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Last-modified: 2010-12-17 (金) 11:44:32 (4879d)

『此は……夢だ。だって、俺の家に居やがる』
才人は夢の中で、ベッドに寝ており、誰かを添い寝している
才人と同じく艶やかな黒髪が腰迄あり、非常に小柄な少女だ
少女はすらりとしており、背格好は恐らくタバサと同じ位だろう、身体の線の細さ、優美な曲線は、ルイズ並に魅力的だ
下着だけであり、下着は可愛いショーツとお揃いのブラ。但し、ブラを付ける必要は疑問である
顔立ちは、愛嬌と可憐さが同居し、非常に愛らしい。才人に多少似ている
その少女が才人に覆いかぶさり、キスをし、才人を揺さぶり起こす
『〇〇〇ちゃん、起きて、今日は仕事早く終わるの?〇〇〇つまんない』
『ん?あぁ、朝か。おはよう〇〇〇』
『〇〇〇ちゃん。ちょっとは、仕事休んでよ。〇〇〇にバイク教えてくれるって、言ったじゃない』
『そうだな。でもNSRの調子見ないとな。今日、親方に聞いてみるわ』
『ふんだ。〇〇〇をほっぽる〇〇〇ちゃんなんか嫌いだ』
『そりゃ良かった。さっさと独り立ちしやがれ。未だに風呂も寝るのも、独りじゃ無理の癖に』
『良いんだもん。〇〇〇はずっと〇〇〇ちゃんと一緒だもん。お嫁なんかに行かないもん』
『そりゃ駄目だ。俺は、お前の花嫁姿を見るって、お前と約束してるからな』
『〇〇〇ちゃんが〇〇〇を花嫁にすれば、万事解決だよね?』
『何言ってんだ。〇〇〇は俺の〇だろ?』
『ふんだ。〇〇〇は橋の下で拾われて来たって、〇〇〇ちゃん言ってたもん。だから大丈夫だもん』
『……10年以上前の事、未だに憶えてんのか』
『〇〇〇ちゃんだって、憶えてるじゃん』
『ありゃ、一本取られてしもた』
才人は苦笑しながら起き上がり、着替えると、さっさと降りる
『お前も着替えろ、〇〇〇』
『は〜い』
パタン
『……〇〇〇はね、〇〇〇ちゃんの言った事は全部憶えてるんだよ。あの時に失ったモノをね、〇〇〇ちゃんが取り戻してくれた時から、〇〇〇にはね、〇〇〇ちゃんだけなんだよ……』

『才人、おはよう』
『おはよう、母さん。手伝うよ』
『あら、有り難うね。〇〇〇は才人のご飯しか食べないからねぇ』
『母さんの味噌汁だけは飲むじゃん』
『あら、5年も掛ったわよ』
『もう少しだからさ、頑張ろうよ。母さん』
『本当に、才人が居なかったら、どうなってたか』
『……俺は、間に合わなかったんだよ』
『…そんな事無いわよ』
『……俺は、アイツが一人前になるまで、女は作らない』
『困るわぁ。私に早く孫見せなさい』
『第一相手が居ねぇよ』
『……そりゃ、〇〇〇があれだけやればねぇ』
『はぁ?』

トントントントン
階段を軽やかに降りてくる〇〇〇
その格好はセーラー服だ
髪を結い上げ、ポニーテールにしており、艶やかな髪がふりふりと揺れる
『今日から私も高校生だ。感想は?』
『ん、可愛い可愛い』
才人が頭を撫でると〇〇〇は目を細め、嬉しそうにする
『ここに居るのは世界一の美少女だよ。もっと誉めなさい』
『〇〇〇様の腰はドラム缶の様にくびれ、その胸は神々しい洗濯板の様であり、その尻は差し詰め座布団の如くで有りましょう』
ドゲシ!!
