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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:56:03 (5645d)
331 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:32:34 ID:B4kXxnpa 「せっかくの休みだってのによくやるねえ相棒」 振られているデルフリンガーが呆れたように言う。 「身体動かさないとなまるしなー」 でも前ほど回数できなくなってるのはやっぱり…。 「だから、私はこの学院の知り合いに会いに来ただけなのです!」 自分の名前が出たことが気になって、才人は門衛に話しかけた。 「ああ、サイト殿。この娘が、あなたを呼べとしつこいのです。証がなければ入る事はできないと言っているのに」 その娘は、才人の顔を見ると、嬉しそうに口元を綻ばせ、被っていたローブを脱ぎ、顔を見せた。 「アン!…り、げふげふ」 思わず『アンリエッタ陛下!』と叫びそうになるのを、才人はなんとかこらえた。 「知り合いですか?サイト殿」 しぶしぶ、門衛は彼女を中に通した。 「ちょっと、何考えてんすか!一人でこんなとこ来て!」 言ってアンリエッタは口元に指を当てて笑う。それは、普段の女王としての風格のギャップを感じさせ、分かりやすく言うと。 「あなた女王陛下でしょ!王室の仕事とかどーしたんすか!」 332 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:33:18 ID:B4kXxnpa 「油断した隙にちょっと魔法で…ね」 言って舌の先をぺろりと出す。 「ちょ、そりゃいくらなんでも」 それなりの覚悟を持って臨む、と申しましたわ、ルイズ・フランソワーズ。油断するアナタが悪いのようふふふふふふふと心の中だけで笑い、アンリエッタは才人に悲しみに満ちた顔を向けた。 「私とて人の子。神ではありません。たまには自由も欲しいのです。分かっていただけるかしら」 言って、才人の腕を取り、遠慮なくそのやわらかい肉丘を押し付ける。 「い、いやまあわからんわけでもないですけども」 一気に才人の頭の中身はアンリエッタ肯定に傾く。 「では、今日一日付き合っていただけますか?サイト殿」 「今日一日は、私を『アン』として扱ってください」 普段の喋り方では人目につくので、喋り方は街娘っぽく。 「確かに、バレてないみたいだなあ」 言って才人の横でにっこり笑う。その笑顔はいつもの儚さを含んだそれとは違い、こぼれるような明るさを宿していた。 333 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:33:52 ID:B4kXxnpa 「はい鳥あがったよー」「サラダ、ニンジンたんないよ!なにやってんの!」「スープストック、出ます!」 「っはー…」 『魅惑の妖精亭』で慣れているとはいえ、この光景は圧倒される。 「おう!我らの剣!どーした?シエスタはどーして」 やってきた才人に目を留めたマルトー親父の目が点になる。そして、才人に向かって手招きをする。 「おい。ちょっとこいサイト」 目がマジである。 「なななななな、なんだよあの綺麗な人!」 アンリエッタに目がいっていたらしい。 「『魅惑の妖精亭』で働いていたときに知り合った人で、名前はアン。今日はこの学院を見学に来たんだって」 それを聞いたマルトー親父は、才人を思いっきり突き飛ばすと、アンリエッタの前に立った。 「わわわわわわ私、ここの総料理長を勤めさせていただいております、マルトーと申します! にっこり即答。 「私にはサイトさんがいますので。サイトさんに案内して頂きますわ」 マルトー親父は完全に固まる。 「あ、そこの方、なにかお手伝いできることはありませんか?見ていたら、身体を動かしたくなってきました」 アンリエッタは、固まったマルトー親父を放置して、忙しそうに剥いたジャガイモを運ぶ青年に声をかけた。 「あ、あの、じゃあお皿を並べるのを手伝っていただけますか?」 アンリエッタは才人の手を取り、皿の満載されたワゴンを引いて食堂に出て行った。 「あの、親父さん…」 若い料理人が、棒立ちになっているマルトー親父に声をかけた。 334 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:34:38 ID:B4kXxnpa 「楽しいですわね」 皿を並べながら、アンリエッタは言う。 「はい?」 才人には、皿を並べるこの仕事のドコが楽しいのか、全く持って分からない。 「身体を動かして働くのは楽しい、そう言っているのです」 アンリエッタは言う。 「机の上で書類とにらめっこしたり、謁見室やダンスホールで愛想を振りまくより、ずっと楽しいですわ」 考えてみれば当然のことだ。アンリエッタは王女として生まれ、若くして女王となった。 「あっ」 不意に、アンリエッタの手がすべり、皿が彼女の手の中からずり落ちた。 「おっと危ない。はい、気をつけてくださいね」 才人はその皿を、アンリエッタに手渡す。 「やっぱりダメね、私」 そう言って悲しげに笑う。 「最初から上手くできる人なんていませんよ。それに、アンは一人じゃない。オレがいるじゃないですか」 才人の言葉に、アンリエッタの動きが止まる。 「ほら、なんだって協力すればうまくいくものなんです」 そう言ってアンリエッタを励ます。 「そうですわね。一緒にやれば、上手くいきますわよね」 そして、彼女は皿を並べ始めた。 335 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:35:14 ID:B4kXxnpa 「おいしい!」 シチューを飲んだアンリエッタの最初の言葉がそれだった。 「いつもお…、じゃないや、いつももっといいもの食べてるんじゃ?」 思わず『王宮』と言ってしまいそうになり、慌てて才人は言いなおす。 「いいえ。