ゼロの使い魔保管庫
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カトレアは機嫌がすこぶる良かった。約束の日迄に依頼された...
モチベーションが上がりまくりであり、その状態が体調に影響...
最近は、書類複写の依頼も出来る限りでシエスタからお願いさ...
やっぱり、自分で稼いだ分は何物にも代え難い充実感がある
何も出来ずにエレオノールに泣きを入れてた時に比べれば、格...
領地収入がある為、特に何かに使う訳では無く、薬代に使った...
最も、才人にたっぷり可愛がって貰ったので、結果オーライか...
動物は怪我が癒えた連中は少しずつ自然に帰しており、数が減...
そろそろ冬眠準備が必要な熊を含めた動物達も野生に帰したの...
「次は何をお願いしましょうかしら?私もお側で働かせて下さ...
ヴァリエール城でも、何故かそのままカトレア付きで双子メイ...
「お嬢様は医師付きじゃないと駄目ですよ?じゃないと、イー...
「イーヴァルディ?」
カトレアがきょとんとすると、ダルシニがにこにこしながら頷...
「はい、彼がそう呼んでも構わないと」
「う〜ん。ヴァリエールのお医者様はお父様付きだしなぁ。フ...
カトレアはう〜んと唸っている
カトレアが楽しい悩みに頭を捻っていると、ガチャリとアミア...
「お嬢様。また来てました」
そう言って手紙を渡すアミアス
双子メイドは区別を付ける為に、髪留めを逆に付けていて、装...
ヴァリエール城に入ってからは、二人共に調子が良さそうだ
「有り難う……はぁ」
カトレアが中身を読んで溜め息を付いている
「しつこいですねぇ、ラ=ラメー伯」
「あの時にあっさり負けたのに、調子が悪かっただけだから無...
才人の決闘50人抜き時に居たらしい
負けず嫌いとはこう言ったものなのだろう
挫折を知らないのかも知れないし、平民に負けたのが認められ...
「次は伯領の全力を以て迎えに………って、ええぇぇ!?」
カトレアが余りの事態に驚いた
遂に実力行使の宣言である
「どどどどうしましょう?どうしましょう?もう、才人殿と受...
おろおろしてしまうカトレア
つい先日、父からは自由と引き替えにフォンティーヌとして自...
もしかすると、ラ=ラメー伯がヴァリエールにも来るかもしれ...
カトレアの略奪婚は、ヴァリエールの血統と縁戚関係を手に入...
おまけにカトレア自身が美女であり、性格も良い
病弱である事を差し引いても、景品も副賞も美味しすぎるのだ
ヴァリエール三姉妹では、恐らく最高の当たりだろう
退く理由はヴァリエールを敵に回す可能性が高い事だが、今回...
ヴァリエールの庇護がいきなり無くなってしまった
余りにキツイ自己責任、だが、此処で気張らなければ、欲しい...
彼女の人生は、姉妹の誰より短い可能性が高いのだ。寄り道し...
悩んで悩んで、助けを求めようかと思い、首を振る
「イーヴァルディに助けを求めましょう。御両親は動かないと...
アミアスの言葉に、頷いてしまうが直ぐに首を振る
「あんなにお忙しいのに、こんな事で手を煩わせる訳には」
「匿って貰いましょう。かの空船に、居を構えさせて頂ければ...
カトレアは思わず頷いてしまいそうになり、そこで戦慄いてし...
「そこまで……頼る訳には……私の問題ですのに。それに、逃げて...
そう言って、カトレアは臍を噛むがアミアスとダルシニが首を...
「残念ですが、封建貴族相手の場合、ヴァリエールの庇護が無...
アミアスの冷静な指摘に、カトレアは萎んでしまう
「助けを求めて、共に相対すれば良いのです。貴女のご両親は...
カトレアは、はっと顔を見上げてアミアスを見た
「助けを求めても……良いのですか?」
「ゼロ機関関係者の絶対の庇護を、イーヴァルディは誓ってま...
ダルシニがそう言って笑い掛けると、カトレアも頷いた
「はい……手紙を認めましょう。ですが、フォンティーヌへの移...
「はい、お嬢様」
* * *
才人達はラ=ロシェールで軍人達を半分降ろして一番艦に移動...
石炭と風石が大量に残されており、食料も保存食と酒はかなり...
「コイツは?」
「艦の装備品です。問題無いでしょう?」
「…ま、そうだな」
一番艦の艦長になった航海長がそう言って惚けたのに、才人も...
細かい事は気にするなって事らしい
「では、次は戦場で」艦長を含めて全員が敬礼を才人にし、才...
「賑やかなのも終わったな。さてと、このデカブツどうすっか」
才人がそう言って自分の成果に呆れ返り、エレオノールは済ま...
「あんたの移動城じゃない。王様は美姫と贅をするものよ?一...
エレオノールはそのまま腕を絡ませて才人は苦笑する
才人とエレオノールなら二人でも動かせるが、はっきり言って...
「魔法学院の隣に転がすのもなんだな。とりあえずハッチ閉め...
「そうね。タラップ仕舞うわ」
エレオノールが引き出し式タラップを仕舞い始めると、職人達...
「お〜い、ちょっと待ってくれ!」
「何だ?何か合ったのか?」
大声で声を掛けられ、才人が大声で返すと、エレオノールがも...
「一体どうした?」
「オストラントを工場前に係留してくれないか?皆作業毎に屋...
言われてエレオノールと才人が顔を見合わせた
「確かに」「それもそうだな」
そこで才人ははたと気付く
「八番デッキ後方両舷に出入口あっから良いけど、艦内の管理...
「モンモランシ伯から借りる。元々ウチラが増えた分増員して...
「それなら良いか。舟もタルいだろ?待ってるから、必要な資...
才人が頷いて了承すると、モンモランシ伯に報せる為に走って...
才人は艦長室に歩いて行き、エレオノールは続いて行った
* * *
こうして彼ら職人達のホテルになったオストラントだが、元軍...
皆が荷物を持ってサロンに集合しており、エレオノールがサロ...
「いやったぁぁぁ!また船乗りだぜ!親方、好きに使って良い...
