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Last-modified: 2010-10-29 (金) 09:28:47 (4928d)

「此処が、タルブの村の上空です」
「へ〜でかい草原が広がってるな」
「着陸位置」
「はい、彼処が村の入り口です。彼処にお願いしますね」
「解った」
タバサがシルフィードを降下させ、着陸すると、村人達が驚く
「あの、どちらの貴族様で?」
「皆〜ただいま〜」
「あれま、シエスタかい?」

シエスタの予定より2週間も早い帰宅に皆が驚き、貴族を連れて来た為、村長迄挨拶におっかなびっくりで来る事になり、宴が催される事になった
更に才人達がオークやコボルト、更にヒュドラ迄仕留めて来た話をシエスタが自慢気に話し、村人達は歓声を上げ、その中心人物が剣士の青年と言う事に、更に驚く
「此ぞ、貴族の鑑ですな。本当に有難い事ですじゃ」
「才人さんは平民ですよ」
「えぇ〜〜〜!?」
「姉さん、本当?」
「本当よ、ジュリアン。きちんと証拠も有るのよ?見る?」
「何か悪いな、シエスタ」
「良いんですよ。地方領主や軍がやらない事を、才人さん達がやって来たんです。私達平民にとって、安全に暮らせる様にしてくれた事に、感謝してるんですよ」
「まぁ、そういう事なら」
「正に、イーヴァルディみたいなお方じゃ」
「そんな事無いですよ。皆の力があってこその成果です。特にシエスタには助けられましたし、なぁ皆」
才人が話を振り、皆頷く
「シエスタのお陰で出来ましたのよ。素晴らしい娘でしたわ。皆を代表し、キュルケ=アウグスタ=フレデリカ=フォン=ツェルプストーが、シエスタを育んだ、タルブの村に感謝を」
キュルケが皆を代表し、村長に貴族の礼で応える
村長は感極まり、ひっくり返ってしまった
艶然と微笑んだキュルケの美貌で完璧な礼を魅せられ、許容量を越えてしまったのだろう
「こういう時のキュルケは反則だな」
才人は苦笑する
「良いことでしょ?」
「いや、全く」
「其で此方にはどういった御用で?」
「あぁ、竜の羽衣ってのを見に来まして」
「其でしたら、シエスタに案内させます。所有者は、シエスタの家族でしてな」
「其でシエスタは詳しかったのか」
「はい。じゃあ、これ終わったら案内しますね。此、タルブの名物ワインです。皆さん味わって下さい」
シエスタが、かいがいしく給仕をし、皆は貴族として振る舞った
才人は一人、置いてきぼりである
「俺は平民だからな」
「才人さんは座ってないと駄目です!!」
皆が頷く為、才人は席に残った

*  *  *
才人は、竜の羽衣が安置されてる前の鳥居に立ち尽くす
「此は、鳥居?」
「才人さん?」
「この先には、御神体を奉ってるのか?あぁ、行こう」
小屋は日本の建築様式で建てられ、両開きの小屋の扉を開ける
中から出て来たのを見た時、才人は思わず2礼2拍手1礼をしてしまった
「あ、あの。今のは何です?」
「俺の国の宗教の礼作法だ。此は確かに、御神体として奉る」
才人はそのまま竜の羽衣に手を触れ、ルーンが輝き、此が飛ぶ事を教えてくれる
「才人さん?竜の羽衣って大した事無いですよね?ひいお爺ちゃんが此に乗って、飛んで来たって、皆に嘘吐き呼ばわりされてたんですよ?」
「何処から飛んで来たんだ?」
「東からだって」
「…そうか、東か…」
「あの、才人さん?さっきから変ですよ?」
「シエスタ、此は飛ぶよ、竜より高く、竜より速く」
「本当ですか?」
「あぁ、此の名称は竜の羽衣なんかじゃない。零式艦上戦闘機五二型。通称零戦、又はゼロ戦。金属で出来た竜、飛行機だ」
「此が飛行機?」
才人はコックピットに風防を開け乗り込む
「ちっ、俺にはちっと狭いか。だが、飛ぶ。まさか子供の時にプラモ作ってたのが、今活きるとはな。爆装と増槽は無いが、弾は…満載。7.7mm機銃と20mm機関砲はオッケーと」
「才人、どうしたんだい?」
「あぁ、ちょっと待ってくれ、今点検中だ。確か席の下にパラシュートが、ん?此は?」
紙が一枚ぱらりと落ち、才人が拾い上げると、こう書いてある

