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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:44:24 (5646d)

517 名前:220 1/2 飼われ日記[sage] 投稿日:2007/01/13(土) 07:59:52 ID:tIoK93Qv
俺は犬だ。忠実な犬だ。ご主人様の言うことを良く聞いて、忠誠ってヤツを誓っている。
「私を寂しくしたら許さないんだから!」
いつかそのご主人様が放った言葉。俺のご主人様の「許さない」は、言いつけを破れば本当に俺を殺しかねない程、強力な制裁を与えると言う意味だ。
これじゃ首輪をかけられているのと同じだろう…

俺は番犬の役割も果たしている。ご主人様の住んでいる所を守ったり、俺の場合はご主人様そのものを守ったりする。俺の住処=ご主人様の住処。俺自身の住処を守る事になるから当然と言えば当然か。
一時期は藁のベッドで寝ていた事もある。犬だから。
俺がご主人様の愛犬となってからは、ご主人様と同じベッドで眠れるようになった。抱き枕みたいなものだろう。犬と一緒に眠る話は少なくとも、日本では珍しく無い。
俺が夜中トイレに立つ時、必ずと言って良いほどご主人様は目を覚まし、「ドコに行くの…?」と、訪ねてくる。
「トイレ」、と答えると、「寒いんだから速く帰って来なさいよ」と、ベッドの中で少し不機嫌な顔を覗かせる。
当然だ。ご主人様は寝間着すら着ていない。俺は早く戻ってご主人様を温めてやらなければならない。

518 名前:220 2/2 飼われ日記[sage] 投稿日:2007/01/13(土) 08:01:26 ID:tIoK93Qv
ご主人様の愛情表現は激しい。俺が気に入られる様な、例えば、番犬らしい働きを見せたりすると、ご主人様はご褒美をくれる。極上のご褒美だ。
しかし、実際俺はミスの方が多く、ご主人様の機嫌を損ねる事が少なくない。その度に俺はお仕置きを受けて、痛い思いをする。

そんな俺だが、一度だけご主人様に痛い思いをさせた事がある。しかも、身体的にだ。
その時ご主人様から鮮血が流れ落ち、ご主人様が小さな悲鳴をあげたのを覚えている。俺が気遣うと「大丈夫…」と言って、涙を浮かべながら微笑みを見せてくれた。悪いとは思いつつ、その時俺は動物の本能を優先させた。
その日以来、ご主人様への忠誠は一層強くなった。

俺は犬だ。ご主人様はどうも俺を自分の犬にしておきたいらしい。
何故かって?遂に名前まで束縛されてしまったからだ。ヴァリエールなんて言う日本人に似つかわしくない名前を俺の名前につけたからだ。
ヴァリエールの名前が付いた時、特殊な儀式まであった。俺もご主人様もお揃いの白い服。他の人がいる前で俺はご主人様のご褒美を貰った。いや、貰う羽目になった。
最高に綺麗なご主人様から。

今ではますます束縛の度合いが強まっている。俺とご主人様の繋がりが、はっきりと存在するようになったからだ。

もう三人を数えた。

この世にその繋がりが証明された以上、俺は逃れられない。

…と長々と綴ってみたが、俺は「嫌だ」とは一言も言っていない。犬である事に文句を言わないなんて、人間として終わってるかもしれない。束縛されて喜んでいる俺は、やっぱりMなのだろう。
しかし、最高のご褒美を貰う事が出来た。
「サイトー?」

ご主人様自身ールイズと言うご褒美を。

さて、犬は名前を呼ばれたら飛んでいかなくちゃな。


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