X4-633
Last-modified: 2011-08-24 (水) 19:57:28 (4629d)

才人達とコルベールが再合流したのは、別れてから一週間後だ
その間に、エレオノールは才人の上で堂々と寝る様になり、研究室は研究室特有の匂いに加え、エレオノールの淫猥な匂いがこびりつく様になる
夏で有る事も重なり、エレオノールは二人きりだと、シャツに下着のみで研究室内を徘徊し、ワイン片手に作業し、ふらつくと才人に支えられつつ顔を胸に埋めるといった、ルイズと全く同じ行動を、色気全開で行う
「あのね、エレオノールさん」
「何よ?」
理知的な眼鏡の美しい女性が、はだけた裸シャツにセクシーショーツは男の夢では有るのだが、当然の如く誇示されては有り難みも減る
とは、何故かいかないのは、本人の雰囲気と研究室という環境のお陰だろう
ちなみにショーツには、常に染みが付いている
精液と愛液が混ざったもので、エレオノールはそれを何とも思わない
「淑女の身だしなみはどうした?」
「別に良いでしょ?暑いし、薄手の着るものなんか、後はネグリジェ位よ」
ルーンの研究書を才人が読みながらも、ついつい魅力的なお尻がひらひらするのに目移りし、エレオノールはふんふんと鼻唄を唄いながら、あ〜でもないこ〜でもないと、魔法無線と魔法パラシュートの開発を素材を錬金しながら行なっている
マイク等の振動子は薄い紙が良いと才人に聞かされ、その通りにしたのだが、魔力経路と発動素体の選択に苦労してる
「無線機みたいに、被覆銅線で良いんじゃ?」
「出来ればやってるわよ、この馬鹿。銅線に被覆が上手くいかないのよ」
「銅線の周りをゴムで錬金して埋めちゃえば?それを銅管に通せば、フレキシブルマイクになるだろ?」
「……成る程。ちょっと試そ……魔力足りない」
何故か才人の目の前に尻が現れる
「おい、今日は大して魔力使ってないんじゃ?」
「魔力足りな〜〜〜い」
「…嘘だろ?」
「精神力も足りな〜〜〜い」
尻が降られて、更ににじり寄って来る
「……デルフ」
カチッ
「………ぐすっぐすっ。俺っちなんざ所詮剣だもん。娘っ子達と違って相棒の相棒斬るしか出来ねぇもん。きっとおいらはこのままずっと鞘の中で暗いまま一生を過ごす…」
「デルフ!」
「……およ?相棒久しぶり。いやぁ、子作りばっかで、俺っちの事完全に忘れてたと思ってた」
才人が椅子の側に立て掛けてたデルフに手を伸ばして、そのまま鯉口を切ると、デルフが完全に拗ねている
「てめ、それよりエレオノールさんの魔力が足りないって、本当か?」
「え?あぁ、本当よ本当。もう全然足らない、すっからかんだぁね。こりゃあ、相棒が一発感情を跳ね上げてやげないと駄目だぁね」
全てを棒読みで語るデルフ
才人には魔力が感知出来ないので、胡散臭げだ
あくまでガンダールヴの状態は、魔力による物理現象の変化を感知する
魔力そのものは、物理現象のレベル迄変化されないと、才人には判らない
そして、このデルフリンガーという剣は、色事に対しては、絶対に才人の言う事を聞かない
「本当かぁ〜〜〜〜?」
「ほぉら、ボロ剣も無いって言ってるでしょ?」
実際に杖を握ってひらひらさせて、髪が逆立たない事をアピールするエレオノール
「だって、さっきやったばっかり……」
「あ、モンモランシ伯の令嬢から貰った香がこんな所に、勿体無いから使わないと」
その瞬間、才人は尻にむしゃぶりついた