『朝からお約束するなぁぁぁぁぁぁ!!』
『あたたた、じゃあ行って来る』
才人は先に飯を食べており、出勤の為に玄関に行くと〇〇〇が付いて来る
『〇〇〇ちゃん、行ってらっしゃい』
『行って来る。今度の日曜と来週の日曜は、休みになるように、お願いしてくるよ。今度の日曜はNSRの調子見る為に出掛けるからさ、来週は二人で行こうな』
『本当に?』
『あぁ。その為に、今日からバリバリやって来る』
『うん、解った。行ってらっしゃい』
チュッ
〇〇〇は背伸びをして才人の口に軽くキスし、紅くなる
『そういうのは、大好きな男にやれよ』
『じゃあ、問題ないもん』
『さよか』
パタン
『あぁ、そうか、事故の数日前だこれ。アイツ、飯食えてるかな?また、喋れなくなってないかな?泣き腫らしてないかな?こんな所で、時間潰してる訳にはいかねぇ!!早く帰らないと』
『〇〇〇!!』
夢の中で手を伸ばし、其所で目が覚める
眼を瞬かせ、独りごちる
「……夢か」
「随分うなされてたな、才人」
「はい?」
身体の上には、アニエスが全裸で乗っており、その鍛えた肉体に女の魅力を醸し出し、体臭は才人にとって蠱惑的で、身体が勝手に反応する
「うむ、また大きくなったな」
「ええと、何でこんな状態に?」
「覚えて無いのか。貴様は死にかけたんだよ」
才人のモノを股間に挟み、軽く腰を動かしながら話すアニエス
「そうか。有り難うアニエスさん、退いてくれるか?」
「断る。陛下の診断だと、まだ貴様は大して動けぬそうだ。体温維持も、明け方から出来る様になった位だ。試しに、身体を動かしてみろ」
「ん?あぁ………力が入らねぇ」
「ほれ見ろ。血を流し過ぎたんだよ」
「……此所は?」
「王宮の陛下の寝室だ」
「…何で、医務室じゃないんだよ?」
「陛下が直接治療すると宣言したからな。今は陛下は政務中だ」
「陛下?」
「アンリエッタ女王陛下だ。タルブ戦後、翌日に即位された。あれから、3日経っている」
「結婚は?」
「破談になった。ゲルマニアとの同盟は更なる強化で一致した。貴様の任も、其に連れて解かれた。だが、私を含めて近衛全隊長は反対したんだがな。何分前例が無さすぎだと、却下された」
「そうか。ルイズの苦労も水泡だなぁ。そう言えばルイズは?」
「あぁ、私と陛下と共に貴様の体温維持の為、シエスタ……だったかな?あのメイドと、交替で身体を暖めてるぞ。貴様の身体が冷た過ぎてな、ずっと抱き付いてると、身体が冷えて消耗するからな。今はシエスタと共に、別室で休んでる」
「…本当にヤバかったのか」
「あぁ、貴様が勃起したのを見て、歓喜したぞ。やっと、意識が戻りそうだって」
「…あの、其で、股間の刺激はいつ止めて下さるんでしょう?」
「足らないなら、足らないで、そう言え。心配させおって……本当に、お前が死ぬんじゃないかと」
アニエスが顔を伏せ、少し身体を震わせる
「……心配かけてゴメン」
「ふん、貴様のお陰でトリステインは救われた。改めて礼を言う」
「竜騎士達は?」
「貴様の要請受けて、喜んで働いたよ。全員ヴァルハラだ」
「……後で墓を教えてくれ」
「あぁ、その時には、一緒に行かせてくれ」
「俺が居なくても何とかなったか?」
「お互いの戦力差からの分析結果だと、勝つ確率は2割切った。先ず間違いなく負けて、トリスタニアは陥落していた。陛下も私も、生きては居ないだろう」
「…偶々だ」
「偶々で、竜騎士26騎撃墜、レキシントン中破出来るのは、貴様だけだ」
「俺は、何人殺した?」
「レキシントン47名、竜騎士5名だ。貴様の様に、今瀕死で生死の境をさ迷ってるのが30名程。更に増えるだろうな」