目標 岩本徹三
   西澤広義
   坂井三郎
   100機撃墜

現在撃墜数 15機
ラバウル以来、大シテ撃墜出来テナイ
今ハ硫黄島、ヘルキャットハ此方ヨリ優勢
此処マデカ

「……エースかよ」
「あの、才人さん?」
「ひい爺さんが残した物って、他に無いかな?」
「あ、はい」
他の皆は、ポカンと才人を見送った
「これ、飛ぶって言ってたよね?」
「こんなので、どうやって?」

「才人さん。この墓の文字を読めた者に、竜の羽衣を譲るって、ひいお爺ちゃんの遺言です」
「大日本帝国海軍少尉佐々木武雄 異界ニ眠ル」
「読めるんですか?才人さん」
「あぁ、日本人だからな。他には?」
「あの、遺言がもう一つあって」
「何?」
「竜の羽衣を、陛下にお返しして欲しいって。どの陛下なんですかね?」
才人は墓に向かい、敬礼する
「俺は、軍人じゃないけど、少尉の気持ち受け取った。佐々木少尉、探すさ、必ず。俺は、あんたと同じ日本人だ」
「……才人さん」
「俺なりの、ひい爺さんへの手向けだよ。他には?」
「はい、家に来て下さい」
シエスタに連れられ家に入ると、シエスタの弟妹達が、才人を眩しそうに見る
「あ、ごめん。お邪魔するね」
「あの、ひいお爺ちゃんの墓碑、読めたんですか?」
「ああ」
「竜の羽衣って、飛ぶんですか?」
「勿論」
「僕たちのひいお爺ちゃん、嘘つきなんかじゃないですよね?」
「勿論だ。俺が飛べる様にしてやる」
「本当ですか?」
「ああ」
「あの、僕、ジュリアンって言うんです。シエスタ姉さんの弟です!!」
くしゃりと頭を撫で、才人は答える
「俺に任せとけ。オジサンはな、不可能を可能にする男だ」
「はいっ!!」
完全に憧れの目を向けられ、才人は敢えて強気に答える
「才人さん、自分でオジサンはどうかと思います。ずっと若いじゃないですか?」
「いやいや、別に構わないだろ?」
「はい、此です。ひいお爺ちゃんは、大した物遺さない人でしたので」
渡されたのはゴーグルと飛行帽
『此だけは、残したかったか』
才人は、亡き佐々木少尉に思いを馳せる
一番幼い妹が才人のジーンズをくいくい摘むと、才人は満面の笑みで答え、しゃがむ
「どうしたかな?」
才人が言うと、はにかみながら、少女は言う
「お兄ちゃんは、シエスタお姉ちゃんのお婿さん?」
「えっと、どう答えっかな」
「そうよ」
「本当?シエスタお姉ちゃん」
「えぇ。だからね、才人さんの事は、才人お兄ちゃんって呼んでね」
「うん!!サイトお兄ちゃん」
「はははは」
才人は笑いながら受け流した
「お父さんお母さん、シエスタお姉ちゃんが、お婿さん連れて来たよ〜」
ガクリと崩れる才人
「まさか、家族使って外堀埋めて来るとは」
「相棒、本当におもれえわ」
シエスタはにんまりと、してやったりの笑顔で応じた

*  *  *
「この草原を、才人さんに見せたかったんですよ」
シエスタはメイド服を脱ぎ、私服になっている
「あぁ、綺麗な草原だね。気に入ったよ(此なら、着陸し易いだろうな)」
「才人さん。お婿さんの話は、私、本気ですよ?父と母にも、そう話しちゃいました」
「えっと」
「其でですね。今日は私達二人だけで、離れに泊まりなさいって、言ってくれたんです」
「あ〜」
「その前にですね。父と母が是非とも夕食にと、良いですよね?」
「…はい」
どんどん八方塞がりになっていく感覚を、才人は味わう
「其とですね。学院から手紙が届きました。一応依頼代行とは言え、休み過ぎだって。戦果の報告返しましたけどね。多分驚いてますよ?其で、私は殿下の結婚式の休みを、このまま取って構わないって」
「そっか」
「才人さん、帰る所はタルブにしませんか?才人さんがひいお爺ちゃんと一緒の国の人だって言ったら、父も母も驚いて。だから、ひいお爺ちゃんと、似た感じがしたのねって言ってくれて」
「凄く喜んでくれて。そんな人が、ヒュドラすら倒せる人だって言ったら、驚いてくれて。私、凄く自慢で…」
「…ひいお爺ちゃんの、お墓の才人さん見たら…やだよ。才人さんが居なくなるの、私やだよぅ」
才人の胸に抱きつき泣き始めるシエスタ
才人はそんなシエスタを優しく抱きとめ、頭を撫で続けた

