成長、感激に涙が止まりませ...
何故涙目になってるかと言うと、ルイズが才人にぴしぴしと乗...
「ああああんたに愛人が沢山居るのも、むむむむかつくけど、...
才人は本気で驚いた。ルイズ自身も、変わろうともがいている...
「…でもね、いいえ、だからこそね。ああああたしの友達を悲し...
「ちょっと待てルイズ!誤解だ!」「うるさい!あんたなんか...
ぴしぴしと乗馬鞭が才人に当たり、ルイズの方が涙を流している
「娼館なんかに通うほど、女に不自由してないでしょうがぁ!」
流石に気の毒と思ったのだろう。支配人がルイズを止めようと...
「あたしに触れるな!そこの馬鹿犬があんたの素っ首落とすわ...
才人の目が凄まじく剣呑な光を宿し、お仕置きの最中にも関わ...
「そちらのミスターは、娼館に来たのでは有りません」「じゃ...
支配人の言葉に耳を傾けたルイズは、やっと自分の勘違いに気...
支配人の水魔法で回復した才人が、そんなルイズに文句を垂れ...
「聞く耳持たなかったじゃねぇか」「う…」
ルイズは冷や汗を垂らしながらも、状況を聞く
「で、どうなの?」「上手くない。平民且つ異邦人の俺の言葉...
ルイズは一つ頷くと、自分の言葉で彼女達に話し始めた
「私の名は、ルイズ=フランソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=...
そう言って、アンリエッタ直筆サインの入った女官の任命書を...
「ヴァリエール?」「あのトリステインの大貴族?」「嘘?な...
『こう言う時はやっぱり名前かよ』
才人は少々不機嫌になりながらも、ルイズに任せる。話がまと...
「この男は私の忠実な使い魔よ。で、貴女達に伝えたのは全部...
「陛下直属のゼロ機関では、人手が不足しています。皆様が望...
そう言って、ルイズは頭を下げたのだ
暫く黙っていた女性達だが、声を上げた者が出た
「結婚」「…え?」
ルイズに聞き返すと、女性はもう一度声を上げる
「私達皆、汚れちゃったしさ、子供を産まされてオークに食わ...
流石にこんな要求されるとは思わず、ルイズも意表をつかれ、...
「ウチの連中、確かに独身ばっかなんだが、仕事ばっかで女房...
さばさばした答えに才人も頷いた
「まぁ、上手くやれるかは本人次第。今、手紙をしたためるよ...
才人の言葉に支配人も頷き、更に問うた
「で、貴方の呼び方は?」「職人連中は親方って、呼んでるよ...
話が纏まると、女性陣から歓声が上がり、まだ見ぬ男達の話題...
「トリステインの元軍人だって」「きっと、素敵な殿方達よ」...
才人とルイズは邪魔をしない様に去ろうとすると、才人に複数...
「えっ?何?」「私達の、最後のお客様になって。お願い!」
「待ってくれ。そんな事したら、あいつ等に顔向け出来ないか...
そう言って、ガンダールヴを発動させた才人が、ルイズを抱え...
ルイズは自身の使い魔の腕の中で気分が上機嫌に跳ね上がって...
『やっぱり、サイトは最高の使い魔よね!姉さまやちい姉さま...
最早ご主人様の妄想では、あらゆるライバルを蹴落として、死...
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