「あん、平民って、本当にスケベね。わ、私みたいな大貴族に、ふぅ、こんな格好させて、あっ、こんなに求めて、は、私を犯しまくって、はっはっはっ、酷い……男」
『香焚かれたら、俺が悲惨だっての』
モンモランシ伯邸にて、エレオノールの魔力でサイレンスとロックをされ、モンモランシーとエレオノールに香を使われた時は、朝にはぶっ倒れてしまった
魔法がある為、ハルケギニアの貴族は手加減を知らないらしい
栄養剤と疲労回復薬で強制的に復活し、仕事をした後は昼休みにはへろへろだった
最も、その日を境にエレオノールの魔力と精神力は充実し、コルベールが目を見張り、こう聞いたのだ
「今のミスヴァリエールの魔力の充実。何かあったのかね?」
「えぇ、ちょっと」
艶々した肌に手を添えて微笑むエレオノール。普段の険しさが和らいでいる
「仕事に於いて良好な結果が出せるだろう。その状態を維持出来るかね?」
「勿論、ちょっと新しい健康法を覚えまして」
「では、その方法を実践したまえ。ちなみにどういう健康法か、興味が有るのだが?」
「残念ながら女性限定でして、ミスタにはお教え出来ません」
「むぅ、そうか。では才人君、今日も分担の作業を頑張ろう、では」
コルベールが去ると、才人は深い深〜〜〜い溜め息を付き、エレオノールがトドメを刺した
「ですって。あんたの精は、私の魔力に変換されるみたいね。宜しくね、魔力樽」
「……はい」
幾ら美味しくても、食べても食べても無くならない饅頭は、とっても怖い
でも、美味しいから、ついつい手が伸びてしまう
『美味とは毒の代名詞じゃないのか?』
そんな事を考えつつ、エレオノールのショーツを下げると、染み一つ無い白い肌に腰から尻、更に太もも迄のラインの造型美、桜色の突起がツンと主張し、才人と関係してから、閉じてた割れ目が薄くぱくりと割れ、中の桜色から入り口の部分からの粘液でぬらりと光り、その匂いと共に才人を蠱惑し、白い乳液が入り口からとろりと垂れて官能的だ
ぬちゅっ
「……はぁ!?」
才人がそのまま挿入すると、エレオノールがガクガク震えて反応する
「お……エレオノールさんてさ、無理矢理やられるの好きな」
ズチュズチュ
才人がのしかかり、机に伏せたエレオノールの身体を後ろから非常に強く抱き締める
「あ゛あ゛、へ、へいみんに、お、おかされ、ん゛〜〜〜〜〜!?」
才人が後ろから強く抱き締めながら長い髪を顔で掻き分け、うなじにキスするとエレオノールが嗚咽を洩らしながら痙攣し、才人を強烈に吸引する
その快感に堪らず、才人はたっぷりと射精する
ビクッビクッ
お互いに掛ける声は既に尽き、才人はまた動き始めると、エレオノールが嗚咽を洩らす
「や、や゛ぁ。へいみん、やりすぎ。わ、わだじ、ひぃぅ!?」
「な、何言ってんだ。ずっと……締め付けやがって。此じゃ……萎えね」
「やぁ、何もしてない。してないから、や、優しくぅぅぅ!?」
エレオノールの誘いに負け、才人はまた吐き出す
お互いがそのまま硬直し、才人がエレオノールの身体に預けると、エレオノールは角度を合わせて抜けない様にし、そのまま呼吸を整える
「ふぅ、ふぅ」
「もう良いか?」
「…お腹空いた」
「そいや飯の時間だな」

*  *  *
夏休みでも研究が詰まっている人用に、アカデミーの食堂も小規模ながら開いている
留守番で守る衛兵に提供する為、コックは必ず一人は居るのだ
そんな中、エレオノールと才人は食堂に降りると、先客が居た
「あらお二人さん。ボンジュール」
「やだ、ヴァレリー、まだ居たの?」