*  *  *
「貴方が才人さんですね?」
才人をシエスタの父がギロリと睨む
娘を嫁にくれてやるのは、俺を殴り飛ばせる奴だけだと、はっきり顔に書いている
「では、先ずは乾杯の前に、ちょっと運動しませんかね?」
肩をぽんと叩かれ、才人は肩を落とす
「…はい」
隣の部屋は既に片付けられ、乱闘出来る様になっている
子供達も興味津々で覗き、母親は呆れながら見物している
「あんた、ヒュドラを倒す勇者に、どうやって勝つ積もり?」
「うるせぇ、こりゃ父親としての意地だ。俺の娘をやる奴はなぁ、俺より強い奴だけだ!!」
「シエスタ、愛されてるなぁ」
才人は本気で感心する
「喰らえ!!」
大きく振りかぶった拳を敢えて才人は受け、吹っ飛ばされる
「あたた、中々痛ぇ」
「てめぇ、わざと受けやがったな?」
「殴られる必要を感じたもので」
「そういう所が爺さんそっくりでムカつく。本気出せ、こらぁ!!」
「えっと」
母親の方を見ると、やっちゃえとサインを送ってくる
「まあ、そういう事なら」
アニエスに鍛えられ、生死の境を見、更に冒険での実戦を重ねた才人の動きは、素人には対応出来る隙を与えない
一気に間合いを詰め、腹に一発放ち、一撃で沈める
ガッ
「ごふっ」
「すいません、親父さん」
「…ふぅ、へへへ、良いって事よ。娘やる奴ぁ、これ位出来ないとな。わっはっはっはっは」
父親は笑いだし、才人の肩をばんばん叩く
「お前ら、喜べ、新しい兄さんだ」
「「「「はい、サイトお兄ちゃん!!」」」」
「……何か、色々やっちまった感じがする」
「こいつはおもれぇ。本気でおもれぇ」
「それじゃお前達、新しい家族に乾杯!!」
「「「「かんぱ〜い!!」」」」
「…シエスタの家族のペースに、完全に巻き込まれてるな」
「まあ呑め」
「…頂きます」
「いやぁ、娘やる時の父親の役を、一度やりたかったんだよ。悪りぃな」
「い、いえ」
「流石、ヒュドラを倒す勇者だな。ちっとも見えなかったわ」
「有難うございます」
「学院でのシエスタはどうだね?」
「凄く良く働いてますよ。本当に良い娘です」
「そりゃそうだ。俺達の娘だぜ。なぁ、お前」
「そうですね、あなた」
二人とも笑みを浮かべる
シエスタは才人の隣で家族に囲まれ、非常に安らいでいる
今、シエスタの理想が、この場に全て有るのが才人にも解る
どうしたもんかと、溜め息をつく才人
「浮かない顔をしてんな」
「いえ」
慌てて笑顔を作る
「その調子だと、結婚考えてる訳じゃなさそうだな」
「えっと」
「俺達はもう決めたぞ?なあ、お前」
「はい、あなた」
「シエスタをお前にやる。シエスタは自身の望みで、お前の傍に居たがってる。カタチは問わない。シエスタを幸せにしてやってくれ」
「ですが」
「下手な貴族の妾になるよりずっと良いわ。少なくとも、爺さん似のあんたは、絶対に大事にするって断言出来るわ」
「そんなに似てますか?」
「顔だちって訳じゃないんだがな。そう、雰囲気だ。大事なモノの為に、自身の身を危険に晒す事をいとわない。お前さんは、そういう爺さんと全く同じ空気を纏っている」
「爺さんは、何かあると必ず先頭切って、皆を守る為に働いたもんだ。爺さんの事、人一倍好きだったシエスタが、お前さんに惚れるのは、ま、必然だな」
「あなたもそうですよ」
「あらま、のろけられちゃいました」
才人は笑うと、父が照れ隠しに酒を煽る
「だからな、シエスタの事、大事にしてやってくれ。あいつはな、ああ見えて男の審美眼厳しいぞ。村でも一番人気だってのに、全部袖にした位だしな」
「はぁ」
「今夜はシエスタと、一夜を過して欲しい。アイツな、泣いてたんだよ」
「え?」
「このままじゃ、才人さんどっか行っちゃう。私、まだ才人さんに心開いて貰ってない。私、才人さんじゃなきゃいやってな」
「俺ぁな。娘を泣かせる奴は、絶対に許さないと決めてんだ。俺に殺されたくなければ、言う通りにしろ」
「…はい」
「お父さん、何話してるの?」
「男同士の話だよ、な」
「そうだよ、シエスタ」
「ふうん」
「其でよ。あの竜の羽衣が飛ぶってのは本当かい?俺も其だけは、信じられなくてなぁ」
「えぇ、飛びますよ。今は、足りない物が有るから、飛べないだけです。其さえ用意出来れば、何とかなります」
「ほう、そうなのか。そりゃ一体何かね?」
「少し特殊な油って所ですね」
「当ては有るんかい?」
「えぇ、魔法学院に少し」
「成程ねぇ。爺さんの固定化の費用分位は、飛べばお釣り来るだろうなぁ」
「えぇ、そう思います。あれはもう一度、空に帰さないといけません」
「空に帰す?」
「えぇ、『帰す』です。あれは、俺とひい爺さんの国の空を、守ってた翼です。まさか完動品に会えるとは、思いませんでしたよ」
「そんなに凄いのか?」
「えぇ、正にゼロの使い魔にふさわしい、ね」
才人は酒を傾けた