「壊すなよ?」
才人が苦笑してると、皆で役職の取り合いしている
「俺、絶対航海長!航法なら此でも10年のベテラン士官だぜ!」
「ざけんな!てめえは下士官止まりの万年兵だったじゃねぇか...
「ロイも下士官止まりだったじゃねぇか!」
お互いに同じ船であったのか睨み合っていて、周りがピーピー...
「医務官は水使いの俺の仕事だな。誰か医師持ち居るか?後、...
全員が首を振っているが、武器が持てない片手の人間を何人か...
「砲術は?砲術はねぇのか畜生」
「ミサイル付いてるぞ。試験装備で現在新型砲も順次進めてる...
才人が答えると、うおおぉと気合いが入る
「やった!俺砲術長。絶対譲らねぇ」
「水兵は?」
「お前ら全員03式で武装しろよ。そうすりゃ全員水兵だ。セー...
才人が呆れて言うと、全員が笑っている
「あっはっはっはっ!良いね良いね。盛り上がって来た」
「ま、俺達職人は全員機関士だな。こっちの機関も扱い一緒だ...
「その通り。昇降機とハッチがちょっと違うだけだな」
「じゃ、そいつだけ教えてくれ」
「あいよ」
才人がやるに任せて笑ってると、メイド達がサロンにやって来...
「料理人達が食事のご用意が出来たとの事です」
「親方、いや艦長!今日は盛大に呑むぞ!なぁ皆!」
「「「おおぉ」」」
才人は苦笑して頷き、全員が歩いて行った
* * *
才人達がオストラントの食堂で宴会してると、ルイズ、キュル...
「才人さ〜ん!ミスタバサにお願いして来ちゃいました!緊急...
「んあ?何だ?」
才人がエレオノールと二人で、職人達の席を次々移動して乾杯...
ツカツカ寄ったモンモランシーがポーチから解毒薬を抜き出し...
「悪い、皆、仕事が入った。後は盛り上がっててくれ」
「おぅ、親方の分迄呑んでやるよ」
そう言って杯を掲げた職人達を背に、シエスタと共に食堂を出...
* * *
才人が通路を歩きながら付いて来た皆に話しかける
「タバサは直ぐに帰れるからともかく、他の皆は学校は?」
「明日虚無の曜日じゃない。遊びに来たのよ」
代表してキュルケが答えて、才人は笑って頷いた
「すっかり曜日感覚無くなってたなぁ」
「あんただけ年中無休だもんね」
エレオノールは呆れて言い、シエスタも頷く
「才人さんは休むべきですね。働き過ぎです」
他のメンバーにはきちんと休みを取らせてるにも関わらず、自...
お陰で弾丸が必要数に達したのだが、やはり働き過ぎだ
艦長室に入る前に、皆に話しかけた
「ルイズは艦内解るだろ?キュルケ達を貴賓室に案内して、暫...
「うん、解った」
協力貴族と言えども話せない事かも知れないので、中身を知っ...
そしてエレオノールとシエスタを連れて艦長室に入ると魔法鍵...
才人はシエスタを促して着席させて、エレオノールが才人の隣...
「緊急性が高いと思ったので」
「まぁ、じゃなきゃ来ないよな」
才人が笑って頷いて受け取り、中身を読み始め、終わった物を...
「…コルベール先生は知ってる?」
「はい。先にミスタに読んで貰って、才人さんに報せるべきだ...
曰く、来たのは三通
一つはツェルプストー伯、合わせ鋼の試作成功の報告。量産に...
次は王政府アンリエッタ直筆の、閣議後に決まったゼロ機関の...
直属には変わり無し、モンモランシ伯領にて勤務する職人達の...
職人達の給料分含めて約城5個分の予算で、なるべく採算性を...
「職人達は、全員才人の正式な部下になったわね」
「…だな」
そして最後は、カトレアからのSOSだった
才人殿、お父様から自己責任と言われて庇護が無くなってしま...
どうか……
「……書けなかったみたい」
エレオノールがそう言って、溜め息を付いている
「…」
才人は言葉を発しなかった
エレオノールは不穏な態度にギンと睨む
「まさか、見捨てたりしないでしょうね?」
「そんな事は無い。でも、恋愛沙汰ならお呼びじゃねぇ様な気...
パァン!
本気で二人に両側から叩かれ、才人は手形を両頬に生産されて...
「今、何か言った?」
「才人さん、ハルケギニアでは愛人持ちは当たり前だって事、...
「……悪かった」
才人は素直に頭を下げて二人に謝る
「カトレアさんの場合、医師が居るんだよなぁ。レティシアさ...
「名案ね。又は敢えてツェルプストーに頼むのも手よ?国外な...
才人は頷いて繋げる
「機密的にはツェルプストー伯の分だけだな。体制変更は別に...
才人は立ち上がると二人も立ち上がった
「じゃあ、貴賓室に行くか」
才人の言葉に二人は素直に従い、貴賓室に向かって扉を開いた
* * *
「もう、何よ!才人ったら、モンモランシの話で私を除け者に...
そう言ってプンプンしてるのはモンモランシーだ
キュルケはどこ吹く風である
「あら、モンモランシに関係有るとは限らないわよ?才人も中...
うぐっと詰まるモンモランシー
「…教えて良い奴なら教えてくれる」
本を片手にタバサが突っ込み、モンモランシーも不承不承頷いた
ガチャっと扉が開いて、ルイズがお酒とお茶と菓子を持って入...
「艦内は才人の命令は絶対よ。あんまり我が侭言ってると吊る...
「あらあら、もしかして吊るされたの?ルイズ」
キュルケが聞くと、ルイズがカタカタと並べながら頷いた
「私達相手でも容赦しないわよ。貴女達も5000メイルでアッパ...
「お〜こわ」
キュルケが本気で身震いし、モンモランシーも嫌な顔をした
「艦長の才人は仕事モードなのね…」
「そうみたい。人の命預かってる時は、本当に怖いわ」
ルイズはそう言って、不器用にお茶を淹れて皆に差し出し、皆...
「不味い」「……あんたお茶も淹れられ無いの?ヴァリエール?...
無言なのはタバサだ
「やっぱり不味い?おっかしいなぁ、母さまにきちんと教わっ...
