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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:54:56 (5645d)

(某曲のイメージで書いた中身のない話)  ぎふと

 

「だからね、どんなゲームだって最初から結果がわかっていたら
 ちっとも楽しくないでしょ?」

 燃えるような髪を指に巻きつけながら、知ったような口ぶりで言うキュルケを、
 ルイズはきっとにらみつけた。

「そりゃあ、あんたにとってはゲームかもしれないわ。でもね、私たちまで
 一緒とは思わないでちょうだい」
「ふうん、とうとう認めるわけね、恋だって。やっぱりあなたサイトのこと……」
「ち、違うわよ。あんなやつ、全然好きでも何でもないんだから!」
「あのねえルイズ。そんなこと言って、いまさら誰が信じると思うの?
 いいかげん認めちゃいなさいな。その方がいっそ楽よ?」
「うるさいわね。違うって言ったら違うの!」

 ここは食堂から外に出たところにあるテラス。
 太陽が柔らかな日差しを投げかける下で、
 女子生徒たちがゆったりと午後のお茶の時間を過ごしている。
 その一角にあるテーブルの一つを囲んで、
 ルイズとキュルケと他数名が、恋愛談義を繰り広げているのであった。
 以前には考えられない組み合わせだが、最近では割とよく見かける光景である。

「でもね、私もゲームというのは少し違うと思うのよ。ゲームって要するに
駆け引きするってことでしょ? 恋愛ってもっと純粋な感情じゃないかしら」

 考え深げにモンモランシーが自説を主張する。

「いやあね、それが惚れ薬を調合した張本人が言うセリフ?」
「ま、まあ……。あれは駆け引きではなくてその……」
「言い訳しなくたってわかるわよ。要するに、サイトもギーシュも
 子供なのよね。いい加減そろそろ腰を落ち着けたらいいと思うのに。
 その点、私のジャンなんて、大人の落ち着きがあって素晴らしいわよ?」

 うっとりと頬を染めるキュルケを、場に居る女の子たちは呆れ顔で見つめた。
 確かに大人には違いない。
 けれど正直言って、同じ土俵の上で比べて欲しくもなかった。
 しかしあのコルベール先生をおとしたキュルケの手並みについてだけは、
 素直に尊敬できた。けっして口先ばかりではない。
 そして結局のところ、駆け引きでも何でも、最後に勝利する者が笑うのだ。

「ゲームかどうかなんてどうでもいいわ。それよりどうやって、
 あの堅物のコルベール先生を捕まえたの? 詳しく聞かせなさいよ」
「んー、そうね。簡単に教えるのはちょっともったいないわね……」

 どこか焦らすような風で、キュルケは目を閉じて考える様子をみせた。
 それから悪戯っぽい目つきを輝かせると、
 じゃあ恋愛初心者のあなた達に少しだけヒントをあげるわ、と言った。

「よくお聞きなさいな。恋愛っていうのはね、その過程こそが楽しいのよ。
 例えばそうね……、恋愛劇の主人公にでもなった気分になったらどう?
 喧嘩もすれ違いも何もかもが、楽しいイベントって思えてくるわよ。
 そうやって楽しんでいれば、最後はうまいこと納まるようにできてるんだから。
 ……ね、始まって3分でハッピーエンドじゃ劇だって面白くはないでしょ?」

 そう言ってウィンクを投げかけるキュルケに、誰も言葉を返せなかった。
 こんなふうに恋を楽しむのが、上級者の極意なのだとしたら、
 自分たちは一生初心者のままかもしれない。
 そんなふうにため息をついて、それぞれにこっそりと、
 胸の内でつれない恋人達の姿を思い浮かべたのだった。

注)某アーティストの「○entury○overs」をイメージして。中身なくてすみませぬ。

 

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