家の私財を売り払いましたから、今私にはこのような料理でもご馳走なのですよ」 言ってにっこりと笑う。 「でも確かに、晩餐会などには頻繁に呼ばれますから、豪勢な料理は目にします。…でも」 アンリエッタは、手にした木の皿の中のシチューを眺め、微笑んだ。 「このシチューは、本当に美味しい。こんな暖かい味の料理は、どこの晩餐会でも味わったことはありません」 そう言って、また一口、シチューを頬張る。 「本当に、おいしい」 学院の案内が一通り済むと、才人たちはルイズの部屋に戻ってきた。 「疲れたーっ!」 才人は、アンリエッタがいることも忘れ、主人のベッドにどう、と倒れる。 「お疲れですね、サイトさん」 言ってアンリエッタはくすくすと笑い、才人の倒れたベッドに腰掛けた。 「疲れたよホントに…」 言ってはふう、とため息をつくと、肩にアンリエッタの手が触れた。 「お疲れ様でした」 どうやら、マッサージのつもりらしい。しかしアンリエッタの上品な手つきでは、マッサージになっていない。 「あ、ありがとう」 もどかしいマッサージもどきの感触に、才人の身体は硬くなる。 「あらあら。ずいぶんと硬いんですのね」 336 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:35:55 ID:B4kXxnpa 「サイトさん」 耳元で囁かれるアンリエッタの声に、才人は思わず返事をしてしまう。 「『アン』には、今日一日で夢が出来ました」 言って、才人の背中につつつ、と指を這わせる。 「で、でもアンリエッタ様は」 そう言った才人の唇を、アンリエッタは横から回した指でつっと撫ぜ、言葉を止めさせる。 「今日一日は『アン』として扱ってくださいと、言ったはず」 その言葉はまるで魔法のように才人の言葉を封じた。 「私は『アン』ですわ、サイトさん」 言ってアンリエッタ…アンは、才人を仰向けにさせると、その上に馬乗りになり、才人の唇を奪った。 「愛しているから。貴方を。サイトさんを愛しているから」 そして、アンの指が自分のブラウスのボタンにかかり、それを外していく。 全裸になったアンは、同じように才人の服も脱がせ、裸にする。 「アン…綺麗だ」 魔法で暗示に掛けられた才人は、アンを優しく抱きしめる。 338 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:36:39 ID:B4kXxnpa 「ふぁ」 アンの唇から吐息が漏れる。 「ふ、あ、んっ…」 指を噛み、左右それぞれから送られてくる異なる刺激に、アンは必死で声を抑える。 「あ、サイトさっ…」 そして才人は両手でアンの膝を抱え、軽い抵抗を見せるアンの両膝を割り開いた。 「み、見ないで…」 言って才人はアンの秘所に口付けた。 「ひゃんっ」 羞恥と快感に、再びアンの背筋が踊る。 「ふあ、あ、サイト、さ…」 才人は十分に柔らかくなったその割れ目に指をかけると、縦に閉じられたそこをこじ開け、その入り口に舌を差し込んだ。 「やあ、あ、ずかしっ…ふぁ…」 とめどなく溢れる蜜を舐め、丹念に唾液とそれの混合物で周囲を汚していく。 「もう大丈夫?」 快楽の階段の途中で放り出され、アンの中に種火が燻っていた。 「下さい。サイトさんを、ください…」 その言葉に、才人は腰を進め、アンの秘裂に己が先端を押し当てる。 339 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:37:13 ID:B4kXxnpa 抱きしめてそう言う才人に、アンは涙目で訴えた。 「大丈夫です。貴方の好きなように動いてください。貴方の、好きなように…」 言って、いつの間にか手にしていた杖を振る。 「…っつ、ひっ、ぁぐっ…」 思わず腰を打ち付けている才人の背中に、爪を立ててしまう。鮮やかな赤い筋が、才人の背中に走る。 「ふぐ、ぁぐ、ぃ、ぃあっ…」 快楽などない、ただひたすら削り取られるだけの責め苦に、アンの心が折れそうになったとき。 「あ、アン、出すよっ!」 どくどくどくっ。 「おはようございます」 目を覚ますと全裸のアンリエッタが隣で微笑んでいた。 「あ、あの、オレ、オレっ!」 慌てて立ち上がると、被っていたシーツがめくれ、ベッドの上の惨状を露にした。 「…痛かったですわ」 拗ねたように顎に曲げた指を当て、アンリエッタは言う。 「なのにサイトさんったら、止まってくれなくて…」 言って、ぺろりと舌を出す。 340 名前:君の名は[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:37:55 ID:B4kXxnpa 突然真剣な目で、アンリエッタは尋ねる。 「今の私はただの女、『アン』です。 そして今度は、いつもの…儚げな、壊れそうな笑顔で、続ける。 「もしあなたが嫌いというなら、『アン』は死にましょう。 そして、もう一度才人に問う。 「サイトさんは、アンが、嫌いですか」 嫌いと言えれば、どれだけ楽か。 「嫌いじゃないですよ」 そう言って、アンを、抱きしめた。 「お願いがあります」 涙に濡れて、アンは、言った。 「今日という日が終わるまで…抱きしめていて。 朝靄に煙る門の前で、才人はアンを見送っていた。 「なにも、こんなに早く出なくても」 そう言う才人に、アンは応える。 「なるべく早く帰って、ルイズを開放してやりたいのです。また頬を張られてはかないませんもの」 そう言って、才人に手招きをする。 「もし、『女王アンリエッタ』が必要なくなったとき、貴方の許へ『アン』が夢を叶えにくると思います。 そして、才人の頬に軽く口付けした。 「それでは、また会う日まで。サイト殿」 そう言った彼女の顔は…壊れそうな美しさを宿した、アンリエッタ女王に戻っていた。 〜fin 341 名前:あとがえ byせんたいさん[sage ] 投稿日:2006/09/24(日) 17:40:41 ID:B4kXxnpa |
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