そう言って真剣に首を捻っている
「ルイズ、貴女もしかして、手芸全般的に母親に習ってる?」
モンモランシーが聞いたら頷いた
「うん、皆そうでしょ?」
「まぁ……ね。家は習いきる前に死んだけど」
キュルケはそう言って肩を竦め
「あんたの不器用は全部母親の仕込みか」
そう言ってモンモランシーは天井を見上げた
そう適当に団らんをしつつお茶菓子に手を伸ばしてると、ガチ...
「悪い、待たせた。じゃあちょっと食堂集まってくれ。発表一...
「なになになに?」
キュルケが食い付いたが、才人は何度も同じ説明するのがタル...
「全員居るか?」
「夜勤連中と機関見張り以外は」
「じゃあ、発表だ。お前達全員王政府からゼロ機関に移籍。つ...
「全くだ!冗談じゃねぇぞ畜生!」「そうだそうだ!」「ぎゃ...
皆が笑って乾杯を重ねてる
「つまり、俺達は親方の私兵って事にならぁな。まんま艦が家...
「使い魔連れて来て良いか?あんたの兵なら、幻獣騎兵は必要...
「戦争する気かよ?お前ら」
才人が呆れて返しているが、周りの女性達は逆に拳を握りしめ...
惚れた男が一軍の頭なら、もう自分の眼力が正しい事の証明に...
才人はそんな積もりが更々無いのにも関わらず、男達が自分が...
結局、喧嘩好きが集まっているのだろう
才人を御輿として、喧嘩のネタにしたいだけなのだ
才人も男達も承知の上で笑っており、才人は頷いた
「解った。本当にセーラーと士官服、其に機関士作業服と衛生...
「はい、解りました。マントと制服類は、全て所属を示すゼロ...
シエスタがニコニコと笑って頷き、彼らの遊びに付き合う事に...
「使い魔や騎獣が居るなら連れて来い。連絡役を頼む場合が有...
「任せろ。交代でやる」
「オストラントでの階級と職人との階級の組み合わせで給与支...
才人の言葉にエレオノールが頷いた
「了解。私の機関長職は降りるわ」
「あ、私も司厨長降ります。やっぱり、私はメイドが分相応で...
そう言って、二人が階級を降りる事を宣言するが、才人は少し...
「やりたい人間は?」
「司厨も機関長も無理だな。俺達は航法と戦いが専門だ。班長...
そう言って肩を竦めて否定する
才人は思考を纏めて宣言した
「シエスタの司厨長降板は許可。エレオノールの機関長降板は...
二人はその宣言に頷いた
「あらあら、ダーリン私兵持っちゃったじゃない?」
キュルケがそう言ってニコニコし
「ゼロ機関の発明品で武装したら、ハルケギニア最強部隊にな...
そうモンモランシーが締め括る
「役職決まったら報告してくれ」
才人の言葉に杯で返し、そして才人は更に報告を皆に重ねる
「ゼロ機関の協力者にして取引先のフォンティーヌから、保護...
その途端、全員目が座った
「んだぁ?ゼロ機関の関係者に手を出すたぁ、何処の馬鹿だ?...
才人はその言葉に苦笑する
「馬鹿かよおい。死ぬかも知れねぇぞ?」
「ハッハッハ!馬鹿じゃなきゃ軍人なんざやってねぇや!なぁ...
全員が笑いながら肯定し、才人は肩を竦める
「ハルケギニアの連中は、皆喧嘩っ早いな」
「その通りよぉ、ダーリン」
そう言ってキュルケが才人の肩に肘を置いて妖しく微笑み、ル...
「ちい姉さまは誰に狙われてるの?何でサイトに保護要請をし...
ルイズの疑問に才人が答えた
「フォンティーヌとして自己責任なんだと。今まであったヴァ...
そして才人は、息を付いて更に言葉を繋ぐ
「例え気に入らない男に、無理矢理モノにされようともだ」
ルイズはその言葉で気付いてしまった
カトレアは、他の誰よりも、才人に頼りたいのだと
更なるしがらみになるのを知りながら、才人はそれでも手を差...
でも、やっぱり自分以外の女にそこまでする才人は嫌だ
その気分が顔に出てしまうルイズ
才人は目線を合わせる為に屈み、ルイズを下から見上げる感じ...
「ルイズはカトレアさんの事が好きか?」
こくりと頷いて、ルイズは返事をする
「大好き。ハルケギニアで、一番ちい姉さまが好き。でも大嫌...
才人はそのまま更に問い掛ける
「ルイズは好きでもない人と、無理矢理結婚したいか?」「絶...
ルイズの即答に、才人は頷く
「じゃあ、エレオノールやカトレアさんがそうなったらどう思...
ルイズは、むむむっと唸り出してしまう
「…うぅぅ。姉さまやちい姉さまがそうなったら、多分喜んでし...
そう言って、しゅんとするルイズ。エレオノールは頬をピクピ...
才人の部下達は興味津々で、思春期真っ盛りの少女貴族の言動...
皆がルイズに注目していた
「ルイズ、人間は誰一人、聖人君子なんざ居やしない。ごく自...
「…うん」
才人の言葉は何よりも深くルイズの身に染み込む。それは多分...
だから、彼が居なくなるのだけは嫌だ
その瞳に込められた願いに気付かぬ才人は、更に言葉を紡いだ
「今回は、今ルイズが即答した事態に陥った。カトレアさんは...
「ハルケギニアで一番。私達、ヴァリエール姉妹の中でも一番...
キュルケがこめかみをヒクヒクしながら杖を抜いて、すかさず...
「ちょっと、ミス落ち着いて!」「あれ燃やす!絶対燃やす!...
外野が五月蝿いが才人は無視し、更にルイズに語りかける
「ルイズ、俺はさ、本当は貴族同士の恋愛にちゃちゃを入れて...
ルイズは泣きそうになった。こんな酷い選択肢、中々無い。貴...
「……サイトはいっつも……こんな選択をしているの?」
ルイズの問いに、才人は黙って頷いた
そして、ルイズはおろか、周りの少女達も全員気が付いた
才人は好きで厳しくしているわけじゃなく、周りを死なせない...
本当に、損な男である
「サイトが行けば、誰も死なない?」
「嫌……味方が死に難くなるだけで、敵に死体が積み重なる可能...
