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Last-modified: 2010-09-03 (金) 10:56:44 (4984d)

〇月×日
才人さんが使い魔さん達の食事を担当してから、使い魔さん達が才人さんに凄いなついてます
其を見た貴族の方々が面白く無いらしく、才人さんを呼び出して因縁付けてました
知〜らない、マルトー料理長に告げ口する口は、メイド全員なんだから、そんな事したら、自分自身に全部返っちゃうよ
でも内容は気になるから、追跡追跡
「おい、使い魔」
「何だい、貴族様」
「僕の使い魔に何をした?」
「僕のもだ」
「僕のバグベアーもだ」
「あぁ、あんたがあの子の主人か」
才人さんの目が、あの鋭い眼付きはカ、カッコいい
「どういう事だ?」
「一つ聞くけど、お前さん方、使い魔に飯食わせてんのか?」
「そんなもん、勝手に食べるだろ?」
「そうだそうだ」
「今迄、野生だったんだから平気だろ?」
「じゃあ、例え話だ」
「何?」
「お前さん方が、誰かに召喚されたとする」
「「「お、おう」」」
「其処は海の上で、今迄住んでた環境と全然違った」
「「「あぁ」」」
「其処でお前さん方が、使い魔の契約を交した」
「「「それで?」」」
「其処では、住む場所はおろか食べる物も無い。そして主人はこう言います『今迄生きて来たんだから、飯食わせなくても平気だな』さて、どうなる?」
「死ぬじゃないかそんなの」
「そうだな」
「………あぁ!?」
「気付いたか」
「何が問題なんだよ?」
「まだ解らないのか?今の例え話、まんま僕達の使い魔に当てはまるんだよ」
「「あっ!?」」
「……もしかして、僕達の使い魔に食事あげてる?」
「その通りだが?」
「「「……」」」
「………ごめん」
「違う」
「え?」
「謝るのは俺じゃない。使い魔にだ」
「そ、そうだな」
「あの、教えてくれ、僕の使い魔は何を食べるんだ?」
「僕のもだ」
「僕のも教えてくれ」
才人さんは皆の使い魔がどれか聞いて、きちんと答えてました
バグベアーさんの主人は、顔を青くしてましたけど
「あの、もしかして、君がずっと血を与えていたのかい?」
「そうだが?」
あ、泣いた
二人の貴族が、その肩を叩く
「有り難う、有り難う」
泣きながら言ってる
「礼はいい、せっかく呼んだ使い魔を、大事にしてやってくれ」
「うん、解った。君の事誤解してた。何でギーシュが、つるみたがるか解ったよ」
「アイツの使い魔への溺愛振りは、見習う必要は無いと思うぞ。彼処迄いくと、只の馬鹿だ」
三人が笑う
やっぱり、才人さんは凄いです
告げ口は無しにするよう、他の皆に言わないとね
こんな人なんだから、私は好きになったんだ
大丈夫、私の選択は間違ってない
才人さんのお嫁さんになる為に
頑張るぞ、おー