「……」
「戦争だ」
「解ってる」
「私の手も血に塗れた。私も、お前と同じ人殺しだ。貴様の業に、地獄迄付き合ってやる」
「…アニエスさん」
アニエスからキスし、舌を絡める
チュッ、チュッ
「うふ、また大きくなったな。凄い堅いぞ」
「身体は動かないってのに、本体を裏切りやがって」
「クククク、正直だな」
そう言うと、アニエスは才人の刀に手を添え、自身の密壺に挿入した
「あっは。くう、堅い。……こんなの、初めて」
「…アニエスさん」
「済まん。貴様が初めてでは無い」
アニエスから、涙が一筋落ちる
「只の平民が近衛になるまで栄達するには、時には身体を差し出す必要もあったのさ」
「言わなくて良い。言わなくて良いよ」
「駄目だ。言わせてくれ。私は薄汚い売女だ。己の復讐の為に、身体すら差し出して、ひたすら上を目指して来たんだ」
グチュ、グチュ
アニエスは腰をねっとりと振り、才人を高まらせる
「アニエスさん締まり凄。出る」
アニエスはしっかりと腰を打ち付け、才人の射精を子宮口で受け取り、精を存分に吸い上げる
ビクンビクン
「……まぐわいが、こんなに良いものだとは知らなかった。才人、どうしてくれる。更に気持ち良くなりたくなったぞ?」
「……俺は、まだ身体が動かねぇ」
「そうだ、此はレイプだ。貴様の心に傷を負わせてやる。私を絶対に忘れないようにな」
「…アニエスさん」
「何だ?」
「アニエスさんには悪ぶるのは似合わないね。素直に言ってくれ」
ビクンと身体を震わせるアニエス
「…まだ、私に夢を見させてくれるのか?」
「夢も何も、俺は思った事しか言わないさ」
「……こんな、私でも…大丈夫なのか?」
「アニエスさんは美人だよ。自信持って」
「本当に…お前は…」
才人の胸に涙をぽたぽたと足らし、アニエスは更に腰を振り始める
「良いか、才人。私はもう、お前にしか抱かれん。お前が好きな時に、好きなだけ犯せ。私は、お前以外欲しくない」
「アニエスさん、ちょ、激し、俺まだ完治してない」
「ハッハッハッ。駄目だ。こんな時でないと、好きに出来ないではないか。はっ、あ、何か来る?何これ?あ、あひ、ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ビクンビクンと才人の上で痙攣し、才人はまた射精する
そのままくたりとアニエスは才人の胸に身体を預け、膣と子宮は才人を求め、腰が勝手に動く
「駄目だ、腰が止まらない。何これ?やぁ、どんどん変になる」
「もしかして、初イキ?」
「あんなの初めて。もっと………欲しい」
グチュグチュ
アニエスは鍛えられた身体がタフネスを与え、間断なく才人を攻め立てる
才人は抵抗出来ないのでなすがままだ
「ハッハッハッ。本当だ。こんなの溺れる、溺れちゃう。才人の堅いのが良い。才人の最強の武器が良い。ハッハッ、もっと、もっと欲しいの。幾らでも出して。あはぁぁぁぁぁ」
アニエスはまた絶頂し、絶頂と同時にキスをねだり才人は射精しながら応える
「才人、もっと、もっと頂戴。もっと沢山犯して良いから、もっとぉ」
「……お願いだから、勘弁してくれ」
「駄目、止まらない。止まらないんだ」
アニエスが存分に才人を味わい、何度も絶頂し、才人を見下ろすと、才人の意識が無くなっていた
「…あっ、夢中でやり過ぎた。才人、才人」
パチパチ頬を叩くが、才人は気絶したままだ
アニエスは心臓を確認する
鼓動は確かだ
「…良かった、腹上死させる所だった」
「あら、其は流石にやり過ぎじゃございません?」