「いやぁねぇ。いつお呼びがかかるか、研究そっちのけで待ってたのに、酷い言い種ね」フォークを振り回して主張するヴァレリー
すると、エレオノールが反論する
「あんた、研究進みまくって余裕でしょうが。旦那の所に帰んなさいよ」
「それが家の旦那、志願したせいで家に居ないのよ。今度の戦で手柄立てて来るって、大張り切りで。こうやって、後ろで働く手段も有るのにねぇ」
「要するに、暇だから居ると?」
才人達が隣席に着き、才人が口を挟むと、ヴァレリーが頷き
「だって、おぼこだったエレオノールが、どんな顔してやってるか、興味津々じゃない?」
「ああああんたね」
エレオノールがどもると、更にヴァレリーが喋る
「そしたらさ、もうすんごいのなんの。猿って言って良い?プックックックック」
身体を震わせるヴァレリーに、真っ赤になって睨むエレオノール
「あ、あんたまさか盗聴!」
「平民に犯されて、私もう駄目」
「い、言うなぁぁぁ!!」
「魔力足りな〜い。精神力も足りな〜い。平民、補給しなさ〜い」
「ヤメテ〜〜〜〜〜!!」
思わずヴァレリーの首を締め、ガックンガックン揺らすエレオノール
「…デルフ」
カチッ
「おいよ」
「てめぇ、何で黙ってた?」
「聞かなかったからぁな」
そのまま刀身を震わせるデルフ。こちらも完全に笑っている
才人は持って来られた食事を前に、ポーカーフェイスを保ったメイドに感心しながら、両手を合わせた

*  *  *
コルベールは機銃を参考に螺旋角度を選定すると、時計職人にリンク機構を依頼し、それを基に基礎棟で作業している職人に渡して、一気に作り上げる
エレオノールの竜籠を使った移動で、才人達は零戦だ
コルベールもエレオノールの心情に気付いた為、本当は零戦に乗りたいのを我慢して、エレオノールに譲っている
「全く、才人君はモテるな。あれだけ仕事が出来て、更に強いのでは、仕方がないがね。祖国で全くモテなかったと言うのが、信じられん」

グラモンで新設計マスケットの銃身を受け取ると、敷地でグラモン伯軍の志願者達が、グラモン伯ジョルジュとグラモン伯騎士団の下訓練を行っており、更に志願者の列がとくとくと続いている
「せめて、彼らが無事に帰ってこれるなら、少しは贖罪になるのだろうか?」
コルベールの問いに、答える者は居ない

*  *  *
才人達はアカデミーの研究室で試作品とにらめっこをしている
左耳にかける形で、マイクとスピーカー部分にアンスールの刻印が打たれた物で、兜の下にも納まるコンパクトタイプと、腰ベルトに吊るす真鍮製ホルスターに、ウィンの刻印がされた硝子玉が収まっている
物自体は、5サント四方だ
「レビテーションシュートか」
「えぇ、緊急時に硝子玉を叩くと割れて、中の魔力が開放して作動するの。竜騎士の限界高度の4000メイルからの落下を緩和する。例えば直接撃墜された時の衝撃だと自動作動するわ。そうじゃない時は、ホルスターの蓋にに割る為の石が付いてるから、上から叩けば大丈夫」
「ヒュ〜、お見事。こっちは?」
「あんたのイラスト参考にして作ったわ。この耳の所が魔力カートリッジ。ここにカートリッジを挿入すれば作動可能よ。込めた人のクラスで、効果範囲が変わるわ。試しにドットの留守番の事務職に頼んで見たから、ちょっと試しましょ」
「あぁ」
二人して塔外に出て確認し、有効範囲を確認する
「今、500メイル。どうだ?」
《聞こえてる…ジッ》
ノイズが入るが一応クリアだ