〇月×日
才人さんが寄る所、其は学院内のホットスポット。違うな、才人さんがホットスポットなんだ
そんな才人さんが、また何かやりだしました
「マルトーの親父さん」
「何でぇ?我らの剣」
「人間一人程度入る、火に強い容器って何か無いですかね?」
「なんでぇ、我らの剣、まさか釜茹でで人生終える積もりか?」
「大体そんな感じです」
「ハッハッハ。ま、何するか解らんが、此ならどうだ?」
「お、ナイス。この釜なら容量的にばっちり」
「それじゃ、使って無いから持ってけ」
「有り難うございます。さて、どうやって持って行くかな?」
カリカリ
此は使い魔さんが扉の前で呼んでる音です
私が開けてあげましょう
「お、フレイムか。丁度良いや、フレイム。此を運べるか?」
才人さんの側にサラマンダーのフレイムさんが寄って来て、試しに釜を載せてみると、そのまま外に向かい歩き始めます
「ふわ〜、フレイムさん力持ち」
「済まんなフレイム」
フレイムさんは才人さんを見ると、何か済ました顔してます
「フレイムさん、ご飯貰ってるから、気にするなって所ですか?」
軽く頷いてくれました
うん、才人さんと居ると本当に楽しい
「才人さん、フレイムさんが、何処に運ぶか聞いてますよ」
「お、悪い悪い、じゃあこっちだ」
到着したのは学院の裏のスペース
此処等辺は誰も来ません
材木と天幕に使う丈夫な布地迄有る
一体、何をする積もり何でしょう?
「フレイム、この釜はここで良いや。有り難うな」
そして4角に柱を建て、天幕を上に張り、材木を組み合わせて、簀を組み立てました
そして、釜に水を入れてます
あれ?もしかして?
「才人さん、もしかして、お風呂ですか?」
「ん?そうだよ」
「お風呂だなんて、貴族みたいじゃないですか?」
「日本じゃ、毎日風呂入るのが当たり前だよ」
ドキ、ヤバい、私臭く無いよね?
変な汗が身体から流れる
「此で良し。材木はこんなもんかな?フレイム、この釜の下の材木に、火付けてくれないか?」
フレイムさんが火を吐き、材木にあっという間に火が付きます
才人さんが手を入れて、湯加減みてます
「良し、良い湯加減だ。モンモンから魔法石鹸貰ってるし、此で風呂入ろう。シエスタも入るかい?フレイム、身体洗おうか?」
フレイムさんが遠慮なく、才人さんに身体預けて来ました
う、まさかサラマンダーに積極性で負けるとは。これは、女のコとしては駄目なような
才人さんがゴシゴシ洗うと、フレイムさん本当に気持ち良さそうにしてる
トカゲに負ける私
此は落ち込みます
「此で良しっと、綺麗になったなフレイム」
確かに、フレイムさんピカピカになってる
ノシノシ歩き去りながら、私を見て軽く火を吹きました
多分、お前も頑張れって感じかな?
良し、此処は一発、女は度胸
「それじゃ、次は私もお願いしますね」
ぱっぱと脱いじゃえ
私は脱げば凄いんだぞ
才人さんの前で全裸だ、どうだ?
「おっけ、そしたら此処座って」
はい、無反応?いやまぁ、確かに座ったけど?
頭からお湯ぶっかけられた
「わっわっわっわ」
「お、ごめん。それじゃ目を瞑って」
今度は何されるの?
まさかこういうプレイ?
キャー、ドキドキ
シャリシャリ
「あれ?頭洗ってるんですか?
「そうだよ〜、今目を開けると、染みるからね〜」
う〜、手付きが慣れてる、しかも上手だ
ついつい、うっとりしてしまう
ザバー
頭から、またお湯かけられた
凄いさっぱり
「はい、次身体ねぇ」
今度こそ、あはんうふんですね?
才人さんってば、焦らし上手なんだから
ゴシゴシ
ん?
ゴシゴシ
あれ?
ゴシゴシ
まさか?
ゴシゴシ
普通に洗ってるだけ?
ゴシゴシ
いやまあ、凄い上手なんだけど?
身体の隅々まで、綺麗にされてしまった
「それじゃ、先に湯船に入ってね」
「は、はい」
えっと、凄いショックだ
私、完全に子供扱いされてる
才人さんが、そのまま自身の身体を洗ってる
才人さんの背中、男の人の背中。凄い広くて、頼り甲斐あって
気が付いたら、才人さんの背中に抱きついてました
「どしたの、シエスタ?」
声色すら変わらない
泣きたくなった
「私、魅力無いですか?」
「…凄い魅力的だよ」
「ヒック、だって、才人さん、ちっとも、そういう風に見てくれない」
「そんな事無いよ」
「グスッ、嘘つき」
「我慢してるんだよ」
「ヒック、才人さんは優しい嘘を付くから嫌い。でも大好き」
「そうかな?」
「ヒック、そうです」
「才人さん、誰にでも優し過ぎです。女のコに夢を見せ過ぎです。ずるいです。卑怯です。たらしです。ロマリア男より、ずっと凶悪です」
「…」
「……才人さんのお嫁さんに、なりたいんです。う、うあぁああああ」
もう、我慢出来ずに泣き出した。そしたら才人さん、自分に付いた泡をお湯で流して、私を抱っこしてお風呂に一緒に入って、抱きしめながら撫でてくれて
私は才人さんに抱きついたまんま、わんわん泣いた
「才人さんじゃなきゃヤダ。才人さんじゃなきゃヤダ。才人さんじゃなきゃヤダ」
恥も何もあったもんじゃない
才人さんなら全部出しても大丈夫、私は今まで築いたシエスタを、才人さん一人に落城させられた
落ち着いてから才人さんを見上げると、困った様な、寂しい様な表情
あぁ、ひいお爺ちゃんの表情だ
今の私には解らない表情だ
その時に理解した。才人さんは、本当に何かに我慢してる
私には、何かが足りないんだ
ひいお爺ちゃん
才人さんのお嫁さんへの道は、凄く険しいです
私に力を貸して下さい

