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それは蒼から始まった物語 (8):観察者 1 バレット氏
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『ひゃふぅっ・・・!ダメです、サイト兄様っ!』
『なーにがダメなんだよテファ?コッチの方はもうぐしょぐしょになって喜んでんじゃんか』
『ひんんっ、入り口引っかかないでぇ!』
「あのバカが・・・・・んん・・・・また調子に乗って、んむっ・・・」
『やああああっ、お兄様、胸の先そんなに引っ張ったらあぁっ!』
『テファ、そんな声出すとここの外にまで聞こえて誰か来ちゃうぞ?』
『いや、でもぉ、それはお兄様が、ひむぅっ、いひわるするからぁ・・・・・』
「もう盛大に聞こえてるよ。ん、ったく、私が見張ってなかったら、あぁっ・・・・とっくの昔にバレてるよ・・・・・っくぅぅ」
石畳の廊下に座り込んだ・・・いやへたり込んだ女性の恨み節交じりの呟きは収まらない。
いや、収まってはいけなかった―――罵りを止めてしまったらそれこそ、唇から漏れるのは押し殺した嬌声だけになりそうで。
「こんな昼間っから・・・・くぅぅ!・・・テファ連れ込んで―――んくん!――――発情期の竜みたいにさ!・・・・・む〜〜〜〜〜〜ぁっ!」
何だかさっきよりも愚痴が途切れ途切れになって、甘い甘い鳴き声がしょっちゅう混じりだす。
纏ったローブの裾から潜り込んで胸を揉みしだく手は止まらない。しきりに股をまさぐるもう片方の手はもっと止まらない。
彼女、ミス・ロングビル―――本名マチルダ・オブ・サウスゴータは現在絶賛自慰中でした。
ちなみにシテる場所は学院の空き教室前の廊下です。授業中ですが学院で働いてる使用人とか暇な教師とか授業サボった生徒とかが通りかねないので非常に危険です。
ついでに言うと、この時間帯誰も居ない筈の教室では元異世界の青年とアルビオンの王女がシッポリヤッてる最中です。
しかも他の人間が通りかからないように見張ってる内に気になって覗いてる内に、彼女自身激しく発情。
本末転倒である。
ぐちゅっ!じゅぷっじゅぷっじゅぷっ
「でも凄い・・・あんな大きいモノが・・・・・テファの中にっ・・・・!」
肉の杭が少女の中で激しく抜き差しされる多分に水っぽい音が扉の向こうのマチルダの元まで届く。
彼女の秘裂に根元まで潜り込んだ指の動きも呼応する。
『またいっぱい出すからな、テファ!』
『あんっ、あああ゛ぁ゛ぁ――――っ!・・・・おにいひゃまの、あひゅいの、たくさん出れるぅ・・・・・』
妹分の蕩けた呟きと同時に、指先が奥の敏感な部分を引っかく
「んむ、む〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
ローブを裾を咥えて一際甲高い嬌声を最後に必死に押し殺して・・・・・・マチルダは達した。
「ぶはあああああ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛・・・・・・・」
いい年した女としてはどーなのよ?と10人中8人が突っ込みたくなるようなやるせない溜息を深々とつくメガネ美女が学院の中庭に1人。
マチルダは独り紅茶を啜っていた。
ティータイムはいつも妹分やその親友の青い姉妹や王族の彼女達と公認で3股かけてる青年達と一緒に取っていたが、しかし最近はこうして彼女達と別れて飲んでいる事が多い。1人物思いに耽りたかったからだ。
考え事の内容は、健全には程遠いものだったが。
「元々私の役目はテファに余計な虫がついたりしないよう見張っとく事なのに・・・何やってんだろうねぇ私は」
その空飛ぶ王国の王女は実はとっくの昔に美味しくいただかれちゃってたり、しかも相手が彼女とマチルダの恩人で今や他国の貴族だったり、その国の跡継ぎの王族の少女達とも4人揃って相思相愛なんだからややこしいったらない。
止めに入りたくてもサイトは他国の、それも大国であるガリア王家とはもはや家族そのものの付き合いだ。
仮にそうでなくたって、ティファニア自身が彼と既に関係のある少女達が居るのを分かってて自分も混じったんだから説得は難しかろう。
いつもは気弱だがああ見えて、自分の意見を曲げない頑固さもあるのだ。
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・・・・・・まあそれは単なる建前で、彼女が本当に悩んでいるのは別のもっと爛れた部分である。
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「何で私まであんな破廉恥な事しちゃうのかね」
彼女の役目はアルビオン王家の王女であるティファニアの警護だ。
なので出来る限り妹分の傍に居るし、秘書としての表向きの仕事の合間にティファニアは気づいてなくてもひっそりと隠れて見張ってたりもする。
余談だがイザベラとシャルロットのガリア組の場合はサイトがそれに当てはまる。
むしろ同じクラスの生徒として所属しているし、周囲公認、でも羨まれたり嫉妬されたりな関係である為四六時中ベッタリしててもまあ不審がられない。
ともかく、サイトとティファニアの逢瀬の覗き見も元々は誰かが近づかないよう見張っていたその流れで・・・
何時の間にやら、2人の交わりを覗き見しながら自分もあれやこれやするのがパターンになってしまってたりする。
それはもはやかっぱえ○せん。頭はいけない事だと分かっていても。止められない止まらない
ちなみにティファニアがサイトと一緒に居ない時は彼はイザベラやシャルロットとシッポリしけこんでるのだがそれはともかく。
いけない事だとは思ってるんだけど、ねぇ。
今まで聞いた事無いテファの甘ったるい声とか・・・サイトがテファに声をかけてる時の意地悪な感じとか聞いちゃうと、ね・・・
手が勝手に――――
「はっ!?な、何やってんのよ私は!?」
どうも無意識の内にまた弄くっていたようで。周囲に誰も居なかったのは幸いである。
しかし思い出すだけでこれとは・・・重症なようで。
「こ、これもみんなあのバカ野郎が悪いんだよ!」
1人誤魔化すように呟く。だが頬の朱は抜けない。
再び頭に思い浮かぶのは黒髪の青年。
妹分達の恋人だとは分かっていても・・・それでも想いを掻き消すのは難しかった。
どれだけ居るだろうか、このハルケギニアに。
この世界で禁忌とされるエルフとの交わりを行っていると知って、彼女達から全てを奪おうとした支配者に。
神聖な始祖ブリミルの子孫といわれる王家に、剣1本でただ1人宣戦布告して、彼女達を守ろうとしてくれる男は。
少女達を守ろうと立ち塞がった青年の背中を――――――マチルダは忘れる事が出来ない。忘れるつもりも無い。
3年前・・・・・・ティファニア同様、あの時から実はマチルダもサイトに恋する乙女であった。
だが今の彼女には立場もある。そして大切な妹分は(内輪の立場的には愛人だが)今やサイトの恋人で。
大人としての良識や、貴族の子女としての恥じらいやら貞操やら何やかんやも鬩ぎ合って。
「あ〜〜〜〜〜もう!私は一体どうしたらいいんだよ!!」
マチルダはただ、悩み続けるしかないのであった。