*  *  *
「才人、戻って来ないわね」
「僕が聞いたら、今日は、シエスタの家族の所に泊まって貰うって、村長が」
「ちっ、まさか貴族と平民が、こんな所で障害になるなんてね。ダーリン居ないと、何かつまんないわね」
「冒険中は、関係無かったもんなぁ」
ギーシュは溜め息をつく
「私達、良くも悪くも、才人に染まってしまったわね」
「シエスタの家族に、才人が付き合うのって、ねぇ」
「…才人って、子供好きだって言ってたし。直ぐに、打ち解けるんじゃないかしら?」
「そしたら、才人お兄ちゃんか……マズイな」
「マズイわね」
「タバサ、何処行くの?」
「シエスタの家」
「今日は我慢しなさい。シエスタの家族水入らずを、邪魔しちゃ駄目よ」
キュルケに言われ、すとんと腰を降ろし、本を開き読む
その本は、上下逆だった

*  *  *
「才人お兄ちゃ〜〜ん。もっとあそんで〜〜〜!!」
「はいはい、どんな遊びが良いかな?」
「んとね〜んとね〜。イーヴァルディごっこ」
「お、ちっちゃいイーヴァルディだな。ウワッハッハッハッハ。ワレコソハ、リュウオウ。ドウダ?ワレニシタガエバ、セカイノ、ハンブンヲ、オマエニヤロウ」
「え〜い。おまえなんかにやられるかぁ!!くらえ〜!!」
ぽかぽか
「グァァァァ」
「ちょっとよわいぞ!りゅうおう」
「ト、ミセカケテェ」
こちょこちょこちょこちょ
「きゃはははははは!?やめてぇ〜〜!?」

「…子供あしらいうめぇな。相棒」
「才人さん、良いお父さんになりますね」
すっかり、子供達の人気者になっている才人
「シエスタ、本当に良い男だな」
「でしょ?お父さん」
シエスタの両親は、ご満悦である
「ユニコーンさんユニコーンさん、キャハハハハハ」
「ぶるる、ひひ〜ん」
才人が子供達を乗せて、四つん這いで部屋を疾走してる
「…相棒、子守が天職か?」
「否定はしない。デルフ相手にすんのと変わらんわ」
才人が疲れて座ると、子供達がめいめいに才人の上に乗っかったり、登ったりしている
「幾らなんでも酷くねぇか?」
「本質は同じって事さ」
「はぁ?訳解らんぞ?相棒」
「修業が足りんな、デルフ」
「俺っちは、剣だもんよ」
「才人兄さん。あの、ヒュドラ退治の話、聞かせてくれませんか?」
ジュリアンが話しかけてくる
「だめ〜。才人お兄ちゃんは、あたしたちとあそぶのぉ!!」
年少組が反発する
「ん〜、そうだな。つい昨日出来た、イーヴァディの勇者のおとぎ話をするかい?」
「ほんとう?ききた〜い」
「それじゃいくぞ〜。イーヴァルディは仲間達と…」