〇月×日
才人さんが、夜遅く厨房を訪れる時が有ります
それは、マルトー料理長と呑む為
大人の男の人同士、しかも、どちらも達人と呼ばれる人です
やっぱり話が通じるんでしょうね
私はたまたまトイレに行った時に、才人さんが厨房に向かうのを見て、またまた追跡開始
誰ですか?コードネームはスネークじゃないですよ
「遅ぇぞ、我らの剣。先に始めてらぁ」
「すいません、ちょっと、ルイズが抱きつきながら寝てしまったので、手間取ってしまって」
「随分となつかれたみたいだな。我らの剣」
「今だけですよ」
「どういうこった?」
「今はルイズは学生です。今迄、ルイズを全面的に支える人間が、居なかったせいでしょうね」
「でも、社会に出たら、否応なく揉まれて、強くならざるを得ません。今はその準備期間です」
「……おめぇ、結構非情だな」
「そうですかね?」
「…あぁ。お前さんが以前の国で、どれだけ働いて来たか良く解らぁ。だからこそ、優しく出来るんだな」
「買い被りっすよ。親父さん」
「ま、呑め」
「頂きます」
私には、二人のやり取りが解らない
才人さんが非情?
あんなに優しいのに?
「所でよ、シエスタの事はどう思う?」
「凄く良い娘ですよ。嫁にするには、最高でしょう」
才人さんが嫁にするには最高だって
キャーキャーキャー
「なら構わんだろ?嫁にしてやれ。シエスタはマジだぞ」
マルトー料理長素敵、最高、もっと才人さんに言ってあげて!!
「残念ながら」
才人さんは酒を傾けながら、当前の如く否定する
嘘?、何で?、泣きたい、でも駄目、今泣いたらバレちゃう
「何でだ?」
「俺は使い魔で異邦人です」
「シエスタのひい爺さんも異邦人だから、それは通用しねぇぞ」
「…ルイズが一人前になったら、俺は出て行く積もりですから」
「ほう、だからしがらみは増やせねぇって訳か」
「そんな所です」
嘘、才人さんが居なくなるの?
そんなの考えた事も無かった
「当ては有んのか?」
「無いですよ」
「其でもか?」
「えぇ」
「何する積もりだ?」
「帰る路を探します。恐らく、シエスタのひい爺さんの悲願でもあります」
あっ、才人さんの表情と、ひいお爺ちゃんの表情が一致した訳が、やっと解った
何で才人さんが、ひいお爺ちゃんを全く知らないのに、ズバズバ当てるのか解らなかったけど
同じ………心境だったんだ
「……日本ってのは、其処まで良い国か?」
「向こうで、やり残した事が有るんですよ」
「やり残しって何だ?」
どきん、知りたい、其を知らないと、才人さんの隣に立てない
どんなに頑張っても、才人さんはこの手から離れてしまう
早く早く早く
カタン
私は扉に力を入れすぎた
あ、才人さんが近付いてくる
逃げなきゃ、覗きしてたのがバレちゃう
動け、足
何で動いてくれないの?
動いて、動いてよ
キィ
扉が開き、私は才人さんの前に、無防備に立っていた
しまった、もう駄目だ
嫌われた。終わった
「何処から聞いていた?」
「グスッ、最初から」
「言いたい事は?」
「ヒック、ごめんなざい」
「違うよ、シエスタの気持ちの方」
才人さんは頭を撫でてくれる
「才人さん行っちゃヤダ。才人さん行っちゃヤダ。才人さん行っちゃヤダ。うわぁあぁぁぁぁ」
才人さんは優しく抱いて撫でてくれる
そのまま、私をマルトー料理長との酒の席に私を着かせてくれた
私はそのまま才人さんに抱きつき離さない
「すいません、親父さん」
「なぁに、良いって事よ。だから言ったろ、シエスタはマジだって。出てくなら、一緒に連れてけ」
「マルドー料理長ぉ」
「良いかシエスタ、置いてかれるのが嫌なら、付いて行けば良いんだよ」
「はいぃ、ヒック」
「焚き付けないで下さいよ、親父さん」
「おりゃあ、我らの剣より、シエスタのが可愛いんでな」
「確かに」
才人さんは笑って酒を呑んでました

