X4-432
Last-modified: 2011-08-17 (水) 21:02:48 (4636d)

モンモランシ伯は才人の二度目の来訪からは、きちんと才人の部屋を用意してくれた
一応、二人は寝られるベッド付きである
風呂は平民用だ
そして、あろうことか、エレオノールはゼロ機関の打ち合わせと称して、才人の部屋に泊まり込んだのである
実際に秘書として、レポート提出とマニュアル作りで、才人と緊密にやり取りしなければならず、膨大な資料を書き起こしては、更に複写を自宅で暇してるカトレアに頼む為に、作動機器のマニュアルは送り付けている
帰って来た複写に手紙が添えてあり、エレオノールに対して、こう書かれていた

エレオノール姉様の充実ぶり、私も嬉しいです。ゼロ機関所長様がいらした時、是非とも歓待させて下さいね

追伸
ルイズの使い魔寝取るだなんて、酷い姉様ね
ルイズにはどう説明するのよ?ルイズはルイズで本気なのよ?
私、どっちの味方になれば良いの?
一人が正妻で、もう一人が愛妾になれって言うの?
姉様が本気ならそう言ってしまうけど、良いのね?
でも、そんなに素敵な殿方なら、私も興味あるわ

「何言ってんのよ?カトレアが一番危ないんじゃない?」
そう、カトレアと対面した男は、例外無くカトレアを口説いていたのを、エレオノールは誰より知っている
最も、カトレアはにこやかに笑いながら、持病を持ち出して、一切相手にしなかった訳だが、才人が例外の可能性は非常に低い
この男が美女や美少女に弱いのは、ムカつくが馴れてしまった
しかし、どうすればこの一時の盛り上がりが永遠になれるか、最近は常に考えてしまう
「平民も馬鹿だけど、私も馬鹿ね。平民の………ふふ、私にヴァリエールが捨てられる訳が無いじゃない。私、魔法以外は何にも出来ないのに……。それに、平民は帰るって言ってるから、所詮それまでの関係よ……」
喉に引っかかってる事を思い出し、ならばそれまでは全力だと思い直し、ワインを煽る
ガチャ
「ふぅ、風呂も入ったし………って。部屋に戻らないのか?」
才人が部屋に戻ると、エレオノールがまだ居る
しかも、ワインを飲んでほろ酔い→酔ったから帰れないのコンボだ
酒の弱さを存分に武器にしている
何を期待してるか解ってても、才人は一応とぼけてみせる
「ほら、複写。確認しなさい」
「印刷しないのか?」
「印刷するには、部数が足りないわ。其に一応機密でしょ?原本を、印刷所に置いておけないじゃない」
「……成る程ね」
そう聞いた才人はエレオノールから複写を受け取り、原本と合わせてチェックを入れる
「ん、オッケー。にしても、この複写した人も、字綺麗だな」
「でしょ?だから頼んだの。私の妹よ」
「あぁ、紐パンの人か」
その一言に、あからさまに顔を歪めるエレオノール
「…何で知っているのよ?」
「ルイズに聞いた」
「…全く、あのちびルイズ。ヴァリエールの下着類を男にばらすだなんて、隙有りすぎよ」
「ふ〜ん、毎日勝負下着なのは、ヴァリエールの習慣かい?」
一気に真っ赤になり、どもり始めるエレオノール
「なななな何言ってるのよ?此はおおお男に対して恥ずかしくない様にしているのであって平民に対してスカート捲って見て欲しいとか無理矢理押し倒されて滅茶苦茶にされたいとかそんな事はこれっぽっちも思ってないんだからかかか勘違いしないでよ?」
「ふんふん、成る程」
ガバッ
「きゃっ!?」
エレオノールのスカートを捲って下着を見る才人
黒の透け透けが、才人に見られて割れ目が染みが出来てるのを確認すると
「それで、こうして欲しいと」
「やだ、何やってんのよ?は、離れなさい!?」