子供達を相手に才人のヒュドラ退治の話が始まった。才人の話をデルフが要所要所で混ぜっ返し、シエスタの家族は多いに楽しんだ

遊び疲れて寝た子供達を、才人はベッドの寝室にシエスタの親達と一緒に運ぶ
「才人さん、有難うございます。子供達もすっかり喜んでしまって」
「いえ、良いんですよ。子供は好きなんで」
「すっかり皆、才人お兄ちゃん才人お兄ちゃんって、なついてしまって。大変だったでしょう?」
「女のコの気まぐれの方が大変です」
「まぁ」
母はコロコロと笑う
「只、シエスタがちょっと不機嫌だったかしら?」
「え?ずっと笑ってましたが?」
「私は、此でもあの娘の母親です。きっと、才人さんが構ってくれなかったせいですわね」
「全然気付きませんでした。母は凄いですね」
「えぇ。ですから、この後は、たっぷり可愛がって下さいね。此処からが、本番ですよ?」
「ええっと」
「私達は、完全に納得してますよ。シエスタは、本当に良い人を見付けたものね。早く、初孫見せて下さいな」
「はぁ」
才人は曖昧な笑顔で応じた

*  *  *
才人とシエスタは、ランプを手に、離れに向かう
才人がランプを持ち、シエスタは才人の腕に腕を絡め、身体を預け、満足そうにしている
離れは、シエスタが家に帰って来た後、家族で一気に掃除し、空いてるベッドを近所に借りて来て、急いで用意したものである
亜人魔獣退治の勇者であり、シエスタの想い人である才人への、シエスタの想いを真摯に受け止めた両親の後押しにより、すっかり才人はハメられた
才人達が離れに入ると、ランプの炎を部屋のランプにも分け、部屋全体がランプにより、適度な明るさになる