ルイズは主人として不快を示してしまった。だから使い魔は主...
どんな結果が待ち受けようと、ルイズは自身の態度に責任を持...
今更、やっぱり任せるじゃ、何の為に自分の意思を尊重してる...
そう、この選択は、ルイズ自身の真価がゼロか主人に値する原...
「姉さま、質問です」
「…何?」
話を振られるとは思わなかったエレオノールの反応が遅れたが...
「ゼロ機関の教育って、大変なんですか?」
「採用率10%未満。随時募集してるけど、試験担当の班長達が...
10人に1人も採用されない。つまり此処に居る連中は正に精鋭...
だが、彼らはあっさり戦死のリスクを受け入れて、戦うと言っ...
そう、大好きなちい姉さまの為にだ
機材を完全に使いこなせる上に、ガンダールヴの才人が加われ...
ルイズはキュッと唇を噛み締めてから、才人に言い放った
「サイト、ちい姉さまを助けて。あたしも行く」
「イエス、マイロード」
そう言って才人がしゃがみ込んで手を取り、甲に口付けをし、...
「美女を出迎えるぞ、手前ら。夜勤終わった奴を約束期日の明...
「「「ウィ!」」」
バババ
全員が才人に敬礼し、才人は踵を返した
艦長の仕事は、彼らの邪魔をしない事だ
お互いに、戦気が立ち上っていたのである
男達の意気を目の前で見た少女達も、その気に当てられて、い...
* * *
で、彼らの邪魔をしない為に貴賓室に戻ると、ルイズはエレオ...
目尻がヒクヒクしている
余程腹に据えかねてるのだろう
片手には酒瓶を持っている
「さぁて、ちびルイズ。さっきの言動は本気かしら?さっさと...
ルイズを操りで拘束してワインをガボガボと注ぎ入れるエレオ...
中々に酷い姉だ
ちなみに酒瓶を持って手伝ってるのはタバサで、美味しいポジ...
出遅れたキュルケが思わず舌打ちし
「ちっ、タバサに美味しい役持ってかれた」
一瓶丸々飲まされ、出来上がるルイズ
「……ひっく」
一気にルイズは真っ赤になっている。そんなルイズに指を突き...
「私はね、あんたの幸せを此でも望んでるし願ってるのに、何...
エレオノールの責めに、ルイズは真っ赤に成りながらも思い切...
「ふざけてるのは全員じゃない!何よ何よ何よ!いっつもあた...
「使い魔達すらサイト!あたし惨め過ぎるわよ!確かに失敗ば...
絶叫、正に絶叫
だが、エレオノールは全く怯まない
「だから欲しいんでしょうが!あんたに独り占めなんかさせる...
こちらも絶叫
そして二人が取っ組み合いを開始した時には、周りには誰も居...
ドタンバタンと辺りに音が鳴り響いているが、お互いにお構い...
天下の美女と美少女が醜い醜い姉妹喧嘩である
髪を引っ張り、引っ掻き、平手を打ち、酒を無理矢理飲ませて...
「ふっざけんじゃないわよぉ〜〜!才人が言ってた悩みを言い...
ひっぱたきながらエレオノールが馬乗りになりながら怒鳴り、...
「主人の特権らもん!姉さまらんかに教えないんらからぁ!姉...
脚を腹の下に潜り込ませてそのままエレオノールが蹴り飛ばし...
「うきゃん!?」「教える訳ないれしょう?わらしの!秘書のわ...
二人ともぜぇはぁ言いながら酒の回った頭でぐるぐるに動き回...
* * *
才人は艦長室で風呂に入ってたのだが、風呂から上がるとモン...
才人は基本的に鍵をかけない、日本人的部屋感覚の賜である
「あぁ、いらっしゃい……ルイズとエレオノールは?」
「姉妹喧嘩の真っ最中」
そう言ってキュルケとモンモランシーが肩を竦めてシエスタは...
「…ん」「ん?あぁ」
タバサの甘えに才人はそのまま抱え込んでソファーに座り込む
「…ったく、あの二人はどんどん仲悪くなってんな」
「違いますよ、才人さん」
シエスタがそう言いながら、皆がソファーに座っていて、シエ...
「え?違うのか?」
「えぇ、そうですよ。身近にならなきゃ喧嘩なんて出来ません...
「そう言う意味じゃ、ちょっと羨ましいわね」
一人っ子のモンモランシーがそう言い、タバサも頷いた
「あ〜そうか……そうかもな。タバサ、シルフィードは?」
タバサの手が才人の手を愛撫させるべく誘導していて才人も応...
「服持って来て着替えさせた。多分食堂で食べてる」
「そうか、って事はモンモンも知ったんだな」
「そうよ。びっくりしちゃったわ」
タバサが頷いてモンモランシーも同意すると、才人はタバサを...
タバサの目に非難の色が濃くなる
構って欲しいと訴えてるのだ
「ちょっと二人を見て来る。直ぐに戻るよ」
タバサの額に口付けして約束し、才人は艦長室の扉を開いて出...
* * *
ガチャ
才人が貴賓室の扉を開いたら、二人がボロボロの状態で床に伸...
「あぁあぁ、ったく。美人がぼろぼろじゃねぇか」
才人は二人の服を脱がして綺麗に畳むとルイズを先ずベッドに...
「へいみん……わらしにいえないなやみ、あるの……?」
エレオノールの瞳が不安を訴えていて、才人はエレオノールの...
「大丈夫、心配すんな。お願い聞いて欲しいか?」「うん」
「喧嘩すんなとは言わないからさ、妹を大事にしなよ」「うん」
「今はオヤスミ。明日からも頼むな」「…いっしょにねて」
才人はエレオノールの身体をまさぐり、エレオノールがピクピ...
エレオノールがその言葉に不満を表明する
「やら。かあいがってくれないの、や」「我慢出来るか?」
「むぃ」「じゃあ、明日な」
「うん」
エレオノールがほにゃあとなりながら頷いて、せめてキスをと...
ぱたんと扉が閉まると、エレオノールは本当に嬉しそうに意識...
「わらし、つちでよかったぁ。さいとといっしょならぁ、なん...