「550メイルだ」
《…ザァ》
才人の呼びかけに無線は反応せず、才人が手を振ると、エレオノールが×をする
どうやらドットで500メイルが限界らしい
そのまま合流し、カートリッジをエレオノールの魔力カートリッジに換装し直して再テスト
「今、2リーグ」
《ばっちりクリアに聞こえるわ》
更に距離を伸ばすと
「2.5リーグ」
《聞…ザッ…える》
「駄目だな、合流しよう」
《な…ザッ…な…て?》
才人が歩きだすと、気付いたエレオノールも歩いて合流する
「遠話の魔法の方が、効率良いわね」
「誰でも使えるし、魔力の消耗考えたら良いだろ?その分他に使える」
「その通りね。じゃあ、此でいきましょ」

*  *  *
才人達がモンモランシ伯邸にて合流した後は、コルベールが銃身に普通の銃床を取り付けて、銃剣とソケットを着脱式にした物を才人に渡し、才人達は通信機とレビテーションシュートを提示して、
お互いの成果を示し合わせる
「才人君、ライフリング加工は苦労したよ」
「ちょっと見せて下さい」
才人がマスケットライフルを手に取り、ライフリングとフリント(火打ち石)が付いて無い撃鉄を確認し、更に銃剣と一体になってるソケットをはめてみる
すると、ルーンが光りだし、才人にマスケットライフルの性能が入って来る
「ヒュ〜。コルベール先生中々。最長射程300メイルだってさ。擲弾は〜、射程50……は?何で二種?」
「あぁ、通常弾と対メイジ弾だよ、才人君」
「成る程ね」
そして、一度銃剣とソケットを外し、才人がフリントを組み込み、薬包を開き、火薬を注ぎ朔杖で詰め、弾を込める
「エレオノールさん、ブレッドを打ち上げて、距離300」
「解ったわ」
エレオノールがブレッドを詠唱し、空中に礫を打ち出した
其に照準を定めて才人が引金を引く
火皿にフリントが擦れ、火花が発生した瞬間に火皿の蓋が閉じ、火花が中の火薬に誘導され、引火する
ダァン!!
空中で礫は木っ端微塵に砕け、狙いが正確な事を証明する
「オッケー、狙撃可能だね」
「……才人君のルーンが有るとはいえ、あんな小さい的に当てるとは……」
「ライフリングのお陰で、弾道が安定してるよ。さて、次は擲弾」
才人が火薬を装填した後、擲弾をソケットにはめ、腰だめに構える
「……駄目だ、銃床の長さが足りない。弾丸に比べて、反動が強い。銃床をライフル用にしないと……」
撃つ前にそう言って、引金を引く
ドシュッ!!
鈍い音を響かせ、50メイルに付近に到達すると、擲弾が破裂する
バァン!!
「どうやって炸裂させてるんだ?」
才人が疑問を呈すと、コルベールが答える
「発射時の衝撃で、時限式の着火が発動する様になってる。対艦ロケット弾と原理は一緒だよ」
「成る程、魔法遅発信管使ってるのか。対メイジ弾はと……」
才人がそのままメイジ弾をセットし、反応方法を聞く
「此方は空飛ぶ蛇君と一緒?」
「その通り。但し誘導機能はないがね」
「エレオノールさん、同じく距離50」
「了解」
エレオノールがまたブレッドを詠唱すると、才人は礫に向かって打ち出した
ドシュッ!!
ブレッドには当たらないが、魔力に反応した擲弾が炸裂する
バァン!!
至近で巻き込まれた礫が、粉々になるのを確認する
「そして、此方が短銃だ」
才人が短銃を握ると、そのまま無言で火薬と弾を詰める
「大丈夫だね、射程100メイルって所かな?」
エレオノールはそのまま詠唱し、打ち上がった礫に才人が片手で構えて引金を引く
ダァン!!
