ゼロの使い魔保管庫
http://zerokan.g.ribbon.to/wiki/index.php?22-130
[
トップ
] [
編集
|
差分
|
バックアップ
|
添付
|
リロード
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
130 名前: 明日 (1) [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 18:12:50 ID:rxDwfIgI いつも通り家を出る俺に、お袋が声をかけた 「才人、今日は鍋だからね、早く帰ってきなさいよ」 お袋はいつも今日の献立を教えてくれる 最近は学校の連中と一緒に晩飯を食べることもあって、家で夕飯を食べる事は減ったが、それでも教えてくれる 俺はいつも通り「う、あ〜、・・・うん」と気の無い返事をする、きっと明日もそうなんだろう 親父は朝食を前に新聞を広げながら、「VAIOの修理、今日上がるんだってな」と言う 俺はいつも通り、「うん、たぶん」と曖昧な返事をする 親父は新聞を読みながら「請求書はウチに回しとけ、あれはワシも使う」 俺がパソコンを使うことに反対してた親父、こんなこと言うのは初めてだった、礼を言うべきか、明日言おうと思った 教室 クラスの悪友が話しかけてくる 「今日ヤマギワ行くんだって?じゃあminoriとぱれっととま〜まれぇどのパンフ貰ってきてくれ」 「エロゲは買わねーよ、俺は出会い系に登録するんだ、生身の女デビューだぜ」 この野郎とのいつものやりとり、明日もこんなバカ話をすると思うとうんざりした、うんざりして笑えてくる 今まであまり話したことのない女のクラスメイトが俺に近づいてきた 「平賀君、剣道部の入部、先生に問い合わせたんだって?、嬉しいよ・・・ぶ、部員が増えるのはいいことだし! 黒く短い髪、いい匂い、小学生の時から同じクラスのそのコは上目遣いで、目線を逸らしながら話しかける 「でも・・・剣道に興味あるなら、その、ウチの道場で習っても、お爺ちゃん喜ぶし・・・あ、あたしが教えてあげても・・・」 きまぐれで顧問の先生に聞いた剣道部の話がこんなことになるなんて、明日はこっちから話しかけようと思った あれ?こいつらの名前、何だっけ? 131 名前: 明日 (2) [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 18:14:05 ID:rxDwfIgI その時はやってきた 空から何かが降ってきた 魔方陣 ピンク色の魔方陣が空から落ちてきて、俺のクラスメイトも両親も、何もかもを押しつぶしてしまった 俺は全部潰れてしまった人たちを見て、名前を思い出せなかった自分のせいだと思った 大切なことを明日に先送りした自分のせいだと思い、自分を責めた 俺には理解できない文字や図案が描かれた魔方陣はなにもかも奪われた俺をあざ笑い、俺の上にのしかかってきた 俺を潰そうとした ピンク色の何かに押しつぶされながら、俺は自分にはもう明日が来ないことをぼんやりと思った ピンク色は俺を押しつぶしながら耐えがたい嫌悪感を催す音を発する 「サイト!起きなさい!使い魔が主人をさし置いていつまで寝てるの?」 俺は夢から覚めた、見上げると寝巻きのネグリジェ姿のルイズの姿が像を結んでくる 俺の父と母、俺のクラスメイトの名前をもう一度思い出そうとしたが、俺はすぐに諦めた 「わかった、起きるよ、ルイズ」 132 名前: 明日 (3) [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 18:15:01 ID:rxDwfIgI 藁束から体を起こした俺は、目の前に仁王立ちになって俺の頭を踏んでいたルイズの肩をちょっと突いた ちっぽけな体がくるりと回って藁束の上に転がる、仰向けに倒れたルイズが俺を見上げた 鳶色の瞳に映るのは恐怖、怒り、俺はルイズの目が宿すほんのちょっとの性的な期待の色を見た時 俺の体で何かが燃えた、幼稚園の頃、玩具を取り上げた上級生に飛びかかって噛みついた時に感じた炎 ルイズが転がる藁束の隣には、立派な装丁の本が詰まった分厚い書棚があった、数百kgはありそうだ 俺は 本棚に 手をかけ 俺の明日は、ピンク色に押しつぶされた (完)