ビクッとしたアニエスが振り返ると、其処には王冠を被ったアンリエッタが、にこにこしながらアニエスを見ている
勿論、アニエスは繋がったままだ
アニエスは興奮とフェロモンを振り撒く才人の好む汗から、一旦して冷や汗をダラダラ流す
「あ、あの、陛下?此は、その」
「あら、良いのですよ。きちんと命令通りじゃないですか」
「はっ」
「ですけど、まさか私のベッドでやるとは、思いませんでしたけどね」
「……大変な失礼を」
「いいえぇ、でも、私も混ぜてくれないなんて、酷いですわ。一緒に、使い魔さんの身体を暖めた仲では有りませんか」
「あの、陛下は純潔を保たないと駄目なのでは?」
「結婚するなら構わないでしょう?」
『うっわ、さらりと出来ない事を口にしやがったよ、このアマ』
「今の私は女王ですので、国内法をちょいちょいって、いじれば良いのですわ」
「…陛下」
「はい」
「私をからかってますね?」
「えぇ、勿論。だって、何時まで経っても離れようとしないんですもの。ルイズが起きて見たら、どうなる事やら」
その可能性に気が付いた瞬間、アニエスは抜き、中からどろりと精液が垂れる
「あらあら、随分と激しくなさったみたいね。ちょっと検分させて下さいな」
アニエスから精液を指で掬い上げ、確認する
「ん、大丈夫です。子種はちゃんと機能してますね。女性側に問題無ければ、孕めますね」
「陛下?」
「妊娠を望みますか?アニエス」
「いえ、まだ其処までは」
「では、痕跡を消します。証を消しますので、覚悟して下さい」
アニエスは幾分落胆しながらも、頷いた
「ははっ」
アンリエッタが浄化をかけ、アニエスとベッド、才人に付着してた情事の後を全て綺麗にする
「ふう、此で良し。使い魔さんの容態は………アニエス、搾り過ぎです。回復が遅れてしまいましたわ」
「も、申し訳ございません」
「仕方有りませんね」
そう言ってアンリエッタは全部服を脱ぎ、王冠を適当に投げ、治癒を詠唱してから、才人の隣に身体を絡めて悦に入る
「あの、陛下」
「はい」
「王冠の扱いが、ぞんざいではございませんか?」
「あら、あんなのの何処が良いのです?使い魔さんの肉体のが、余程素敵ですわ」
「…あの、陛下」
「何でしょう?」
「何処迄本気なのです?」
「其は、私も知りたいと、思っておるのです」
「…はっ」
二人は、そのまま才人が起きるか、交替が来る迄、左右から才人を抱きしめた

*  *  *
「んあ、あれ?」
才人が起きるとアンリエッタとアニエスが全裸で密着してる
「あれ?姫様?」
「起きましたか?使い魔さん」
むにゅり
アンリエッタが身じろぎすると、豊かな胸が才人を刺激する
『さっき大量に射精したから取り敢えず大丈夫だ……て、程じゃねぇ。何この感触、生は反則レベルじゃねぇか』
内心焦るが、アニエスに振り返るとアニエスは寝息を立てており、才人は安らかな寝顔を見て微笑む
「あら、アニエスと何か有りまして?」
『ええと、どうすっかな』
「あのままじゃ大変でしたので、浄化させて頂きましたの」
「…すいません、お手数をおかけしました」
「次は、私も混ぜて下さいまし」
「……考えさせて下さい」
「こんなに御立派なのに」
アンリエッタは、アニエス曰く最強の武器の柄をがしりと掴み、その刀身に指先を這わせる
「姫様、はしたないですよ」
「あら、殿方のを見るのは、初めてですのに」
顔を赤らめつつ、刺激を止めない
「だぁめ」
「なら、身体使って拒否すれば宜しくて?」
「姫様。解ってて言ってますね?」
「今なら、使い魔さんに色々出来ますわね」
「いや、まじ勘弁して」
「嫌ですわ」
「あっ、ルイズが来た」