そのまま才人がエレオノールをベッドに後ろから抱えて放り出し、すかさず腰を掴んで引っ張り、無理矢理姿勢を取らす
「やぁ!?乱暴しないで!?」
そんな言葉を無視し、スカートを捲ってショーツをずり下げると、一気に挿入する
ぬる
「あぅぅ!?」
ズチュ、ズチュ
才人の一突き事に一気に高まり、遂に痙攣を始めるが才人はそのまま腰を止めない
「〜〜〜〜!?」
声にならない声を上げ、そのまま射精を受け入れ、身体から力が抜けるが膣だけは、才人のモノを欲してうねりっぱなしだ
「こうして欲しいから、わざわざこっちに居るんだろ?」
「ち、ちが、あ、やぁ!?ほ、本当よ、だって……書類」
既に一杯一杯で、説得力がゼロだ
「じゃあ、何で杖を持たない?」
ビクッ
エレオノールが反応し、才人の息子を強烈に締め付ける
「うぁ……すげ、やっぱり凄いなエレオノールさんは」
「………呼び捨て」
「何?」
聞こえなかった才人がエレオノールにのしかかり、エレオノールはぜぇぜぇ言いながら、言う
「……呼び捨て……お願い」
「なら、俺の事を、名前で呼んでからだな」
「平民の……名前?あ、あっあっあっ」
才人が腰を動かし、エレオノールの身体が快楽に震える
「俺の名前は?」
「…平民は……平民よ、はっあっやぁ!?い」
にゅぽん
音を立てて抜け、才人が離れる
「あ、ひ、酷い、も、もう少しで……」
「じゃあ、モンモンに呼ばれてるから、行って来るわ」
身体から力が抜けてるのを、必死に叩き起こし、出て行こうとする才人にしがみ付く
「あ、あんた、へ、平民の癖に、貴族の女をとっかえひっかえして、今に罰が……」
「意地っ張り。本音を言ってみ?」
そう言って、エレオノールの唇に唇を合わせて今度は口を封じる
ぴちゃっぴちゃっ
室内に粘液が絡む音が聞こえ、エレオノールを抱いた才人はそのまま抱き上げ、再度ベッドに連れて行く
トサッ
今度は柔らかくベッドに横たえ、エレオノールの服を脱がすと自身も脱ぐ
「はっあっ、唇塞いだら、何も、言えない、じゃない」
途切れ途切れにエレオノールは宣い、自ら脚を開く
そのラインの美しさは、胸の形含めて感動出来る物だ
一切の無駄がなく、細身で有りながら非常に丸く、何処を触れても心地よく、どんな体勢を取っても、エロスが滲み出る
正に6000年の貴族の磨きが、凝縮された存在の一人なのだろう
強気の目が欲情し、才人に向ける視線、あくまで強気な口調、そして香水すら使わないのに、誰よりも甘く男を狂わせる匂い
ルイズの匂いもそうだったが、エレオノールには、香水すら邪魔なのだ
たまに付けても、体臭に合わないとすぐに止めるのが常である
そんなのを目にして、普通の男が我慢するのは非常に困難だ
才人は無言で挿入すると、エレオノールが才人を手足で抱き締める
「へいみん、へいみん。帰るんでしょ?旅に出るんでしょ?」
才人が快感に耐える為に動かないでいると、エレオノールから腰を振り、膣を締め上げ、奥に誘う
「あぁ」
「また、来るよね?あんたはもう、トリステイン人になるよね?」
きゅっきゅっと締め上げ、才人は限界がちかくなる
「いや、帰って側に居ないと駄目な奴と約束……」
才人が見ると、エレオノールは涙を流している
「トリステイン人になるよね?貴族になるよね?だから、私としてるんだよね?」
「うっ」
ドクン
才人が射精すると、エレオノールの子宮が全力で吸い込み、一滴も外に逃さない
「嘘でも戻ると言いなさい。嘘でも貴族になるって言いなさい。私の……ヴァリエールの……お願いよ?あんた、頭を下げない事で有名な、大貴族の頭を下げさせる事をしてるのよ?」
