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 サイトの眠りは今日も浅い。
 先日まで気に成らなかったことが気に成り始めてから、ゆっくりと眠れる日が訪れたことは無かった。

 その日も夜中にふと目覚めた。
 起き抜けのぼんやりとした頭で窓の外に視線を送った。

(真っ暗だ……)

 頭の芯が痺れる様に重い。
 疲れている筈、限界の筈なのに、唐突に目が覚める。
 それは、予感のような物だったのかもしれない。

 サイトを毎夜睡眠不足に陥られる原因の一つが、身体の左側でころりと転がる。

 ただの寝返り。

 すっかり眠り込んでいるシエスタの、邪気の無い行動がサイトの腕に豊かな実りを押し付ける。

(あぁああぁっぁっっああぁあっ)

 上がってしまいそうな悲鳴を、サイトは身体を反らせて耐える。
 愛しい二人を起こさないように、ただひたすらに耐える。

 寝返りの勢いのままサイトの身体の上に送られたシエスタの腕が、据わりのよい場所を求めさわさわと胸元を這い回り、耐える事に必死なサイトの腕を自分の胸元に手繰り寄せる。

(ま、まってく……)

 サイトの体温を感じ、安心するように微笑んだシエスタがその腕を抱き寄せる。
 肩が柔らかいものに埋もれていき、まどろみに近かったサイトの意識は急速に覚醒していく。
 
『じゃあ、触ってください』

 いつかの言葉と感触、それに続いた甘い唇。

(お、思い出すなぁぁぁぁっ)

 サイトは知っている、起きている時ならば彼女は抵抗しないことを。
 その優しさが、どれほど自分の理性を崩すのかを。

 腕に続いて足が、サイトの腕に絡められる。
 胸に包まれた肩に続き腕にはウエストが、そして……

 ――太ももに挟まれた手のひらが、布一枚を隔てて『未知』との遭遇を果たしていた。

(があぁぁぁっぁあっっ)

 凶暴な衝動が、サイトの中を暴れまわる。
 日々の労働で適度に筋肉の付いたやわらかい太ももだけでは無く、雄として興味を惹かれずにはおけないやわらかい感触。

 そして、それぞれの持つ熱のハーモニー。

「んっ……」

 シエスタのこぼした吐息一つに、サイトの理性が手放されそうになっていた。



 サイトの正気を取り戻したのは小さな、だが強烈な効果を持つ一撃だった。

 シエスタが動いたことで布団の中に風が入り、ルイズも熱を求めて動き始めていて、その足が『たまたま』体積を増していたサイトのデリケートな所を直撃した。

 そう、『たまたま』

(のぉぉおっっうぅぅっ)

 効果的過ぎる一撃を繰り出した足は、そのままサイトに絡められたが、そこにある『ナニか硬いモノ』の上を不審げに往復。

「むにゃ?」
(ま、まて、ルイズっっ、そっそこは……そこはぁぁっぁあっ)

 サイトの恐慌をよそに、ルイズの手が布団の中に有る『異物』を無意識に探り、つかみ出そうと……

(ひぃっ……、ちょっ……あ……っ……)

 眠ったままの指にさして強い力が有るわけは無く、結果としてやわやわと握られ、布越しに甘く擦られる。

「っ……あ……」

 嬌声に限りなく近い悲鳴、若しくは悲鳴に限りなく近い嬌声。

 我慢しきれなくなったサイトの喉から、無理やりに喘ぎ声が搾り出されるが、
 二人を起こしてしまう事を恐れたサイトは、自らの唇を浅く噛み声が漏れるのを防いだ。

 が、眠っているルイズはサイトの苦闘など知らず……もう一度掴みなおした。

(……! っあーっ……)