デルフと村雨をベッド脇に立掛け、ジャケットをハンガーに掛け、ベッドに座る才人
シエスタは隣に座り、緊張している
「才人さん、嬉しいです」
「シエスタの家族は、良い家族だね」
「弟妹達は、すっかり才人お兄ちゃんを気に入ってしまいましたよ?ジュリアンなんて、才人兄さんみたいになりたいって、すっかり憧れてしまって」
「子供は良いねぇ」
「才人さん。子供、居るんですか?」
「いや、ちょっと子守りする機会が、学生時代からあってね」
「ちょっと、安心しました。なら、大丈夫ですよね?才人さんに、子供居たらどうしようかと、ずっと思ってました。凄い上手なんですもの」
「シエスタの母さんが言ってたぞ?シエスタが、子供達の相手してる間、不機嫌だったって」
「ぶ〜。お母さんには、敵わないなぁ。今からは、私をたっぷり可愛がって下さいね?」
此処までお膳立てされたら、才人としてはやるしかない。じゃないと、翌日に才人は父により、もの言わぬ身体になるだろう
才人からシエスタを抱き寄せ、唇を合わせ、舌を絡める
ちゅっ、ぬる、ぴちゃ
舌を絡める度に、シエスタは身体を預けつつ、両手で抱きつき度合いを増し、才人はシエスタの身体をまさぐる
胸を撫で、太ももを撫で、股間を優しく撫でる
その度にシエスタはピクピクと身体を反応させ、唇を離すと唾液が繋り、とろんとした眼で才人を見る
才人は自分の服を脱ぎ、シエスタの服も脱がせ、シエスタは、なすがままの状態になっている
初めて見た時より、シエスタは綺麗になっている
しっとりとしたきめ細かい肌、以前はあった産毛が今は無い
其だけ、見えない部分で努力してる姿が才人には解る
シエスタのライバルは貴族なのだ。貴族に負けない肌の手入れを行っている姿を想像し、才人はくすりと笑みを浮かべる
「どうしたんですか?才人さん」
「いんや、シエスタがね、凄く努力して綺麗になってるなって、思ってさ。ちょっと嬉しいかな?」
「凄く頑張りました。褒めて下さい」
「はなまるです。大変良く出来ました」
才人はシエスタにキスし、乳首に舌を這わせつつ、手を花弁ともう片方の乳房を愛撫する
「はっ、あっ、さい、と、さん、すきぃ、だい、すきぃ」
才人はそのままシエスタをひっくり返し、膝だけ立たせ、尻を突き出させる
「きゃっ、何?」
ピチュ
「あは、や、こんな格好、恥ずか、し、いっ」
才人がシエスタの花弁を丹念に舐めると、語尾がうわずり、尻が跳ねる
才人はそのまま突起を舐め、指を挿入し、中をほぐす
「あ、指、ゆびが入ってくるの、才人さん、なんか、足りないの、やぁ!?」
びくびくしながら、シエスタは才人に懇願すると、才人が自身をシエスタにあてがい、ゆっくりと挿入をする
「あ、入ってくる、才人さん、入ってくる。いた、痛い痛い痛い!!」
「あ、シエスタごめん。抜くよ」
「駄目、才人さん抜いちゃ駄目。やっとなの!!やっとだから絶対に駄目!!私が痛がっても止めちゃっ、駄目!!」
「解ったよ、シエスタ。ゆっくりと続けるからな。我慢しなよ」
「はい〜」
シエスタは涙を流しながら頷き、才人はそのまま挿入を続け、シエスタに根元迄埋める
「全部入ったよ、シエスタ。ほら、奥に当たってる」
「才人、さん。暫く、そのままで」
「あぁ」
才人は腰を掴んだ状態から、身体を覆い被せ、シエスタの胸を揉みつつ、クリを攻める
「やぁ、痛いのと気持ち良いのが、一緒に来るのぉ!!こんなのおかしいの〜!!」
シエスタの膣が初めて受け入れた男をやわやわ締め、子宮が蠕動し子宮口が才人を吸引する
「シエスタ、動いてないのに、そんなに吸い付いたら。キツイって」
「やぁ、痛いけど気持ち良いの〜。才人さん才人さん才人さん、なんかおかしくなるの〜」
「駄目だ、シエスタ。もう我慢出来ない。動くぞ」
「はい〜」
才人はゆっくりと腰を動かし、腰をグラインドさせる
「あ、ひい、才人さん、駄目、痛いけど、気持ち良いの」
今度は腰をゆっくりとピストンさせる
「や、痛い、これなら奥にいて欲しいです」
「ん、解った」
深く挿入したまま、腰をぐりぐりゆっくり動かすと、シエスタの呼吸が荒くなる
「や、もう駄目。来るの、来ちゃうの。痛いのに来ちゃうの」
「シエスタ、もう駄目、出る」
「あはぁぁ」
才人はシエスタの腰をがっしり掴み、最奥でたっぷり射精する
トクントクントクン
二人の鼓動がシンクロし、射精のタイミングが、そのまま吸引のタイミングになる
二人共放心し、暫くそのままの姿勢で固まる
其から、ゆっくりと繋がったまま、才人がシエスタの身体を回転させ、正常位にし、前から抱き締める
「ごめんな、シエスタ。痛かったろ?」
「へ、平気です。ばっちこいです。それに、気持ち良かったですよ?」
シエスタは腰をゆっくり動かし始め、才人の刀が収まらない様に、ゆっくり動く
「もう、強くなければ大丈夫です。沢山愛して下さいね」
「ああ、痛かったら言えよ」
「はい」
そのままキスをし、手足を絡め、お互いにゆっくりと動き出す
部屋に満ちる音は、互いの唇をまさぐる音、結合部から時折漏れる音、そして、才人が射精する度に、矯声を上げるシエスタの声
軟体動物の様に二人はずっと絡み付き、そのまま、まどろみに任せて寝る迄、お互いを貪りあった