また粉々に砕かれ、才人は頷いた
「オッケー、コイツなら一発で払ってくれるでしょ?アニエスさんに試験して貰おう」
才人の言葉に二人は頷き、コルベールが開発したライフリング専用ゴーレム式縦型シェーパー、お辞儀する蛇君を見て、二人して笑い転げた

*  *  *
才人達が王宮に出向き、アニエスに面会を求める
そして暫く待っていると、アニエスの代わりにミシェルが出て来た
「隊長は警らに出ているから不在だが、何か用か?」
「あぁ、ちょっと新武器の試験をお願いしようかと。銃士隊用だからね」
そう言って、才人はマスケットライフルを見せる
「ほう、新型銃か。試験は私でも構わないか?」
「きちんと評価してくれるなら構わないよ。出来れば隊長格に立ち会って欲しいけど」
「解った、ゼッザール殿に立ち会って貰う。来い」
踵を返したミシェルに、才人とコルベールは付いて行く
エレオノールは書類作成と雑務で居残りで、コルベールは零戦に乗ろうとしたが、トリスタニアに着陸スペースが無い為に、竜籠での移動に収まった
流石にトリスタニア郊外に零戦を放置は、色々と問題があるのはコルベールも承知している
才人達が案内されたのは練兵場で、訓練をしている銃士隊の隊員達の銃声が響いている
パパパパーン
才人達が見ていると、やはり命中率が悪い
そこに、ゼッザールがやって来た
「息子よ、久し振りだな」
「隊長殿、久し振り。何時も王宮は駅扱いだからね」
「ハッハッハ。お陰でゼロ機関用の発着場が出来た位だ。で、今日は近衛隊長に用が有ると聞いたが?」
「あぁ、新型銃他の試験評価をお願いしたいんだ。出来れば量産買取りも。資金が底尽きそうで」
「ほぅ」
才人がおどけて言うと、一気に目が細くなるゼッザール
評価試験となれば、話は別になる
「息子だと、ルーンの関係で正しい評価が出来ないな……ミシェル、銃士隊の標準的な腕前の銃士を用意してくれ」
「ウィ」
ミシェルが訓練を行なっている隊員達に号令を掛け、何人かを連れ出して来る
そして、試験評価が始まった
銃声が鳴り響き、銃床を長くしたマスケットライフルの命中は安定し、より標的が狙える事を確認される
次いで、才人が使い方を教えて擲弾も使われ、その威力が確認されると、同じ様に目を見張る
「まさか、時代遅れの擲弾を、使える様にするとはな」
ゼッザールが驚き、ミシェルが進言する
「銃兵が集団で用いれば、メイジに匹敵出来る破壊力が出せます。但し、少々反動が強い様です」
「この脇に抱える形の銃床が、低減させてるのだな」
二人が試験を終わらせたマスケットライフルを見て、意見を交わし、更に銃剣に付いて尋ねる
「このベイアネットだったか?銃に剣が必要か?」
「えぇ、必要ですよ。俺の国じゃ、長銃には必須装備です。近接時に、わざわざレイピア抜かずとも、槍として使えます」
そう言って、才人がマスケットライフルを掴むと、素早く振り回してゼッザールの喉元に突き付ける
「成程、短槍扱いか」
二人が頷くと、そのまま無線と脱出装置の試験に入った
結果は後日と伝えられ、二人はまた舞い戻る

*  *  *
「才人君。どうだと思うかね?」
「さぁ、多分予算と相談ですからねぇ。どうでしょ?」
才人達がモンモランシ伯邸の部屋に戻ると、エレオノールが図面とレポート書類に埋もれていた
「お疲れ、エレオノールさん」
「どうだった?」
顔を上げず、ガリガリと書いていくエレオノール
「性能は上だって認めてくれた。後は予算になると思う」
「なら大丈夫ね」
そう言って、手紙を出すエレオノール
「悪いけど見たわ」
「あぁ」
才人が手紙を見ると、マザリーニからの礼文が入っている
「へぇ、国家予算三倍か」
「その予算の内、1.5を今回分に支出。残りを5年を掛けて出すって。遺族年金の積み立ても有るけど、大丈夫だろうって書いてるわ」
「じゃ、買取りしてくれるかな?」
「でも、製作工程増えてるから、高くなってる分をどう見るかよね」
流石に、そこまでは才人達も判らない
