X00-42-17のつづきです。
才人は、この頃憂鬱だった。
理由は、王宮ではアンリエッタが時と場所を弁えず、キス等のスキンシップを行う事。
「ひめじゃない、アンリエッタ人が見てます!」
「御安心を。王宮の者は、皆存じております故、余計な事を気にする必要は、御座いませんわ」
(気にして下さい!お願いですから)
二人きりになると、扉にロックを掛け、部屋全体にサイレントを掛けてより過激なスキンシップを行ってくる。
「‘私’がフライングを犯さなければ良いんですよね」
安宿の続きがしたいのか、はたまたスレイプニィルの舞踏会の続きがしたいのか、才人は、理性を総動員しなければならない事態に陥っていた。
「ア、アンリエッタ、俺がフライングしても不味いんだけど」
「では、その直前なら宜しいですわよね?」
「直前?!って一体何処までやるつもり何すか?」
「勿論男女の秘め事の直前までですわ」
「其処までしたら俺止まれませんよ。お願いですから自制して下さい」
「酷いですわ。まるで私の事を淫乱女みたいに仰るなんて」
(十分淫乱女です)
「そうは言いませんが、せめてキスで我慢して下さい」
「私の事御嫌いなのですね…悲しいですわ」
「そんな事言ってません」
「では、愛を誓って下さいませ。私を、アンリエッタを一生愛し続けると誓って下さいまし」
(誓ったらどうなるんだろう?)
「えっと、私サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガは、アンリエッタ・ド・トリステインを一生愛し続ける事を此処に誓います」
言い終わるや否や、才人は、全身にアンリエッタのキスの絨毯爆撃を受けた。
「ちょっ…やめ…とま…」
………………………………
「キスで我慢してと仰いましたわ。如何ですか?私のキスは?」
「す、凄すぎます。そんなの耐えきれません」
「なら今度は、貴方の番ですわ」
「お、俺の番?」
(何とかこの状況を抜け出さないと)
「アンリエッタ、公務をしなきゃ」
「御安心を、オークションまでは、何も有りませんわ」
(枢機卿達が気を利かせて、決済などを全てやってくれていますし)
「え?!それなら俺来る必要ないんじゃ?」
余計な一言だった。
アンリエッタは、静かな怒り顔(?)でドレスを脱いだ。
才人の目に、ショーツ一枚のアンリエッタの裸体が飛び込んできた。
普通の男なら100%、いや鋼の心を持つ男でも間違いなく飛び付かせる凶悪な威力を持った裸体で有った。
才人が飛び掛かって来ない為、アンリエッタは、ショーツに手を掛けた。
「それは、駄目ですー」
才人は、その手を払いのけた。
しかし此れは、アンリエッタの罠だった。
この体勢になると、当然才人の顔の前には、アンリエッタの「胸も女王」の胸が有る訳で…
しまった!と思った時は既に遅く、アンリエッタは、手を才人の後頭部に回して才人の顔を己の胸に埋めた。
「如何ですか?私の胸の感触は?」
才人は答えなかった。無論埋まっているので答えられないのだが、それ以前に意識が遠のき始めていた。
(やばい!このままじゃ俺最後までやっちまう。何とかしないと)
しかし、アンリエッタは、攻撃の手を緩めなかった。
才人の顔を片方の乳房へ動かし乳首を才人の口の中に入れた。
「吸って下さいまし。私に女の悦びを与えて下さいまし」
才人は、半ば無意識に乳首を吸い上げた。
「もっと強く吸って下さいまし」
アンリエッタの身体が悦びに打ち震えていた。いや痙攣?