ひいお爺ちゃん
マルトー料理長は凄い人です
才人さんも凄い人です
私には解らない位、二人共経験を積んでます
私は結婚出来る年齢だけど、全然及ばないです
こうやって出来る人の、お嫁さんになりたいって願望は、大それてないって思って良いですよね?
私が更に頑張れる様、見守って下さい
いくぞ、おー

〇月×日
どうも、本気見せ始めた娘が居ます
私自身の迂濶さが恨めしい
才人さんにお菓子作って来たりして、アピールしてる女のコがちらほらと
才人さん気持ち良い位、遠慮なく食べるし
一生懸命作ったけど、失敗した奴でも、喜んで食べるもんなぁ
お礼言った時の笑顔は、私には必殺の一撃だけど、他のコ達にも有効みたい
皆、赤面してるもんなぁ
このままでは、とてもマズイぞ、シエスタ
お菓子じゃ、他のコ達と代わり映えしない
そうだ、身の回りの物を何とか出来ないかな?
才人さんに聞いてみました
「才人さん、身の回りの物って、何が有ります?」
「見ての通り、着たきり雀さ、ジャケットは素材の都合で洗えないし、パーカーや下着類は、乾くの早いからね、毎日じゃないけど洗濯してる」
「…何にも無いんですね」
「着のみ着のままで召喚されたからなぁ、下手すりゃ、バイクもこっち来てたわ」
バイクって何だろう?
「あの、私、裁縫得意なんです。下着とか作りますよ」
「助かるけど、良いの?」
「はい、任せて下さい。じゃあ、採寸しますね」
「一つ、お願いあるんだけど」
「何でしょう?」
「下着類は、色はともかく、形は今の形状でお願い出来るかな?」
「はい、解りました」
良し、頑張るぞ
下着を見たけど、この裁縫凄い正確だけど、何か違和感感じる
人のやった形跡が、感じられない。一体どうやってるんだろう?
疑問は後だ、一週間分位は、上下と靴下用意しないと
此は結構、大仕事だ
とりあえず、一セット先に作って、替え用に渡さないと
仕事の合間にちくちくちくちく
才人さんに渡してみた
「此は凄いなぁ。助かるよ、シエスタ。有り難う」
才人さんが凄い感謝してくれた
裁縫覚えておいて良かった
「どんな感じで縫うのか、教えてくれないかな?」
「才人さん、裁縫に興味有るんですか?」
「シエスタが、どうやって作るか興味有るね」
顔が一気に熱くなってしまった
「じゃあ、此処に作りかけ有るんで、見て下さい」
ちくちくちくちく
「ふむふむ」
ちくちくちくちく
「へぇ、そうやるのかぁ。ちょっと、やらしてくれるかな?」
「間違った所、縫わないで下さいよ」
私が笑って言うと
「気をつけるよ」
渡してみたら
「ちょっ、ちょっと、待って下さい。何でそんなに速く、正確に出来るんですか?」
「嫌、何でと言われても、俺にもさっぱり。裁縫初めてなのに」
こう、私の牙城が色々崩れていきます