「丁度良いですわね。使い魔さんを貰い受ける相談が、したかったものですし」
「ひ〜め〜さ〜ま〜?何の相談でしょう?」
アンリエッタの背後に幽鬼の如くゆらりと立ち、虚無の魔力がうねり、髪の毛が逆立って行く
その後ろには、メイド服を王宮で借りたシエスタが、笑顔で控えている
アンリエッタはそのまま、毛布の中で才人の最強の武器をこねくり回す手を止めない
「あら、ルイズ。ちょっと使い魔さんを貸して頂けないかしら?50年位で宜しくて?」
「こここの犬はこんなのでも、あたしのです。姫様に貸す訳には参りません」
アンリエッタは手を止めず、振り向きもせずに言う
「だって、殿方に裸を見せてしまいました。もう、責任取って頂くしか無いじゃないですか」
頬を染め、初々しい仕草をするアンリエッタ
『こんの、クソアマ。純情ぶりは本当に板に付いてるわね』
ルイズはひくつく。ルイズは幼なじみで本性を知ってる為、騙されない
「姫様。この犬は平民の屑の駄犬でございます。姫様の様なお立場で、この卑しい犬に施しをするのは、主人として嬉しく思います」
「ですが、これ以上は御世話になる訳には参りません。この犬を連れて帰りますわ。馬鹿犬、帰るわよ」
サイトは苦笑しつつ答える
「悪い、冗談抜きで動けねぇ」
「……サイト、本当に?」
「本当」
「じゃじゃじゃあ、さっきから股間の辺りが動いてるのは何で?」
「姫様に聞いてくれ」
「姫様?」
「はい、私の手ですの」
ぽっとしながらも、やはり手は止めない
「ルイズ,シエスタ、悪いけど姫様引き剥がして」
シエスタがつかつか寄り、アンリエッタをべりっと引き剥がす
「女王陛下。才人さんの頼みですので、失礼致します」
「あん」
毛布の中から全裸でアンリエッタが出て、その豊かな胸がぷるんと揺れ、そのカタチの良い乳首迄才人に晒す
先程迄才人に密着してたのだが、其でも才人は見てしまう
其を見たアンリエッタは軽く唇を舐め、怪しい視線を才人に送った
『既成事実作って縛る積もりか。マジ、油断出来ねぇ姫様だな』
才人は冷や汗を足らすが、その才人に足が振って来た
ズン
「クハッ」
「…犬」
「……わん」
「今、何を見てたの?正直におっしゃい、多分怒るから」
「良いのか?」
「そそそそうね、正直に言えば、4倍増を3倍増に抑えても良いわ」
「解った。ルイズのかぼちゃパンツだな」
「えっ?」
ルイズは唖然とするが、才人を踏ん付ける為にベッドに飛び乗り、足を顔に対して縦に踏んでいる
当然視界が収まる訳では無く、そのおみあしから伸びて股間に続く迄、スカートの中は丸見えである
そして、才人の手当てで体温を奪われた分を保温する為、パンツを厚手にしていたのを、すっかり失念してたのである
才人にだけは見せられない、見せてはイケナヒパンツを見せてしまった
「い・い・い・いやぁぁぁぁぁぁ!?今見たの全部無し〜〜〜〜〜〜!!」
大きく脚を振りかぶり、才人を全体重で踏ん付けようとした所で、ガシリと脚が掴まれる
「何時もの調子でやるな、馬鹿。才人は重傷だぞ?」
「あれ?アニエスさん起きたの?」
「こう五月蝿くちゃ、おちおち寝てもいられん。やっと、暖かい状態になったってのに」
アニエスが身を起こした為、小ぶりだが形の良い胸が毛布からまろび出、引き締まった身体に女の丸みを乗せた優美な曲線が現れる
「馬鹿犬〜!!見ちゃ駄目ぇぇぇぇ!!」
「って、言われても」
「お互い、今更だしな」
才人とアニエスが恥ずかしがらずに応対した為、ルイズの気が抜ける
「もう踏まないから、いい加減離して」
「解ればいい」