 くにくにと根元から絞るように掴み、動かすたびに手から離れるソレを掴みなおす。

(まっ……ひぃっ……あっ……)
「……んっ……」

 サイトが身を捩ると、今度はシエスタが小さく身を揺する。
 密着し固定された腕が、巨大な生き物に絡め取られているかのように蠢く。

「……や、やめ……」

 慌てたサイトは、僅かに自由の利く右腕でルイズを身体の上から下ろした。
 その拍子にシエスタに比べればささやかながら、それでも確かに存在する胸に触れた。
 小さな感触が手を伝いサイトの脳に伝えられる。
 無意識に開いたまま添えられていた手が、形を確かめるように指が動きだす。

「……んっ?」

 そんな小さな刺激だけで、ルイズの目はうっすらと開かれていた。




「ご、ごめ……ルイズ、これはっ……」

 半ば眠ったままの瞳で、ルイズはじっとサイトの手……そして自分の胸を見ていた。
 昼間なら、起きている時ならば言い訳無用のこの事態が、どんな事を引き起こすのか、サイトは凍りつきながら反応を待った。

 ――サイトにとって数時間にも匹敵する緊張と共に、数十秒の時が流れる。

 じっと見つめていた手に、ルイズの両手が添えられて……幸せそうに微笑んだ。

 起きている時には、ほんの数回しか見たことの無いほどの純粋な笑み。

「サイトが触って……るぅ……」

 サイトを信じきった顔のまま、ルイズがもう一度眠りに落ちる。
 眠っている自分に、サイトが無理に何かをする事なんて考えていない。
 もし、何かしても嫌じゃないよ。

 言葉ではなく態度で、そんな想いが伝わってくる。


 ――俺……は……


 冷水を浴びせられた気持ちだった。

 冷静になった頭でもう一度二人を見る。
 変わらないルイズの微笑み。
 シエスタも、警戒心の欠片もない安心しきった表情だ。


 ――俺は……


 小さく収まったとはいえ、未だ胸の奥で燃え続ける怪しい炎が今にも目の前の二人を汚そうとしている。
 大切な二人を、ほかならぬ自分が傷つけてしまう。

 そんな恐怖に、サイトは部屋から逃げ出していた。




 人気の無い廊下を、全力で走る。
 身体を動かすと、自分の中の許せない部分がほんの少しだけ収まる感じがした。

 そのまま寮の外まで駆け出すと、足を緩めないまま食堂に駆け込んだ。
 ウェストウッドで鍛えられたサイトの身体は、この程度のことで息を切らす事がない筈だったが、
 起き抜けに加えられた緊張に追い詰められていたらしい身体は、その程度の運動でも大量の酸素を要求した。

「っ……はぁ……はあ……は……っぁ……」

 荒い息のまま、手近な椅子に腰掛ける。
 
 惨めだった。
 情けなかった。

 ずっと平気だった筈なのに、ここ数週間で急速に膨れ上がる欲求に対処できなくなっていた。

 あの二人の側にいることが辛くなり始めていた。

 何より許せないのは……

(誰でも良いから気持ち良くなりたいってなんだよ……)

 自分の中の本能は好きな相手と契る事よりも、即物的な快楽を要求していること。

 ルイズが好きだ。
 その想いだけで、いくつもの誘惑を越えてきたはずの自分が信じられなくなっていた。

 自分がおかしい。サイトは悩み続ける。
 テファを学院に連れ帰り、ルイズとの駆け引きが一段楽した頃から……

 ひょっとしたらその少し前から、サイトは自分の変調に気付き始めていた。

 ルイズやシエスタだけではない。
 ふとした拍子に出会うテファの胸を、以前の俺はこんなに食い入るように見つめただろうか?
 守る。そういって側に居てくれるタバサの無防備な仕草に、こんなにも女を感じていただろうか?