ひいお爺ちゃん
才人さんのお嫁さんになるには、あの包丁捌きと裁縫の腕を、越えないといけないんですか?
余りに酷く高いハードルです
うう、くじけそうだ
頑張れ私

〇月×日
意地でも、下着類は私だけで仕上げました
妻たるモノ、旦那様の身の回りの世話は、当たり前なのです
私を見たマルトー料理長は
「……今日は、仕事しないで寝ろ」
と、帰されちゃいました
そういえば、出来た下着を渡した際、才人さんも仰天してたなぁ
ミスヴァリエールが側に居たけど、何故かぷるぷる震えてた
一体、どんな顔してたんだろう?

〇月×日
大変だ大変だ
才人さんが土くれのフーケを捕まえた際に、大怪我しちゃいました
「マルトー料理長、才人さんが大怪我しちゃいました。メイジにも治せない傷負ってたらどうしよう。命に関わる傷だったら、私、私」
膝がガクガク震えてる
顔から血の気が引いてるのが解る
「シエスタ、お前に仕事をやる。其はだな、我らの剣が、不自由無く行動出来る様になる迄、世話してこい。終わる迄、一生帰って来るな。今のお前じゃ、使い物にならん」
「で、ですが」
「二度言わせる積もりか?使い魔の世話は、若いのに任せるから、心配せずにとっとと出てけ!!」
怒鳴りつけられて、追い出されちゃいました
私、どうやら相当参ってたみたいです
メイド仲間が心配そうな顔してました
扉の前に居ても仕方ない、先ずは医務室だ
「あの、才人さんは?」
「才人って、ミスヴァリエールの使い魔かい?使い魔なら、ミスヴァリエールの部屋に運ばれたよ。ミスヴァリエールが、何故か医務室使うの嫌がってね」
「有り難うございます」
ミスヴァリエールの部屋に行くと、扉の前にミスタグラモンが立ってました
「ミスタグラモン、才人さんがこちらに運ばれたと聞いて、具合とかご存知でしょうか?」
「君は良く才人の周りに居るメイドだね?才人は、今は意識失った状態だよ。全身が動かないらしい」
「そんなに酷いんですか?」
「障害が残る様な状態にはならないみたいだから、安心して。只、治療に時間かかるかも」
「良かった」
ほうっと一息をつく
「所で、ミスタグラモンは、何故扉の前で立ってるんですか?」
「ルイズが入れてくれないのさ。才人以外の男は、入っちゃ駄目だって」
「お見舞いでもですか?」
「そうらしい」
ミスタグラモンは肩をすくめてます
「あの、私、マルトー料理長に言われて、才人さんの看病に」
マルトー料理長の名前を出されて、ミスタグラモンは引くつきます
「料理長直々じゃ、僕は何も言えないな。ルイズ、料理長からのメイドが、才人の見舞いに来てるから開けてくれ」
「入って良いわ」
「失礼します」
ガチャ
扉を開けると、ミスモンモランシとミスタバサが、二人がかりで治療魔法を詠唱し、ミスツェルプストーとミスヴァリエールが、才人さんにポーションを塗ってます
才人さん、上着脱がされて裸になってます
「詠唱の邪魔したら、あんた、吹き飛ばすからね」
ミスヴァリエールがこちらを見ずに、平然と言ってのけます
「そんな事しません」
「何の用?」
「あの、私にも、才人さんの看病をさせて下さい。お願いします」
「嫌よ。今回は絶対嫌」
「ヴァリエール」
「私達は誰一人、役に立たなかったの。サイトに全部任せて、逃げるしか無かったの。あんたに、この気持ち解る?」
「私達全員貴族よ?メイジよ?しかも、トライアングルが二人も居たのよ?サイトは只の平民よ?何これ?サイトの言う通り、私達全員屑じゃない」
「なのに、何あんた?マルトー料理長の名前出せば、何とかなると思ってるの?それで、あたしからサイトを取るの?ふざけないでよ」