(もっと感じさせて気を失って貰えれば最悪の事態は、免れるかも)
そう考えた才人は、一気に攻勢に出た。
交互に乳首を吸い上げ、胸を揉みまくった。
それからアンリエッタの感じる所を探して触りまくった。
アンリエッタは、経験が無かった事と、悦びで簡単に昇り詰めた。
此のままではどうにかなりそうなので、アンリエッタにドレスを着せてベットに横たえた。
取合えず最悪の事態は避けられたが、何時までこの手が通用するか不安だった。
もう一つ不安が有った。いや恐怖か。無論主人であるルイズである。ルイズの鼻は、事、女の匂いに関しては、間違いなく警察犬も凌駕する。誤魔化すのは不可能だ。身体を見ればアンリエッタのキスマークが無数についている。流石に今の状況で、鞭打ちやエクスプロージョンによるお仕置きはしないだろう、多分。
そうなると対抗心を燃やして…いや、待て。ルイズだけで済むだろうか?間違いなくシエスタも。タバサとテファは、部屋が違うから大丈夫だよな、多分、恐らく、頼むから来ないでくれよ。
このまま此処に居ては危険極まりないから、脱出したい。が、ロックは才人には、どうしようもない。デルフは、預かられているので手元にない。現状「平民」状態の才人には、脱出する術が無い。アンリエッタが気が付いたら又続きを要求して来るだろう。
しかしアンリエッタが気が付かない事には、部屋から出られない。王宮には、女王が男と二人きりを邪魔する無粋者は、いない。ロックは才人が逃げ出さない為に掛けられているのだ。
暫く無い知恵を絞っていると。
「酷いですわ。私は、直前までと申しましたのに、遥か手前で御止めになるなんて」
「気が付かれたんですか。でもそうしないと止まれそうにないもので」
「続きを、と申してもして下さらないのでしょう?ならば今日は、御帰りになるまで私を抱きしめて口づけをして下さいまし。もしそれが御嫌と申すならば、最後の一線越えますわ」
瞳は潤みながらも、強く輝いていた。
抱きしめなければ、間違いなく強行してくる。
「抱きしめるだけですよ」
「口づけをお忘れにならないで下さいまし」
才人とアンリエッタは、抱き締め合いながら時折キスをしながら時間まで過ごした。
「早く最後の一線を越えたいですわ。でもまだ駄目なんですよね。では明日お待ちしておりましわ。あなた」
「おやすみ、アンリエッタ」
学院に着くと友人達に囲まれた。
「サイト、無事?御帰還出来たようだね」
才人達の事は、既に学院中に知れ渡っている。
勿論「姫様が承諾したら」と言う事だったので、レイナールが公表したのである。
「いやあ、恐れ入ったよ。君がこんな凄いハーレムを築く事になるとはね」
「あんた、姫様とその、過ちは、犯していないわよね」
「あ、当たり前だろ」
「何どもっているのよ」
ルイズは、鼻を引きつかせて才人の匂いを嗅ぎまくった。
「ぜ、全身から姫様の香水の匂いがしてるんですけど?幸い姫様の、あの、その、匂いはしないけど」
「多少は仕方ないだろ」
「多少じゃないじゃない」
「それにしても驚いたわね」
「キュルケ…国がこんなとんでもない事をやろうとする事?」
「いいえ、貴女よ、ルイズ。独占欲の塊の貴女が賛同した事よ。国は国益の為なら何だってするわ。貴方以外の女性達が才人に想いを寄せていた事も知っていたしね」
「貴女気付いていたの?」
「まあね、女王陛下は、貴女方が御仕置きされ時、才人の治療を最優先してたからね。というかそれ以外目に入らかった様だし、タバサは、分かるわよね。ティファニアは、サイトに胸を揉ませるんですものね」
「ま、まあ、そういうことね。サイト、部屋に帰るわよ」
「ルイズ、サイトの精力吸いとっちゃ駄目よ」
「そ、そんな事しないわよ!!」
ルイズが、才人を部屋まで引っ張ってくると、タバサとティファニアもくっ付いてきた。
「何よ、あんた達」
「え、えーとね、サイトが御仕置きされないか心配で」
「そう」
「しないから帰って」
「え、えーとね、才人の精力が吸い取られないか心配で」
「そう」
「しないから帰って」
「え、えーとね、ホントはね、サイトに女王陛下と同じ事したいなあ、と思って」
「そう」
「止めてくれ!俺の身が、理性が持たない。今日一日必死に耐えて来たんだから」
「耐えなくて良い」
「タバじゃない、シャルロット、そんな無責任な事を言うなよ」
「私は、貴方に全てを捧げている。貴方の好きな様に貪って構わない」
「ちょっ、タバサなんて事言うのよ」
「サイト、修道院での続き、お願い。あれから毎日夢見るんですもの。でも夢じゃ気持ち良くなれない。だから…ね」
「なっ、テファまで。あんた達なんて事言うのよ。私達3人でそんな事したら、サイト、壊れちゃうでしょ」
「4人です。ミス・ヴァリエール」
「シエスタ」
「サイトさん、今日女王陛下とどんな事したんです?妾とはいえ同じ事して下さらないと。あ、違いますね、女王陛下はサイトさんに何をなさったんですか?詳しく教えてください。同じ事して差し上げますから」
「キス、キスだけ」
「サイトさんて嘘つけませんね。バレバレじゃないですか。仕方有りません。皆さんサイトさんの身体に聞きましょう」
才人は、タバサのレビテーションで宙に浮かされ、空中で服を脱がされ、ベットに運び込まれた。
少女達は、才人の身体を丹念に調べ上げ、徐に服を脱いだ。
「あんたの身体に姫様のキスマークが352個有るんですけど、一体どういう事をしていたのかしら?キスマークの付かないキスもしたんでしょうから一日中しまっくっていたのね。まあ一線を越え無かった事は褒めてあげるわ。だから正直に全て吐きなさい。さもないと…」
才人は、仕方なく全て話した。
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