 いや……キュルケやモンモランシー、それどころか廊下ですれ違うだけの、見知らぬ女生徒にまで、
 目に付く全ての女性に、焼け付くような欲望を抱き始めたのは……


「……何時からだよ……」

 ぽそりと零れた言葉に、柔らかい声が重ねられた。

「どうしたのかね?」

 水差しと、二人分のコップを持った、ジャン・コルベールがそこに居た。




「研究が長引いてしまってね」

 最近昼間は仕事に成りませんからな。苦笑いしながらコルベールは二つのコップに水を注ぐ。
 水の立てる音を聞いたサイトは、やっと自分の喉が干上がっている事に気づいた。

「……すいません……先生」
「それで? 何かあったのかね?」

 簡単に説明できる事柄ではなかった。だが同時に相談できるとすれば、相手はこの人しか居ない。

 追い詰められているサイトは、自分の変調について淡々と説明した。
 ……キュルケにも欲望を感じると話した時の、むっとした表情が印象的だった。

「ふむ……理由は簡単ですな」
「へ? わ、分るんですか?」

 喋っただけでも随分と楽になった。あとは気休めを言われて終わりだろう。
 そんな事を考えていたサイトの予想はあっさりと覆される。

「春の使い魔召還は、広場で一斉に行いますが、おかしいと考えたことは有りませんかな?」

 コルベールは、相談者から教育者の顔に成り、にこにことサイトに問いかける。

「え……と、その……魔法のことは良く分らないんで……」
「あぁ……そうですな……つまりですな、魔獣や幻獣が制御できないまま、一斉に集めるのはおかしいと思いませんかな?」

 でもそれは、コントラクトとか言う……サイトの言葉は笑って遮られた。

「順序が逆ですな、召還直後に暴れるようなら契約は出来ません。つまりですな……使い魔は召還された時点で、『条件付け』をされているのですな」

 ――さもなければ、ドラゴンやサラマンダーやらが現れる儀式の引率が教師一人で出来るはずも無かった。(コルベールに限れば、大概のものを殺せそうでは有ったが)

「『条件付け』には、主及び主と同種にたやすく危害を加えない事などが有りまして……」

 どうやら本当に判明するらしい理由に、サイトは手をひざの上に置きじっとコルベールの話に聞き入った。

「その、危害には生殖行為が含まれるのですな」
「は?」
「いえ、ですから……その……セック……」
「いやいやいやいや、なんでっ!」

 余りの展開に、サイトは思わず大声を出していた。

「いえ……今年は居りませんでしたが、数年に一度サキュバスを召還する生徒も居りますし、生徒を預かっておる以上、あのような騒ぎを何度も起こすわけには……」

 ……昔何が有ったんだ……
 サイトが固まっている間に、コルベールは続きを語った。

「この制約を受けた使い魔は、主及びその同類に対して『コト』に及べなくなりますな。やっとその気になったと思ったら、相手の両親が遠くで見ていたりですな」
 サイトの脳裏には小船の上での一幕が思い出されていた。

「千載一遇の機会であっても、ついつい言い訳をしてしまったりしますな、あー例えば『嘘に成りそうな気がしてー』とかですな」
 ……降臨祭の夜のことが……

「絶対言うべきではないことを口走ったりですな……『これが胸?』等など」
 ……あれ?

「見てたんですか?」
「は?」




 多少の問答の後に、サイトはようやく自分に起こった事を納得した。
 先日の一件で、ティファニアによってサイトにかけられた魔法は消去されていた。

「つ、つまり……」
「今更正常な反応が始まったわけですな」

 それが正常だ。
 そんな事を今更言われても困るのだ。

 部屋では今もシエスタとルイズが眠っている。
 そして自分が眠る場所はあそこしかないのだ。

 が、理由が分かったところで二人の魅力に耐え切れないことには変わりは無い。

「な、何でこんな事に……」

 有り得ないほどの美少女揃いのこの世界で、女の子に言い寄られて耐え切る方法など存在……

「あれ?」

 そういえば……一人……居た。

「先生」
「なんだね?」

 目の前のコルベールは、キュルケに言い寄られても微動だにしていない。
 それどころか、傍目には迷惑そうにしている様にまで見えた。

「どうしてキュルケに誘惑されても平気なんですか?」

 サイトがその質問をぶつけると、コルベールのこめかみがピクリと震えた。

「平気……ですと?」
「はい、なんか全然平気そうで……キュルケも美人なのに」
「……知っていますかな? ミス・ツェルプストーはわたしの授業をどこで聞いているのか」
「……一番前ですよね?」
「その通り……どうしてそこに座っているのか……知っていますかな?」