* * *
終了行:
カトレアは機嫌がすこぶる良かった。約束の日迄に依頼された...
モチベーションが上がりまくりであり、その状態が体調に影響...
最近は、書類複写の依頼も出来る限りでシエスタからお願いさ...
やっぱり、自分で稼いだ分は何物にも代え難い充実感がある
何も出来ずにエレオノールに泣きを入れてた時に比べれば、格...
領地収入がある為、特に何かに使う訳では無く、薬代に使った...
最も、才人にたっぷり可愛がって貰ったので、結果オーライか...
動物は怪我が癒えた連中は少しずつ自然に帰しており、数が減...
そろそろ冬眠準備が必要な熊を含めた動物達も野生に帰したの...
「次は何をお願いしましょうかしら?私もお側で働かせて下さ...
ヴァリエール城でも、何故かそのままカトレア付きで双子メイ...
「お嬢様は医師付きじゃないと駄目ですよ?じゃないと、イー...
「イーヴァルディ?」
カトレアがきょとんとすると、ダルシニがにこにこしながら頷...
「はい、彼がそう呼んでも構わないと」
「う〜ん。ヴァリエールのお医者様はお父様付きだしなぁ。フ...
カトレアはう〜んと唸っている
カトレアが楽しい悩みに頭を捻っていると、ガチャリとアミア...
「お嬢様。また来てました」
そう言って手紙を渡すアミアス
双子メイドは区別を付ける為に、髪留めを逆に付けていて、装...
ヴァリエール城に入ってからは、二人共に調子が良さそうだ
「有り難う……はぁ」
カトレアが中身を読んで溜め息を付いている
「しつこいですねぇ、ラ=ラメー伯」
「あの時にあっさり負けたのに、調子が悪かっただけだから無...
才人の決闘50人抜き時に居たらしい
負けず嫌いとはこう言ったものなのだろう
挫折を知らないのかも知れないし、平民に負けたのが認められ...
「次は伯領の全力を以て迎えに………って、ええぇぇ!?」
カトレアが余りの事態に驚いた
遂に実力行使の宣言である
「どどどどうしましょう?どうしましょう?もう、才人殿と受...
おろおろしてしまうカトレア
つい先日、父からは自由と引き替えにフォンティーヌとして自...
もしかすると、ラ=ラメー伯がヴァリエールにも来るかもしれ...
カトレアの略奪婚は、ヴァリエールの血統と縁戚関係を手に入...
おまけにカトレア自身が美女であり、性格も良い
病弱である事を差し引いても、景品も副賞も美味しすぎるのだ
ヴァリエール三姉妹では、恐らく最高の当たりだろう
退く理由はヴァリエールを敵に回す可能性が高い事だが、今回...
ヴァリエールの庇護がいきなり無くなってしまった
余りにキツイ自己責任、だが、此処で気張らなければ、欲しい...
彼女の人生は、姉妹の誰より短い可能性が高いのだ。寄り道し...
悩んで悩んで、助けを求めようかと思い、首を振る
「イーヴァルディに助けを求めましょう。御両親は動かないと...
アミアスの言葉に、頷いてしまうが直ぐに首を振る
「あんなにお忙しいのに、こんな事で手を煩わせる訳には」
「匿って貰いましょう。かの空船に、居を構えさせて頂ければ...
カトレアは思わず頷いてしまいそうになり、そこで戦慄いてし...
「そこまで……頼る訳には……私の問題ですのに。それに、逃げて...
そう言って、カトレアは臍を噛むがアミアスとダルシニが首を...
「残念ですが、封建貴族相手の場合、ヴァリエールの庇護が無...
アミアスの冷静な指摘に、カトレアは萎んでしまう
「助けを求めて、共に相対すれば良いのです。貴女のご両親は...
カトレアは、はっと顔を見上げてアミアスを見た
「助けを求めても……良いのですか?」
「ゼロ機関関係者の絶対の庇護を、イーヴァルディは誓ってま...
ダルシニがそう言って笑い掛けると、カトレアも頷いた
「はい……手紙を認めましょう。ですが、フォンティーヌへの移...
「はい、お嬢様」
* * *
才人達はラ=ロシェールで軍人達を半分降ろして一番艦に移動...
石炭と風石が大量に残されており、食料も保存食と酒はかなり...
「コイツは?」
「艦の装備品です。問題無いでしょう?」
「…ま、そうだな」
一番艦の艦長になった航海長がそう言って惚けたのに、才人も...
細かい事は気にするなって事らしい
「では、次は戦場で」艦長を含めて全員が敬礼を才人にし、才...
「賑やかなのも終わったな。さてと、このデカブツどうすっか」
才人がそう言って自分の成果に呆れ返り、エレオノールは済ま...
「あんたの移動城じゃない。王様は美姫と贅をするものよ?一...
エレオノールはそのまま腕を絡ませて才人は苦笑する
才人とエレオノールなら二人でも動かせるが、はっきり言って...
「魔法学院の隣に転がすのもなんだな。とりあえずハッチ閉め...
「そうね。タラップ仕舞うわ」
エレオノールが引き出し式タラップを仕舞い始めると、職人達...
「お〜い、ちょっと待ってくれ!」
「何だ?何か合ったのか?」
大声で声を掛けられ、才人が大声で返すと、エレオノールがも...
「一体どうした?」
「オストラントを工場前に係留してくれないか?皆作業毎に屋...
言われてエレオノールと才人が顔を見合わせた
「確かに」「それもそうだな」
そこで才人ははたと気付く
「八番デッキ後方両舷に出入口あっから良いけど、艦内の管理...
「モンモランシ伯から借りる。元々ウチラが増えた分増員して...
「それなら良いか。舟もタルいだろ?待ってるから、必要な資...
才人が頷いて了承すると、モンモランシ伯に報せる為に走って...
才人は艦長室に歩いて行き、エレオノールは続いて行った
* * *
こうして彼ら職人達のホテルになったオストラントだが、元軍...
皆が荷物を持ってサロンに集合しており、エレオノールがサロ...
「いやったぁぁぁ!また船乗りだぜ!親方、好きに使って良い...
