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X00-42-6のつづきです。
叙勲前日の昼
「サイト、1対3で勝負しようぜ」
「冗談!俺を殺したいのか?1対2だって危ないのに」
「ギューシュ達だけ勝利の美酒に酔いしれたのに、僕達は未だなんだからな。『サイトに勝つ』その為にあの特訓を頑張り抜けたんだからな」
「そうだ!そうだ!」
「お前ら、昨日から今日にかけて手柄立ててきたのに、欲深いな」
「それとこれは違うさ、ただ純粋に自分がどの位強くなったか確かめたいんだよ」
「以前の僕らだったら、全員掛かりでも負けたろう。でも今はそうじゃないってね」
「たっくしゃねーな。しかし今のお前らじゃ手加減出来ねーぞ、モンモン以外にも水メイジ何人か連れて来い。あと疲労回復薬もな」
「そうこなくちゃ」
こうして才人達は、ヴェストリ広場で「模擬試合」を行った。
結果は、才人の12戦全敗だった。
無論負けず嫌いの才人は、手を抜くことは無かったし、昨日の戦いも教訓にしていた。
何人かには、手傷を負わせられたが、それ以上に手傷を負わせられた。
無論怪我は、モンモランシー他数名の水メイジによって傷一つなく消された。
しかし才人の服は、ボロボロであった。
「全くお前ら強くなったよ。次やる時は、1対2な。俺負けんの嫌なのに。たっく」
「やったぞ!サイトに勝った。これで明日の叙勲式も気分良く受けられるな」
「その事だが、やはり諸侯の中に不満に思って、陛下に御前試合を申し込んだ方が10名程いるそうだ」
「で、陛下は?」
「受けたそうだ」
「俺とか?」
「いや、僕らとだ。サイトの方は、即座に断られたらしい」
「ま、いまのお前らなら楽勝だ。魔法衛士隊にもお前らと互角なのは、5人と居ない。俺が保証するぜ」
「サイト、君はまさか魔法衛士隊とやり合った事が…」
「ねぇよ。やりかけた事はあったけど」
「ま、僕らも1対3とは言え君に勝ったんだ。他のメイジに負ける気はしないけどね」
「サイト」
ルイズであった。
「あんた明日着て行く服は?まさかそのボロボロの服って言うんじゃ無いでしょうね」
「俺、これしか服無いし」
「あんた、バカ?叙勲式なのよ、叙勲式。あんた姫様と私に恥かかす気?ったく今からじゃ服仕立てる時間なんてないじゃない」
「仕方ない。僕の貸すとしよう。サイズは、ほぼ一緒だから大丈夫なはずさ」
「すまねぇなギーシュ」
「じゃあ今からあんたの部屋に行って見繕いましょ」
ルイズは服と格闘を始めた。
「ルイズ、君はその服が自分の物じゃないって分かっているかね?」
「分かっているわよ。ちょっと黙ってて気が散るでしょ」
才人は、着せ替え人形の様に次々と服を着替えっていった。
「ルイズいい加減にしてくれよ。夕食になっちまうぜ」
「いいからあんたは黙ってなさい。ふんとに誰の為だと思っているの?」
「ルイズ」
「あんたでしょうがぁ」
「なあ、俺が決めちゃ駄目か?」
「あんた、服選べられるの?」
「じゃあ、これとこれとこれ。どうだ?」
「うっ、ま…まっいいんじゃない(悔しい、サイトにセンスで負けるなんて)」
「じゃあギーシュこれら、借りていくな」
「サイト、朝7時出発だぞ。遅れるなよ」
「ああ、分かった」
叙勲式当日
「起きて下さい。サイトさん、ミス・ヴァリエール」
今日は、朝7時出発のため、5時!にシエスタに起こして貰ったのだ。無論ルイズが五月蠅い為だ。
「おはよう御座います。サイトさん」
「おはようシェスタ。悪いなこんな朝早く」
「構いませんよ。私3時に起きていましたし」
「3時?!」
「皆さん、今日叙勲式じゃないですか。馬車の方は、もう出発しましたし、マルトーさんなんか2時から仕込み始めたそうですよ」
「厨房やメイドの人達には傍迷惑だよな」
「仕事ですから」
「それじゃ私お手伝いに戻りますね」
「ああ」
「ルイズ、ルイズ」
「なによー、ムニャムニャ」寝惚けてんな。
「叙勲式」
「早く起こしなさいよね、バカ犬」飛び起きた。
「5時だって」
「準備に時間がかかるの、叙勲式、叙勲式」
部屋を出るのに小一時間かかった。
「お前時間掛かり過ぎ」
「仕方ないじゃない。変な格好で出席出来ないわ」
「さよけ」
食堂は、予想通り大賑わい。
「遅いぞ、サイト」
「仕方ねぇだろ、ルイズが…ぐぉ」
「さっさと食べなさい」
「へいへい」
「ルイズ、僕の服を傷ものにしないでくれたまえ」
「分かってるわよ」
「ギーシュ、俺の方を心配しろよ」
「君なら大丈夫さ」
「お前なあ」
「いいから食べたまえ」
食事を済ませ、2列縦隊で王宮へ向け出発した。
X00-42-8へつづく