 あれ? 地雷踏んだ? 変わり始めたコルベールの様子にサイトは冷や汗を掻きながら、知らないと答えた。

「彼女はですな、あの、あのけしからぬ胸を、胸をですぞ! 正面から覗けば見えるように、わざわざ、授業開始と同時に大きく開くのですぞ!」

 ……そ、それは……

「の、覗けないんですか?」
「覗き込んだから、教室中にばれるではありませぬか!」

 ……既成事実が一つ出来上がるわけだ。
 キュルケ……恐ろしい子……サイトは、コルベールに心底同情しながら、さっきのお返しとばかりに彼の愚痴を聞いた。

「わ、わたしには責任があるのですぞ! 彼女を責任を持って卒業させるという。
 わたしが馘首される分にはかまいません、えぇ、かまいませんとも。
 ですが、ですがですぞ、彼女が退学にでもなってしまったら、どうすればよいのですかな?」

 真面目だなー、のん気にそんな事を考えながら、サイトは無言で頷いた。




 暇さえあれば身体を寄せてくるだの、実は世話好きで研究室の居心地が別物のようによくなっただの、

(惚気か?)

 そうとしか取れない言葉が、延々とコルベールによって綴られる。

「つ、つまりですなっ、彼女はわたしなどには勿体無い女性ででしてな」

 ぜえはあと、息を切らしながら一生懸命に説明するコルベールはかなり微笑ましい。

「えーつまり、先生はキュルケの事が迷惑なんですよね?」

 あえて嫌がらせのような質問を振ると、コルベールは眉を吊り上げて怒り出した。

「そそそ、そんな筈無いでは有りませんか!」
「でも、あんなに積極的なキュルケに手を出してない……あんなに大きいのに……」

 何を思い出したのか、つるつるに光っているコルベールの頭まで、真っ赤に染まった。。

「お、お……おぱー……」
(あ、壊れた?)

 自分の不安を紛らわせるように、コルベールを茶化していると自分の問題を先送りできている気分になってサイトは落ち着き始めた。

「お、おぉ、おっぱ……」

 コルベールは何か重大なことを口に出しかけながら、懐に手を差し込むと小さな小瓶を取り出した。

「あれ? 先生、それなんですか?」
「おぱ!」

 言葉を忘れたらしいコルベールが、震える手でその瓶を開けると指先に一滴垂らし一舐めした。

「……せ、先生?」
「あーつまりですな、彼女はまだ若い。学校の先生に憧れる歳でも有るわけですし、
 卒業し、社会を見、それでもなおわたしの事を好いていてくれるのでしたら……」