アニエスが脚を離し、ルイズがベッドに腰掛けた
アニエスはそのまま、才人に添い寝してしまう
「アニエス、才人起きたから平気でしょ?」
「私の今の任務は才人の看病でね。陛下に完治と言われない限り、やる義務がある」
「うぐっ。ちょちょちょっと、姫様。もう良いでしょ?」
「専門家としての意見で、構いませんか?」
「はい」
「必要です。全身の血がまだ回復してません。だから、身体が動かないのです。ちょっと冷えたら、また大変な事になります」
とうとう、ルイズも黙った
「では、納得して頂いた様なので」
剥がされた時のまま全裸で、そのままベッドに潜りこんでしまうアンリエッタ
「姫様?」
「交替時間はまだ先です。メイド、使い魔さん用の食事を貰って来て下さい」
「かしこまりました」
シエスタは部屋を出、厨房に向かって歩きだした

「さて、では秘密の話をしましょう。ルイズ=フランソワーズ。貴女、魔法に目覚めましたね?」
才人に身体を当てつつ、アンリエッタは真剣に話す
看病も兼ねてる事を全員自覚してる為、滑稽には映らない
「はい」
「虚無ですね?」
「あの、解るんですか?」
「アニエス。使い魔さんの左手を出して下さい」
「はっ」
左隣のアニエスが、才人の左手を出し、ルーンを見せる
「私共も馬鹿では有りません。使い魔さんの能力を知った後、ルーンを文献で調べた結果、ガンダールヴと言う事が、早期に判明しました」
「ガンダールヴは、始祖ブリミルが自分の呪文詠唱を守る為に創り出した使い魔です。当然主人のルイズにも、虚無の発現があるだろうと、予測はしていました」
「…あの、何処迄ご存知なのですか?」
「今話したのが全てです。ですが、近衛隊長とマザリーニ、其に私は知ってます」
「近衛隊長もですか?」
「軍事的に、戦果を確認して行った所、使い魔さんのガンダールヴのルーンのお陰で、始祖ブリミルの文献に該当しました。文献の拠述と一致した為、確定したのです」
「私も、自身が虚無とは、思いませんでした」
「どうやって、解ったのですか?」
「水のルビーをはめて、始祖の祈梼書を読む事により、出来ました。4王家に伝わる、4つのルビーを有資格者が填める事により、祈梼書が読める様になります」
「では、あの風のルビーもですか」
「はい」
「ルイズ、自身の虚無の喧伝は禁止します。また、近衛並びにマザリーニにも口にしない様に命令して有ります」
「虚無の力は大きい為、其に頼ってしまっては、国が立ち行かなくなってしまいます。また、狙う方が居ても厄介ですし。矢面に立つのは、私だけで充分です」
「私、この力はトリステイン国王たる、アンリエッタ陛下の為に授けられたのだと思います」
ルイズはそう言うと、才人は口を挟んだ
「違うな。俺と一緒で偶々だ。仮に有るなら、始祖ブリミルって奴だっけ?奴の呪いだ」
「サイト、始祖ブリミルの侮辱は、許されないのよ?」
「知らねぇな。俺はブリミル教徒じゃねぇ。俺からすりゃ、八百万の中の一柱だ」
「やおよろず?何それ?」
「神様が八百万も居るって事。トリステインの人口より多いんじゃね?」
「ガリアやゲルマニアに、匹敵出来ますわね」
アンリエッタが沢山の神が連なる様を想像して、呆気に取られる
「ルイズ、祈梼書の中に、それとない文章、無かったか?」
「あああ有るわけ無いじゃない。何で、そう思うのよ?」
「詠唱だ」
「詠唱?」
「そう、詠唱だ。あの時、ガンダールヴ以上の力を、無理矢理出させられた。ありゃ、使い魔としての『呪い』以外の何物でもない」
「虚無を呪いだなんて、不敬よ!!」
「敢えて言う。呪いだよ。血縁者に、自分の力を分け与えたんだろ?」