「で、図面の複写も届いたわ」
そう言って、エレオノールが才人に図面を渡す
「…ドラフターと作図道具はどうした?」
「私がコピーした奴を、説明書と一緒に送ったわ」
「カトレアさんに、礼を言わないとなぁ」
才人が頭をがりがりしながら呟き、エレオノールが応じる
「私から言っておくから良いわよ。良い?平民。カトレアには絶対に会っちゃ駄目」
流石に才人がキョトンとする
「はぁ?ヴァリエールにも用事有るぞ?いつ行こうか迷ってる位なのに。礼位言わせてくれよ」
「カトレアは病気がちなのよ。興奮させちゃ駄目。お客来たら、張り切っちゃうのよ」
才人も渋面を浮かべる
「…そうなのか。でも、カトレアさんも美人なんだろうな。長女と三女が滅茶苦茶美人なんだし、見てみたい」
「だから駄目」
「はぁ?」
才人はエレオノールの断言に頭を傾げ、そのまま進行度の報告と打ち合わせに入った

*  *  *
エンジン部品の試作が一通り終わり、才人達が組み上げ、配管を組み、ボイラーと給水槽、水平対抗2気筒エンジンブロックが接続され、工場で職人達とモンモランシ伯とモンモランシー、其に手伝ったメイジ達が不測の事態に対応する為に待機している
水平対抗なのは、クランクシャフトの短縮化により、加工短縮が目的である
才人が火室に繋がってる給炭機からランプ油に浸けた石炭を放り込み、魔法ではなく松明を用意して火室に同じく放り込み蓋をする
そして、吸気弁と熱伝導調整弁を操作し、火室の硝子窓から燃焼状態をチェックする
観察してると、油から石炭に燃え移ると火力が増し、赤から橙色に炎の色が変わり、熱交換器から水が沸騰して音がなる
シュー
そのまま暫くすると、一次側配管の圧力計が動き出し、1キロ平方サント(≠1kg/cm2)に達する
直径300ミリメイルのピストンに、2800キロの荷重がかかり、十字経手、コンロッド、クランクシャフトと動力が伝わり、300ミリのストロークでゆっくりと回転を始め
同時にロータリーバルブがバルブシャフトの元、ギヤにてクランクシャフトから動力を提供され開閉を始め
オイルラインに軽油に鉛と炭素と硫黄を含有させた潤滑油が走り始めて、潤滑を始める
そして、フライホイールから動力を提供された吸気ファンが回り始め、吸気を加圧し空燃比が変わり、オレンジから白、白から青に炎が切り替わる
才人は給水槽余熱バルブを開放し、給水槽を蒸気加熱して氷結を融解するのを確認してから再度閉鎖
青い炎になった途端、一気に燃焼レベルが上がり、沸騰量が跳ね上がり、一次圧力が上昇して、一気に回転が上がり、水位が下降すると、クランクシャフトから遊星歯車で接続された給水ポンプが作動し、余熱機構を通過した後給水され、沸騰する
仕事で使われた蒸気は、一度エンジンブロックのオイルタンクを通過し油温を一定温度にし、始動初期は加熱し、エンジンが過熱すると逆に冷却を行い、給水槽前に冷気魔法付きラジエターを通過した後、冷気魔法付き給水槽に水として戻る
才人は更に吸気ファンのピッチを弄り、スロットルを連動にリンクし、調節すると皆に振り向いた
シュンシュンシュンシュン
エンジンがアイドリングで安定している
「始動、成功です」
「「「「いよっしゃあ!!」」」」
製作に関与した職人達が手を突き上げ、歓声を上げる
才人はそのままチェックをしたのだが、二次圧力を見て眉を潜めた
「一次圧が5キロなのに、二次圧が1キロ?駄目だ、20%もロスしてる」
「問題なのかね?才人君」
コルベールが尋ねると才人は頷く
「えぇ、常用圧力で50キロ、最大200キロで設計してるんで、10キロ〜40キロのロスになります」
「絶大な損失だな」
コルベールも頷いて、才人は一旦スロットルを全閉し、吸気ファンも全閉して機関を停止させ、モンモランシ伯に声を掛けた
「すいません、モンモランシ伯。冷気魔法で強制冷却お願いします」
「何か解らんが承知した」
待機してたメイジ達が一斉に魔法を詠唱し、重ねがけされた機関が凍りつく