*  *  *
にゅぷ、にゅる
才人が快楽で目を覚ます
昨日は挿入したまま寝てしまった
寝る前に身体を入れ替え、女性上位になっている
「おはようございます、才人さん」
見ると、シエスタが腰を動かしている
「おはよ、シエスタ」
「朝方に才人さんが凄く硬くなって、目が覚めちゃいました」
「それ、朝立ち。生理現象ね」
「どっちでも良いです。才人さんが大きくなったら、私の中に全部入れるんです」
シエスタはゆっくりした腰の動きを止めない
「あ、また来る」
「シエスタ。うく」
ドクンドクン
昨日から、射精の時の鼓動が、シンクロしてしまっている
シエスタは痙攣しつつ、うっとりと身体を才人に被せ、才人はシエスタの尻を掴み、しっかりと最奥に当てる様に離さない
「ふぅふぅふぅ。朝にするのも良いですね、才人さん」
「すっかり、スキモノになっちゃって」
「才人さんがこうしたんです。才人さんが中にいると、凄く満たされるんです」
シエスタの中は、やんわりと才人を包み込み、柔々と才人を引き込み、吸い付く
才人はその吸い付きに刺激され、何時まで経っても、萎えさせて貰えない
『ハルケギニアの女は名器揃いだな。此は参った』
才人がシエスタを繋ったまま、身体を回転させる
「あん」
「シエスタ、初めての時の体勢で」
「あの格好、恥ずかしいです」
「だから、お願い」
「はい」
シエスタはそのまま才人の足元に身体を伏せ、才人が腰を持ち上げると、抜けない様に合わせ、尻だけ持ち上げる
才人はそのままシエスタに覆い被さり、きっちり奥に当てたまま、腰をゆっくり動かす
「どうだ?痛いか?」
「あは、気持ち、良いです。大丈夫、そのままで」
「行くよ」
「はい。あっあっあっあっ」
才人の腰の律動に合わせ、シエスタの口からあえぎが漏れる
「駄目。もう来るの。来ちゃうの、あああぁぁぁ!?」
「出る」
先にシエスタが絶頂し、ビクビクしてる中に才人が精液を注ぎ込む
ビクンビクンと射精とシエスタの吸引が合わさり、二人にこの行為が、互いに大事な相手だと、心の底迄刻み込む
その悦楽にシエスタはすっかり虜になり、動く気を無くす
「才人さん、このままお休み中、ずっと居ましょうよ。私、才人さんと、ずっとこうして居たいです」
「やる事が有るからな」
「竜の羽衣ですか?」
「あぁ。約束したからな」
「絶対に、私置いて行っちゃ駄目ですよ?約束してくれないなら、お父さんにお願いして、このままずっと此処に幽閉しちゃいます」
「約束するよ」
「はい。なら許してあげます」
シエスタからは動かない為、才人が動き、ちゅぽんと抜く
シエスタは才人が抜けると振り返り、そのまま才人の刀を口に含み、丹念に情事の後を舐めとる
「シエスタ、こんなの何処で覚えて来るんだ?」
「マダムバタフライです」
「シエスタも読んでたのか」
「はいっ」
何時まで経っても、くわえて離そうとしない為、才人がシエスタの頭を軽く掴んで引き離す
にゅぽん
「あん」
「また、したくなっちゃうから駄目」
「別に良いですよ」
「そろそろ朝食だろ?」
「は〜い」
お互いの身体を水に浸した手拭いで拭き、着替えた才人とシエスタは、母屋に向かって歩き出した

*  *  *
「おはよう才人、それにシエスタ。やっと来たか。もう竜騎士と網の用意出来てるよ」
「おはようギーシュ、キュルケ、タバサ、モンモン。悪いな、朝飯迄、シエスタの家族にご馳走になってたんだよ」
「おはようございます、皆さん」
シエスタの声に、シエスタに視線を合わせた皆が驚く
其処に居たシエスタは、キュルケもかくやと言える艶を放っている。男女問わず、振り向かずにはいられないだろう
黒髪は何時にも増して輝き、只でさえ貴族も凌ぐきめ細かい肌からは、匂い立つ色気が香り、質素な服に収まらない色気を、全身から発している
その表情は非常に柔らかで、才人に向ける微笑は、正に連れだったそれ
一晩での変貌で、何があったか、一発で解る状態である
「シエスタ、ちょっと、こっち来なさい」
モンモランシーが、がしりとシエスタを掴み、木陰に誘導する
「あぁ、まぁしょうがないから敢えて聞かないけど、一つ確認ね。避妊してる?」
「避妊って、何ですか?」
「知らないの?」
「はい」
「才人の種を、赤ちゃん出来ない様にする薬よ」
「そんなの嫌です」
「ふぅ、あんたの顔見れば解るわよ。でもね、才人はまだハルケギニアに地歩を固めてないの。才人の重荷になる積もり?」
「そんな事有りません。私の家族は、全員才人さんを歓迎しました。才人さんは、才人お兄ちゃんです」
「やっぱりそうなったのね。でもね、ヒラガ伯爵夫人に、なってみたくない?」
「ヒラガ伯爵夫人?」
「才人がね、貴女を見捨てると思う?」
「思えません」
「シュヴァリエアニエスは、知ってるでしょ?」
「はい、平民から剣のみで栄達した、私達平民代表の貴族で……あ!?」
「才人なら、なれるのよ?」
「…私が、貴族の夫人に?」
「貴女は平民だから、正式には愛妾扱いだろうけど、其でも才人は、区別したりしないわよ。どう、ヤル気出ない?」
「なんか、凄くヤル気出ました」
「じゃあね、今はまだ、子供は我慢しなさい。其が才人の為よ。解った?」
「交換条件です」
「何?」
「貴族の皆様の、お肌のお手入れ方法教えて下さい。皆スベスベで、羨ましいです」
「そっか、貴女は全部お手入れしてるのね。解ったわ、私がしてあげる。其で良い?」
「はい」
「じゃ、そのまま立ってて」
モンモランシーが詠唱し完成すると、シエスタに杖を向ける
シエスタは首から下の全身がむず痒い様な感覚に襲われ、三角地帯の毛が、はらりと抜けるのを感じる
「えっえっ、嘘?何これ?」
「水魔法処理よ。身体中の体毛、全部処理したわ。此で貴女も苦労しないで、スベスベ肌ね」
「び、びっくりです。メイジって、羨ましいなぁ」
「あら、今の貴女の方が、私達には羨ましいわよ。はいこれ」
モンモランシーは腰のポーチから、薬を出し渡す
「何ですか?」
「避妊薬よ。永久に効く訳じゃないから安心して。大体一週間位」
「はい、それなら」
シエスタは蓋を開け、中味を飲む
「えぇ。今回は良いけど、次からは材料代位は払ってね。一応才人から経費貰ってるけど、回復薬に突っ込む量が多いから、大変なのよ」
「解りました。才人さんの稽古、もの凄いですものね」
「ったく、あの馬鹿。次は絶対に、相手してもらうんだから。きちんと愛されると、こんなになるんなら、我慢する必要無いじゃない」
「あの、ミスモンモランシ?」
「あんたに、私を止める権利は無いわよ?そんなに、幸せそうにしちゃって。全く」
ブツブツ言ってるモンモランシーに、シエスタは冷や汗を垂らす