「そうよ」
「考えても見ろ。あれが強力なのは解った。だが、あんな使い難いモノを何で継承させる?代用手段なんて、幾らでもあるじゃないか」
「虚無の代用なんて」
「出来るだろ?今回の攻撃に使う手段としても、飛行不能にするだけなら、風石格納庫を破壊すれば良い」
「…でも」
「虚無の詠唱すれば、俺は今回みたいに、半死でも動けるぞ?ルイズはどう思う?良く考えろ」
ルイズは才人に完全に批判され、しかも言い返せない
「其でも、此はあたしが使える初めての…」
「その通りだ。だから、強力過ぎる自身の魔法の使い方を考えろ。むやみに使うな。其が力を持った者の責任だ」
「良いか、力を他の人間に預けるのも、手段としてはある。だがな、ルイズは其をやっちゃ駄目だ。自分なりに考え、自身の判断で用いろ」
「例え姫様でも俺でも信用するな。疑って疑って疑って、疑う余地が無くなってから、初めて信用しろ。其が、強すぎる力を持った人間の宿命だ」
「…才人は、喜んでくれないの?」
「憐憫はする。だが、喜べん」
「…何で?」
「多分、ルイズが不幸になる。そんな感じがする。今考えると、ワルドが何で、ルイズに固執したか理解したわ。つまり、ルイズはずっと、ワルドみたいな連中に狙われ続ける事になる」
「…守って……くれないの?」
「何人ガンダールヴを使い潰す積もりだい?ミスヴァリエール」
そう言われた途端、ルイズは椅子に座ったまま平衡感覚を無くし、床に崩れた
アンリエッタもアニエスも黙る
其なりに鍛え、其でも瀕死の重傷を負った才人の今回の状況から考えると、才人の非情な意見が正論だからだ

我は、歓喜と絶望を与えん
ブリミル=ヴァルトリ

*  *  *
交替後、シエスタとルイズは才人に引っ付いて居る
才人は久しぶりに食事を取り、滋養たっぷりのスープを、シエスタに飲ませて貰った
シエスタは才人の温もりに包まれると、あっさりと寝付いてしまっている
だが、ルイズは寝付けない
「嫌なら交替して良いぞ。アニエスさんなら、飛んで来る」
「……嫌よ」
「…そうか」
「ねぇ、呪いって、本気?」
「ルイズは、契約を強制する立場だから解らないんだよ。此は呪いだ。ギアスって、知ってるだろ?」
「うん、相手に強制を強いる禁術」
「其より、遥かに強力なのが使い魔契約だ。メイジには必要だとしても、実は、使い魔側には必要じゃない」
「…続けて」
「使い魔には契約と同時に、使い魔足るべく、最初から持ってる知識経験の上に、更に上書きされる。望んでもいないのに、無理矢理だ」
「…続けて」
「俺が、ガンダールヴなんざ望んでやった訳じゃないのは、解るな?」
「…うん」
「其でも、主人の使い魔足るべく、ガンダールヴにされるんだ。そして使い魔になってしまった生物は、反乱を防ぐ為、強制的に主人に好意を寄せる様になる。精神を使い魔契約によって、揉躙されるんだ」
「…才人もそうなの?」
「いんや、変わった感じはしない。親和性が高かったせいか、人間という、種族のせいかは解らん。でも俺は、人間平賀才人だと言って良いぞ」
「精神は侵されてないの?」
「俺は、元々こう言う人間だ」
「…そう。実はね、始祖ブリミルはね、歓喜と絶望を与えるって、書いてたの」
「そうか。今のルイズは?」
「始祖ブリミルの言う通りだった。両方よ」
「俺のせいか?」
「そうよ。歓喜も絶望も、希望すら、全部サイトのせい。姫様に滅多に使うなと厳命されて、サイトには全てを疑ってかかれと言われた。あんなに欲しかった、自身の系統が解ったのに、制約ばかり増えて行く。此じゃ、ゼロのままが良かった」
