ゼロの使い魔保管庫

　サイトはド・オルニエールにある屋敷の中庭にたち、眼の前で無邪気にはしゃぐ二人の子供を眺めていた。
男の子のほうは黒髪に鳶色の瞳で容姿は自分に似ているが目許は
きりっとしているのはルイズの父、ヴァリエール公爵譲りだろうか。
女の子のほうは桃色の髪に黒い瞳、早くも将来は美少女になりそうな
オーラを感じる中にサイトは自分の母親を思いだす日本女性独特の
ルイズにはない温かさを感じた。
すると側に置いてある戦闘機からデルフが声をかけてきた。
「どうした、相棒。ボーッとして？」
サイトは答えた。「五年前の事を思い出してたんだよ。お前が壊れたあとの事を
俺は覚えてないけど、ルイズが[世界扉]で返したんだって言ったことあるだろ？
あの後、俺が帰って来なかったらこの幸せは無かったのかと思ってさ・・・」
デルフは「お前さんもそう思うか。俺もだ・・・。あの後、相棒とコルベール
先生がこれを直せなかったら俺は一生ルーンの中にいなけりゃならなかった。
感謝してるぜ、相棒」すると子供たちが来た。
「お父様、どうなさったの。ボーッとして。一緒に遊んで〜！」
「分かったよ、デルフまた後でな」と言ったところにルイズが来た。
出会った頃は無理矢理召喚した奴と恨んでいた事もあった。でもずっ
と命を懸けて守り、何度も心がすれ違ってなかなか本当の気持ちが
伝わらなかったけど本心を伝え、手に入れた大事な人と家族。
「サイト、ギーシュがモンモランシーと一緒に来たわよ」
「ギーシュが？モンモンと二人で何の用だ？」
「やあ、サイト、ルイズ。ご無沙汰してるね」 とギーシュが
モンモランシーを連れて入って来た。「どうしたんだ？急に」
「いや、やっと両家の許しをもらえてね、もうじき結婚する事になったのさ！！」
「そうか、おめでとう。ついにか・・・」
ギーシュは戦闘機を見て、「もう五年か、世界の危機がおきて、それを救った
君達が結婚して・・・。そういえば最近コルベール先生は来てるかい？」
「いや、キュルケと二人で研究に没頭しているみたいだぜ。
タバサはガリア女王の仕事が忙しいみたいだし、テファも
ウェストウットでシエスタと二人で孤児の世話をしているし、
姫様はジュリオを秘書にして、仕事してるし・・・」
モンモランシーは二人の子供を見て、「早いものね、学院で貴方達が
喧嘩してたのが懐かしいわ。子供二人とも、貴方達の良いところ
とって生まれたから可愛いわね・・・」ルイズが嬉しそうに返した。
「ミーナの方はちい姉様と母様が私に似てるから、将来が楽しみだわって言ってたわ」
「でもそうなると良家の息子からの求婚が殺到するかもな・・・。親になって初めて
分かった。あのときの御父さんの寂しそうな顔の意味が・・・」
とサイトが呟くとギーシュは「実は父から結婚を許すから早く孫を見せろ。
ヴァリエール公爵は副隊長のサイトとルイズの間の孫が可愛いのを自慢
しているのでね、私も早く孫がみたいと怒られてね・・・」と
ギーシュは照れ臭そうに言い、モンモランシーは
「二人の様に可愛い子が出来るかしら・・・」
とルイズに聞いて、ルイズは「大丈夫よ、二人に似た可愛い子が生ま
れるわ」と答えた。そこに「ミーナ、ショーン、元気か？」と声が
聞こえたと思ったらニコニコ顔のヴァリエール公爵がやって来た。
「父様？どうしたの？」「いや、二人の顔が見たくてな。公務を
放って会いに来たのだ。ギーシュ隊長、結婚するそうだな、おめでとう」
「いや、公爵から言われるとはこの上無い幸せです」とギーシュは挨拶し、
サイトに聞いた。「公爵、孫に会いに来るとああなのか？」
「ああ、昔俺に制裁加えた人と同じに見えないだろ」とサイトは返した。
するとヴァリエール公爵はサイトに「婿殿、それが炎蛇と直したという鉄の龍かね？」といった。
サイトは「そうですよ。今、デルフはこの中にいます」とかえした。
さらにヴァリエール公爵はサイトに「婿殿、自分の生まれた世界がここではない
事を二人に伝えなくてはいけなくなる時がいつかくるな。いつ教えるのかい？」
と聞き、サイトは「もう少し大きくなったら伝えます」と答えた。
ルイズは「サイトの両親に二人を見せたのってまだ数回よね、寂しくないのかしら」
「いいんだ。俺がこっちの世界でみんなと元気に暮らしているんならそれだけで
嬉しいってさ。だから俺はこっちの世界で暮らす事を選んだのさ・・・」と
サイトは返した。
ギーシュは「君にとって、この世界は第二の故郷なんだな！」と言った。
サイトは「第二の故郷何かじゃなく、大切な世界さ！」と返した。
　こうして、今日もハルケギニアには平和な時が流れている。