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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:55:08 (5660d)
違うよ!変態と言う名の紳士だよ! せんたいさん ※このマリコルヌは本編よりはるかにアレです。ヤマグチ神のマリコルヌとは別物です※ 「ん?なんだありゃ」 ある虚無の曜日の朝。 「…気になるな」 ルイズとの待ち合わせまでもうちょっとあるな、と思い、才人はその人だかりの原因を確かめに行く事にした。 人だかりの成分の大半は、虚無の曜日でもヒマと性欲をもてあます、水精霊騎士団の間抜けな面々だった。 「なあ、何やってんの?」 声を掛けられた銀髪の少年は、副隊長の姿を確認すると軽く会釈し、そして応える。 「絶世の美女が現れたんだって!そりゃもう、アンリエッタ陛下なみの!」 興奮したようにそう言う団員。 「でもってその子、マリコルヌの許婚だっていうんだよ!」 才人もすぐさまその人ごみに加わったのは言うまでもない。 部屋の外の喧騒が煩かったが、マリコルヌはあえてその喧騒を放って置いた。 「あ、あの、お久しぶりですね。マリコルヌにいさま…」 照れたようにほ、と頬を染める彼女は。 「にいさまは、覚えてらっしゃらないかもしれませんけど…。 言いながら、潤んだ瞳でマリコルヌのまぁるい背中を見つめる。 「ああ、確かに言ったね」 マリコルヌの声は、何故か不機嫌そうだった。 「あ、あの、ご迷惑でしょうけれども! おいこら代われ、世の中くるっとる、神は死んだ、とか騒音がどんどん大きくなる。 「昔の僕だったら、その申し出を悦んで受けただろう」 言ってマリコルヌは、じっと見つめていた壁に掛けられた大きな、人間大の肖像画をびしい!と指差す。 「ああっ、僕の女神ぃぃぃぃぃぃ」 言ってマリコルヌは肖像の振り上げられた脚にすりつく。 「に、にいさま!そのような得体の知れない女など、どうでもいいではないですか!」 自分に寄ってこようとする絶世の美女に、マリコルヌはびしい!と指を突きつける。 「お前、僕を尊敬しているだろう!」 マリコルヌの侮蔑の言葉に、真っ赤な顔で興奮しながら、エリスはへたん、と床に座り込む。 「だからお前はダメなんだよ!僕は、僕はなあ!」 言ってマリコルヌは目の前で悶える変態に指を突きつける。 「踏んでなじって蔑んでくれる、逞しい女性にしか興味がないんだよっっ!」 凍る空気。 「お前にできるか!僕を蔑んで、なじって、いたぶることが!」 エリスは目をまん丸に見開きながら、固まっていた。 「で、できません…」 その言葉に、エリスの目尻に涙がたまり。 「マリコルヌにいさまの変態ーーーーっ!」 泣きながら捨て台詞を残し、マリコルヌの部屋から走り去ってしまう。 「なんだ」 ほう、と溜息をつき、脚を振り上げるシルフィードの肖像を熱い視線で見つめて。 「やればちょっとはできるじゃないか」 女神にははるか遠く及ばないが、もうちょっと上手に罵れるなら考えてやってもいいかな、などと思うマリコルヌだった。 この出来事以降、マリコルヌにもう一つの二つ名が付け加えられた。 |
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