「壊すなよ?」
才人が苦笑してると、皆で役職の取り合いしている
「俺、絶対航海長!航法なら此でも10年のベテラン士官だぜ!」
「ざけんな!てめえは下士官止まりの万年兵だったじゃねぇか...
「ロイも下士官止まりだったじゃねぇか!」
お互いに同じ船であったのか睨み合っていて、周りがピーピー...
「医務官は水使いの俺の仕事だな。誰か医師持ち居るか?後、...
全員が首を振っているが、武器が持てない片手の人間を何人か...
「砲術は?砲術はねぇのか畜生」
「ミサイル付いてるぞ。試験装備で現在新型砲も順次進めてる...
才人が答えると、うおおぉと気合いが入る
「やった!俺砲術長。絶対譲らねぇ」
「水兵は?」
「お前ら全員03式で武装しろよ。そうすりゃ全員水兵だ。セー...
才人が呆れて言うと、全員が笑っている
「あっはっはっはっ!良いね良いね。盛り上がって来た」
「ま、俺達職人は全員機関士だな。こっちの機関も扱い一緒だ...
「その通り。昇降機とハッチがちょっと違うだけだな」
「じゃ、そいつだけ教えてくれ」
「あいよ」
才人がやるに任せて笑ってると、メイド達がサロンにやって来...
「料理人達が食事のご用意が出来たとの事です」
「親方、いや艦長!今日は盛大に呑むぞ!なぁ皆!」
「「「おおぉ」」」
才人は苦笑して頷き、全員が歩いて行った
* * *
才人達がオストラントの食堂で宴会してると、ルイズ、キュル...
「才人さ〜ん!ミスタバサにお願いして来ちゃいました!緊急...
「んあ?何だ?」
才人がエレオノールと二人で、職人達の席を次々移動して乾杯...
ツカツカ寄ったモンモランシーがポーチから解毒薬を抜き出し...
「悪い、皆、仕事が入った。後は盛り上がっててくれ」
「おぅ、親方の分迄呑んでやるよ」
そう言って杯を掲げた職人達を背に、シエスタと共に食堂を出...
* * *
才人が通路を歩きながら付いて来た皆に話しかける
「タバサは直ぐに帰れるからともかく、他の皆は学校は?」
「明日虚無の曜日じゃない。遊びに来たのよ」
代表してキュルケが答えて、才人は笑って頷いた
「すっかり曜日感覚無くなってたなぁ」
「あんただけ年中無休だもんね」
エレオノールは呆れて言い、シエスタも頷く
「才人さんは休むべきですね。働き過ぎです」
他のメンバーにはきちんと休みを取らせてるにも関わらず、自...
お陰で弾丸が必要数に達したのだが、やはり働き過ぎだ
艦長室に入る前に、皆に話しかけた
「ルイズは艦内解るだろ?キュルケ達を貴賓室に案内して、暫...
「うん、解った」
協力貴族と言えども話せない事かも知れないので、中身を知っ...
そしてエレオノールとシエスタを連れて艦長室に入ると魔法鍵...
才人はシエスタを促して着席させて、エレオノールが才人の隣...
「緊急性が高いと思ったので」
「まぁ、じゃなきゃ来ないよな」
才人が笑って頷いて受け取り、中身を読み始め、終わった物を...
「…コルベール先生は知ってる?」
「はい。先にミスタに読んで貰って、才人さんに報せるべきだ...
曰く、来たのは三通
一つはツェルプストー伯、合わせ鋼の試作成功の報告。量産に...
次は王政府アンリエッタ直筆の、閣議後に決まったゼロ機関の...
直属には変わり無し、モンモランシ伯領にて勤務する職人達の...
職人達の給料分含めて約城5個分の予算で、なるべく採算性を...
「職人達は、全員才人の正式な部下になったわね」
「…だな」
そして最後は、カトレアからのSOSだった
才人殿、お父様から自己責任と言われて庇護が無くなってしま...
どうか……
「……書けなかったみたい」
エレオノールがそう言って、溜め息を付いている
「…」
才人は言葉を発しなかった
エレオノールは不穏な態度にギンと睨む
「まさか、見捨てたりしないでしょうね?」
「そんな事は無い。でも、恋愛沙汰ならお呼びじゃねぇ様な気...
パァン!
本気で二人に両側から叩かれ、才人は手形を両頬に生産されて...
「今、何か言った?」
「才人さん、ハルケギニアでは愛人持ちは当たり前だって事、...
「……悪かった」
才人は素直に頭を下げて二人に謝る
「カトレアさんの場合、医師が居るんだよなぁ。レティシアさ...
「名案ね。又は敢えてツェルプストーに頼むのも手よ?国外な...
才人は頷いて繋げる
「機密的にはツェルプストー伯の分だけだな。体制変更は別に...
才人は立ち上がると二人も立ち上がった
「じゃあ、貴賓室に行くか」
才人の言葉に二人は素直に従い、貴賓室に向かって扉を開いた
* * *
「もう、何よ!才人ったら、モンモランシの話で私を除け者に...
そう言ってプンプンしてるのはモンモランシーだ
キュルケはどこ吹く風である
「あら、モンモランシに関係有るとは限らないわよ?才人も中...
うぐっと詰まるモンモランシー
「…教えて良い奴なら教えてくれる」
本を片手にタバサが突っ込み、モンモランシーも不承不承頷いた
ガチャっと扉が開いて、ルイズがお酒とお茶と菓子を持って入...
「艦内は才人の命令は絶対よ。あんまり我が侭言ってると吊る...
「あらあら、もしかして吊るされたの?ルイズ」
キュルケが聞くと、ルイズがカタカタと並べながら頷いた
「私達相手でも容赦しないわよ。貴女達も5000メイルでアッパ...
「お〜こわ」
キュルケが本気で身震いし、モンモランシーも嫌な顔をした
「艦長の才人は仕事モードなのね…」
「そうみたい。人の命預かってる時は、本当に怖いわ」
ルイズはそう言って、不器用にお茶を淹れて皆に差し出し、皆...
「不味い」「……あんたお茶も淹れられ無いの?ヴァリエール?...
無言なのはタバサだ
「やっぱり不味い?おっかしいなぁ、母さまにきちんと教わっ...