モンモランシーとシエスタが戻ると、才人がKOされている
「…何人がかり?」
「全員」
タバサが冷たい声で言う
「で、シエスタ。ダーリンってどうだった?」
「えっと、凄く優しくて、気持ち良くて、恥ずかしいのすら良くって。って、私、何言ってるんだろ?」
頬に手を当て、ぶんぶん首を振るシエスタ
「…本当に本気になろうかしら?」
「キュルケに本気になられると困るわね」
「ヴァリエールの寝取られ記録が更新だね」
「別に寝取りたくて、寝取ってる訳じゃないのよ。只、ヴァリエールが連れてるのが、毎回良い男や良い女だったから、ついついアプローチ掛けて、モノにしちゃったのよ。ご先祖様の記録に、そう残ってたわ」
「大貴族ヴァリエールも、ツェルプストーにかかると形無しだなぁ」
ギーシュが宣い、モンモランシーが才人を気付けし、才人がむくりと起きる
「皆、酷ぇよ」
「9倍と16倍、どちらが良いかしら?」
「…さっきの9倍で結構です」
「宜しい」
「さてと、才人、竜騎士達の報酬はどうする?父上のコネ使った依頼だから、仕事代払わないと駄目だよ?」
「じゃあ、竜騎士集めてくれ」
「解ったよ」
ギーシュが竜騎士達を呼びに行く
「お呼びですか?坊っちゃん」
才人が前に出て話す
「今回集まって貰って申し訳ない。此を、トリステイン魔法学院迄運搬お願いします」
「了解だ。パワーの有る火竜を連れて来てるから大丈夫だ」
「其で報酬の話なんですけど。ギーシュ、討伐証明」
「解った」
ギーシュとタバサがレビテーションで討伐証明を持って来る
「ほう、オークにコボルト…此はシャーマン2体、其にヒュドラだと!?」
「おい、この大きさと顔付き、炎ヒュドラとは違う意味で厄介な、毒ヒュドラじゃないか。しかも、今迄で見た事ない大きさだ。この大きさだと、下手な竜より厄介だぞ?」
竜騎士達がざわめく
「一応王政府の依頼代行と言う形で討伐しており、銃士隊隊長シュヴァリエアニエスからのお墨付きも貰って有ります。代金は、此を換金出来る迄用意するのは難しいですが、お支払いはきちんと出来ますので、安心して下さい」
最後にトリステイン王政府発行の武装許可証を見せる。アンリエッタのサイン入り、武人なら、此が近衛待遇を示す事を、瞬時に理解する
王宮で武装出来るのは、近衛兵と王族のみである
「此は、殿下のお墨付き迄。了解した。傷一つ付けずに運ぶ事を、杖に掛けて誓おう」
全員才人に向かい敬礼する
才人は其に敬礼を真似し、答礼した

*  *  *


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Last-modified: 2010-10-29 (金) 09:28:47 (4928d)

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