「ベッドの中迄、貴族と平民を持ち出すな」
才人の方があからさまに機嫌を悪くしたが、エレオノールは離れない
「駄目よ、駄目よ、駄目。絶対駄目。あんたはもう逃がさない。私、女公爵の愛人よ。誰が何と言おうと、私が決めたのよ」
「…」
才人は理解する、此がエレオノールの愛し方なんだと
「俺は」
「嘘すら付けないなら黙りなさい。せめて、あんたを今だけは自由にさせなさい。その代わり、私はあんたの秘書として、女として、あんたの望みを叶える為に、全力で動く」
「…」
「だからお願い、嘘で良いから……」
才人はキスをすると、耳元に囁いた
「…」
エレオノールはその言葉を聞いた瞬間、更に乱れ、夜深くなっても、決して行為を止めなかった

*  *  *
「ん…」
エレオノールが才人に寄り添って寝ていたが目覚め、先ずはベッドの脇の杖を手に取る
もう自分でも信じられない位の魔力が満ちて、万能感が身体を包み、自分が肌を合わせて寝ている男が、仕事をする上でも絶対に必要と痛感する
「ん、本当、すべすべして良い肌ね。何で貴族の私より、良い肌なのかしら?」余りに肌を重ねてると気持ち良いので、寝ているにも関わらず、才人にくねくね身体を合わせる
「やだ、私も敏感な所が出てる。平民もあんだけしたのに、こんなに元気だなんて」
才人が朝立をしてるのを見て、身体を起こして跨がり、挿入する
「はぁ……ん」
クチュクチュ
愛液と精液が混ざった液体が音を立て、エレオノールの脳裏に官能の靄をかけて行く
今まで知らなかった感覚、全てが新鮮、やればやる程欲する肉体
そして其を裏付ける、精神力と魔力の充実
「〜〜〜ッ!?」
才人の射精と共に、自分も身体が震える
「早く……起きなさいよ。ねぇ……」
小さく、自分自身ですら聞き取れない大きさの声で、初めて名前を呼んでみる
心の中にその名が浸透していくのを感じ、そのまま才人の胸で目を閉じる
ガチャッ
「!?」
「おはよう才人。来ないから来ちゃっ……」
うっかりだ、ロックを忘れていた
最も、ロックする暇が無かったからだが
才人の上で身体を起こしたエレオノールと、モンモランシーが目を合わせる
お互い視線を反らさず、真っ向勝負
「お早う、モンモランシ伯の娘さん。ゼロ機関分室に、何か御用かしら?」
「お早う、ヴァリエール公爵家ご令嬢。勿論、才人に朝のたっぷりとした濃厚な挨拶をしたくて来たの。私の才人から退いて下さる?お・ば・さ・ん」
「嫌よ、小娘。この所長とのコミュニケーションは、私のメイジとしての能力に直結するの。仕事の上でも、退く訳にはいかないわ」
才人の上で杖を握り、髪を逆立てて圧倒的な魔力を立ち上げ、モンモランシーを睨み付けるエレオノール
感知能力がタバサやキュルケより劣るモンモランシーにも、魔力の違いがありありと判る
が、それでも杖を握り、モンモランシーもその縦ロールの髪を逆立て、同じく睨み付ける
「ふん、なら解るでしょ?私のメイジとしての能力にも、才人が必要なの!さっさと退きなさい!私は怒っても、独り占めなんかしないわよ!!ヴァリエールは揃いも揃って、妾取りに非寛容な訳?だから跡取り出来ないのよ!!」
流石にエレオノールもカチンとする
「な!?それとこれと何の「関係有りまくりじゃない!!」
図星を指され、エレオノールが黙る
「男は度重なる戦争で数が少ない。女は余っている。なら、一人の男が花を沢山持つしか無いでしょ?また戦争よ?また男が大量に死ぬのよ?独り占めしないで!!」
エレオノールも頭では解っている
だが、身体が言う事聞いてくれないのだ
「…」
「離れたく無いんでしょ?取引よ」