そう言って真剣に首を捻っている
「ルイズ、貴女もしかして、手芸全般的に母親に習ってる?」
モンモランシーが聞いたら頷いた
「うん、皆そうでしょ?」
「まぁ……ね。家は習いきる前に死んだけど」
キュルケはそう言って肩を竦め
「あんたの不器用は全部母親の仕込みか」
そう言ってモンモランシーは天井を見上げた
そう適当に団らんをしつつお茶菓子に手を伸ばしてると、ガチ...
「悪い、待たせた。じゃあちょっと食堂集まってくれ。発表一...
「なになになに?」
キュルケが食い付いたが、才人は何度も同じ説明するのがタル...
「全員居るか?」
「夜勤連中と機関見張り以外は」
「じゃあ、発表だ。お前達全員王政府からゼロ機関に移籍。つ...
「全くだ!冗談じゃねぇぞ畜生!」「そうだそうだ!」「ぎゃ...
皆が笑って乾杯を重ねてる
「つまり、俺達は親方の私兵って事にならぁな。まんま艦が家...
「使い魔連れて来て良いか?あんたの兵なら、幻獣騎兵は必要...
「戦争する気かよ?お前ら」
才人が呆れて返しているが、周りの女性達は逆に拳を握りしめ...
惚れた男が一軍の頭なら、もう自分の眼力が正しい事の証明に...
才人はそんな積もりが更々無いのにも関わらず、男達が自分が...
結局、喧嘩好きが集まっているのだろう
才人を御輿として、喧嘩のネタにしたいだけなのだ
才人も男達も承知の上で笑っており、才人は頷いた
「解った。本当にセーラーと士官服、其に機関士作業服と衛生...
「はい、解りました。マントと制服類は、全て所属を示すゼロ...
シエスタがニコニコと笑って頷き、彼らの遊びに付き合う事に...
「使い魔や騎獣が居るなら連れて来い。連絡役を頼む場合が有...
「任せろ。交代でやる」
「オストラントでの階級と職人との階級の組み合わせで給与支...
才人の言葉にエレオノールが頷いた
「了解。私の機関長職は降りるわ」
「あ、私も司厨長降ります。やっぱり、私はメイドが分相応で...
そう言って、二人が階級を降りる事を宣言するが、才人は少し...
「やりたい人間は?」
「司厨も機関長も無理だな。俺達は航法と戦いが専門だ。班長...
そう言って肩を竦めて否定する
才人は思考を纏めて宣言した
「シエスタの司厨長降板は許可。エレオノールの機関長降板は...
二人はその宣言に頷いた
「あらあら、ダーリン私兵持っちゃったじゃない?」
キュルケがそう言ってニコニコし
「ゼロ機関の発明品で武装したら、ハルケギニア最強部隊にな...
そうモンモランシーが締め括る
「役職決まったら報告してくれ」
才人の言葉に杯で返し、そして才人は更に報告を皆に重ねる
「ゼロ機関の協力者にして取引先のフォンティーヌから、保護...
その途端、全員目が座った
「んだぁ?ゼロ機関の関係者に手を出すたぁ、何処の馬鹿だ?...
才人はその言葉に苦笑する
「馬鹿かよおい。死ぬかも知れねぇぞ?」
「ハッハッハ!馬鹿じゃなきゃ軍人なんざやってねぇや!なぁ...
全員が笑いながら肯定し、才人は肩を竦める
「ハルケギニアの連中は、皆喧嘩っ早いな」
「その通りよぉ、ダーリン」
そう言ってキュルケが才人の肩に肘を置いて妖しく微笑み、ル...
「ちい姉さまは誰に狙われてるの?何でサイトに保護要請をし...
ルイズの疑問に才人が答えた
「フォンティーヌとして自己責任なんだと。今まであったヴァ...
そして才人は、息を付いて更に言葉を繋ぐ
「例え気に入らない男に、無理矢理モノにされようともだ」
ルイズはその言葉で気付いてしまった
カトレアは、他の誰よりも、才人に頼りたいのだと
更なるしがらみになるのを知りながら、才人はそれでも手を差...
でも、やっぱり自分以外の女にそこまでする才人は嫌だ
その気分が顔に出てしまうルイズ
才人は目線を合わせる為に屈み、ルイズを下から見上げる感じ...
「ルイズはカトレアさんの事が好きか?」
こくりと頷いて、ルイズは返事をする
「大好き。ハルケギニアで、一番ちい姉さまが好き。でも大嫌...
才人はそのまま更に問い掛ける
「ルイズは好きでもない人と、無理矢理結婚したいか?」「絶...
ルイズの即答に、才人は頷く
「じゃあ、エレオノールやカトレアさんがそうなったらどう思...
ルイズは、むむむっと唸り出してしまう
「…うぅぅ。姉さまやちい姉さまがそうなったら、多分喜んでし...
そう言って、しゅんとするルイズ。エレオノールは頬をピクピ...
才人の部下達は興味津々で、思春期真っ盛りの少女貴族の言動...
皆がルイズに注目していた
「ルイズ、人間は誰一人、聖人君子なんざ居やしない。ごく自...
「…うん」
才人の言葉は何よりも深くルイズの身に染み込む。それは多分...
だから、彼が居なくなるのだけは嫌だ
その瞳に込められた願いに気付かぬ才人は、更に言葉を紡いだ
「今回は、今ルイズが即答した事態に陥った。カトレアさんは...
「ハルケギニアで一番。私達、ヴァリエール姉妹の中でも一番...
キュルケがこめかみをヒクヒクしながら杖を抜いて、すかさず...
「ちょっと、ミス落ち着いて!」「あれ燃やす!絶対燃やす!...
外野が五月蝿いが才人は無視し、更にルイズに語りかける
「ルイズ、俺はさ、本当は貴族同士の恋愛にちゃちゃを入れて...
ルイズは泣きそうになった。こんな酷い選択肢、中々無い。貴...
「……サイトはいっつも……こんな選択をしているの?」
ルイズの問いに、才人は黙って頷いた
そして、ルイズはおろか、周りの少女達も全員気が付いた
才人は好きで厳しくしているわけじゃなく、周りを死なせない...
本当に、損な男である
「サイトが行けば、誰も死なない?」
「嫌……味方が死に難くなるだけで、敵に死体が積み重なる可能...