 別人のように落ち着いたコルベールが、冷静に今後の展望について語っていた。
 怪しい小瓶は、厳重に蓋をされるともう一度コルベールの懐へと仕舞われた。


 ――どう見ても、怪しい薬だった。
 が、その薬効はサイトにとって必要なもので……


「……先生」
「ん、なんだね? サイトくん」


「 そ れ よ こ せ ぇ ぇ ぇ ぇ 」


 剣の無いサイトをコルベールが取り押さえるのは極々簡単なはずなのだが……


 その時は1時間ほども死闘が繰り広げられた。




 関節を極められたサイトが、壁に押し付けられながらも、

「くすりー、薬をよこせぇぇぇぇ」

 麻薬中毒者にしか見えなかった。

「お、落ち着きたまえ、サイトくん」
「それが要るんだぁぁぁぁ」

 じたばたと暴れるサイトに、力尽きた声でコルベールは告げた。

「差し上げるのは一向に構いませんが、説明くらい聞いた方が良いですぞ?」

 ぴたりと、サイトの抵抗が止まる。

「この薬は大量に作ってありますので、分けるのは結構なのですが」

 つまり、大量に使っているのだ。
 キュルケの魅力に抵抗するために、コルベールも常用しているのだ。

 ――俺がルイズ・シエスタの魅力に抗する為に使って何が悪いというんだ!

「よ、よこせぇぇぇぇ」
「説明を聞きなさい!
 この薬を飲むと、父性愛が強化され、対象の行動は実の娘が取っているような気分になります。
 つまり……たとえ、ミス・ツェルプストーが生乳放り出していても、その時はびくともしませぬ。
 ……薬が切れた後思い出すと悶えますがっ」

 夢の薬だった。
 どう考えてもその効果は自分に必要で、そんな薬が有ることが信じられなかった。

「薬効は先ほどの量で半日、多少多く飲みすぎてもさして問題は有りませぬ」
「よ、よこせぇぇぇ」

「ただしっ!」

 コルベールの一喝が、サイトを黙らせる。

「常用すると頭が……髪が……薄く……」



 ――サイトとコルベールは声を合わせて泣いた。



 白み始めた空を見ながら、重い足取りでサイトは部屋に向かう。
 その手の中には食堂で販売されている清涼飲料水の瓶。
 だかその中身は、とりあえず貰うだけ貰った……

「恐ろしい薬……」

 飲まずに耐え切るか……
 飲んで……

 昇り始めた太陽がぴかぴかと眩しかった。




 サイトが部屋の掃除をしていた頃は、扉を押すと小さな音が鳴った。
 シエスタの手によって、細部まで手が加えられた今の部屋は、音もなく開いた扉で安眠中の二人を起こすこともない。

 いつもなら、ルイズは兎も角シエスタは起きている時間だったが、夜半にサイトが動き回った所為で眠りが浅くなったらしく、
 かなり眠たそうな様子でベットに腰をかけていた。

「おはよーごじゃーましゅ、さいとさん」

 やはり眠いらしい。

「おはよう、シエスタ」

 手近なテーブルに『薬』を置くと、こしこしと目を擦るシエスタの側に近寄る。
 サイトが側によるだけで、幸せそうにシエスタが微笑む。

「今日は早いんですね、わたしも頑張らないと……」
「いや、俺は目が覚めただけだから」

 シエスタの隣に腰掛けると、少女特有の香りがサイトの嗅覚を刺激する。

(っ……お、落ち着け、俺っ!)

 シエスタの細い肩が、そっとサイトに体重を預ける。

「えへへー、ちょっと甘えちゃいますね」
(う……あっ……あぁぁ)

 もしこの細い肩を、力ずくでベットに押し付ければどうなるだろうか?
 ゆったりとした寝巻きを、無言でたくし上げると?

 ざわざわと背筋を何かが這い回る。

「……サイト……さん?」

 安心しきった瞳、サイトの腕の中がこの世界で一番安全だと信じきっているその視線に、サイト自身が耐え切れなくなった。

「ご、ごめ……ちょっと……すぐ……すぐに戻る」
「あっ……サイトさん」

 ――朝の冷たい空気で頭を冷やしたサイトは、たとえ『つるつる』が待っているとしても……

「あの薬……飲もう……」

 男らしく決心をした。
 いつの日か、男らしい髪形になることが確定するとしても、後悔は無い筈だった。



 ――そのころ。

「あれー、サイト気が利くじゃない」
 
 テーブルに置かれた清涼飲料水の瓶を、最も毒殺しやすい王位継承権持ちが手にしていた。






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つづきます

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