「今回のではっきりした。サイトはね、ハルキゲニヤ最高の使い魔よ。始祖ブリミルでも、サイトには遠く及ばない。そんなサイトを、あたしから取り上げる奴は、誰であろうと絶対許さない」
ミスヴァリエールは、堂々と宣言しました
始祖より上と、言ってしまいました
此が貴族の本気、生半可な覚悟では、絶対に通らない
マルトー料理長の名前なんか、こんな所じゃ通じない
私の言葉で、私の本気で答えないと、ミスヴァリエールには届かない
私には、覚悟が有るの?
……ある
本気の貴族と渡りあえるの?
……渡りあってみせる
才人さんが欲しい?
……才人さん以外見えない
なら、進め。敵に不足は無い
私は、私の気持ちで進むんだ
「私が才人さんの看病をしたいんです。マルトー料理長は関係有りません」
「間に合ってるから、要らないわよ」
「授業はどうなさるんですか?」
「授業?サイトの看病のが、大事に決まってるでしょ?」
「排泄物はどうなさるんですか?」
「サイトのだったら平気よ。以前みたいになると思わないで」
手強い。だからこそ、此処は退けない
「才人さんが授業に出てないミスヴァリエールを見たら、悲しみますよ」
「…怒られても、悲しまれてもするの」
ちょっと動揺した
「サイトを利用するなんて、ずるいわよ」
「利用させて頂きます。私も本気ですから。最初に大怪我の話を聞いた時、私、立つのがやっとの状態になってました」
「才人さんの命に関わる傷だったら、どうしようって、其を考えただけで、目の前が真っ暗になって、膝が震えて」
「その時に確信しました。私は才人さんが大好きです。いいえ、愛してます。才人さんが居ない世界なんか、要りません」
「才人さんのお役に立つ為なら、私なんかどうなっても構いません」
「ミスヴァリエール。大事な人を想う気持ちは、通じると確信します。私に才人さんの看病をさせて下さい。お願いします」
私は頭を下げ、ミスヴァリエールの返事を待ちます
其処で、伝書梟が窓に止まりホウと鳴きました
今まで詠唱に集中してたミスタバサが、ぴくりとし、一旦詠唱を中断
梟に寄り、手紙を見ると、無表情で有名なミスタバサが、痛恨の表情を浮かべたそうです
「…急用」
「…貴女、私の代わり。元々、私の治癒はモンモランシーより下。無いよりまし程度」
「タバサ、行くの?」
こくりと頷いて、ミスタバサは口笛を吹き、窓から飛び下ります
其処に風竜さんが飛んで来て、ミスタバサを空中で拾い上げ、行ってしまいました
「ねぇ、ヴァリエール。タバサの気持ちを無視するなら、私が許さないわよ。アンタにも解るでしょ?私達は、トライアングルなのよ?」
「……タバサの代わりじゃ、仕方ないわね。良いわよ、一緒に看病しても」
「有り難うございます。ミスヴァリエール」
「礼なら、タバサに言いなさい」
「はい、後で必ず」

ひいお爺ちゃん
才人さんは有言実行の人です
もう、貴族も平民も関係無く、才人さんに惹かれてしまってます
才人さんは起きた時には、きっと笑って、こう言います
仕事だから、大した事はしてないよって
本気の貴族の覚悟は、本当に凄い、本当に恐い
でも、私は其を承知で進むんだ
才人さんのお嫁さんへの道は、本当に険しい、本当に厳しい
でも、凄い充実してます
頑張るぞ、おー

*  *  *


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Last-modified: 2010-09-03 (金) 10:56:44 (4984d)

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