ルイズは主人として不快を示してしまった。だから使い魔は主...
どんな結果が待ち受けようと、ルイズは自身の態度に責任を持...
今更、やっぱり任せるじゃ、何の為に自分の意思を尊重してる...
そう、この選択は、ルイズ自身の真価がゼロか主人に値する原...
「姉さま、質問です」
「…何?」
話を振られるとは思わなかったエレオノールの反応が遅れたが...
「ゼロ機関の教育って、大変なんですか?」
「採用率10%未満。随時募集してるけど、試験担当の班長達が...
10人に1人も採用されない。つまり此処に居る連中は正に精鋭...
だが、彼らはあっさり戦死のリスクを受け入れて、戦うと言っ...
そう、大好きなちい姉さまの為にだ
機材を完全に使いこなせる上に、ガンダールヴの才人が加われ...
ルイズはキュッと唇を噛み締めてから、才人に言い放った
「サイト、ちい姉さまを助けて。あたしも行く」
「イエス、マイロード」
そう言って才人がしゃがみ込んで手を取り、甲に口付けをし、...
「美女を出迎えるぞ、手前ら。夜勤終わった奴を約束期日の明...
「「「ウィ!」」」
バババ
全員が才人に敬礼し、才人は踵を返した
艦長の仕事は、彼らの邪魔をしない事だ
お互いに、戦気が立ち上っていたのである
男達の意気を目の前で見た少女達も、その気に当てられて、い...
* * *
で、彼らの邪魔をしない為に貴賓室に戻ると、ルイズはエレオ...
目尻がヒクヒクしている
余程腹に据えかねてるのだろう
片手には酒瓶を持っている
「さぁて、ちびルイズ。さっきの言動は本気かしら?さっさと...
ルイズを操りで拘束してワインをガボガボと注ぎ入れるエレオ...
中々に酷い姉だ
ちなみに酒瓶を持って手伝ってるのはタバサで、美味しいポジ...
出遅れたキュルケが思わず舌打ちし
「ちっ、タバサに美味しい役持ってかれた」
一瓶丸々飲まされ、出来上がるルイズ
「……ひっく」
一気にルイズは真っ赤になっている。そんなルイズに指を突き...
「私はね、あんたの幸せを此でも望んでるし願ってるのに、何...
エレオノールの責めに、ルイズは真っ赤に成りながらも思い切...
「ふざけてるのは全員じゃない!何よ何よ何よ!いっつもあた...
「使い魔達すらサイト!あたし惨め過ぎるわよ!確かに失敗ば...
絶叫、正に絶叫
だが、エレオノールは全く怯まない
「だから欲しいんでしょうが!あんたに独り占めなんかさせる...
こちらも絶叫
そして二人が取っ組み合いを開始した時には、周りには誰も居...
ドタンバタンと辺りに音が鳴り響いているが、お互いにお構い...
天下の美女と美少女が醜い醜い姉妹喧嘩である
髪を引っ張り、引っ掻き、平手を打ち、酒を無理矢理飲ませて...
「ふっざけんじゃないわよぉ〜〜!才人が言ってた悩みを言い...
ひっぱたきながらエレオノールが馬乗りになりながら怒鳴り、...
「主人の特権らもん!姉さまらんかに教えないんらからぁ!姉...
脚を腹の下に潜り込ませてそのままエレオノールが蹴り飛ばし...
「うきゃん!?」「教える訳ないれしょう?わらしの!秘書のわ...
二人ともぜぇはぁ言いながら酒の回った頭でぐるぐるに動き回...
* * *
才人は艦長室で風呂に入ってたのだが、風呂から上がるとモン...
才人は基本的に鍵をかけない、日本人的部屋感覚の賜である
「あぁ、いらっしゃい……ルイズとエレオノールは?」
「姉妹喧嘩の真っ最中」
そう言ってキュルケとモンモランシーが肩を竦めてシエスタは...
「…ん」「ん?あぁ」
タバサの甘えに才人はそのまま抱え込んでソファーに座り込む
「…ったく、あの二人はどんどん仲悪くなってんな」
「違いますよ、才人さん」
シエスタがそう言いながら、皆がソファーに座っていて、シエ...
「え?違うのか?」
「えぇ、そうですよ。身近にならなきゃ喧嘩なんて出来ません...
「そう言う意味じゃ、ちょっと羨ましいわね」
一人っ子のモンモランシーがそう言い、タバサも頷いた
「あ〜そうか……そうかもな。タバサ、シルフィードは?」
タバサの手が才人の手を愛撫させるべく誘導していて才人も応...
「服持って来て着替えさせた。多分食堂で食べてる」
「そうか、って事はモンモンも知ったんだな」
「そうよ。びっくりしちゃったわ」
タバサが頷いてモンモランシーも同意すると、才人はタバサを...
タバサの目に非難の色が濃くなる
構って欲しいと訴えてるのだ
「ちょっと二人を見て来る。直ぐに戻るよ」
タバサの額に口付けして約束し、才人は艦長室の扉を開いて出...
* * *
ガチャ
才人が貴賓室の扉を開いたら、二人がボロボロの状態で床に伸...
「あぁあぁ、ったく。美人がぼろぼろじゃねぇか」
才人は二人の服を脱がして綺麗に畳むとルイズを先ずベッドに...
「へいみん……わらしにいえないなやみ、あるの……?」
エレオノールの瞳が不安を訴えていて、才人はエレオノールの...
「大丈夫、心配すんな。お願い聞いて欲しいか?」「うん」
「喧嘩すんなとは言わないからさ、妹を大事にしなよ」「うん」
「今はオヤスミ。明日からも頼むな」「…いっしょにねて」
才人はエレオノールの身体をまさぐり、エレオノールがピクピ...
エレオノールがその言葉に不満を表明する
「やら。かあいがってくれないの、や」「我慢出来るか?」
「むぃ」「じゃあ、明日な」
「うん」
エレオノールがほにゃあとなりながら頷いて、せめてキスをと...
ぱたんと扉が閉まると、エレオノールは本当に嬉しそうに意識...
「わらし、つちでよかったぁ。さいとといっしょならぁ、なん...
* * *
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