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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:46:23 (5645d)
725 名前:1/5[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:58:41 ID:hJFdIha4 正確にはシエスタがまだ寝ているのが珍しい。 無理。 右手も左手も、ルイズとシエスタがそれぞれ抱きしめ……って…… (ふ、ふにふに…………) ……うん、起きられないんだから仕方ないよな。 …………と、大きい方の胸の感触が遠ざかった。 「…………んっ……うぅ……」 冷たい風が入らないように注意しながら布団を出たシエスタが、大きく背中を伸ばす。 伸びから復帰したシエスタが俺のほうを見た所為で、起きているのがばれた。 「あ、ごめ……」 ……胸を見てたのは良いのか? 「わあ、い、意地悪ですサイトさん」 何でそんなに慌てるんだろう? 「い、いいから、せめて顔洗って着替えるまで待っててください……」 まぁ……なんだか分からないけど待とう。 「ごめんなさいサイトさん、起きるの遅くて、……虚無の週間だからって油断しました」 「虚無の週間?」 726 名前:2/5[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:59:12 ID:hJFdIha4 「そうですね、サイトさんはご存じ無いかもしれませんけど…… ゴールデンウィークみたいなものか? 「あー、シエスタも休んでたらいいのに」 貴重なシエスタの休日を俺が削っちゃったのかも。 「いいんですよ、わたしはサイトさんのお世話そするのが一番楽しいんですから、 ……それは楽しいのか? 「いや……でもなー」 渋る俺を見たシエスタが、俺を廊下に連れ出す。 「でしたら、少しお散歩しませんか? 寮の中だけですけど、そう言いながら手を引くシエスタに導かれ、 「誰も居ない?」 何時もなら生徒でごった返す時間なのに、誰もいない廊下。 「……なんじゃありゃ」 静まり返った寮内とは別世界がそこに有った。 「……あれ、何?」 シエスタが答えようとした時、目の前のドアが勢い良く開いて、 「うあぁぁぁぁ、遅れてしまうぅぅぅ」 ギーシュ・ド・グラモン 727 名前:3/5[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 03:59:45 ID:hJFdIha4 見るからに物が詰め込まれている鞄を重そうに抱えながら、ギーシュが返事をした。 「どこか行くのか?」 そわそわと窓の外を眺め、何かを探していたギーシュの目が目的の人物を見つけ、 「モンモン?」 真剣な表情に押されて思わず頷くと、ギーシュは持ち前の切り替えの速さでサイトに問いかけた。 「サイト、どこか変なところはないかな?」 部屋に飛び込んだギーシュが、数十秒後に出てくる。 「こ、これでどうかな?」 隈が消えている。 「……あれは……なんだ?」 シエスタかもじもじと説明しようとしていると、信じられないスピードで外に出たギーシュがモンモランシーに駆け寄った。 「お、腕組んだ」 ……まて…… 「じゃ……あの二人……」 帰ってきたら、ギーシュに何をたかろう。 728 名前:4/5[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 04:00:17 ID:hJFdIha4 ほとんどは同性のグループだったが、ちらほらと混ざるカップルが羨ましくなったサイトは、 「……学院の生徒さんは良く旅行にいかれますけど…… 隊長はついさっき旅行に行ったんだけどなぁ…… 「あ、でも、サイトさんとなら……と、泊りがけで旅行でも……」 赤くなったサイトと、もっと赤いシエスタは、微妙な沈黙を守ったまま部屋に戻り、 「……おはよう……」 いつもと違ったのんびりした朝を楽しみながら、サイトはデルフリンガーを手に取り、 「おや、相棒、どーしたい」 四人でゆっくりとした時間を贅沢に使う。 「しあわせだーね、相棒」 授業や訓練に使っている時間とはまったく違う時間。 無駄な時間だと、 「こーゆーのもいいよなぁ……」 楽な姿勢をとっていたサイトの手が、それぞれルイズとシエスタに当たると、 「うわっ……ちょっ……なに?」 両手を固定されたままベットに連れ込まれたサイトは、 729 名前:5/5[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 04:00:53 ID:hJFdIha4 「はら……へった……」 「うをっ……」 無人かと思われた食堂には1/3ほどの生徒が居た。 不気味な沈黙に耐え切れなくなったサイトが、手早く食べ物を集め部屋に持ち帰ろうとしていると、 「サイト!? どうして君が? ルイズやメイドとどこかに出かけているものだとばかり」 マリコルヌが、その体格に負けない位目を丸くしていた。 「いや……どこにも行ってないよ、のんびり寝てた」 サイトが居る事がよほど意外だったらしく、食堂に居るほぼ全員がサイトを見つめていた。 「……いや……俺が学院に居ちゃ駄目なのか?」 さっきまでの静寂が嘘のように、明るい笑いが漏れ始めた食堂でサイトが部屋に持ち帰る食料を集めていると、 「もー、サイト……起きたら居ないんだもん、心配したじゃない」 言いたい事を言ったルイズが引き返してから、 「マリコルヌ? なんだよ」 有無を言わせない迫力でサイトに詰め寄ったマリコルヌが、暗い光を放つ目でサイトを射る。 「え? 一緒だけど?」 サイトの声が食堂に響いた瞬間、食堂中の生徒が一斉に立ち上がり、キリキリと音を立てそうな動きでサイトを見つめながる、 「「「「「「オマエモナカマダトオモッタノニ!!」」」」」」 ……旅行も、デートも、予定の無い集団の真ん中で、空気の読めなかったサイトは…… ……命がけの戦いが今……始まる…… |
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