「……なら、杖なんざ捨てちまえ」
「嫌よ。絶対嫌。やっと立派なメイジになれる端を掴んだのに。この力が巨大過ぎるなら、使いこなしてみせるもん。サイトが居れば、使いこなせるもん」
「…俺すら疑えって、言っただろ」
「関係無いもん。サイトはサイトだもん」
「ま、実際虚無なんざ要らないけどな」
「……あたしを否定するの?」
才人に裸で密着しつつ、身じろぎするルイズ
「違う、ちと質問。時計が有るから、時計職人は居るか?」
「勿論。トリステインに取って、ワインに並ぶ名産品よ」
「水車と鍛冶職人は?」
「勿論両方有るわよ。トリステインは水の国よ?水車使わないで、どうするの?」
「そうか。なら、ガンダールヴすら要らないな」
「……嘘」
ルイズは驚嘆する。だが、才人はルイズ自身では絶対に計れないのは、ルイズ自身自覚している
「本当だ。俺の行動が完全にフリーハンドと仮定するなら、だけどね。ルイズを守る事を最優先するなら、5年、いや3年だ。3年でトリステインをハルケギニア最強国にして、エルフと対等の関係を結べる迄は、多分何とかなる」
「……そんな事出来るの?」
「竜騎士居れば余裕さ。後は俺が機械文明を、トリステインに興せばいい。ま、やる気は無いがね」
「……何で?」
「やる理由が無い」
「サイトは色々知ってるけど、皆に伝えようとはしないの?」
「ルイズ、トリステインが最強国になる意味が、どういう事か解るか?」
「…どういう事?」
「現在の貿易,物流体制と軍事バランスが崩れるんだ。先ず間違い無く、ハルケギニア全土を巻き込んだ戦争になる」
「……嘘」
「本当。既得権益を受けてた連中には、歓迎出来ないからな。あの手この手で潰しにかかるだろうよ」
「……」
「よしんば勝ったとしても、ハルケギニア中の物流の大半を押さえた場合、富がトリステインに集中する。つまり、他国から富を収奪するんだ」
「どうなるの?」
「極論すると、他国の民が餓死する」
「……」
「解ったか?全部は絶対に救えない。経済に組み込まれてる場合、富を得る者が出ると、必ず損をする者が出る。全ての富と全ての損は、合計するとイコールなんだ」
「でも、他国の事は、他国の事じゃない」
「その通り。そして俺には、トリステインも『他国』なんだ」
ルイズはハッとする
そう、才人は異邦人だった
『忘れてた。サイトには、トリステインも異境の地だったんだ』
「もう寝るぞ」
「……うん」
『キュルケの言う通りだ。サイトは、此所に居れば、私達を豊かにしてくれる。サイトを貴族にしないと、頑に首を縦に振らないんだ。どうしよう、キュルケの案に乗った方が、良い気がしてきた』

*  *  *
「あら、やはり素敵な方ですわ」
アンリエッタは自身の寝室にて、聞耳を立てている
才人達が使ってた寝室は王女時代ので、現在の寝室は先王が使ってる寝室である
王女の部屋を盗聴するのが女王である
この盲点は、外部や不穏分子に強いが、中での行為、特に王族に対して非常に緩いのを利用したのである
「やっぱり、貴族に為さらないと駄目ですわ。まぁ、最初はシュヴァリエにですわ。大公にしても足りないですわね。私自身を差し上げる位でも、ちっとも足らないかも……」

*  *  *


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Last-modified: 2010-12-17 (金) 11:44:32 (4879d)

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