タイムスタンプを変更しない
130 名前: 明日 (1) [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 18:12:50 ID:rxDwfIgI いつも通り家を出る俺に、お袋が声をかけた 「才人、今日は鍋だからね、早く帰ってきなさいよ」 お袋はいつも今日の献立を教えてくれる 最近は学校の連中と一緒に晩飯を食べることもあって、家で夕飯を食べる事は減ったが、それでも教えてくれる 俺はいつも通り「う、あ〜、・・・うん」と気の無い返事をする、きっと明日もそうなんだろう 親父は朝食を前に新聞を広げながら、「VAIOの修理、今日上がるんだってな」と言う 俺はいつも通り、「うん、たぶん」と曖昧な返事をする 親父は新聞を読みながら「請求書はウチに回しとけ、あれはワシも使う」 俺がパソコンを使うことに反対してた親父、こんなこと言うのは初めてだった、礼を言うべきか、明日言おうと思った 教室 クラスの悪友が話しかけてくる 「今日ヤマギワ行くんだって?じゃあminoriとぱれっととま〜まれぇどのパンフ貰ってきてくれ」 「エロゲは買わねーよ、俺は出会い系に登録するんだ、生身の女デビューだぜ」 この野郎とのいつものやりとり、明日もこんなバカ話をすると思うとうんざりした、うんざりして笑えてくる 今まであまり話したことのない女のクラスメイトが俺に近づいてきた 「平賀君、剣道部の入部、先生に問い合わせたんだって?、嬉しいよ・・・ぶ、部員が増えるのはいいことだし! 黒く短い髪、いい匂い、小学生の時から同じクラスのそのコは上目遣いで、目線を逸らしながら話しかける 「でも・・・剣道に興味あるなら、その、ウチの道場で習っても、お爺ちゃん喜ぶし・・・あ、あたしが教えてあげても・・・」 きまぐれで顧問の先生に聞いた剣道部の話がこんなことになるなんて、明日はこっちから話しかけようと思った あれ?こいつらの名前、何だっけ? 131 名前: 明日 (2) [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 18:14:05 ID:rxDwfIgI その時はやってきた 空から何かが降ってきた 魔方陣 ピンク色の魔方陣が空から落ちてきて、俺のクラスメイトも両親も、何もかもを押しつぶしてしまった 俺は全部潰れてしまった人たちを見て、名前を思い出せなかった自分のせいだと思った 大切なことを明日に先送りした自分のせいだと思い、自分を責めた 俺には理解できない文字や図案が描かれた魔方陣はなにもかも奪われた俺をあざ笑い、俺の上にのしかかってきた 俺を潰そうとした ピンク色の何かに押しつぶされながら、俺は自分にはもう明日が来ないことをぼんやりと思った ピンク色は俺を押しつぶしながら耐えがたい嫌悪感を催す音を発する 「サイト!起きなさい!使い魔が主人をさし置いていつまで寝てるの?」 俺は夢から覚めた、見上げると寝巻きのネグリジェ姿のルイズの姿が像を結んでくる 俺の父と母、俺のクラスメイトの名前をもう一度思い出そうとしたが、俺はすぐに諦めた 「わかった、起きるよ、ルイズ」 132 名前: 明日 (3) [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 18:15:01 ID:rxDwfIgI 藁束から体を起こした俺は、目の前に仁王立ちになって俺の頭を踏んでいたルイズの肩をちょっと突いた ちっぽけな体がくるりと回って藁束の上に転がる、仰向けに倒れたルイズが俺を見上げた 鳶色の瞳に映るのは恐怖、怒り、俺はルイズの目が宿すほんのちょっとの性的な期待の色を見た時 俺の体で何かが燃えた、幼稚園の頃、玩具を取り上げた上級生に飛びかかって噛みついた時に感じた炎 ルイズが転がる藁束の隣には、立派な装丁の本が詰まった分厚い書棚があった、数百kgはありそうだ 俺は 本棚に 手をかけ 俺の明日は、ピンク色に押しつぶされた (完)
テキスト整形のルールを表示する