「スンゲー冷却法だな……よし、一次圧0.1、配管温度40℃。エレオノールさん、配管切り替えだ。来てくれ」
「えぇ」
エレオノールが才人の側によると、配管の切り替え作業が始まった
片方の排気管を片方の吸気管に接続し、開いた部分は閉鎖する
「ちょっと、不格好になっちまったな。まぁ良いや」
そして、そのまま再始動を行う
今度は力の掛かり方が変わった為、音の強弱がつき、エンジンブロックが振動する
シュンシュン、シュンシュン、シュンシュン
「配管が一次二次三次か………一次5キロ、二次1キロ、三次0.2キロ……良し。一次温度500℃……蒸気加熱良好、三次温度110℃。油温115℃。120rpm。まぁ、こんなもんかな?」
配管を保温してない為に、熱気が籠ってくる
才人はスロットルを全開にすると、燃焼レベルが上昇し、回転が上がる
シュシュシュシュシュシュ
「………おぉ、やっぱり補機だと一気に上がるな。50キロ、1300rpm。まぁ、断熱してないからな。良くもまぁ、出来たもんだ」
フライホイールの回転の速さに全員が目を見張る
「才人君、今度こそかね?」
才人がスロットルを全閉して消火し、一次圧が10キロ迄下がった後、緊急停止用ブロー弁を開放し、機関が停止し、ラジエターから熱気が吹き出す
ブシュー
全てのバルブは円筒型のロータリーバルブであり、ボールバルブは加工精度の関係で、使われていない
「えぇ、今度こそです。エンジン製作成功。全員、打ち上げだ!!」
「「「「うぉ〜〜〜〜〜!!」」」」
ゼロ機関のエンジン製作成功に沸いたモンモランシ伯邸は、その日、ドンチャン騒ぎを行い、えらい騒ぎになった
テストしたのは製作のし易い補機であり、後は12気筒の主機を製作して、艦艇に搭載するだけだ
自分達が作った物の未来が、目に見えるカタチになって現れた
この日、ゼロ機関は名実共に実績を叩き出したのである
長い夏休みが、既に一ヶ月以上過ぎていた

*  *  *
騒ぎになった宴会場で、才人は程々に参加した後は、自室に引っ込んだ
其を見咎めたのは、才人の動向を監視してた三人だが、その内の一人、コルベールは職人達と乾杯するのに忙しく、後を付けたのは二人だ
「ちょっと、仕事の話よ。引っ込んでくれない?」
「此所は私の家。文句言われる筋合いは無いわ」
「フン」
お互いに顔を背けつつ、 才人の部屋にノックも無しで二人して入る
ガチャ
「何で一人で飲んでるのよ、平民」
「あぁ、エレオノールさんにモンモンか。ちょっとな」
図面を片手に見ながら、ベッドに背をもたらせ酒を煽る才人
書類は整理されてるとは言え、大量だ
才人は書類管理は得意でない事が判明してる為に、エレオノールが全て管理している
コルベールもどちらかと言うと、書類管理は得意で無い為、必要なメモすらすっ飛ばして、探す場面に遭遇している
「もう、今日の主役は「俺じゃない。無茶な注文に頑張って従った職人達だ」
才人は全部聞かずにエレオノールの言葉を遮り、エレオノールは渋面をする
「でも、才人が居たから出来たんでしょう?」
「まぁな。でも、良かったかどうか、未だに解らねぇ」
「解らない?」
才人の側に二人共に腰掛け、話に耳を傾ける
「俺は、パンドラの匣を開いちまった」
「パンドラ?」
エレオノールがワイン片手に問い返し、才人が頷いて瓶を煽る
「俺の国に伝わる寓話でね、神が取り除いたあらゆる災厄が詰まってる匣を、一人の少女が開けてしまう話さ」
「「……」」
「ありとあらゆる災厄の最後に出てきたのは、希望だって話だ」
「才人がしたのも?」
「あぁ、多分災厄と希望を撒き散らしたって事だ。あの技術は本当に応用出来てね。色々な物に搭載出来る。世界を文字通り、ひっくり返す技術だ」
「どれ位凄いの?」
モンモランシーが聞くと、ワンテンポ遅れて才人が答える
「…下手すれば、貴族制度が終わる」
流石に二人が息を飲む
「そんな事有る訳……」
貴族の世界にどっぷり浸かってる二人には、考えつかない