そう言って、小瓶を幾つか出すモンモランシー
「取り出したるは、誰かさんを一晩中ケダモノの様になる薬と回復薬、嗅いだ人の理性を緩め、本能バリバリにしてくれる香です」
「昨日どれだけ愛されたか知らないけど、そんなのままごとになるわよ?欲しくない?」
ごくり
エレオノールの喉が鳴る
『昨日は凄かった…もっと凄い?』
思わず手を伸ばしたエレオノールの腕はモンモランシーがかわして空を切り、モンモランシーはにこりとする
「どう?取引する?」
「……試してからじゃないと」
「成分に精霊の涙入り。効果は抜群よぅ?」
精霊の涙は市場に殆ど出回ってない、アカデミーですら在庫切れだ
エレオノールは男を虜にするレアアイテムに敗北を喫する
「……する」
「交渉成立。ああ、一緒にやっても、文句言わないでよ?香使うと、一人じゃ相手しきれない位凄いから」
思わず涎が垂れ、慌てて飲み込むエレオノール
「…そんなに凄い?」
「今晩試す?」
「…試す」
情欲の前に、貴族も平民も関係無い
何せ人の三大欲求である。しかも覚えたて、身体が疼きどうにもならないのだ
「じゃあ、退いて下さる?」
首を振るエレオノール
「ちょっと、取引」
「違っ。身体、言う事、聞かない」
貫きっぱなしで脚に力が入らず、膣は勝手に蠕動し、快楽に震えっぱなしなのだ
「あぁ、もう解ったわよ」
モンモランシーがそう言って、エレオノールの腰を掴んで無理矢理振り始める
「あ、やっ、そんなにしたら…………あぁぁぁ!?」
ビクッビクッ
エレオノールの痙攣が収まる迄振り続け、そのまま退かすとモンモランシーは自分が跨がり、そのまま才人を起こしにかかる
「才人、才人、起きて、朝よ?」
ペシペシ頬を叩き、覚醒を促す
「……んあ、スゲー気持ち良い夢見てたのに…モンモン?」
息子はモンモランシーを貫いて、何時でも発射準備完了
左隣を見ると、息も絶え絶えのエレオノールが才人に寄り添い、才人にだけ見せる、情欲に染まった瞳に、思わずドキリとする
「おはよ、才人。夢の続き、しよ?」

*  *  *
「ねぇ、平民」
「……何だ?」
「暑くない?」
「そうか?」
「あんた、おかしいんじゃない?」
「何言ってんだ?川のお陰で、涼しいじゃないか?」
チャプン
才人は携行してる水筒から、経口補水塩を自作した物を飲み、汗をかきつつ本当に涼しそうにしている
同じ物をエレオノールにも渡してるのだが、エレオノールは暑さの為に、とうとう不満爆発だ
「っざけんじゃ無いわよ!!何なのよ?この工場の暑さ!?干物になっちゃう!?」
はっきり言って、才人の温度感覚の方がおかしい
エレオノールは全裸になりたい位暑いのだが、才人は本当に涼しそうにしている
溶接を生業にしてる人間にちょくちょく見られる現象で、どんなに暑くても、皮膚を完全に保護する必要から、全身覆いながら数千〜数万度の熱源を目前にし、更に熱したガスが数百度の熱量で常時襲われる環境に居れば、肌を露出出来て、川のお陰で冷気も供給されるのであれば、天国だ
才人の感覚に賛同出来るのは、地熱の高い地下深くで作業する、鉱夫だけであろう
「暑いわよ、平民何とかしなさい!!」
「そこの隙間から川に脚でも突っ込め」
「もうやってるわよ!!暑い暑い暑い!!」
手足をバタバタさせ、更に体温を上げるエレオノール
「ったく、しょうがねぇな。ゴーレム喚び出して、適当に水車組むか直接川から水汲んで屋根に流せ。流した水は川に戻せ。そうすりゃ涼しくなる」
「知ってるなら、最初から言え〜〜〜〜!!」
エレオノールはぶちギレて才人に言うが、才人は涼しい顔をして取り合わない
そんな事より、目の前の切削のが大事だからである
