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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:52:58 (5645d)
契約(その11) 痴女109号氏
「う……ん……」
ルイズが目を覚ましそうだ。
シエスタは急いだ。
彼女に飲ませたポーションは、確実に効く代わりに、その持続時間は短い。10分か20分もすれば、目を覚ましてしまう。
調合したアンリエッタは、“水”のトライアングルではあるが、所詮は、モンモランシーのような魔法薬調合の玄人ではない。だが、――10分もあれば、正直シエスタには充分だった。
むしろ、この後のルイズの絶叫を思い浮かべれば、彼女が覚醒してくれいる方が、好都合なのだ。
ロープを取り出し、彼女の細い両腕を、後ろ手に縛る。
脚を閉じられないように、一メイルほどの鉄棒の両端に、彼女の足首を縛って固定する。
「……ん……んん……」
眠り姫が目を覚ます。
ルイズの美貌は、シエスタは十二分に知悉している。
以前は、ルイズと才人と三人で、川の字になって毎晩眠ったものだったが、いつも真っ先に起床するのは、才人でもルイズでもない、シエスタだった。
そしてシエスタは、目覚めると、思い人たる才人ではなく、むしろルイズの気品溢れる寝顔に眼を奪われる事が多かった。そして、いま――その神々しい寝顔が、自分の足元にある。ウェディングドレスという最高の装飾に包まれて。
いまから、この文字通りの美少女を、自分の手でムチャクチャに出来るかと思うと――彼女は、濡れた。
「あ……れ……しえすた……?」
「おはようございます。ミス・ヴァリエール」
「どしたの……? なんで……そんな格好してるの……?」
「何を言ってるんです、ミス・ヴァリエール。今日はめでたい結婚式じゃありませんか」
結婚式……?
そう、わたしは、――確か、サイトに『二人だけで、もう一度結婚式を挙げよう』って言われて……始祖の像の前で誓いのキスをして……あれ、そこから……思い出せない?
――その瞬間、ようやくルイズは自分を取り戻したようだった。
両手も両足も動かない、ダルマのような状態で転がされている自分。その自分の前を、仁王立ちに見下ろすドレス姿のシエスタ。
ルイズの瞳に、いつものキツい光が戻った。
「ちょっ……シエスタっ!? これって、何の冗談なのっ!? 早くわたしを自由にしなさい!!」
だが、その怒声にシエスタは、うっとりしたような表情で応える。
「ああ……やっぱり、ミス・ヴァリエールは……そうでなくっちゃ、らしくないですわ……」
「なにバカな事言ってるのっ!? いい加減にしないと、わたし本気で――」
だが、まくしたてるルイズの唇を封じたのは、唾液を一杯に含んだシエスタの、これ以上はないくらいに情熱的なキスだった。
「んんんんんんんんんんんん!!」
同性の舌に口内を凌辱され、再び意識が飛びそうになるルイズ。
だが、その瞬間聞こえた悲鳴が、彼女の消え入りそうだった自我を、激しくノックする。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっ!!」
(いまの声……サイト……!?)
ふたたび目に光が戻ったルイズの唇を、シエスタは名残惜しそうに解放し、大聖堂に似つかわしくない悲鳴が響いた方向を、ルイズに顎で指し示す。
「ご覧下さい、ミス・ヴァリエール。祝言の花婿さんです」
そこには、自分の花婿であるはずの少年がいた。
ただし――“さっき”まで、始祖の像の前で誓いを共にしていた、凛々しい姿ではなかった。
彼は、すでに身に付けるものは全て剥ぎ取られていた。
さっきまで彼が袖を通していた、ばりっと糊のきいたタキシードは、しおれた花のように打ち捨てられ、もはや誰にも見向きもされない。
そして、ルイズと同じく四肢を固定され、シエスタと同じく豪華なドレスを着込んだ3人の女が、その剥き出しにされた、全裸の彼にまとわりつき、奪い合っていた。
――それは、ルイズには、まるで才人が、3匹の巨大なヒルに血を吸われているかのように見えた。
「サイトぉぉぉぉっっっ!!?」
「あら、目が覚めたの、ルイズ?」
そう言って、顔を上げたのは、彼の顔面にキスの雨を降らせていたアンリエッタ。
(ひっ――ひめさまっ……!!)
網膜を襲う、あまりのショッキングな映像に、ルイズは声も出ない。
「ちょうどよかったわ。『披露宴』はこれからよ。主役がいつまでも眠ってたら、盛り上がるものも盛り上がらないわ。――ねえ、テファ」
突然、女王から無茶振りをされて、才人の乳首に吸い付いていたハーフエルフが――え?といった表情で振り返り、そのままルイズと目が合うと、怯えるように顔を伏せる。
だが、――ルイズには見えた。そんなティファニアの唇から、少年の乳首に直結する唾液の糸が。
そして、
「はじめる」
そう一声呟くと、空色の髪をした無表情の少女が、才人の股間から顔を上げた。
「タバサ……あなたもなの……!?」
もう、これ以上は何があっても驚けない。そんな顔をしたルイズだったが、次の瞬間、反射的に息を呑んだ。
髪の色と同じく、薄い青地のウェディングドレスを纏った眼鏡少女。彼女がその重厚なスカートをまくり上げた瞬間、世にもおぞましい光景を、ルイズは見てしまったのだ。
――タバサの股間から生えた、一本の魁偉な『触手』を。
タバサがなぞると、その触手は、まるで命を灯されたかのように蠢き始め、また、その赤い地肌から、半透明な粘液を発生させ始め、大聖堂の絨毯に、いやな色のシミを作った。
だが、――ルイズが、本当におぞましい眺めを見たのは、その直後だった。
3人の女は、そのまま才人の身体を引っくり返し、うつ伏せにさせる。
そしてタバサは、才人の尻たぶを割ると、その蠢く触手を、彼の肛門に突き刺したのだ。
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
さっきの絶叫をさらに凌ぐ、才人の悲鳴が大聖堂に轟いた。
(何なのっ!? 何なのっ!? 一体何が起こっているのっ!!? これは何の冗談なのっ!?)