「俺の国の史実だよ」
「…でも、私達には始祖ブリミルから続く血統が有るのよ?」
エレオノールの疑問は、そのまま貴族制度の肯定だ
6000年続いた物が、あれだけの新技術で、ひっくり返るとは思えない
「だからだよ。この世界の歯車のペースを無視して、俺は異端として、異端の技術を自分自身の利益の為にばら蒔いた。ツケは、いずれ払わないと駄目だろうな。どんな形になるかは知らないけど」
くいっと瓶を傾け、煽る才人
「俺は形有る災厄に、今日なっちまった。二人共、俺に依存すると後悔するぞ?」
格好付けた積もりの才人の頬っぺたが、両脇からくにっと引っ張られる
「あだだ、なんれ?」
「ご高説どうも、平民」
「全く、本当この鈍感は駄目駄目ね」
二人して深呼吸した後、才人に捲し立てる
「言っておくけど、もうたっぷり、毎日毎日後悔しまくってるわよ!!何でこんな平民にこの私が、ヴァリエールが他の貴族の子女と同じ扱いされてる訳?あんた、いい加減にしなさい!!」
「あら残念。私は才人と一緒なら、断頭台にも付き合うわ」
才人が二人の答えを聞き、溜め息をつく
「……ふぅ、女のコの方が、肝据わってるよな……色々と考えてるのが馬鹿らしくなる」
「考え事は終わり?」
そう言って、エレオノールが図面を剥ぎ取ると、モンモランシーがいつの間にか香に火を灯している
そして、エレオノールがロックとサイレンスを掛け、デルフと村雨がクローゼットに押し込まれてロックされた
「あ、酒迄持って、むぐっ」
モンモランシーが才人から瓶を奪って口移しで飲ませ、エレオノールが才人のズボンを脱がせに掛かる
そして、香の薫りが充満し始め、三人が獣になるのに、時間はかからない
「ハッハッハ、ハヒッ!?」
才人の刺突にモンモランシーが喘ぎ、痙攣しつつ才人の射精を受け入れ、そのまま果てる
「ふぅ、ふぅ」
にゅぽん
抜いてもそのまま反り返る物を、隣で息を絶え絶えにしてるエレオノールにそのまま挿入する
にゅる
「あぁぁぁ!?平民、へいみん。いやぁぁ!?」
口ではいやいや言いつつ、腰を押し付けて喘ぎまくるエレオノール
香を焚かれてしまうと、全員コントロールが効かなくなり、延々とまぐわい、愛し、愛される
身体が貪欲に、底無しに、目の前の異性を求め、求められる事に歓喜する
モンモランシーがエレオノールに取引を持ち掛けて以来、こんな事が続いている
才人としては、嬉しいやら大変やらいつバレるやらで、大変生きた心地がしない
「へいみん、へいみん」
エレオノールが両手を上げて抱擁を要求し、才人がそのまま身体を預けると唇を重ねる
クチュ、クチュ
唇から音が漏れ、エレオノールがそのまま才人の頭を抱え、脚が才人を絡めて離さない
才人が我慢出来ずに何度目か解らない射精をし、身体を震わせてると、エレオノールは構わず唇を貪るのを辞めない
「ふ〜、んん」
正直疲れる。だが欲求は底無し
すると、段々お互いが最小限の動きで求め始め、会話も無くなる
やっと満足したエレオノールの唇が離れると、才人はそのまま体位を入れ替え、自身が下になる
移動で繋がってたのが離れて、すかさずモンモランシーが横から身体を乗せ挿入し、エレオノールの身体がずれて才人の横になり、そのままゆっくりと動く
「今夜は……このまま……」
「…あぁ」
貪欲に貪った三人に睡魔が襲い、そのまま微睡みに身体を預けた

*  *  *


URL B I U SIZE Black Maroon Green Olive Navy Purple Teal Gray Silver Red Lime Yellow Blue Fuchsia Aqua White
トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2011-08-24 (水) 19:57:28 (4629d)

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!