ブツブツ言いながらエレオノールは外に飛び出し、他棟に居るコルベールを呼び、ゴーレムを喚び出して直接水を屋根に流し始め、水の経路をコルベールに任せる
暫くすると、低い水温と気化熱で工場全体が冷され、涼気が漂って来る
「はぁ〜涼し。あんた、何で最初からやらないのよ?」
汗を拭きつつ、エレオノールが入って来て苦情を言うと
「平気だったからな」
「あんたの感覚に合わせるな、この馬鹿!!他の職人も全員へばってたわよ!?」
「あらま、職人の癖にだらしない」
「い・い・加・減・に・し・ろ・!!」
才人の後ろから組み付き、チョークスリーパーを極めるエレオノール
「ちょっ、入ってる入ってる!!」
「平民は一度死ね!!」
「旋盤見なきゃ、旋盤」
「うるさい!!回転数低いんでしょ?どうせ、一時間暇なんでしょうがぁ!?」
要は、放っておかれると暇だから、相手しろとのお姫様の要求である
水車動力の旋盤やフライス盤を作ったは良いが、トルクと加工精度の悪さの関係で回転数を下げざるを得なかった訳で、それに合わせて加工時間が跳ね上がるが、その分を錬金発動バイトが一気に削り出す為、トータルで見ると、日本の加工速度とどっこいである
その為、加工の終了迄の時間が空くが、才人は作業状態をチェックする為に、付きっきりだ
何せ、他に判断出来る人間が居ないからだ
状態さえ良ければ、他の職人に渡して次の棟に向かう予定である
「はいはい、確かに暇な時間は有るけどさ」
そう言って才人はエレオノールに振り向くと、エレオノールはすらりと服を脱ぎ、宣った
「か、川の水で拭き取りなさい、汗で気持ち悪い」
「ふぅ、了解」

*  *  *
才人の活動は着々と職人に作業を実演した後はマニュアル込みで受け渡し、旋盤でのピストン切削とピストンピン、クランクシャフトのピンを全て削り出す作業を任せるに至った
クランクシャフトの製作に才人は非常に悩み、最終的に採用したのは、材料は脱炭した粗鋼に炭を入れて調質した鋼鉄を用いて、グラモンでパーツ事に用意
モンモランシに舟で運搬して加工、分割した部品を炎の錬金で融合した後、グラモンに戻して釜を一つ焼鈍炉にして、バイメタル温度計を用いて温度管理しながら焼き鈍し
更に油を用いて焼き入れした後焼き戻し、ダイヤルゲージで振れをチェックし、ゴーレムプレスで変形を除去するといった、荒業かつ非常に時間の掛かる手段をとった
組み立て治具は、才人が組み、エレオノールが錬金で合わせる手製で有る
出来る人間は限られるが、職人はその気になれば、糸とスコヤ(直角定規)で三次元の寸法取りを、コンマ代で可能だ
才人が日本でそれだけ働いてた証明であり、この業を見た職人達は唖然とし、かつ呆れ、更にエレオノールの献身振りに驚く
最終的には鋼鉄の鋳造品に移行する積もりだが、現行としては此が限界であると判断した
なんせ、粗鋼と軟鋼、真鍮に青銅に鉛、亜鉛に錫、鋼鉄に鋳鉄生産と各種銃砲と砲弾、ピストンとエンジンブロックと、ラ=ロシェール共々製鉄所は一杯であり、炭素含有を下げた特殊鋳造に迄挑戦出来る程、余裕が無い
基礎棟では、作業部品を着々と試作並びに製作しているが、現時点でボール盤とグラインダが精々で、旋盤等のチャックは製造出来ていない
その為、回転テーブルに錬金で融合し、寸法が出たら、ワークを麻縄で吊りつつ、融合部分を突っ切りバイトで切り落とす方式である
回転数が低いから出来る加工方法だ
メイジはモンモランシ伯のお抱え騎士を借りて、才人、エレオノール、コルベールは次なる製作に着手する
そして、出兵令は才人の周りでも影響が出た
ギーシュとキュルケの志願である