しかし、いまだ現実を把握できないルイズの脳髄を、シエスタの嘲うような囁き声が直撃する。
「ほぅら、――よく御覧になって下さいな、ミス・ヴァリエール。サイトさんのお顔を」
「……え?」
「サイトさんったら、ミス・タバサの『おちんちん』にお尻を犯されて……感じていらっしゃいますよ……?」
「……!! う、うそ……!?」
「嘘じゃありませんよ、本当です。ミス・ヴァリエールはご存知なかったかも知れませんが……サイトさんって、飛びっ切りのヘンタイさんなんですよ?」
言われてみれば、確かに、レイプされているはずの才人の表情は、次第に紅潮し、息も荒くなってきている。しかし、ルイズの視線に気付くと、恥じ入るように顔を伏せた。
しかし、そんな『ワガママ』を許すほど、タバサは優しくはない。
「顔を上げなさい」
うつ伏せになった才人の髪を掴み、無理やり少年の顔を上げた。
「……サ、イト……!?」
彼は深く目を閉じ、唇は真一文字に結ばれていた。何かを懸命に堪えるように。
だが、タバサは呟く。
「――無駄」
その瞬間、彼の股間から、白い粘液が大量に噴出された。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
砲弾のような勢いで発射された精液は、数メイル離れたルイズたちのもとまで届き、さらにその勢いはとどまる事無く、アンリエッタやティファニアの顔を白く染めた。
二人は嬉々として、その汚らしい慈雨を浴び、
「ああああああサイトどのぉぉっ!!」
アンリエッタは感極まって、才人の股間にむしゃぶりついた。
「あああっ、独り占めはズルイですぅっ!!」
ティファニアも、負けじと少年の股間にかじりつくが、アンリエッタが独占しているため、精液にありつけない。
「ひどい、ひどいひどい!! サイトぉっ、なんでわたしに白いの、くれないのよぉっ!!」
尖った耳を震わせて、悩乱したように叫ぶハーフエルフは、おそろしく理不尽な怒りを、彼の乳首に再びぶつけた。
「っっっっ!!?」
がぶりと歯を立てられた才人の乳首。だが――もはや彼の神経は、そんな激痛でさえ快感として歪曲させ、脳に伝達してしまう。
だが、ルイズはもはや彼女たちなど見てはいない。
少女の目は――才人の表情に釘付けになっていた。
タバサの触手に前立腺を蹂躙され、アンリエッタに尿道から直接精液を吸引され、ティファニアからは乳首に歯を立てられた少年。
だらしなく開いた口元からは、よだれが止めどなく溢れ、大きく見開かれた潤んだ瞳からは、やはり涙が止めどなく溢れ、まるで高純度の麻薬でも飲まされたかのように、大量の快楽にその神経を翻弄され切った、その表情。
「――サイト……かわいい……」
思わずそう呟くルイズを、ぎょっとした表情でシエスタが覗き込む。――が、無論、ルイズはそんな無遠慮な視線など気にもしない。
少なくとも、ルイズは、こんな顔をした彼を見たことがなかったのだ。
「――はぁっ」
大きく息を吸い込む才人。ようやく射精も落ち着いたらしく、彼の目に、小さな正気の光が宿る。
「――サイト……」
ルイズは思わず恋人の名を呼ぶ。
だが、次の瞬間、ルイズの視線に気付いた才人は、
「やめろっ!! ――こっちを見ないでくれっ、ルイズっ!!」
そう叫んでいた。
まるで、暗中、化物にでも出会ったかのように怯えながら。
その声は、少女を無理やり、自分を取り巻く、現実離れした現実に引き戻してしまう。
今日、挙式をあげたはずの新郎新婦。
その二人が、深夜の大聖堂で、四人の襲撃者によって縛り上げられ、神聖なる始祖の像の眼前で、レイプされている。
しかも、襲撃者たちは女――それも、一生の交誼を誓い合ったような、親しい友人たちばかりであった。
「シエスタ」
そして、今、……ふたたびタバサが指示を出す。
「あなたも」
「はぁい」
嬉しげにタバサに応えたシエスタは、そのまま蕩けるような顔を、ルイズに向けた。
「それじゃあ、ミス・ヴァリエール、わたしたちも始めましょうか?」
「始めるって……なにを?」
半ば、恐怖に包まれながら、ルイズは、この平民の少女を見上げる。
いや、――もはや、封建身分はこの場に於いては関係ない。
シエスタは、確かに一平民に過ぎないが、それでも今の自分に対し、生殺与奪の権を握っている事に変わりはないのだから。
そして、彼女は、やはりルイズの予想通り――聞かなければよかったと思わせる返事を、しれっと返す。
「決まっているじゃありませんか。新婚初夜といえば、――花嫁の“破瓜”でしょう?」
そう言いながらスカートをまくり上げたシエスタの股間には、乳児の腕ほどもある、巨大な張型が生えていた。
「んふふふふ……ミス・ヴァリエール、あんまり暴れると……優しくしてあげませんよ?」
愕然とするルイズを見下ろし、シエスタは、菓子を前にした幼児のような、あどけない笑顔を浮かべる。――その笑顔には、葛藤・躊躇といった感情は、一切含まれていなかった。
ルイズは、その笑顔に、慄然とした。