キュルケは母国に戻って志願し、現在トリステインから離れてる最中
ギーシュは女を隠して志願し、軍に行ってしまう
どうも、グラモン伯がセックスチェックのみ、手を回したらしい
「才人君、そろそろ資金が尽きそうだ」
口座残高を手紙で確認したコルベールが渋い顔をする
あの時以来、レポート提出はしているが、現時点で政府側が有用と判断出来るかどうか解らない、摩訶不思議道具ばかりで、収入に繋がっていないのだ
分室化されたモンモランシ伯の才人の部屋で、図面と書類の束にどっさり積まれた状態で、三人が顔を合わせている
「エレオノールさんは?」
「私の分を差し出せって言うの?」
「違うよ、個別に色々と取り寄せてるだろ?そっちの方」
「私の方も尽きそうよ」
「このままじゃ、資金ショートで終わりだ、才人君」
才人は顎に手を持っていき、暫く黙考する
「仕方ない……武器と魔法通信機、其に魔法パラシュートを開発する」
「武器?」
コルベールが聞くと、才人が頷く
「具体的にはマスケットライフル、銃剣着きで。その後は、後装式シングルアクションに換装出来る様に、セパレートタイプで生産する」
そう言うと、紙を取り出し銃身にライフリングされたマスケット銃のイラストを書き
更にグリップが折れて、そこから薬莢を挿入するイラストを書く
「ライフリングか。確かにハルケギニアでも有るには有るが、強力なのか?」
コルベールが疑問を呈すと、才人が答える
「詳しいのは俺も知らないですけど、貫通力、弾道の安定により命中精度の向上、射程距離が伸びます」
「…成る程、銃士隊に買わせるのと、銃兵に納入出来れば、収入が入るな。そう言えば、才人君は擲弾は知っているかね?」
才人はその問いに、ワンテンポ遅れて反応する
「……擲弾って、あれか?グレネード?」
「その通りだ。戦列銃兵が戦術として登場してからはさっぱりだが、平民歩兵がメイジに手軽に対抗出来る武器として、使われていた。今の大砲の榴弾の原形だ」
才人はその説明を聞き、以前に持ったM72ロケットランチャーのデータを思い出す
「あぁ、そういやロケットランチャーも種別は擲弾だな。ん?待てよ?なら発射手段があれば、マスケットでもグレネードが撃てるのか?」
コルベールが頷く
「その通りだ」
才人のイラストに短銃のイラストを追加し、先端にソケットを付ける
「こうやって、空砲を撃てば良いだろう」
才人達の議論にエレオノールが疑問を出す
「で、どうやって加工するのよ?」
「それはこう」
才人がイラストを書くと、コルベールとエレオノールが頷き、更に指示を出す
「じゃあ、コルベール先生はコイツを基にマスケットライフルの開発。エレオノールさんは魔法通信機と魔法パラシュートの開発、俺はエンジンの組み立て。手伝いが必要なら言ってくれ」
がしり
両脇から才人が抱えられ、才人が焦る
「…何?」
「才人君。螺旋角度の検証は、零戦の機銃を参考にしたい、付き合ってくれ」
「あんたの事だから小型軽量を売りにしたいんでしょ?ちょっと付き合いなさい」
「…俺の仕事は?」
「金になる方が先よ。馬鹿平民」
「その通りだ。才人君」
「それもそうか」
才人は職人達とモンモランシーに出張を伝えると、竜籠で三人一緒に飛び出した

*  *  *


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Last-modified: 2011-08-17 (水) 21:02:48 (4636d)

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